第26話
――
男というものを皆はどうやって習うだろうか?
習わない?そ、そっかー
とにかく友達との会話であったり、家族のありようだったり、創作からだったり、様々から学ぶだろう。
私は昔、母に習った。
「いいかい?将来、男と付き合うのはいいけど、男には2種類いることをよく覚えておきなさい。
一番下等なのは男らしい男、こいつらは従属するか従属させるかの二つの価値観しかもたず、対等に付き合うことはできません。
例えばあなたが何か不安を抱えたとしましょう、きっとその人は茶化すか誤魔化すか怒鳴るでしょう。その人が問題を起こしても取り返しがつかなくなるまで相談してくれません。自分には解決が不可能な問題に対し力を示せないと、従属させる立場が守れないからと考えるためです。
そうね、私が見た経験談だとこんなことがありました『無知な人をだまして契約を結ぶようなことは、目先の利益にはなりますが信用を失いますよ』と注意した女性がいました、その職場は茶化しながら彼女の話を聞かず、問題が起こると責任転嫁していたそうです。
あらゆるお話で若い兵士と恋に落ちる姫は描かれません、この事をよく覚えておくことです。こうしたものを夫にしては駄目、男らしい男は兵士、駒として使いなさい。
次に最も美しく言い寄り女の尻を追い回すものや芸術家崩れ
彼らとは付き合ってもよいですが、注意しなければならない事があります。それは、こうしたものは経済力や社会との調整力が欠けていることです。それに根っからの嘘つきです。
彼らは社会や組織との付き合い方が苦手である一方で、しかし長所・特技を何かしら持っているものです。でも彼らは根っからの嘘つきなので嘘と真実の手綱を握るの。
こうしたものをはべらせるなら、あなたは強くなりなさい、
多くの男と付き合いなさい、
男に手玉に取られるくらいなら自分から手の上ではねて遊びなさい、
男と対等以上にやりとりする強い女を目指しなさい。」
「母さん、毒にも薬にもならない男は?」
「あなたは空気と付き合うことを意識できますか?」
「そうだね、」
彼女は夫というものを生涯持たず、社会的な地位に着き、自分に期待された役割を演じきり、役目が終わると静かに生涯を閉じた。
――
私は社会に出てからは母の言うようにいろいろな男と付き合ったが、
彼らのいう事はいつも決まっていた。
「僕は君一筋だよ」
「僕は浮気はしない」
「僕は誠実だ」
「平穏に暮らせればそれで十分じゃないか」
男の人っていつもそうですよね
セールスマンが商品を売り込む時に「この建物は投資効率が悪いですよ」なんてやつ、いますかって話。詐欺師の方がましでしょ?
浮気しないんじゃなくて、できないだけでしょう?
浮気できる社交性ないから、社会でまっとうな交友関係築けず内輪で引きこもるしか出来ないんだろう?
社交性がないから社会や組織から反発食らってストレスためて女にあたるの見えてるんだよこっちはさ、地雷宣言だってわかってる?
それで免疫や逃避先なくて美人局だの仕事女にマジになって、バッカみたい
社会に出ている女は顔と体張って知恵をしぼって組織で立ち位置つくってるんだ
だったら男も男を磨けよ!
魅力的であろうと努力しろよ!
浮気されたから別れる女なんていない、あんたに魅力がないから別れられたんだ
――
・・・天井が見える。
肌にあたる空気はひんやりとしている
「あぁ、今のは夢か」
体は動く
痛みも感じない
そっか、また死んだわけじゃないのか
「うぅっ、ここは?」
天井からは光源が漏れておらず、部屋の明かりはそこかしこに据えられたランプからオレンジがかった光を灯している。
目出し帽のように作られた鎖帷子を被った男が見える。
今どき鎖帷子なんていうアンティーク使ってるなんて、儀仗兵か祭祀かしら。
ヒュームの教護院に比べて地下でありながらかなり光源の彩度が低い。
様々な瞳の色が混在する場合、一般的に700ルクスの白色電球が多く用いられる。暗い環境で作業をすると急激に視力低下を起こすが、明るい場合はサングラスなどで調整できるからだ。
ところがこの部屋にしつらえた光源は300~400ルクスと言ったところだろう、しかもオレンジ色だと褐色系の虹彩は薄暗く感じるはずだ。
ここの人口が淡い色の虹彩を持つ人種で統一されている都市であることを推測させる。
「おはようございます、そしてこんにちわ」
石室に響く声。
「4名にはこれから吏員より説明をする。その後、1か月内に議場において救世の儀式を執り行う」
それから私たち4人は別室に案内された。
――
世の中には何回も何回も殺されては転生をループして幸せをつかむ王子とお姫様の童話が流行っている。
でも、私は思っていた、
それって本当に幸せなのかな?
猟奇殺人者は過去からやり直して平凡に生きることが幸せだと感じるだろうか?
その逆に、平凡なものが猟奇殺人の果てにしか幸せになれないとしたら、猟奇殺人を犯して幸せと感じるだろうか?
子供が嫌いなものが優しい妻と子供に看取られて家庭で死ぬことを幸福と感じるだろうか?
平凡な生活を望んだ王子は王宮で政務を執ることでしかループを抜け出せないとしても、ずっと王宮から逃げだすのではないだろうか?
人は、そうありたい幸せになるために努力するはずだ
とすれば、ループすれば幸せを掴めるというおとぎ話は現在に失望しているものの目的と手段が入れ替わっている現実逃避でしかないのではないか?
仮に自分がどう幸せにありたかったか理解していなかった、努力して来なかったものが現実逃避を許されたとしよう
幸せを掴もうと努力しなかったものが、別の人生で幸せをつかむことを努力するだろうか?
――
「どうかしたかい?」
「いいえ、ちょっと昔を思い出していただけ」
役所を出た後、4人で必要なものを買いに中心市街地にある大型集積量販店へと出かけた。
※郊外型の商業施設は土地確保が容易な反面、輸送手段の確保が困難になる。
都市化区域内では蜘蛛の巣のように張り巡らされた輸送網が完備されているが土地の確保が難しい一面があるが、中心街に商業集積場を置いた場合、持続可能な開発計画が建てられる利点がある。
道中は路面電車で移動することになった。
この国では電車網が発達しており、居住者はこれで市中のほぼどこへでも移動できる。道路の両脇には歩道と人力駆動車用の通行帯が並走し、ところどころ道路の中央に一段高くなった停車場近くには『不審物を見たら通報を!』と書かれている。
そんなこんなで量販店に着き、商品や値段を見て回っていた。
とりあえず支度金として全員4キュレが支給されたので、
半年か1年か、これで間に合わせると考えていいのだろうか?
それだと考えて使わなければいけないな。
「とりあえず家電とかは必要かしら」
4人で暮らすとなるとなると
保冷庫 1000ツゥプシェ
洗濯機 1200ツゥプシェ
照明具 800ツゥプシェ
この辺りは必要だろう。
でも1か月でこの都市から移動するとなると無駄な出費になる。
家電レンタルとかあるのだろうか?
「共有物は寄宿舎だと、だいたいついて来るものだよ」
店の中で値段を見ていると声をかけられた。
たしかスイと言っただろうか?
そんなことを考えていた時、
ポンと
肩に置かれた手の癖は彼のものだった。
でも、似ている癖なんてよくあるものだ。
「そういえば教護院にいるとき同僚のヒュームに教わったんだけど、今は転生やり直し小説が流行っているそうよ。自分の人生の苦難を1回、もしくは複数回やり直して苦難を回避する物語」
「やり直すだけで苦難が解決できる?どうやって問題を打破していくんだ?」
「だいたいは婚約者か近しい人が自分を滅ぼす悪役だけど、中には自身が悪役で自分の行いが返ってくるパターンが多いわ。だから行動を改めたり、いろいろな職業や知識を経て自立を目指して最悪を回避する」
「つまりどういう事だってばよ」
「簡単に言えば元の国の仮想敵国の権力者に庇護される、魔王と勇者とお姫様の焼き直し物語よ。」
「へぇ、自立を求めて庇護されるだけの立場に自分を落とすのを幸せに感じるなんて前時代的だね」
「 あなたならループする権利を得たらどうする?」
「そうだな、僕ならその婚約者を何度ループしようが落とすけどなぁ」
「へぇ、なんで?どうやっても自分を破滅させてくる相手だよ?」
「なぜって、一番難易度が高いだろう?それに出身地というものは支持者を獲得しやすい。人の心は不変なものじゃないけど、地盤というものは不変だ。
どんなに自分を害そうと思っている勢力がいても100万回のチャンスが与えられるなら、100万回自身の地盤で立ち位置を得るように努力すべきだ。支持者の少ない異国に逃避し幸せになったものを僕は知らない。」
「だから太古の隣国に嫁いだ姫は主人がなくなったらその兄弟に嫁いだり、それが嫌な寵姫は後追いで死んだのかもね」
「・・・」
「・・・」
「もし出奔するしかないなら、愛する従者や貴族と逃げたいと思わない?」
「そうだなぁ、戻ってくるあてがないなら出奔するべきじゃないけど、そうだね、もし国を捨てなきゃいけないなら、それもありかもね」
「そういえばループしてもその時間軸は進行していくという概念があるそうだけど、もし頼りにしてくれず一人残されたその従者や貴族は、ちょっと、悲しいわね」
「まぁ人の悲しいという感情はいつか消えてなくなるものさ。それに転生して愛する人と来世で結ばれる寓話と多いだろう?」
「あなたには転生して自分を知らなくなっても求めた人っている?」
「生まれ変わりがあるなら、世界中で一番僕を憎んでいる人と一緒を望むかな」
「何それ、ひねくれ過ぎですよハハッ。女を屈服させるのが好きという事ですか?」
「ん~そういう事とはちょっと違うかな・・・」
しばし考え、
「君は、おもちゃを兄弟で取り合った経験は?」
「ないですよ」
「そうか、実に残念。本当に好きなおもちゃはね、とりあげられて誰かが遊んでいるのを見るときが一番面白いんだ」
「他人が遊んでいるのが面白い?横から見ているのが好きという事ですか?」
「取られるという事は、自分の何かが足りなかったんだ、
それは力なのか、知恵なのか、集団力なのかわからないけど、
自分の好きなものが他人に使われているのを見る時、
自分には足りない部分があったのだと自覚できる。
そうやって研磨することで、明日の自分は今日の自分よりも強くなる
例えどれだけ年を取っても、人は成長をやめたら死ぬからね
憎んでいるのも同じさ、
きっと前世の自分は好きなものこそ意図的に恨まれるようにしてたはず」
「おもちゃが戻ってこない事は考えないの?」
「本気で戻ってきたくないと思われているなら、悲しいけど前の自分の実力が不足していただけ。
どうでもいいおもちゃならなくなってもどうとも思わないだろ?
でも、本当に欲しているおもちゃなら、もし恨まれているならとてもうれしい、
それを反転させる努力をこれからすることができる」
あぁ、そうだ
彼はそういうヒトだった
常に前向きで努力が好きで、たまにそれしか見えなくなるのが玉に瑕で、でもプライドや名誉に無頓着
子供が大人になっておもちゃや妖精が見えなくなって、
どんどん遊ぶ友達が減っていって、
一人残された妖精の下に最後まで一人残る、童話に出てくる男の子のような人
じゃあ、なぜ彼は国を捨てたんだろう?
何があっても国を想うあなたの矜持に反するのではないの?
▲▲
日本人が欧州に行って一番困る事~
部屋で勉強ができない!
300ルクスの白色電球ならまだまし、オレンジ灯だと夜中はガチで文字読めねぇから欧州行く時は、何をおいても電球をもっていけ、あっという間に目が悪くなるぞ。
たまに虹彩がブルー系のエルフが日本家屋に住む作品あるけど住んだら100%まぶしすぎてストレス感じるからリラックス描写入れるな
気になるやつは気になるぞ
とにかく作家は作品のテーマに使わないなら虹彩は色を統一指定しろ
▲▲
女はチャラ男が好きなのはバカだから(キリッ
いやぁ、これなんだと思う?典型的DV男の自己弁護ね
男が好きってやつで男社会の男が好きってやついなくね?
男も読めるBLに男社会の男いないのなんでだと思う?
あいつら、きもいんだよね
やば、本音出ちゃったw
▲▲
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます