ノア姫(ガチ)


お料理グランプリが開催されるという事を知り、色々と準備やら何やらをして過ごすこと1週間後。


前日に祭りを控えた魔王国はかなり活気立っていた。


祭りごととなれば、魔王国は基本的にやることが早い。


既に明日のための準備が終わっており、俺も手伝いをしていた。


もちろん、頼まれたわけでは無く自主的にやっているよ。だってそうじゃないと、乱数の女神様が微笑んでくれないし。


先日の戦争では、俺の運のストックを使うことは無かった。しかし、いつその時が来るのかは分からない。


確認死ぬ状況で生き残れるようにする為にも、こうしてコツコツと頑張って運気をたげる必要があるのである。


そう。それが例え死ぬほど恥ずかしい目にあおうもと、我慢しなければならないのだ。


「下がスースーする。気持ち悪い........」

「の、ノアが可愛すぎる........!!これがノアの可愛さ!!あぁ、やっぱりノアはかわいいよぉ........」

「妾、自分で提案しておいてなんじゃが、クッソ可愛いのお主、本当に男か?可愛すぎて妾の頭もおかしくなりそうじゃ」

「可愛いぞノア。可愛い。あ、可愛すぎて鼻血がでてきた」

「にぃに、本物のお姫様みたい」

「カァ!!」


祭りの前日、俺は本当にドレスを持ってきた魔王に殺意を覚えつつ、心もとない股下が気になりすぎてモジモジとする。


多分本当に持っくるんだろうなとは思っていたが、そのドレスがあまりにもガチすぎて困る。


最上級の素材を使って特注で作ったらしいのか、とにかく俺に似合うように設計さたれドレスはびっくりするほど綺麗でキラキラのしていた。


夜闇の中にきらめく星々と言うべきなのだろうか。派手さはありながらも、清楚なそのドレスを来た俺。


スリッドが入っており、動きやすさはあるものの、太ももが見えて恥ずかしいしなんなら下着まで用意されていて(女物)そちらに履き替えさせられた。


もうヤダ........お婿に行けないよ........


女の人ってこんなに違和感のある格好をしていたんだな。今度からスカートとか履いている人を見たら普通に尊敬してしまいそうだ。


ふりふりのドレスと言うよりは、スラッとした体のラインがくっきりと出るドレスであり、体の細い俺が着ているから様になるがだとしても恥ずかしい。


腕にもなんかよくわかんない長い手袋(肘まである)をさせられるし、なんならニーソックスまで履かせられている。


あぁ、思い出した。チャイナドレスに近いんだ。少し違うけど、スリッドの入り方とかそんな感じだし。


ドレスの切れ目から見える絶対領域。まさか自分の体で見ることになるとは思わなかったよ。


「本当に着たくない。もう帰りたい........」

「のぉ、こやつ狙ってやっておるのか?ん?そんな生娘のようにモジモジとして弱々しい姿で。可愛すぎる。可愛すぎて可愛い以外の言葉が浮かばん」

「猫さんノアも可愛かったけど、これはこれですごく可愛いよ。頭がおかしくなりそうだよノアァ........ノアを見る度にこの姿を思い出しちゃいそう」

「同感だ。暫くはこの姿が頭から離れんな。やばい、さっきから鼻血が止まらん。このままだと出血多量で死んでしまう」

「にぃに、可愛い」

「本当に見ないで。と言うか、もう着替える!!やっぱり明日は普通に出るから!!俺には無理だよ!!」

「なんじゃ?猫の時はノリノリでやっておった癖に、今回は逃げるのかの?」

「これをやるぐらいなら猫の方がマシだ!!俺は男なんだよ!!」


ずっと俺から目を離さないレオナ達。


魔王とニーナは割と普通にしているが、アランとレオナの俺を見る目がかなりヤバい。


1歩間違えると本当に襲われてしまいそうで怖いぞ。特にアラン。お前、頬に手を当てながら頬を赤らめるな。


鏡で見てみた自分の姿は確かに可愛かった。綺麗に着飾られた自分の姿に、思わず“誰だよこいつ”と思うほどには。


と言うか、俺も体が細いなぁ。これで少しでも胸を入れたら、本当に女の子になってしまう。


凄っ、くびれとかあるじゃん。自分の体をまじまじと見たことが無かったから分からなかったが、俺くびれがあるんだけど。


「もうコレをメインイベントにした方が良いかもしれぬな。こんなにも美しく愛らしい姫が皆の衆の前に登場したら、お料理グランプリ所ではないぞ?」

「今からでもノア鑑賞会にイベントを変えよう!!ノアに色々なポーズをさせて、どのポーズが1番可愛かったか競うんだよ!!」

「良いかもしれんの。もう、イベントを変えるか」


待て待て待て!!それじゃ、俺が主役になるだろうが!!


俺が今こうして綺麗なドレスを着ているのは、あくまでも今回のイベントを盛り上げるためであり俺が主役になってしまったら本末転倒である。


そして、アラン。お前、自分が俺にさせたいポーズを指定したいだけだろ。誰だよこの煩悩勇者を育てたのは。


シスターマリア。お願いですから、もう少し子供に常識というのを教えてあげてください。


ニーナも思想家みたいになっているし、アランに至っては友人の女装姿を見て興奮するヤベー奴になってますよ。


それでも、その爽やかなイケメンフェイスで全く不快感を与えないのはすごいと思うけど。


なんでだろうね?アランって割と変態的な行動とかをしていても、気持ち悪いとか思えないんだよな。


これが顔面偏差値による暴力。多少中身が可愛そうでも、外見が良すぎると全てが中和されるのか。


イケメンって羨ましいなと現実逃避していると、魔王の執務室に1人のおじさんが入ってくる。


この人は魔王国の内政を管理する魔王国の柱ともなる人であり、戦争にこそ出てこないもののかなり重要な仕事を任せられている人である。


あの自由奔放天真爛漫の魔王を制御できる数少ない人であり、俺はちょっとだけ彼のことを尊敬していた。


「おぉ!!リエクよ!!見よ!!我らが姫が、本物の姫となったのじゃ!!」

「........ブフォ!!か、可愛すぎます........」


俺を見た瞬間、鼻血を吹き出してぶっ倒れるリエク。おい。お前も今回はそっち側かい。


俺に味方はいないんか?


「り、リエクー?!しっかりするのじゃ!!お主がいなくなると妾の仕事が増える!!ノアが可愛すぎて昇天してしまうのは分かるが、戻ってくるのじゃ!!でないと、天国まで追いかけて連れ戻すぞ!!」

「で、ですが魔王様。こんなにもお美しく愛らしい姫様の姿を見てしまっては、全世界の人々が意識を失ってしまいます。マズイですよ。姫様の存在がバレてしまえば、全世界の国々から姫様を我がものにしようと戦争を仕掛ける国が多数現れてしまいます........!!」

「それはマズイ?!なんとかしねばならぬが、ノア姫の可愛さは隠せぬ!!」


........なにしてんのこの人達。


突如始まった三文芝居。


鼻血を出してぶっ倒れたリエクと、それを抱き起こしながら拳を握りしめる魔王。


そして、それを見せられる俺達。


股下がスースーするとか忘れてしまうほど、そのクソみたいな芝居の内容は酷かった。


地味に演技だけは上手いのが腹立つ。ぶん殴ってやろうか。


「アランよ!!お主をこの国の勇者に命じる!!我らが国の姫を、なんとしてでも守り抜くのだ!!」

「........あ、僕の番か。ハッ!!命に変えましても、ノア姫は守り通してみせます!!さ、ノア姫。僕の手を」

「........それ以上続けたら今日も一緒に寝てやらないからな」

「ヤダヤダ!!辞める!!魔王様の三文芝居とか付き合う気なんてない!!」

「おいアラン!!そこは意地でもやり通すのじゃ!!ほら、テイクツー!!」

「絶対にやらない!!だってノアがいないと寝れないもん!!」


はぁ........どうして俺の周りにはこんなバカしかいないんだ?


俺は頭を抱えると、後ろでひっそりと鼻血を出し続けて軽く気絶していたレオナには気づかないのであった。



後書き。

ノアちゃんめっちゃ可愛い。ほっそい体のラインが出てて、えっち。

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