10/21 それはきっと醒めぬ夢 3

"その刻は突然だ。それまで当然だと思っていた概念は崩れ、変化がもたらされる。私たちは概念に生きているからそれに適応できない。そしてそれを異常と看做しみなし、排除する。でもそれは正解か?私にそれを判断することは出来ない。あなたがそれを強く願うのなら、道は拓かれるだろう。"

「新情報...?」

無駄にかっこつけたエフェクトと共に出てきた文言を全員が見る。僕はホログラムをタップする。すると僕のホログラムには「地図」機能が追加された。それは北宮周辺の地図で、どういう訳か変化後が反映されている。そして、光の点が数カ所をマークしている。それを見て、他の人もタップする。それぞれのホログラムに地図が表示される。そこで僕は気づく。

「結界か...?」

ちょっと来て、と6人を呼ぶ。そして指で画面をスクロールして、地図でもよくわかる、ビルの塊を中央に持ってくる。そのうえで、マークを示す。残りマークの数は5つ。それに北宮駅屋上――僕達の現在地――を加えると、塊を中心とする6角形が姿を現す。

「きっとだけど、僕たちがさっき落としたがこのマークのひとつなんだろう、そして、マークを解いて塊が落ちたのなら、全てのマークで何かしらのアクションを起こせばいいと思うんだ。」

高澤は頷く。

「おそらくな。出来れば早くまわり始めたい。今はだいたい正午くらいだし、あとふたつは行けると思う。」


――――――――――――――――――――


僕達はビルを降りてすぐ異変に気付いた。さっきの瓦礫みたいな敵が増えている。敵たちは、ビルの出口に見えた人影に向かってのそのそと向かってきた。試しに銃で撃ってみると普通に砕け散ったので武器作りは後に回して銃で進む。1時間程で2箇所目にたどり着いた。平地だったら4kmくらい離れているはずだが、障害物もあったのでせいぜい1kmくらいだろう。

そこに敵はおらず、代わりになにかの装置が置いてあった。それは七基あり、全員で操作するようだった。

「レバーを下ろすだけってどうなんだ...」

「楽だしよかったでしょ」

難なく第二マークをクリアして、また中央ビルが崩れた時、地面から無数の瓦礫が浮き上がる。それは北宮駅屋上からしばらくすると見なくなったあの瓦礫の生物である。

「封印が解除されると出てくるのか」

中村が鋭い。

「だとしたら封印を解除した場所で夜を明かすのは危険じゃないか?」

その通りだと思った。

「じゃあ今日はあと二つ行こう。」

「なんの解決にもなってないじゃねえか!!」

「後についたマークは解除せずにちょっと離れたところで夜を明かす」

僕は高澤を尊敬の目つきで見る。この男の前世は有名な軍師だろう、と思いながら次のポイントに向かう。

次のポイントは何の変哲もない戦闘だったので、中村が爆速で爆破して終わった。

「じゃあ進もう。目標は次のマークのすこし手前、このビルで夜を明かそう」

僕は高澤の言われるがままに足を進める。それは自分が何も考えなくて良いことを意味した。

僕は心に少しの陰りを足して、今日の野営地に到着した。移動しながら高澤は雪山の行動可能時間は遅くて午後三時であること、ここは雪山と同程度かそれ以上の危険性を持つと教えてくれていたので、さらに進もうという意見は出なかった。

ビルの一室に布団を作り、ロウソクを灯す。僕は他の者に合った武器を作る作業に取り掛かった。

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