第8話 効率



 手当てをしたついでに、ご主人様は私をお部屋まで送り届けてくれました。


 ううっ、すみません~。


 落ち込んだまま、次に生まれ変わったときに貝類になるため、この世のどこかにいる神様に第二の人生設計、ではなく貝生設計をつたえていると、ご主人様が話しかけてきます。


カーライル「こんな話を知っているか? 生き物は休まず働くと効率が落ちるらしい。疲労の蓄積から、集中力が欠如して、ミスを起こしやすいとの事だ」


 なるほど、ふむふむ。

 ご主人様は凄く物知りです。

 つまり、とご主人様は無駄にイケメンイケメンした顔で言いました。


カーライル「俺の命令だ。駄メイドのチヨ、休め」

チヨ「ふぇっ?」


 思わぬ言葉だったので、たぶん十秒くらい思考停止してました。


 ご主人様がそんなことを言ってくるなんて。


 明日は、天気が大荒れなんでしょうか。


 それとも雹が降ってくるとか?


 クビにされるどころか、労わられるなんて。

 普段のご主人の姿からは想像できません。


 もしかして、別人?

 そっくりさん?

 それか双子さん?


 手を伸ばして、目の前の人のほっぺをむにっと伸ばしてみますが、それで分かるはずがありません。


カーライル「そっくりさんでも、幻でも双子ない。失礼なやつだな」

チヨ「ひっ、すみませんっ」


 私、どさくさに紛れて、とっても失礼なことをしてしまったような。


 けれどご主人さまはスルー。


 お話を続けるみたいです。


カーライル「人には人のペースというものがあるんだ。根をつめてはできるものもできなくなる。俺にはお前を拾った責任がある、そうそう放り出したりはしない」

チヨ「あっ、ありがとうございます」


 あっ、これあれです。

 弱った人の急所を突くようなこれ。

 どさくさに紛れて、私の好感度を上げないでくださいよ。


 でも嬉しいです。


 ご主人様、励ましてくれてるんですね。


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