第十話 炎の中の戦い①
炎炎と炎が燃え盛る中、その中心に両者は立っていた。
「ぶち壊しに来たぜ!!」
すると襲撃犯のボスは余裕の笑みを浮かべ返答をする。
「ほざけ…!!」
だがその目からは一切油断などを感じない。
―辺りに緊張感が走る。
先に動いたのは…ななしのだった。地面を蹴り上げものすごいスピードでボスに近づく。そして強く握った拳を顔めがけて振るった。
…だが案の定それは軽々と受け止められる。
「そんなものか?」
「い〜やこれからだ」
掴まれていない方の拳で相手を連打する。周辺に鈍い音が響き渡る。何十発か殴ったところで掴まれていた手が離され、ななしのは後方へ跳んだ。
しかしあれだけの打撃を食らったはずのボスは尚もそこに平然と立っていた。
「手を離してくれたのは嬉しいが…効いてないな。」
「…来ないなら今度は俺から行くぞ…」
次の瞬間、眼前に拳が迫ってきていた。
「ッ!」
ななしのはそれを寸でのところで避け回避する。
…だがボスはその時には既に拳を握り、振り下ろすモーションへと入っていた。未だ『避け』の体制でいるななしのがそれを避けられないのはボスから見ても当然のことだった。
「チッ―」
しかし
「――驚いたな…これも避けるか。」
ななしのは能力を使い、かろうじてボスの拳を避けることに成功していた。
だが、自身の能力が発動するところを相手が見てしまった。それは…自身の能力が知られてないからこそ出来ていた相手に対するアドバンテージが崩れたことになる。
…今僕が能力を発動させたということは少なからずボスの記憶に残るはずだ。どうするか…
―能力を抑えここぞというときに使うべきか?
―温存すべきか?
「いやッ!!―攻めるねッ!!!」
「……ッ!」
僕は再び地面を蹴り上げボスの眼前へと近づく。そして拳を振りかぶる。それに対しボスも待っていたと言わんばかりに同じく拳を突き出した。
―その瞬間2つの力が衝突する―
拳に力を込める。それは体育館全体にその覇気が行き渡るほどの力のぶつけ合いだった。
拳と拳をぶつける。その勝負はより力の強い方に軍配が上がる。そして現在押しているのは…ななしのであった。
能力の出力を上げ、熱を増やす。
その勢いのままボスの拳を…弾く!!
ボスは弾かれた勢いで体勢を崩したまま。それに対しななしのは既に拳を握り殴りの体勢に入っていた。
「ッ!!」
ボスの目が驚きの色に変わる。僕は渾身の力を込め…殴った。
―はずだった―
…前を見据える。
「今、能力を使ったな?」
「…」
僕の拳は空中で静止していた。その数秒後静止状態が解ける。
そして解けた瞬間僕はボスの方へ駆け出し、殴った。
だが
またしても拳は空中で止まる。
「…どういう能力だこれは」
「教えると思うか?」
「だろうな…」
「お前がどんな能力を持っているかは知らないが、この状態…抜け出してみろよ!!」
声を荒らげ、ボスは言う。それに対し俺は気分が高鳴っていた。この状況を楽しんでいた。…自然と笑みがこぼれる。
そして、ななしのは能力を発動させる。
―変化―
「ッ!?」
その瞬間止まっていたはずの拳がボスへとクリーンヒットした。
このとき無意識にもななしのは自身の能力を使いボスの能力を解除することに成功していた。
「なぜ…」
「知らねぇな。だがその能力の解除方法はもう分かった…さて、続きだ。」
「フフフ…ハハハハハッ!!!面白ぇ!!そうだな、殺ろうぜ…最終ラウンドを!!!」
◇
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