第八話 チャンス

「僕の名は来崎…世界最強の男、来崎だ!」

「世界最強だと?大きく出たな。     それで…?」


背筋も凍るような、冷たく、ドスの効いた声が電話越しに響き渡る。


「お前は俺達を殺しにでも来たのか?」

「いや?お前らを捕らえるために来た。」

「捕らえる…ね。どうやって?俺の仲間を少しずつ倒していってるみたいだが…結局のところ人質をこっちは取っている不利なのはお前らだ、くだらん…」

「だろうな。だから…僕はやった。」

「何を…?」


その瞬間突如として体育館に火が燃え広がった。


「なッ!」


「ボス!これは…」

「チッ、面倒くせえことしやがる。」


そう言いスマホを地面に叩きつける。

だが皆が混乱している中いち早く冷静さを取り戻したボスは校舎の方を見た。すると予想通り校舎の方は燃えてはいなく、燃えているのは体育館だけだった。


(奴は校舎から…!これが狙いか…)


「お前ら!ガキ共を逃さないようにしろ!」


遅れて冷静さを取り戻してきた奴からボスの命令を聞き従い始める。だがもう既に遅く何十人かが体育館からいなくなっていた。


「この逃げる速度。恐らく能力持ちがガキ共の内の誰かにいたな。それも…」

「ひひっ、ボスここは任せてください!」


ダブドの能力、《感知視》は自分を中心とした距離から約100メートル以内にいる生物や無機物あらゆるものを識別可能とする能力。


そして感知できる距離はいくらでも伸ばせるが、広くなればなるほど正確ではなくなっていく。


ひひっ!やはり逃げた奴らはまだ校庭にいる…!この学園の生徒の人数が全部で655人。体育館にいる逃げ遅れた奴らは…231人というところか。


そして校庭に逃げた奴らの人数は…419人。その中にいるひときわ強い熱を帯びているのが…ひひっ


能力を発動しているやつだ。なんの能力かは不明だが、


「原因はあいつだ…な…!」


気づいたら目の前には少女がいた。そしてまさに今少女は攻撃をしてこようとしている。すぐに防御に回るが時既に遅く、能力と思われる攻撃をもろに食らってしまった。


「がッ!!!」


そのまま凄いスピードで壁に叩きつけられる。ダブドは呆気にとられ少女はそこに立っていた。


一つの志しを胸に…


・・・・


少女は…仁奈は考えていた。あの人に助けられたときからずっと。どうしたら強くなれるのか、どうしたらもう一度彼と会えるのかを…


だがゴルダに首を絞められ実感した。このままでは二人はおろか私でさえも強くなるのは不可能なのではないかと。現に今自分が弱いから抵抗もできない。同じ土俵にすら立たせてもらえない。


だけど理亜は違った。あの状況でもまだ希望を見い出していた。今自分にできることを考え行動に移そうとしていた。気づいたら私もつられて行動していた。


チャンスをうかがい少数だが理亜ので生徒達を救い出すこともできた。

理亜は証明した。自分にも出来ることはあると。


なら!次は私が証明する番だ!!


私にも…私達でも強くなれるということを!!!



ここまで読んでくださりありがとうございます。作者の花見晴天です。


面白い!と思った方は、感想、☆評価、レビューをぜひよろしくお願いします。


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