第4話連絡の重圧

あゆみの視点


教室の廊下で、私は中島を探していた。


「あゆみちゃーん。見て、この写メ。可愛いくない?」

私は友達に呼び止められた。


「うわぁー可愛い。イイじゃん」

私は愛想笑いして言った。


それから友達と話していて、中島が教室から出てくるのを見つけた。


「ごめん、ちょっと話ししないと、いけない子がいるの。ちょっと失礼するね。」

駆け足で中島さんを呼び止めた。



「この前は、ありがとう。お陰で彼氏と仲直り出来たよ。」

作り笑みで言った。あなたのおかげで、別れそうにもなったけどね。



「ううん、良かったね。仲直り出来て。西条さんからも、聞いたよ。この前はありがとうって。」

中島が笑って言った。…この人…間違いない。さっき私が作り笑いをしたことを、同じ様にしてる。


ほんとは、別れて欲しかったんじゃないの? 私の彼氏を狙ってるのは、これで確定的。



「それでね、本当に感謝してるから、私と友達になって欲しいんだけど、どうかな?」


さすがに合コンを友達でもない人は、誘えない。

拒否すれば…敵として、あなたを倒す。



「うん、良いよー。」軽く許可をもらえたので、連絡先を交換した。


「それでね、お礼したくて、今度合コン開こうって友達と話してて、是非中島さんにきて欲しくて。」

合コン作戦の始まりだ。



「ちょっと待って、あゆみさん彼氏いるのに、合コン行くの?」

当然想定してた質問だ。


「うん、本当は嫌なんだけど、私にどうしてもきて欲しいって。だから、私を守る為にも、あなたに、来て欲しいの。」


あなたに彼氏を作らせる為に開くのよ。正直に言えるほどの仲ではないから、遠回しに言った。


その時、彼氏と目が合った。西条は、友達と話していた。


ふぅぅ、気まず。そろそろ退散しよう。


「そっか、大変だね。友達付き合いも。」

中島が同情する様に言う。ふふそうね。私は心で呟いた。


「また、迷惑かけるけど、お願いします。」

私は彼女に頭を下げた。去り際、笑いが止まらなかった。それは、作り笑いじゃなかった。


西条の視点に



ふぁー。僕は欠伸が止まらなかった。



「眠そうじゃん。ちゃんと寝てる?」友達の青木俊が言った。


「うん、彼女の連絡がさ、やばくて。ずっと返してて、寝不足になった。このままじゃ、彼女に殺されちゃうよ。」


僕は、連絡の多さに嘆いた。この前のカフェで話し合いをする前は、そんなでもなかったのに。罵詈雑言が止んで、今度は、急に甘い言葉ばっかり言うようになった。



「なんだよー。惚気かよ。ふざけやがって。」青木が不満気に言った。



「クソだな。彼女のいない俺たちに言いやがって。」友達の佐野充が怒って言った。


そうは言うけど、極端過ぎて疲れるんだけどな…もちろん今の方が良い。なんだかんだで

、優しく接してくれるのは、有り難い。



「…そうだな。彼女持ちに愚痴るよ。」

僕は、欠伸しながら言った。



「そうしろと言いたいとこだが、無理すんなよ。ガチで大変なら、連絡控えた方が良いぞ。連絡に付き合ってたら、お前の身が保たん。」

青木が心配そうに言う。ありがたい。そうしようかな。



あゆみって、ショートスリーパーなんだよな。全然寝ないから、付き合ってたら、ガチで死ぬ。

僕は長く寝ないと、無理な人だからな。


それにしても…極端に変化する彼女だ。ダイエットも、極端にやってしまうし、子供の頃何かあったのかな。今度聞いてみようかな。


そう考えてると、廊下にいる、彼女と目が合った。


中島さんと話しているみたいだ。今はそっとしておこう。

女子の会話に入るのは、野暮だもんな。


「で? 連絡チャットとか内容は? そこが気になるよな、佐野。」

首を佐野に向けて、青木が楽しそうに言った。



「ああ、教えてくれよ。少しで良いからさ。」

ニヤッと笑って僕に近づいて佐野が言う。


「プライバシー権の侵害だ。まぁ少しだけな。」


あゆみ:好き誰よりも好き。


あゆみ:殺したいほど好き。


あゆみ:西条もだよね? 教えてどれくらい好きか。


あゆみ:今、西条なにやってるの?


あゆみ:おーい、さいじょー


あゆみ:テレビ見るんだけど、一緒の番組みない?


あゆみ:もう10分も連絡来ないけど、どーゆーこと?


あゆみ:今さ、西条との子供の名前考えてて、どんな名前が良いかなって。


あゆみ:それより結婚式とか考える方が先かな。どう思う?


西条:まだ子供とかそういうの早いと思う。


あゆみ:やっぱ結婚式が先だよね。


「おおぅ…中々…愛されてるな…ってか、お前返信少なっ。もっと返事してやれよ。」

青木は表情を曇らせて言った。



「くっそ羨ましい、こちとら、メールする相手いねーつの。」

悔しそうに佐野が言う。


「いや、返事は、僕がしたら、数倍になって帰って来るから。でも、チャットより、電話のが多い…4時間は付き合わされる。」

お陰でやれることがなくなる。


「羨ましいって、寝る時間も無くなって、鬱になるぞ。」

佐野を僕は、諌めた。


「前からずっとそうだったのか? そりゃ確かにキツいか。でもな…俺だったら、楽しくてしょうがないと思うが?」

佐野が僕の肩に手を当て言う。



「いや、最近だよ。酷い事ばっかり言うから、別れるって言ったら、反省してさ、優しくなったんだけど、それからこれだよ。」

僕は、ため息をついて言う。



「あーなるほど、それで、彼女が愛されてるか、不安なって、連絡しまくってるってやつか。それは、困ったな。」

腕を組んで、青木が真剣に考え込んで言う。




「連絡減らして、浮気されてしまえ。こっちは、彼女いない歴年齢だ。」

佐野が泣きそうな表情で言う。



「なんだよ、さっきから嫉妬ばっかり。それに、あゆみに限って、浮気はないよ。それはない。」

僕は断言して言う。


「ほー。なら俺が調べてやるかな。それで西条も、俺と彼女なし友になるな。」

佐野が、仲間になれよとでも言いたそうだ。


「佐野はこれから、作れるだろ? 理想高いんじゃない? あと、浮気なんてしてるわけないから、無駄な事しない方が良いよ。」


「けっ、余裕かよ。俺みたいになったら、そんな理想が高いとか言えなくなるぞ。」


「無駄かどうかはやってみないと分からん。」鼻息を荒くして佐野が言った。



「なぁ、青木も、彼女なし年齢だよな?」

佐野が青木に確認する様に言った。


「わりぃ、俺小学校の頃だけ、モテ期来てたから、違う。」

気まずそうに、青木が言った。



それを聞いた、佐野は、交互に僕達の顔を見て、裏切り者と言った。


それはそうと…あゆみのこと、どうすれば良いんだろう。辞めてくれって言って、また元に戻られるのもなー。


拒否するのも大事だよな。生きる為には、連絡減らそう。僕は、今日は、帰って即寝する事に決めた。

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