第22話 \結果
私の試合は終わってしまった。そこからはずっと観戦という事で一人観客席でフーリア達を応援する。
次の試合はフーリアとショナの対決だ。
2人が戦っている所を見た事ほとんどない。少ない情報だけではどっちが上かとかわからないんだけど剣の性能が違う。
ショナの剣は雷の聖剣。
雷の剣は所有者の身体に電流を流し、身体能力を上げる。
一方のフーリアはただの剣。これは魔導士でも手に取ることができる無名の剣、アーティファクト。
聖剣や魔剣と違ってなんの力もないから結局魔導士なら魔法を使う方がいい。
魔導士は聖剣や魔剣を手にしても扱えないからね。
さらに聖剣は持つ者で姿を変える能力を持っている。私の剣もそうだ。元は刀身が太く大剣に近いものだった。
それが刀に変化したのは私がその大剣を手にした時だった――剣が光り輝いて目を閉じた次の瞬間には大剣から刀に変化していた。
魔導士は魔力が妨害しているせいで聖剣や魔剣を持っても変化しないし、力を扱えない。
そして聖剣や魔剣クラスの剣は貴族の騎士なら誰でも持っている。それを子へ受け継ぐんだけど……フーリアは剣を引き継げられていない。
フーリアの家系は特殊でホワイト家に代々伝わる聖剣しか扱えない血筋で他は使えない。
そして剣と剣に差があるのは剣術に差があるのとは違って明確なアドバンテージがある。
そこをどうにかして埋めないとフーリアに勝機はないだろう。
「んじゃ行くよ!フーリア!!」
「ええ……!!」
試合が始まると同時にショナは身体に電流を流し身体能力を強化する。そしてその手に握る剣は雷を纏う。
フーリアは剣を振るって宙を斬る。
するとそこから風の斬撃が放たれる!!
まるでかまいたちだ。
フーリアは無名の剣を使いこなしている。だけど……威力、性能が違いすぎる。
ショナは雷を纏った剣で飛んできた風の斬撃を斬った。
風はあっさりと散ってしまう。
「くっ……!」
「武器差だね。むしろここまで聖剣や魔剣クラスの剣を持った人に勝てててるんだから十分だよ!……だけど私はそうはいかない」
雷の剣を携えてショナはフーリアへ距離を詰める。
咄嗟にフーリアはタイミングをズラそうと後ろに一歩下がる。しかし――
「はやっ!!」
「おそーい!」
もう既にショナはフーリアの目の前まで来ていた。
だけどフーリアも剣術と無名の剣でここまで勝ち進んできた!その実力は伊達じゃない。
雷が落ちるかのように鋭く速い斬撃をフーリアはスレスレで避ける。
剣に頼らないからこそそれ以外を鍛え続ける必要がある。体力、純粋なパワー、速度、そして反射神経。
それらをフーリアは誰よりも鍛えているはずだ。私と何度か戦った時もそれを使っていた。
まあ私の場合は勝てたと油断した所へ反射神経と速度を使った攻撃でやられたんだけどね。
やっぱり私って剣士とはダメダメね……。
剣士としてダメダメな私ならともかく、ショナは一級の腕を持っている。
雷の剣が外れて大きく隙が出来たショナへ剣で――斬りはせず、足を上げる。
そしてショナのお腹へ目掛けて強く蹴る。
「ちょっ!?……足でぇ……」
そのまま純粋なパワーだけで4メートルくらい距離を離した。
ただの蹴りで人の身体を4メートルも離せるなんて見事だ。今後フーリアには蹴られないようにしようと思う。
驚いて仰け反ったショナへ休む暇なく攻撃を加えようとするフーリア。
剣を翻してフーリアがショナの胴体へ放つ。勝ちを確信したフーリアはそのまま全力で剣を振るう!!
「やるねぇ~じゃあ私も本気を出すよ!」
ショナがそう呟いた瞬間、彼女の姿が消えた。
いや消えたんじゃない圧倒的な速度で移動している。観客席からでも目では負えないような速度。
あまりに俊敏な動きと雷のコラボレーションで戦っているフーリア本人は動揺している。
……そこへジョナが一太刀……。
圧倒的な速度から放たれた攻撃は避けることができず、フーリアはその場で崩れ落ちる――勝者はショナだった。
フーリアは良く頑張ったけど落ち込んでいるのかそそくさと闘技場を後にする。
観客席へ戻ってくると思ったら次のユウリ対フレイヤ戦にはフーリアは顔を出さなかった。
ちなみに試合はフレイヤの勝ち。
ユウリはお腹が空いて動けな~い!と言って降参していた。
本来ならありえない降参の理由、しかし
なのでそんないい加減な理由でも通って降参が成立した。
さらに次の試合もフーリアは観客席へ顔を出さなかった。
次はショナ対クレストでクレストの勝ち。
後もう一歩という所まで追い詰めての敗北だった。
私達4人の最初の試験は悲しいほどに無力で終わった。
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