第16話 ドミニカのプランを探る(ヨミ視点)

 ドミニカの死体を吸収して俺は蘇った。消滅するはずだった俺は生き延びた。それはジガリのおかげだ。感謝はジガリに捧げるべきだ。


 わかってはいる。だが俺の心が、なぜかドミニカに惹かれている。自分がドミニカの生まれ変わり?あるはずがない。だがそんな気になってしまうときがある。


 だからだろうか。このダンジョンでドミニカの計画していることが分かる。最初のウッドゴーレムはジガリがソロで倒せるぎりぎりの強さだった。レイピアという超高性能の武器を使ってだ。


 あの時のドロップはHPポーションだった。ぎりぎりの戦いで、ポーションを使いながら成長してほしい。それがドミニカの願いだったろう。


 サモン・サーバントという、とんでもないスキルが宝箱から出たこ気になるなる。あれは偶然ではなく、ドミニカの重要なメッセージだ。


 ドミニカは、ジガリがソロでミノタウロスダンジョンに挑戦すると思っていただろう。ウッドゴーレムは突破できても、クレイゴーレムはソロでは無理だと思っていたのではないかな。


 ジガリがソロなら、ためらわず3体のサーバントを召喚し、4人でこのミノタウロスダンジョンを攻略しただろう。

 ドミニカがサーバントとして用意したモンスターは5種類だった。


 1、 鬼蜘蛛 (アラクネへの進化可能)

 2、 フォレストウルフ (人狼への進化可能)

 3、 砂漠ヤギ (サチュロスへの進化可能)

 4、 白蛇 (ラミアへの進化可能)

 5、 ブラックバード (ハーピーへの進化可能)


 どれも初期状態ではそれほど強くないが、すべて半人半獣への進化の可能性が明示されている。そこまで至れば5体はみなA級の強さのモンスターになる。


 それに半人だからみな知能が高い。仲間にしたら頼りがいがあるに違いない。どの3体を選んでも、ジガリとサーバントのパーティは、ミノタウロスダンジョンを攻略できそうである。


 現実にはジガリは彼らを選ばず、俺とキラキラだけで戦うことにしてしまった。うれしい反面、ダンジョンコアとヒトダマでミノタウロスを倒せるとは思えない。少なくとも俺たちが今のままでは無理だ。


 だが新しい仲間無しでどこまでできるか。試してみるのも面白い。詰んだら、その時彼らを呼べばいい。それならジガリも納得するはずだ。


 まず自分を強化しよう。ダンジョントレードで最初に購入したのは抽出というスキルだ。


 ダンジョンの階層レベルが上がっているのに、ドロップがポーションから薬草に落ちている。これは意図的だ。素材はドロップするから、自分たちでポーションを作って惜しみなく使えと言うことだろう。サーバントの中に薬師スキルを持つものを入れてあるのだろう。


 幸い俺の分解と統合のスキルで、ポーションは作成できている。しかし分解スキルは工程が多い。分析・分解・分離と3工程ある。薬草から薬功だけを抜き出す抽出スキルは1工程で済む。購入すると、ポーション作成はスピードアップした。


 次はバフとデバフのレベルアップだ。今のバフはすべての能力値を10%上げている。これを20%に上げる。今の二人の能力値は35程度。10%の時はわずかな支援だったが、20%になると7上がる。11歳児相当だった状態から、14歳児相当くらいに上がる。


 さらに付与魔法のレベルを上げる。付与魔法は武器や防具の性能を上げる魔法だ。武器や防具には、もともと自動成長の魔法がかかっている。たとえば剣は使えば使うほど、切れ味が良くなる。今まではその上に性能の10%アップの付与魔法をかけていた。これを性能の20%アップに上げる。


 地味だがジワリと聞いてくれると信じている。それに戦いを重ねると、経験値が積み重なり、それが能力値や武器などの性能を押し上げる。うまくするとスキルを得られるかもしれない。


 人間であれ、モンスターであれ、闘って経験を積むのが強くなる正統な方法だ。俺はジガリにはそうやって強くなってほしい。多分ドミニカもそう思っているはずだ。


 金の力で強くなっている俺が言えた言葉じゃないが。


 忘れていたが、俺のレベルアップはまだある。ダンジョントレード用の倉庫をレベルアップする。前から倉庫をマジックバッグのように使っていたが、パーティメンバーのバッグと同期させる。


 ジガリとキラキラの持っているバッグが容量無限のマジックバッグになり、しかも俺のダンジョンの倉庫と同期して、どこに入っていても自分のバッグにあるように使える。


 つまりダンジョンマスターになるってことは、マジックバッグを手に入れると同じ事なわけだ。


 ついでにドロップなどアイテムの自動収納の機能を付けた。時間停止やその逆の時間加速、いわゆるエイジングの機能は前からついている。生き物は眠らせたりして意識がなければ、問題なく入れられる。







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