第46話閲覧注意NTRの代償〜そしてヤンデレ化へ
「莉菜ちゃん愛してる。誰よりもずっと。」
ベットに押し倒して、俺は莉菜ちゃんに口付けをする。
「お兄ちゃん、私も。脱がせて?」
あっ…あっう。
それから俺と莉菜ちゃんは、愛し合った。
やってしまった。しかし…後悔はない。こんなに幸福感を感じられなら。
これからはもう莉菜ちゃんは俺の義理妹じゃなく、彼女なんだ。
高揚感が押し寄せる。それは彼女も一緒なのかも。
2人の関係はまるで、日常が非日常に変わるようだ。
幸せそうな彼女の表情は、ピンクのアサガオが咲き晴れた様な可愛らしさで、彼女の目は、夜空の流星の一瞬の輝きと、儚さを表していた。
天にも昇る心地だ。ずっと莉菜ちゃんを抱きしめていたいぐらい。
でも喉乾いたな。ある意味運動だからな。
「莉菜ちゃん、飲み物持ってくるよ。待ってて。」
俺はベットから降りて、言った。
「お兄ちゃん、ありがとう。」
莉菜ちゃんが恥ずかしそうに身体を隠して言う。
した後ってそうだよなと思った。
彼女の温もりがまだ手に残ってる。エアコンの暖かさと相まって、心がポカポカと温泉に浸かっているかの様な、心地よさを感じさせた。
ふふ、まさに夢見心地ってやつだな。
グサっ
えっ? 何が起きた? 血が手にベッタリと付いている。
背後から何か突き刺された…なんで血がこんなに出てるんだ…恐る恐る下を見ると、鋭利な刃物が体に突き刺さっていた。
「痛っ…!」衝撃と痛みで呼吸が乱れる。周りがぼやけ始め、意識が遠のいていく。莉菜ちゃんの声が遠くで響いているような気がした。
「お兄ちゃん…お兄ちゃん!」
しかし、声が遠ざかっていく。何が起きたのか、まだ頭が追いつかない。このまま意識を失ってしまうのか…?それとも…?
「フフ、浮気したら殺すって言ったよね? まーちゃん。大丈夫、まーちゃんが逝った後、私もすぐに逝くから。寂しくないよ。」
誰だ? ああ…美沙希か…ベットの下に隠れてたのか? 俺を刺したのは…お前か。
声に狂気を含んでいたからすぐに分からなかった。
それに悲哀を感じさせる声でもあった。
その声が本当は、こんな事したくないと感じさせた。
俺の視界がぼやけて来た。もう俺は駄目かもしれない。
それより…莉菜ちゃんが、危ない…莉菜ちゃん逃げ…て。
それでも声にも最早ならなかったが、俺は1番の思いは、彼女への心配だ。莉菜ちゃんに心で語りかけた。
大川沙也加の視点
過去
私は西条実との関係に悩んでいた。
夫が会社の経費を使い込んだ。それを西条が裏で補填してくれた。
そこから私たちの関係が始まった。
子供が出来たの。大川との子じゃない、あなたの子。
大川と別れて、あなたと結婚する。あなたも別れて。
断る。そのまま大川にその子供を育てさせれば良い。
「気にする事ないよ、沙也加。大川だって、ホステルに熱を上げてるんだから。
罰として大川に俺の子を育ててやってみ?」
そうだったの…だから会社の経費を使い込んだ…そのホステスに貢ぐ為に。
「復讐ってやつだ。何も知らない大川ざまあみろって思えば良い。ちなみにホステルの名前も知ってる。これは嘘じゃない。」
「中島アンナって言ってさ、大川が夢中なんだけど、アンナは、相手にしてない。夫がいるやつだけど、俺と今度どっちが先に落とせるか勝負しようと思ってな。」
西条は、悪魔だった。その悪魔に仕える私も悪魔の所業をしようとしていた。
彼との義務感と懺悔の気持ちから、大川律を産んだ。
そして私は、罪悪感から精神を病み、病院に救急搬送された。
そこで青木俊に出会った。
そして現在
ふぅ昔を思い出しちゃった。
本当凄い時代だったな。会社の横領、不倫が許されてた時代…今なら絶対やらないけど…時代のせいにしても、さすがに擁護は出来ないわよね。そんな昔でもないし。
今は、幸せな家庭を築いて行く。言い訳はしない。それでも主人に過去を知られたら…子供達には、バレている。いつこの幸せが消え失せるか分からない恐怖に私は震えが止まらなかった。
守さんが娘のことを気に入ってる…それを利用した仮初の平和。
守さんには、本当は激しい後悔に苛まれている事を告げるべきだろうか?
莉菜ちゃんにもだ。私は覚悟を決めて2人に今日本当の気持ちを伝えよう。
今日は、家に帰ったら、守さんの大好物すき焼き作るんだ。胃袋掴んで、より仲良くなれたら良いな。
佐野莉菜の視点
お兄ちゃんが…あぁ…私は、パニックで頭の中が真っ白になった。
「そうだ…私死ぬ前に、やっておかなきゃいけない事あったんだ。あなたがいなければこんな事しなくて済んだんだよ?」
「でも心配しないで。あなたを殺したら、まーちゃんと同じ所に行っちゃうからね。だからせめて、お嫁にいけない体にしてあげるね。」
般若の様な顔をした、不気味な女がそこに居て、何かを言っていた。
そうだ…私救急車呼ばなきゃ…お兄ちゃんを助けないと。
女が私に向かって来た。私は手に枕を持って、それを顔目掛けて投げつけた。
直撃した! その隙に私は彼女の背後に回ってドアを開けて、逃げた。
早く、早く救急車を呼ばなければ、お兄ちゃんが。
女が追って来るのが見えた。駄目だ、スマホを取りに行けない。外に逃げないと、やられる。
その時、チャイムが鳴った。私は、無我夢中で玄関に向かって、ドアを開けた。
「こんにちは、西条です。莉菜ちゃんかな? 佐野…危ない!」
ナイフを持った女が私に向かって振り回した。それを西条さんが私に重なる様に守ってくれた。
ナイフが西条さんの皮膚を掠めた。
「先輩! このっ!」
西条さんの彼女が、ゴルフクラブを取り出して、ナイフを持った女目掛けてスイングした。
手に直撃して、ナイフが宙を舞った。
「こいつ! こいつめ!」
彼女が、お兄ちゃんを刺した女に何度もゴルフを振り下ろした。
「ちょっと、殺さないでよ? 莉菜ちゃん一体何が起きたの? 佐野は無事?」
西条さんの言葉に我を取り戻して、すぐに事情を話し、救急車を呼んでもらった。
それからのことは記憶に無い。みんな憔悴していた。
もう私の目も、死んだ魚の様になっていた。
西条さんに声を掛けられて、私は助けられたことをお礼を言った。
それでも…本音を彼に伝えた。
私のせいでお兄ちゃんは殺されたから、もう生きていたくないです。
私は彼にそう思いの丈をぶちまけた。
「それは違うよ。君のせいでは、断じてないよ。殺人犯が悪いに決まってるじゃないか、そんなこと。」
「強いて言えば、僕も彼女の変化にもっと気がついていれば、佐野に警告をもっと早くしてあげれた。だから僕も悪い。それにもっと数分僕が早く来ていたら。
「だから莉菜ちゃんが気に病むことないから。」
彼は優しく私をフォローしてくれた。
「佐野を失って、僕もつらいよ。でも莉菜ちゃんの苦しみは、僕の想像以上につらいと思う。落ち込んだりするのも当然だよ。」
「弱音吐いても良い。僕だって彼女が同じ目に遭ったらって考えると、莉菜ちゃんの気持ちが痛いほど分かる。」
「僕に出来ることならなんでも言って良いからね。支えになるから…君は一人じゃない。色んな人に甘えて良いんだ。」
「西条さん優しいですね。まるでお兄ちゃんが蘇ったみたい。」
そう言って私は、西条さんに抱きついた。
心底そう思った。
彼の暖かい言葉は、守お兄ちゃんが言っているかの様だ。
ドキドキする。
守おにーちゃんが亡くなったばかりなのに…どうして? この感情は何?
守お兄ちゃんを心から愛していたのに、もう別の人を好きに…私には、冷酷な悟お兄ちゃんの血が入っているからだろうか? それともやっぱりお母さんの血かな。
今はもうこの人のことを…
「莉菜ちゃん。」
私は優しく彼に名前を呼ばれて、確信した。
彼を愛してしまった。
もう愛する人を失うのは…嫌だ。
青木円香の視点
私がトイレに行ってる隙に…私は女が先輩に抱きついている所に出会した。
ちょっと先輩になに抱きついてるの? 離れて!
怒りに震えて言った。
そう言うと抱きついていた女が、私を見る。
その目は、私に対して憎悪の炎が宿っていた。
昔の私の目だ…ぽつりと心で呟いた。
ヤンデレ彼女と天使な友達 タカユキ @takayuki007
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