ゲゲゲの
あきかん
同志が見たのでネタバレ感想
ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ
ゲゲゲの謎を公開初日に見た。荒れ果てた廃村。その圧倒的な破壊。ゴジラか?ゴジラが来るのか!?と、頭モナークになっていたところに現れる鬼太郎と、まったく見慣れることのない八頭身ねこ娘にやられる。これから俺は鬼太郎を見るのだと、感嘆たる思いを抱く。
時は遡り戦後すぐの昭和日本。まだまだ戦争の爪痕残る時代の空気を体現する水木御大の若かりし日の姿はエロい。この傷痕はエロいのだと私の本能が告げる。期待にそぐわむ戦場の傷であるそれは、水木青年の心までも傷つけ形を変えてしまった事を物語る。実際に語られるわけだが、ここでワンフック。観客を飽きさせないという製作人の鋼の意思をビシビシと感じるいとまもなく電車に揺られる水木青年だが、煙草、そう煙草の描写が良いのだ。せき込む子供の声を聴き煙草をしまう描写。現代的価値観であることは百も承知だが、彼の根本的な優しさを描写して、一転。めだまの親父の完全体が顕現する。
きたああああああああああああああ!!!!!!!!
早い、早すぎる。この密度。現代娯楽のそれである。あれよあれよという間にたどり着く因習村。最初に遭遇するのは美少女、ヒロイン。そして、子供。少し緩んだこの気持ちで迎える葬式の会場で味わう洗礼。華麗な運び。凄い。ここまで開幕まもないのだ。脚本の良さにやられてしまう。
そして、事件が起こるわけだが、割愛しよう。脚本の良さ、観客を飽きさせない配慮がこれでもか、と全編に巡らされたこの映画は名作であると私は断言したい。目まぐるしく物語は動くわけだが、それに違和感がない。
あと、煙草である。今作は煙草がメタファーとして露骨に描写されている。主人公水木青年の吸う煙草、peaceはそのままの意味だろう。もう一人、葉巻を吸う社長。この葉巻というのは、資本主義、成り上がり主義の象徴である、というのは誰の目にもわかるわけだが、目玉の親父ことゲゲ郎もpeaceをねだるのだ。良い。良い。この圧倒的善性を煙草に付与するという描写を見たことがなかった。そして、墓場の酒盛りである。鶴べ火で火をつけ一口吸った水木青年はゲゲ郎にその煙草を渡すのだ。
エロッ!と思わず思った。シガーレットキスではない。加えた煙草を渡すという仕草の自然さと水木青年の唾液の付いた煙草を咥えるゲゲ郎というエロさ、邂逅。この場面をエロいと言わずなんと言うのか。良かった。生きてて良かった。との思いが溢れてくる。
アクションも良い。圧倒的フィジカルのゲゲ郎。あの描写、もしやワンピースか。鬼滅の刃以降の圧倒的作画に影響されたアニメのアクションの進歩は目覚ましいが、今作でもいかんなく発揮される。動き。そして、これから激しいアクションをお見せしますよ、という感じで作画調が変わりバッタバッタと敵をなぎ倒すゲゲ郎。興奮しなかったといえば嘘になる。これは期待できる。ゴジラに。
ついに物語の真相に近づくと、ヒロイン覚醒。ついに呼び出すかゴジラ!ガイガン起動!!因習村ならアレやGMKや。白目ゴジラがあの孤島から爆誕して街を破壊するのか。狂骨ってなんやそれ、ゴジラやないんかい!といった感じで、いやゴジラやないのはわかっとんのやけれども、やっぱり怪獣描写は甘いな、と。ゴジラマイナスワンを見てしまったせいもあるけれども、新海誠の圧倒的怪獣描写にも程遠い。なんやこれは。もっといけるやろ。ゴジラ出せや!!と。もういいんよ。日本にはゴジラがいる。こんな骸骨の変態に日本制圧は無理や。ゴジラに勝てると思っとんのか、ドン・フライ連れて来るぞ、コラ!みたいな感想を抱いたのはいけなかった。まだまだ、日本アニメは進化の余地がある。怪獣、そう怪獣や。成長の余地をも見せてもらって、とても満足した映画だった。
鬼太郎7期はモナークとコラボ。これだ。
ゲゲゲの あきかん @Gomibako
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