第21話けじめ
「青木ありがとう。凄い感謝する。」
僕は礼を述べた。
「西条さん、私彼氏いなくて、寂しいなー。」
中島さんが顔を傾けて言った。
「そうなんだ。」
僕は言った。
「和田さんと別れたけど、もう彼女いるよ。西条は。」
青木が中島さんに言った。
「はっやー。ええと? うーん。西条さん、おめでとう。早いね。」
中島さんが早いを連呼して言った。
確かに。でも僕は浮かれていた。円香ちゃんと言う天使な彼女を持てたから。
「なんだよ〜。円香ちゃんめっちゃまともだったじゃないか。びっくりするぐらい優しくて、ちゃんとした考え持ってた子だったよ?」
僕は青木に騙したな。そう思って言った。
「俺の妹がまともなわけがない。」
そう言って鼻を鳴らした。
ええ? まともなわけがないって…自分の妹なのに。
「円香ちゃん…西条さんが付き合ってるの、まさか青木円香ちゃん?」
「ええっ、ヤバいよ、なんでそんな子にしたの? それと、青木さんの意見に賛成。彼女がまともなわけがない。騙されてるよ、西条さん。」
彼女が引き気味に言う。
「確かに…過去の円香ちゃんは、ヤバかった。僕もそれは認めよう。ところで、中島さん、そんなに彼女に酷い目に遭わされたの?」
僕は不思議に思い聞いた。
「円香ちゃんね、西条おにーちゃんを取らないでって言って…私の頭、スコップで引っ叩いたの。それでね、目がヤバいの。悪魔の目をしてた。まさに憎悪の目ね。」
「それがもうトラウマで怖くて怖くて。それでお姉ちゃんが注意してくれたんだけど。」
言葉を詰まらせながら、中島さんは言った。
「そのしばらく後にお姉ちゃんが、西条さんのお母様の車に轢かれたって言って、私、円香ちゃんが押したんじゃないかって、もうそれが…はぁ。」
彼女が心底震えていた。
「それはないよ。その時間僕と円香ちゃん一緒にいたし。」
僕は彼女のアリバイを主張した。
「レイナちゃん、言ってくれれば、俺が妹叱ったのに。ってか、妹殺人犯にしちゃなわないでね。やるならレイナちゃん狙うだろうし。」
青木が複雑な表情で言う。
「分かってる。流石に警察が見逃すはずないもの。でも怖いの。西条さんが円香ちゃんと付き合うなら、しばらくは、離れてるね。」
彼女が言って去ろうとした時、青木が中島さんの手を掴んだ。
「レイナちゃん、俺なら妹から、守れる。俺と付き合わないか?」
青木が中島さんに告白した。
なるほど…全て合点が言った。
青木が円香ちゃんを進めた理由。
僕と円香ちゃんが付き合えば、中島さんは、僕から離れる。
だから、その隙に中島さんを彼女にするつもりだったのだろう。
「ちょっと…青木さん…いきなり唐突過ぎない?」
彼女が驚いてる表情で言う。
「確かに…すまない。急ぎ過ぎた様だ。返事は考えてもらって。今じゃなくて良いから。」
青木は申し訳なさそうに言う。
「う…ん。分かった。」
中島さんが頷いて言う。
「しかし…西条、お前は妹に騙されてるのは、間違いない。例えば、連絡だが、それって大学卒業したら、死ぬほど送るって事じゃないか?」
青木が懸念の表情を浮かべて言う。
「それは…確かに…だけどまだ先の話だしな。」
僕はそこまで考えていなかった。
けど、円香ちゃんとこれからの事を考え、ある事を決断していた。それをこれから実行する。
2人に少し席を外すと伝えた。
そして僕は、円香ちゃんと付き合うと決めて、あゆみにけじめをつけなければと思った。
しっかりと彼女と向き合って別れを伝える。
円香ちゃんを守る為、そしてあゆみの為、自分のこれからの為に。
僕はあゆみに円香ちゃんと付き合う。君とは、別れる。それを認めて欲しいと、彼女に伝えた。
彼女は、何も答えず、僕の前から、立ち去った。
僕は、ここでなあなあにしないため、彼女を追った。
そこで、綾瀬桜が、教室の玄関前であゆみを引き止めた。
僕は隠れて、2人の会話を盗み聞きした。
悪いと思うけれど…あゆみの返事を聞く為に待った。
綾瀬桜の視点
ごめん、あゆみ。私のせいで西条と別れることになったんだ。
私は計画について全て話した。
私はレズだけれど、あゆみのことが好きだからとかそう言った感情で謝った訳ではない。
ただ計画が失敗に終わって、別れさせたことが無駄にり、あゆみに対して罪悪感が湧いたからだ。
あゆみは目を瞑り、それから、口を開いた。
私…やっぱり西条と別れたんだよね。はぁ…認めたくなかったんだけどね。
あゆみは俯いて、悲しそうに言った。
「ごめん、私が余計な事さえしなければ、今も西条と付き合えてたのに。」
私は、彼女に深く頭を下げた。
「勘違いすんじゃないわよ! あんたのせいいで西条と別れた? 自惚れんな。自分のせいで西条と別れたの。」
「だから桜のせいじゃないんだから、気にしなくて良いわよ。あんたは、これからも私の1番の親友よ。」
あゆみが目に涙を溜め、優しく私を抱きしめて来た。
私はなんてことをしてしまったのだろう。
計画への後悔と、彼女に対しての申し訳なさが襲って来た。
…私は、彼女の優しさに、包まれて、あゆみにこの瞬間、恋をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます