第6話 ダインスレイブ
魔物騒ぎは落ち着き、ダインスレイブ
だから嘘を言われて私が何か咎められることは無かった。義母の説明だったらきっと私が怒られていただろう。
翌日、私は父上に部屋に呼ばれた。
何か怒られるようなことはしていないはずだけど……。なんだか嫌な予感がする。
その予感は部屋に入った瞬間に当たっていると確信する。部屋の中には義母と義妹のルーンが居た。
ルーンはともかく義母がいると大体良いことはない。
「来たかルーちゃ……ルークよ」
「はい、父上……そのなんの御用ですか?」
「ふむ……まずは今回の魔物の対処、見事だった。さすが我がむす……我がバレンタインの子だ」
その言葉を素直に喜びたいんだけど……。
横でクスクスと笑って聞いている義母を見てイライラが勝ってしまう。
「……ありがとうございます」
「ルーンを助けてくれた事もよくやってくれた。私は隣町の魔物の対処に行っていたとはいえ、まさかこのバレンタインの敷地内に魔物が入るとは……すまなかった。そしてありがとう」
バレンタイン家がある街は、よく魔物が出没する隣のホワイトの街より国の中央に近い。
魔物はどうやら外国から多く来ているみたいでほぼ毎月魔物を退治するために父上が向かっている。
逆に魔物がこの国、ルエリア王国へやってくるから隣国のハーベスト帝国は魔物が少ないという噂を聞いたことがある。
武力でバレンタインは貴族と認められているから国へ害を及ぼす魔物を捨ておくわには行かない。地位の問題もあるんだろう。
毎回外国からその隣のホワイトへ魔物が入ってきては父上が対処する。それ以上先へは侵入を許していないという。
当主が居なくなったホワイトの街を防衛することはバレンタインの敷地内を防衛するとの一緒で、気づかないうちに魔物がバレンタインの街に入ってきたことに父上は謝罪とルーンを助けたお礼をくれた。
なお、当然のことのように義母からはルーンを助けたことのお礼はない。
正直この場にいるのだから……まさか!?と期待をほんの少しだけしていたんだけどなかった。
じゃあ一体なぜこの場に義母とルーンが居るのか、その答えは父上から告げられる。
「あの魔物はもしかしたらダインスレイブ先生が呼んだ可能性がある」
「え……?」
「ルーンの証言だ」
ダインスレイブ
確かに昔は悪いことをしていたと聞いたことはある。
魔法と剣の教え方も独特で前に義母が言っていたようにダインスレイブ
私も同じ魔法と剣を使える特異体質だけど、それは私のような元から魔法と剣を使える便利なモノじゃなかった。
その体質とはダインスレイブ師匠≪せんせい≫が多重人格と言う事。
おそらく知っているのは父上くらいじゃないだろうか……。
ダインスレイブ《せんせい》は人格を切り替えることでダインの人格で魔法を使い、スレイブの人格で剣を扱えるようになる。
だからダインスレイブ
あの人
ルーンは私に対して何か気分の悪いことを言う時がある……けれどそれは決まって義母や義姉が近くに居た。
だから二人の前では思ってもいないことを出している可能性もある……と思っていたけど、ダインスレイブ師匠≪せんせい≫の事を悪くいうなんてやっぱりあの義母の子供だったということ。
私は必死にダインスレイブ師匠≪せんせい≫の事を庇う。
「ダインスレイブ
「確かに娘の教育を任せるのだからそれなりに信頼のしている|他≪・≫の人から紹介されて雇った」
「え……?」
信頼している人から紹介された……?
ということはダインスレイブ師匠≪せんせい≫を紹介した人は信頼しているけど、雇ったダインスレイブ
「ど、どうして……?」
「ダイン先生のことは知らないわけじゃない。内容は聞いていないと思うが、彼はとある罪を犯した」
「その罪ってなんなんですか?」
「自分が
それはつまりダインスレイブ
しかし、ダインスレイブ
「その理由は殺した……いや、この話はやめておこう」
「どうしてですか?!」
「ルーク、君はダイン先生に何を言われた?私が彼を信頼していると?」
「それは……ですが昨日の授業の後、アーミアに罵られている私を庇ってくれました」
私はその時あったことを話そうとした。
しかしそこまで言うと黙っていないのが義母だった。
義母は私が全てを話す前に話に割って入ってくる。
「アーミアがそんなことをするわけないでしょ!!このクソガキが!!」
「なっ……いくらお前でもその言葉は許さないぞ……!」
「何よ。誰があなたを救ったと思っているの?あの時あなたの奥様が死んだことでーー」
「その話はやめろ!!!!!!」
「ーーッ!!」
温厚な父上のその怒鳴り声にその場にいた誰もが黙る。
結局、私がダインスレイブ
以降、何日も何日も経ってもダインスレイブ
そして少し経ったある日、ダインスレイブ
父上が他の教師を付けてくれたけど、私はダインスレイブ
それにはダインスレイブ
それはこの世界でダインスレイブ
この秘密を明かさないことにはどんな教師が付いても無意味だった。
そこから私は自分で魔法の本を読み学び、剣術の鍛錬も部屋で済ませた。
そして部屋に引きこもって2年が経ち学校へ行くように言われる。
それは教師を付けずに居た事でもう必要ないと捨てられると考えるのは至極当然だった。
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