第46話
夏休みを利用して実家に帰ったんだけど案の定、嫌な事ばかりで疲れた。
肉体的にも精神的にもダメージが凄い……。どうしてダインスレイブは私を攻撃してきたのか……。あの義母はフーリア達ホワイト家の何を知っているのか。
考える事は山ほどあるけど、夏休みももうすぐ終わるので私達は実家から都市エステリアに戻ってきた。夏休みが終わってしまったからね。
この狐の魔物?が神様が私に与えてくれた力かどうかまだ分からないけど、ダインスレイブが狙っているのなら何かあるのかもしれない。
ちなみにその狐の魔物はというと――
「きゅうぅん。きゅうんっ!!」
それは私の腕の仲で気持ち良さそうな鳴き声を発していた!!
頭を撫でられて私の腕に寄り添ってくる生き物に心を奪われそう……。前世では動物に好かれなかったからその反動かもしれない。
この子は私のペットとして寮で飼う事を許可された。
「まさかこの寮ってペットを飼っていいとは思わなかった」
ショナは私の膝の上で無防備に撫でられている狐を見てそんなことを口にする。
確かにこういう学生寮ってペット禁止のイメージがあるんだけどね。
「まあ使い魔とか使う魔法使い居るし」
「確かにユウリの言う通りだね!この子、狐?のルミナちゃんはルークの使い魔として……」
この狐の名前はルミナとなった。
最初私は天使の様に白く可愛い狐だからエンジェルフォックスCちゃんにしようとしたんだけど、3人に猛反対された。ちなみにCは|cute(キュート)のC。
そして結局フーリアがルミナという名前を思いついて3人それに賛成した。
結果、ルミナになったわけだ。
私のも悪くないと思うんだけど……未だに納得できない。
まあこれはこれで可愛らしいのでいいか!どうせ提案してもまた反対されるし……。
そんな事を考えて居るとフーリアはあることを指摘する。
「使い魔にしたらルークが魔導士になるじゃない」
「え?魔法使えるじゃない?」
「それは隠してるの忘れた?」
「あぁっ!!」
ショナという生徒は私達のリーダー的な存在だ。だけどたまに心配になるほど抜けている。
魔法を使える事はとりあえず話したけれど、それはここにいる3人のみ、ショナに話したあの後すぐにユウリにも話した。
さすがに全生徒がそれを守ってくれることはないだろう。だから秘密にする。
「そっかぁ……めんどくさい……」
「前も言ったけど、私は違うからね?」
「分かってるよ。
「……」
ここまで否定されるとさすがに悲しくなるんだけど……。
それより神様……か、私の知る神様は一柱しか知らない。
正直神を見たことがある私からすれば|魔導騎士(エーテルナイト)なんて偽物としか思えない。
「どうして神なんて名乗ってるんだろう……?」
「魔法と剣を使えるからでしょ?」
「それだけなのかなぁ~?」
「はぁ……そんなのはどうでもいいから、その子どうするのよ」
「あー使い魔はやめた方がいいよね」
「戦闘に参加しないなら本当にただのペットね」
「学校には持って行かないとなると、ご飯とか大丈夫かな……?」
「ご飯なんて置いときゃいいのよ。そんな小動物……」
フーリアはやたらとルミナに冷たい。多分ルミナのこと嫌いだよね……。
だけどどうして嫌いなのか分からない……まさか小さい頃に動物とかにいじめられた?いや、むしろ今のフーリアならありえないその逆はありそうだけど。
私がその分可愛がればいいから……。
私はより一層ルミナを撫でた。それはもう頭からお腹まで!ルミナはとっても気持ちよさそうで、それを見るともっと撫でたくなる。
それだけ夢中になってしまう程の可愛さ、女の子は可愛いものが好きと言うがこれは老若男女全ての人類がメロメロになる事間違え無しだろう。
例え前の世界で男だったとしてもだ!
どうフーリア!!実は私と同じように撫でて上げたいんじゃないの!!?そう思ってフーリアの方を見る。
「ちっ……」
フーリアは私にすら向けたことも無いゴミを見るような目でルミナを睨む。
正直、めっちゃ怖い……。
「ま、まあ使い魔じゃない以上、学校へは持っていけないと思うからご飯だけ置いて行くしかないよ!」
ショナは私とフーリアの間の張り詰めた空気を遮ってくれた。
この子を置いておくのは不安だけど今はそれしかないだろう……それに登校の時間も迫っている。
「ルミナ、ここで待ってて……ご飯は食べ過ぎないようにお昼の分だけだから、12時半くらいに食べるんだよ」
「ルーク……さすがに動物に人の言葉は分からないと思うよ?」
ショナの言う通りだ。だけど私はこの子と心を通わせられる気がするんだよね……。
そう信じた瞬間、ルミナは私の問いに応えるかのように鳴く。
「ワンッ!」
凄い元気な犬みたいな鳴き声だけど、その声はなんとなく私と対話しているように思えた。そしてルミナは分かったと言っている。きっとそうだ!!
「分かったみたい」
「ルークって動物と話せるの!?すご……」
話せるわけではなくそう言っているように感じただけ。
いつかそんなことができればいいんだけどね。
それから私達は夏休みぶりの学校へ向かった。最初は始業式があると言う事で学校の体育館で校長先生のありがたいお言葉を聞く。
こればかりは前世と一緒で長い。夏の終わりとはいえまだ暑いと思うから周りの生徒は大変だろう。
私は炎を使う魔導士であり剣士なので一切暑さを感じない。そう言った属性に適した者はそれに関連した耐性も付いている。
それでも退屈話と言うだけである意味苦ではあるんだけどね。
「それではまたエステリア学校の生徒として、勉学、実技に励むように」
校長先生の長い話は終わり、これから授業へ向かおうとした時だった――
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーンッ!!
と突然学校の方から耳を覆いたくなるような大きな爆発音が聞こえた。
私はこの音に聞き覚えがあった。
一瞬で直感する……これはあの時と同じ……。
「ゴーレム……?」
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