護身術
全員びしょびしょになるまで遊んだ後は昼食の時間だ。
僕たちは着替えを済まし、席に着いていた。
「わぁ、サンドウィッチだぁ!!」
今日の昼食は持ち運びにも便利なサンドウィッチと言うものだ。
以前にも屋敷で食べたことがあるが、中でも卵を挟んでいるのが一番美味しい。
「カルマ様、こちらをどうぞ」
流石リナ、分かってるぅ!!
「いただきますっ!!」
うんっ、やはり美味しいっ!!!
昼食を食べ終わったら森の探索だ。
言うまでもなくあの子の命令だ。
「ほら、ささっと行くわよ!」
ティアを先頭に僕とアリアは着いていく。
その後ろではリナが見守ってくれている。
「ティア様、危ないので湖に沿って、お歩き下さい」
「わかってるわよっ」
にしても、本当に広い湖だなぁ...。
シキはそもそもどうしてこんな攻撃を?
『なに、ただ威嚇しただけだ。攻めてくるのなら都を消すぞってな』
なんとも物騒な...。
「ねぇ、あれ見て」
アリアの指差す森の方に小さなボロ小屋があった。
扉も壊れていて、見るからに人は住んでいなさそうだが...。
「あんなのあった?」
「ううん、アタシも初めて見たわ。何か面白そう!!行ってみましょっ!!」
少し水辺から離れてしまうが大丈夫なのだろうか。
「いいの?」
「あれくらいであれば、私も着いていますので」
「そっか」
ティアとアリアは小屋に駆け寄り、勢いのまま中に入っていった。
「2人とも、流石に入るのは...!」
「「きゃぁぁぁぁあああっっ!!!!」」
小屋の中から2人の悲鳴が聞こえた。
「カルマ様は私の後ろにっ!」
リナがジリジリと小屋に近寄って行くと、中から
その内の2人がアリアとティアにナイフを突き付けていた。
「おいおい、俺たちの眠りを邪魔しやがって!なんなんだよこのガキ共はっ!!」
「見てみろよ、使用人付って事はどこぞのお嬢様だぜ、これは」
「こいつは高く売れそうだなぁ....。おいっ、そこの小娘っ!!コイツらを返して欲しけりゃ今すぐ金を持ってきなっ!」
ん?
あの左の男、どこかで見た気が...。
『ああ、燃え尽きた村でお前を蹴り飛ばした奴の隣で居たな』
やっぱり、あの時の...。
いざとなったら、
『だめだ。コイツらに見られる訳にはいかない。それにあんな雑魚は青だけで事足りる』
...分かった。
「ちょっと離しなさいよっ!!」
「このクソガキっ!暴れんじゃねぇっ!!」
「離しなさいって言ってるのよっ!!...仕方ないわね。アリアごめんね!"
「「ぐわぁぁ...」」
「きゃあっ!!」
ティアの雷は2人の男とアリアに感電し、拘束が解けた。
それを見たリナが一瞬で間合いを詰めて、2人を救出した。
どうやら2人とも無事なようだ。
『ほう、あの娘、少しはやるようだな。竜力で追い風を生み出し加速するとは』
「おいっ、何離してんだよっ!」
「てめぇこそ離してんじゃねぇかよっ!!くそっ、こうなったら!グリードやっちまえっ!!」
後ろに控えていた3人目の男がリナに向かって歩き始めた。
それに対してリナは護身術の構えを取った。
「"
リナの腕に風が纏った。
な、何あれ...。
あれが、シエル流護身術。
『ようやく理解出来た。ティアと言う娘が言う通り、護身術の練習をするくらいなら竜力の強化をした方がいいと思っていたが、竜力を用いた術だったとはな。使い方が上手い』
でも、1対3の状況は変わらない。
それにあのフードを被ったグリードと言う男、1人だけなんかオーラが違う。
「たかが女一人で俺らとやり合おうってか!ボコボコにしてやるぜっ!!」
「1人じゃないわっ!アタシが後ろから援護してあげる!存分にやりなさいっ!!」
「ありがとうございます」
これで2対3。
僕が加勢すれば同数に...。
『いや、待て。まずは様子を見るぞ』
そんな悠長な事言ってたら誰か怪我するかもしれないじゃないか!
『まぁ、落ち着け。敵の情報を集めるのも大切な事だ。殺るのはその後でも遅くない』
わ、分かった...。
でも、もしもの時はすぐに助けに行くよ。
『ああ』
お互いに間合いを見極めていた両者だが、先に動いたのは野盗側だった。
「"
リナを先に潰そうとしたのか、近くの地面から氷の鎖が飛び出し、リナの四肢を拘束した。
しかし、竜力で自身を強化しているリナは糸を解くかのように鎖を断ち切った。
「後ろでコソコソして情けないわねっ!"
ティアが野盗の隙を見て、先程のお返しと言わんばかりの雷炎の玉を2人の男に撃った。
「"
「なっ、アタシの"
ティアは"
『ほう、あのフードの男、氷を扱うか。あの娘とは相性が悪いな』
氷って炎で溶けるんじゃないの?
『ああ、だが、雷の影響で炎の温度が下がっているのだろう。だから溶けないし、雷も通らない』
シキの言う通り、ティアの攻撃は当たっているが、全く溶けていない。
「グリード!あの後ろの小娘が邪魔だ。先に片付けろ」
「分かった」
しかし、その隙をリナは見逃さなかった。
竜力で加速し、気付けば、フードの男の懐に入っていた。
よしっ!
あの距離なら護身術であいつを無力化できる!!
リナの張り手が相手の溝内に入った。
男はピクリとも動かない。
気を失ったのか?
「触れたな?」
「...っ?!!」
「"
男に触れていたリナの手から氷が広がり、リナの全身を覆ってしまった。
「リナっ!!」
「おん?そういえばガキがまだ1人居たんだったな。グリードそっちは任したぞ」
「ああ」
シ、シキ...?!
『ああ、存分に殺れ』
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