第22話ヤンデレ彼女
僕は円香ちゃんに誘われて、彼女の家にいる。
「今日は西条先輩、早速一緒に帰りましょう。このまま私のお家に。」
笑顔で彼女は、僕と手を繋ぎながら、向かった。
お家デートというより、勉強みたいだけど…そして現在に至る。
「うわぁ、先輩の匂いだぁ。」
長方形の茶色のデスクで、椅子に2人で隣に座っている。
彼女が徐に、恍惚な表情で言う。
僕は円香ちゃんって匂いフェチなのかな? 軽くそう思った。
「円香ちゃん勉強は?」
僕はちょっと気持ち悪いなと思い、彼女に注意した。
流石に少し引いた。ヤンデレと言うか、彼女は、変態なんじゃ?
「すみませんもう少しだけ時間下さい。」
彼女は、匂いを嗅ぐのをやめなかった。
「ああ〜先輩の匂いヤバいです。」
ヤバいのは君だよ。僕は心で言った。
ペロッ
円香ちゃんが僕の頬を舐めた。僕はそれにのけ反った。
「先輩の汗の味堪能させてもらいますね。」
そう言いながら、彼女は、口をもぐもぐさせた。
何この子…ヤッバ…汗の味? 堪能? 一体…何を言ってるの?
「先輩好き好き好き。」
彼女が椅子から立ち上がって、僕に抱きついて言った。
子供みたいだな。そうか、親に甘えれなかったから、余計…確か親が、円香ちゃんをネグレクトしてるって青木から聞いたな。
そう思うと、彼女の異常な行動も仕方ない。
「あ、先輩ごめんなさい。私、いっちゃいました。下着変えて来ますね。」
いっちゃった? えーそんな事で? あり得るの…か?
確かに今、ビクッとしてたけど。
「そうだ、先輩私の下着入ります? 一緒に匂い嗅ぎ合いませんか?」
僕を変態仲間に入れようと彼女が誘う。
「いらないよ…ってか勉強出来るのこれ?」
一抹の不安を抱え僕は、円香ちゃんに聞いた。
「大丈夫です。先輩に合うの我慢してた間、切り替えのスイッチは、出来る様に修行したので。」
…良い子だと思うけど、可愛いと思うけど…くっ…とてつもなく残念な子だ。
僕も切り替えるか。
「じゃあ勉強に集中よろしく。と言っても、円香ちゃんって凄い勉強出来るみたいだね? 」
「はい…先輩のお役に立てる様、一緒懸命勉学に励みました。先輩に勉強いっぱい教えられるので、是非是非、質問沢山して下さい。」
おおー、彼女の健気なところが見えた。僕はほっと胸を撫で下ろした。
僕はそれから、彼女に勉強を色々教わった。
彼女は、優しく丁寧に教えてくれた。
時折り僕を、じっと見つめて、幸せそうな表情をしていた。僕が見ると彼女は、笑顔で返した。
僕は、この瞬間、とても楽しくて、彼女と付き合って良かったなと、しみじみ思った。
あ…待てよ? こういつも僕が思うと、浮気されない? 和田さんの時のことがフラッシュバックするな。
さすがに円香ちゃんは、しそうにない。
僕は彼女のおかしな言動に戸惑いながらも、妙な安心感に襲われた。
「ねぇ、円香ちゃんって友達と出かけたりはしないの?」
僕は円香ちゃんの方に向いて、彼女に会話を振った。
「はい。私友達1人もいないので、出かけないです。西条先輩は、出かけたりするんですか?」
彼女が髪をかきあげ、僕に上目遣いで聞く。
「うん、たまに出かけたりするかな。1人もって、じゃあ、遊園地とかご飯とか行かないの?」
素朴な疑問なので聞いた。
そんな…友達いないなんて、円香ちゃんぐらい魅力的な子なら、誰かしらに声かけられたり、友達になろうって誘いがあってもおかしくないが。
「行きません。なので毎日西条先輩と勉強してても、まったく問題ないので、安心して下さい」
円香ちゃんが微笑みながら言った。
安心って…気を使う必要ないって意味だよね。
「でもたまには、誰かと出かけたくなったりしないの?」
さすがにあるよね? 僕はそう思って聞いた。
「ないです。私西条先輩以外興味ないので、出かけたくなったりしないですね。」
首を横に振りながら彼女は言った。
「それって人生損してるよ。たまには出かけて、友達と思い出作ったり、みんなと笑いあったりしようよ。」
余計なお世話かとも思ったけれど、僕にしか興味ないのは、可哀想と感じた。
「はぁ〜西条先輩の優しさが身に沁みて、涙が出て来ます。なんて心の広い…先輩愛してます。」
「…なので、今が一番幸せなので、そんなの必要ないですよ? 先輩と思い出作れれば大丈夫なので、ありがとうございます。」
泣きながら喋って、途中で笑顔になった。
喜怒哀楽が激しいな…そうだった。僕の幼馴染の女子みんなこんな感じだった。
「そっか、僕にしか興味ないだけで、他の子に興味持とうと思えば持てる?」
疑問に思い彼女に聞いた。
「そうですね…先輩を傷つけようとする子には興味持てるかもしれないですね。興味というか、憎悪? ふふ、やっぱり興味持てないと思います。」
…うーんでも他の子に興味ないのは、=浮気しないってことだから、ある意味僕にとっては喜ばしいことなのかな?
それから僕と円香ちゃんは、勉強に集中した。
そして僕は、そろそろ帰宅する時間になったので、彼女にそろそろ帰るねと、伝えた。
すると、彼女の柔らかい手が僕の手を掴んだ。
「西条先輩、冗談はよしてくださいよ。先輩は〜これから私とずっと一緒にいるって言ったじゃないですか。」
彼女の言葉に僕は唾を飲み込み、耳を疑い、彼女の表情を見た。
円香ちゃんは微笑を浮かべていた。
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