第五話 学園襲撃

「我々の名前はヘラこの学園は我々が占拠した。逃げ場はない。」


襲撃犯達は僕らにそう言い放った。クラスの中ではどよめきが起こり始める。


怯える者もいれば、騒ぎ始める者もいる。そしてこの状況で何も言わず傍観する者も。


僕は恐らく最後に該当するだろう。この襲撃で僕は何かをするでもなくひたすらに傍観するつもりだからな。


なぜなら僕が他人を助ける道理はない。それだけだ。


≪バンッ!!≫ 


突如銃声が鳴り響き騒がしかった教室内は一瞬にして静まり返った。


「いいか?お前ら次騒いだら撃つぞ。」


襲撃犯のリーダーとおぼしき男がドスの効いた声で僕らに警告をする。だが、それが通じてない奴もいたらしい。


「おい!てめえ。」


「何だお前。騒いだら撃つと言ったはずだと思うんだがな?」


「ハハハハッ!馬鹿かお前?俺は能力者だ。それもかなり強力な能力のな!」


「ほう?」


「冒険者もやってるんだぜ?つまりお前のその粗末な銃ごときじゃ相手になんねえんだよ!」


そう言いながらクラスメイトAは襲撃犯に向かって何かを飛ばした。それを軽く避けた襲撃犯は、クラスメイトAに銃を撃つ。


「俺に銃は効かないんだよ!なぜなら俺の能力は…」


とAが能力名を言おうとした際にそれは起こった。


「なっ!」


銃がAに当たっていたのだ。


「来崎君!!」


あ、そいつ来崎って言うのね。


慌てて近くにいた理亜が撃たれた部分をハンカチで押さえていた。


「何故だ!!何故銃が…」


そうそのことに関して僕も気になっていた。今や能力者で溢れているこの世界で銃などは戦闘に特化した能力者には意味をなさない。


なのに銃は当たった。明らかに来崎は戦闘系の能力を持っていたはずなのにも関わらずだ。


「何故か教えてやろうか?これは俺らヘラの間で作られた能力者特化の銃だ。」


「なッ!!そんなものが!」


そうしてそいつの右腕らしき奴に何かを言うと、そいつは教室から出ていった。


「何が目的なんだ。貴様らは!」


理亜は鋭い目つきで右腕らしき奴を睨みつけていた。


「ひひっ!おぉ怖い怖い。目的?そうだな…お前らには今から僕達の組織≪ヘラ≫に入ってもらう!」


「なッ!!入るはずがないだろ!!貴様らのような輩の組織になんて!」


「ひひっ、そう言ってられるのも今のうちだ。」


「ッ!もうすぐで公安がきっと助けに来てくれる!貴方達は終わりよ!」


「ほぉ、言うじゃねえか。」


理亜に同調してそう言い放った仁奈は次の瞬間気づいたら首を掴まれていた。


・・・・


私は理亜と共に襲撃犯なる者たちと言い争いをしていた。


「ッ!もうすぐで公安がきっと助けに来てくれる!貴方達は終わりよ!」


だけど次の瞬間、私は浮かび上がっていた。一瞬何が起きたのか分からなかったけど息ができなかったことですぐに気づいた。


い、息が!


私は必死に足掻いたが大柄なそいつの腕はびくともしない。


片腕でなんて力なの…


もう駄目意識が…


すると何故か大柄の男は締めていた首から手を放した。


「ゴホッ!ゴホッ!」


「何だよ。ダブド」


「ひひっ、ボスが全員集めろとさ。」


「んだよ。今いいとこだったのに。」


「ひひっ、行くぞ。」


「命令すんな!!」


集める…?私達は一体どうなるの…?それに公安が来るといったときのどこか余裕な表情…


いや!諦めない!私は…私達は生きて強くなってあの人とまた会うんだ!


私はふと隣を見た理亜もこっちを見ていた。どうやら考えていることは同じようだ。


そしてお互いにうなずき合い決意をするのだった。

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