第41話義妹の誘惑と危険な選択

「家族とクリスマス過ごすより、彼女と…か。じゃ〜お兄ちゃんにクリスマス前に彼女にしてもらわなきゃね。」


私は、兄妹の関係も大切だとは思う。でも恋する気持ちは、もっと大切なんだ。


「何を言ってるんだ。莉菜ちゃんは妹だってば。さっきから何回も言って…るだろ?」


私はお兄ちゃんにキスをした。もう実力行使だ。彼女さんには、悪い気持ちもある。でも、本当に好きなのは、彼女さんじゃなくて、私。


私と兄妹でいたいから、お兄ちゃんが彼女さんを利用してるんじゃないかと思えてきた。


それは彼女さんにも失礼だし、私もそんな酷いことお兄ちゃんにして欲しくない。


だからもう…今日で兄妹の関係は終わりにする。


「お兄ちゃん、ちょっとベットに座って話ししよう。」

私はお兄ちゃんのベットに座り、手を叩いて呼んだ。


お兄ちゃんは、渋々と横に座った。


また私はキスをした。そしてもう一回。


「おいおい、どうしたんだよ? そんな。」


「ねぇ、私とのキスと、彼女さんとのキス、どっちが興奮する?」


その時お兄ちゃんのスマホから、電話が来た。多分彼女さんかなと思った。女の勘だろうか? 


お兄ちゃんがスマホを見る。


「彼女からだ。ちょっと出る。」


「駄目、出ないで。お兄ちゃん答え聞かせて? じゃなき、出るの邪魔する。」

私はスマホを手で覆った。


「莉菜ちゃん…俺は…兄妹なんだよ? だからさ、そのキスとかは…駄目なんだよ?」


お兄ちゃんが顔を伏せて言う。


「好きなの…お兄ちゃんのことが好き。だからキスするの。兄妹でいたくない。恋人にして下さい!」


私はお兄ちゃんの胸に顔を預けて、感情をぶつけた。


「莉菜ちゃん…俺は。」


「ごめんなさい、強引で。分かってる、全部分かってる。無理強いする悪い子だって。嫌なら言ってくれていいから。」


私は顔を上げてお兄ちゃんの瞳を見つめた。


お兄ちゃんが私の顔に近づき、唇を重ねた。


「俺だって好きだ。愛してる…莉菜っ!」

お兄ちゃんが声を上げる、私を押し倒した。


お兄ちゃん! 私も! 


その時ドアを強くノックする音が部屋に響いた。


「おい? 部屋で何やってるん? 莉菜ちゃんそこにいるのか?」


お父さんの声だ。う〜あと一息なのに邪魔が入った! 


「なんでもないよ!」

私は返事を返した。


「続きは、明後日ね。家族がいない時間に。」


私は耳元で囁いた。


「ああ、分かった。」


お兄ちゃんが頷いて言った。





佐野視点に戻る


莉菜ちゃんが、ここまで強引に迫ってくるなんて…本当モテ期がきてるとしか思えない。


もう無理だ。彼女と別れ話をしなければ…しかしヤンデレにどうやって言えば…死ぬとか言われたらまずいし。


そうだ…距離を少しずつ取って自然消滅的に持っていこう。これなら安全だろう。



電話に出るか。たったの数分でこんなにも気持ちが変わるもんだな。


「悪い、ちょっと話し合いしてた。」


「ううぅ、なんですぐ出なかったのよ? 酷すぎる。私を何だと思ってるのよ?」


?? 電話にちょっと出なかったぐらいで、こんなに反応? やっぱり俺の彼女頭おかしいな。


いや、それだけ好きになることしてたかな?





みーちゃんとの過去のことが思い返すな。

あれは…部活後に話したんだった。


「なんで泣いてるの?」


視界に入った美沙希さんが、目を赤く腫らしていて気になって声をかけた。


「家族関係の事で悩んでて…毎日酷いこと言われて。

小さな声で彼女が答えた。


「えー、どんな酷いこと言われるん? こんなに可愛い娘に言うかな? きっと仕事で、ストレス発散のつまりかもな。」


俺は予想して言った。


「顔だけ綺麗って言われて、他のことは全部駄目だなって。妹は褒めまくってるのに。」


全部駄目ってそんな訳ないじゃないか。妹にだけって、それは彼女も気分悪いだろうな。


「あーあれか、姉だからしっかりしなさいとか?」


「うん、妹は勉強出来て、いい高校行けたから、余計酷くなって。私イマイチだから。」


「逆にそれだけ? 顔が良くて、頭も良くてって欲張り過ぎじゃん。美沙希さんそんな完璧過ぎると近寄りづらいから、そのままでいた方が良い。」


「ありがとう。他にも態度が悪いって。妹は、清楚にしてるのに、見習って。」


「態度悪いって、親が悪いんだよなそれ! よくして欲しいなら、褒めろよってな。」


「うふふ、ほんとね。少し話して気が楽になった。守君ありがとうね。」


彼女が微笑んだ。俺が笑顔にしたのかな?

だとしたらこの笑顔守ってやりたい。

笑っていた方が可愛い、美沙希さんは。


それから色々デートしたんだったな。

迷路で2人で追いかけたりしてた。


「あはは、守さんこっちよ。」

楽しそうな彼女の声が聞こえた。



「捕まえた。もう離さないから。」

背後から抱きついた。

2人で戯れあって、キスを交わした。



「好きだ。美沙希さん。こんなに好きにさせられたの君が初めてだ。」


「私も。前に好きな人浮気してさ。つらかったな。守さんはそんなことしないもんね。あっ、そうだ、私達愛称で呼ぼようよ。」

 

抱きついていた彼女が言う。


「何が良いかな? 美沙希さんだからミサとか? 

みーちゃんとか?」


「みーちゃんか…じゃあ…私はまーちゃんって呼ぼ。」


本当にこんな良い子が親に悪く言われてるなんてな。親は悪いとこしか見ないんだ。俺はみーちゃんの良いとこ全部見てる。


大好きだ。みーちゃん。


「じゃあ私は、愛してるっ。今日これから親いないからね? しよっか?」


「うん、一生みーちゃん大事にするから。後悔させない。」


言った後で俺は照れて彼女の肩に顔を伏せた。




…俺酷いやつだ。みーちゃんとの過去を思い出して俺は泣いた。ごめん…裏切ってしまって。

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