ゲームの悪役貴族に転生した俺、主人公を英雄に覚醒させる【噛ませ犬】のはずなのに、努力しまくったら俺が英雄になってました。※メインヒロインも迫ってきて困ってます
第5話 ウチの使用人が、みんないないだと? 追放者視点
第5話 ウチの使用人が、みんないないだと? 追放者視点
——アルバートがブラックムーアへ出発した後、マクタロード侯爵家では……
「おいっ! 朝食はまだか?」
マクタロード侯爵が怒鳴る。
しかし、
誰も返事をしない。
屋敷は静まり返っていた。
「おーいっ! 誰もいないのかーっ!」
さらに大きな声で叫ぶが、
やはり誰も返事しない。
「いったい何が起こって……」
マクタロード侯爵は、屋敷中を歩き回る。
どの部屋にも、誰もいない——
100人以上いたはずの、侯爵家の使用人たちがごっそりいない。
「おはようございますっ! お父様っ!」
レギーナが朝の挨拶にやって来る。
側には、専属メイドのセリスがいて。
「おい、セリス。他のメイドたちはどこへ行った?」
「他の者は、全員アルバート様に着いて来ました」
「な、何……っ?! なぜそんなことを?」
「アルバート様への【忠誠心】ゆえです」
「ちゅうせいしん?? あんなバカ息子に忠誠を誓う? そんなことあるわけ——」
「いいえ。アルバート様はいつも、使用人たちに親切でした。いつも気遣ってくださって……」
「……あいつが何をしたと言うんだ?」
「定時以降は使用人を呼ばないようにしたり、残業代をきちんと出してくれたり……本当にお優しくて」
マクタロード侯爵は、信じられなかった。
アルバートは、使用人にも傲慢な態度を取り、
おまけに怠惰で、いつも迷惑をかけていた。
当然、使用人全員に嫌われていたはず……
しかし、使用人全員がアルバートを慕って、屋敷を出て行った。
(有り得ん……っ! あのクズが人に好かれるなど!)
「父上、どうなっているんです? 使用人がみんないません……」
「父上、これでは今日の舞踏会に行けませんわっ!」
マルスとリーセリアも、驚きながらやって来て。
「実は……アルバートにみんな着いて行ったらしい」
「「な、なんだってっ!!」」
まったく想像できなかった事態に、
二人とも腰を抜かしそうになり。
「うふふっ! さすがアルバートお兄様っ! 人望が厚くてステキですわっ!」
レギーナだけが、アルバートを正しく評価するのだった……
——レギーナ以外の三人は、気づいていない。
アルバートがいなくなった侯爵家には、
どんどん不幸な出来事が、起こることを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます