第42話愛憎の渦

「みーちゃんごめん俺…俺さ、本当君を傷つけてしまった。」


なんのことか、説明しないと分からないよな。

莉菜ちゃんを取ったってことは。でも言ったら莉菜ちゃんに被害及ぶかも。


みーちゃんは、暴力振るうかも危険だな。


「言い訳は、良いよ。私本当に怒ってるから。好きなのに…こんな酷い仕打ちされるなんて。」


みーちゃんが泣きながら同情を誘うように言う。


「酷い仕打ち? 電話で俺なんか言ったか? ただ電話出るの遅くなっただけだろ?」


ん? なんか音が反響して聞こえた。奇妙なエコー音がするし。なんだ?


俺は目を瞑り耳に集中した。


「電話出なかっただけですって、よく言うわね?  

自分の心に聞いてみたらどう?」


なんだ? 何言ってんだみーちゃんは…頭がおかしいのかと思ったけど、俺と莉菜ちゃんの会話を聞いて怒ってるなら、辻褄合うな。


どうやって会話を聞いたんだ。近くにいる? 


「みーちゃん、今どこにいるんだ?」

俺は本当のことを彼女が教えるか分からないが、念の為に聞いた。


「自宅よ。あのさ〜まーちゃん。話を変えないでよ。ちょっと聞くけど、義妹と浮気してないでしょうね? 私そういうのは感が働くから、浮気したら…マジ殺すから。」


彼女が脅してきた。俺は恐ろしさを感じて、身体中が寒気を感じて震えて来た。


感が働く…それだけか? やはり音が反響してた。これはもしかすると盗聴してるんじゃないか? 


殺すって言うぐらいだから、盗聴しててもおかしくない。


「おい、俺を殺すって本気か?」

声が上擦った。


「浮気したらよ? してないならする訳ないじゃん。フフフ、したら、まーちゃんやって、私も一緒に行くから大丈夫よ?」



盗聴してなかったら、相当俺酷い妄想だな。

してたら、こいつ…やばいな。


そういや、西条もゴムに穴開けた彼女と付き合ってたんだったな。


好きになるタイプが似てるな、俺たち。


とりあえず親父にアドバイス聞いて探すか。


みーちゃんこそ、俺に何か隠し事してるだろ?

これを聞こうと思ったが…正直に言う訳ないな。

さて…どうするか。


「みーちゃん、そろそろ寝るかも。電話切るね」

とりあえず盗聴器を探さなきゃな。あるか分からんが。


「駄目! 切らないで。寝るのは我慢して。まーちゃんとまだ話してたいの! 構ってよ。」


彼女がヒステリックに言う。

いや、勘弁してくれ〜。心で嘆いた。



「俺寝ないと体調悪くなるタイプだからさ。頼むよー。」

同情を買うように俺は言った。

手に汗が噴き出る。スマホを左手に持ち替えて、俺は服で右手を拭った。



「私だって寝れないよ。まーちゃんが浮気しないか心配で、しばらく寝れてないから。不眠症になったかも。まーちゃんは、私が不眠症でも平気で寝れるの?」


寝れるよ。と言えないよな。知らんし、そんなこと。


でも…浮気してるのは事実。参ったな、逆にそんな返しされるなんて。


「じゃあ俺にどうしろって言うんだよ?」

俺はちょっとムカついて言った。


「どうしろって、まーちゃん、じゃあ今から私に会いに来て? 私が会いに行っても良いけど。」


いや無理…笑うだろそんなん。

うーん、断って別れ話しようかな? ちょっとうんざりして来た。

莉菜ちゃんが良い子だから、こんな我儘な女と比べると月とスッポンだな。


「あんまり我儘言うなよ。本当に疲れてんだよ。みーちゃんも俺のことばっかり考えないで、違うこと考えような?」


深呼吸して言った。別れ話したいが…莉菜ちゃんに怒りの矛先いくのもまずいな。


本当面倒な女だ。けど、俺も悪いのは自覚してる。こんな子にしたのは…俺なんだしな、きっと。


付き合い始めた時は、本当にみーちゃんも良い子だった。莉菜ちゃんは…大丈夫だよな? 

莉菜ちゃんまで俺のヤンデレになったらどうしよう?


そこまで考えてなかったな。ヤンデレなんてそうそういないけど、円香ちゃんの腹違いの姉妹なんだよな…ないない、そんなこと。


俺は首を振って強く否定した。



「まーちゃんが私の全てなんだよ? 他のことなんてどうでも良いよ。まーちゃんは、私の生き甲斐そのものなんだから。」


そんなに依存すんなよ。怖えな。


「生き甲斐だと思うなら、寝かせろ。体調悪くして俺が死んでも良いのか?」


「さっきから、まーちゃん自分の事ばっかじゃん! 死んだら私も一緒に行くって言ってるじゃん! 生き甲斐って言ったのに、何それ? 普通愛してるよとか、囁いてよ! まーちゃん私の彼氏でしょ!」


彼女が、怒鳴って言った。


くそっ、こっちは、盗聴器探したくてしょうがないんだよ。

ったく、怒鳴り声で耳が痛いぜ。


「愛してるから、寝かせて?」

これで満足か? 心はこもってないけどな。


「分かった。私も愛してる。今日は、寝かせてあげる。」


俺は即電話を切った。寝かせてあげるか。何様だよ。ヤンデレ様か? はは。


俺はすぐに親父に盗聴器の探し方を教わった。前の彼女が盗聴器仕掛けてるかもと説明をした。



親父がこの前ストーカー対策で盗聴器があるかを調べたって言うので、その機器を借りて、俺は盗聴器を探し回った。


親父が言うには、前家でも使ったらしいが、その時はなかったと言っていた。


なら三、四日前かな。


そしてその結果、3個も有った。

普通じゃない…これは…明日は、親父に頼るか。


明後日…会話を盗聴してるなら、彼女が、押し掛けて来そうだ。


友達に頼るか。西条、青木の家にいるんだったな。なら西条に頼んで明日ちょっと来てもらうか。


俺は深夜だが、西条に電話をすることにした。


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