10/22 夢を紡ぐ者たちは 1

夜が明ける。僕はビルの一室で目を開ける。朝は苦手だ。残念なことに、僕らが昨晩眠ったのは東側の部屋だった。窓を見ると、太陽が2つ見えた。違う。ひとつは昨日解放したマークによって崩れたビルの塊の隙間から覗く強い光だった。僕は目を細める。手が上手く握れない。そうこうしているうちに他の者も目覚めてきた。それぞれ食事や洗顔など朝のルーティンを済ませ、作戦会議を開く。

「今日中に全てのマークを巡り、おそらくコアであろうビルの塊に向かう。そこからはどうなるか様子見しよう」

昨日決めたことを再確認して、全員が腰に大きなベルトを締め、それそれの利き手側につけられた様々な形の穴に自分の道具を入れる。これですぐに敵に対処できるようにできる。そしてビルを出て、4箇所目のマークへいく。そのポイントに立つと、地面がせりあがったので、全員が戦闘の準備をする。でも、今回の敵は様子がおかしい。いつものように瓦礫が浮かび上がらない。しばらくして、無の空間から何かが現れた。それは、百獣の王――ライオン――のようにも見える物体だった。それは5体同時に現れると、全員に対して攻撃を始めた。

「シールド」

僕はとりあえずバリアを貼り、自分の手元から1本の長い棒を取り出す。それは戦闘能力を唯一一切持たない自分のために頭を捻って作った物だった。手元のスイッチをオンに切り替えると、それはさながら死神のような大鎌に変わった。高澤が斬撃を放ち、敵を後ろに押し込み、その隙に山田が敵に「鈍足」をかける。それに畳み掛けるように宮石が最初に作ったよりも大きな銃を構え、「追跡弾」を発射する。そのタイミングで僕は前に飛び出し、大鎌を振るう。ライオンたちは畳み掛ける多段攻撃によって、1体、また一体と数を減らし、最後は高澤の連撃で終わった。

「そりゃ敵が1種類なわけないわな」

そうやって言いつつビルをくだり、次の地点へと向かった。



「よし!これで終わりか」

僕らがようやく6箇所目まで周り終えると、太陽はほとんど南中していた。つまり正午が近いということである。

「時間が来る前に、早く動こう」

僕たちは中央、真ん中が崩れて上部が宙に投げ出されたはずなのに未だ位置を変えない屋根がある塊に向かって歩いていった。中からの光は、強く、明るくなっていく。

僕らは、ビルの森の中を通り、目的地にちかづいていく。

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