お見合いどころではなくなってしまいました
お付き合いを続行することに決めた私は、キヨっちゃんとそれなりに親睦を深めていきました。
幸い何事もなく、平和に日々は過ぎていきました。
しかし、半月ほどが経ったある日、お付き合いどころではない出来事が、私の身に起きてしまいました。
私、『関節リウマチ』という病気になってしまったんです。詳しい説明は割愛させていただきますが、知りたい方はググってください。
もちろん、命に関わるような病気ではありませんが、ずっと薬を飲み続けなければならない体になってしまいました。
恋愛ならともかく、私達の出会いはお見合いです。お付き合いのその先には、結婚というゴールが必ずついてきます。
ですので、先方にこのことを黙っているわけにはいきません。
私は、病気になってしまったことを、正直にキヨっちゃんに告げました。
神妙な面持ちで私の話を聞いていたキヨっちゃん。
話を聞き終わったキヨっちゃんが、突然、私の手をグッと握りしめたかと思うと、真剣な声でこう言いました。
『大丈夫、僕が一生面倒を見てあげるから』……と。
いや、もうこれ、プロポーズですやん。
そこまでの覚悟を持って受け入れてもらえたことに感動してしました。
ですが、このプロポーズ(?)と同時に『但し、病気のことはうちの両親に言わないでほしい。自分も言うつもりはないから』と、謎の忠告を受けました。
皆様、キヨっちゃんのこのセリフ、覚えておいてくださいね……。
お相手の了承を得られた、ということで、私は花京院家にご挨拶に伺うことになりました。
その日はちょうど父の日だったので、キヨっちゃんに『父の日を祝ってあげてほしい』とお願いされました。
結婚前提とはいえ、私達は出逢ってまだ半月です。
もう一度言います。半年じゃなくて半月です。というか、まだ結婚しておりません。
さすがに、フライングが過ぎるんじゃね?
そう思いましたが、私も病気のことで負い目があります。
なので、できるだけキヨっちゃんの希望に添いたいと思い、プレゼントを用意しました。
私は、ご挨拶に訪れた花京院家で、気が早いと思われないか心配しつつ、父の日用にラッピングされたプレゼントをお義父さんに渡しました。
私の心配をよそに、お義父さんは
変に思われないか心配だっただけに、本当にホッとしました。
そして、和やかな雰囲気のまま、無事にその日を終えました。
そして次の日、事件が起こります。
仕事を終えて帰宅した私を、酷く神妙な顔をした母親が出迎えます。
「さっき、仲人さんから電話がかかってきたんだけど……。花京院さん、この話(縁談)白紙に戻したいんだって」
聞けば、キヨっちゃんが私の病気のことを、ご両親に話してしまったんだそう。
なるほど。それで反対されたのか……と納得しかけましたが、どうやらそうではない模様です。
向こうのご両親は、逆に『遺伝するものでも感染するものでもないんだし、別に(この縁談、進めても)良いんじゃない?』と言ってくださったそうです。
じゃあ、何が原因かというと、キヨっちゃんが『私との約束を破って、黙っていてと頼まれた病気の話を両親に話してしまったから、(私に) 合わせる顔がない』と言ったあげくに『このままでは、約束を破った自分の方が断られてしまうだろうから、(私に) 断られる前に (自分から) 断った』んだそう。
……
…………
……あ……あんの野郎ぉぉぉぉ!!
私が何を頼んだってぇ!? そんなこと一言も言ってないだろぉ!? お前が勝手に『言わない』って言っただけじゃねーかぁ!
怒り心頭に発するって、こういうことだと思いましたわっ!
おかげで、振られた悲しみなど微塵も感じなかったですわっ!
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