美少女の家に行くモブ

「ここが私の家だよ」


「おお・・・!!」


一般的な家であった。柏はもっと大きいところに住んでいるのかと思っていたがそうでもなかった。


「早く入っておいでよ」


柏が急かしてくるが、少しためらってしまった。


なんで俺は柏の家によっていくことになっているんだろう。そう頭の中で考えている間に柏によって家に無理やり入れられてしまった。


「靴は脱いでね。流石に土足はだめだからね」


「わかっているから押すな、お邪魔します」


「どうぞ〜じゃあ私の部屋に行こう」


そう言われたので仕方無しに俺は柏の部屋に誘導される。


階段を登ると眼の前に『雪』と書いてあるプレートがドアに引掛かかっている。この部屋が柏の部屋なのだろう。


そう思うと妙に緊張して落ち着かなくなる。


この後、俺と柏だけ二人っきりになるのだ。柏が色々としているところから柏の親は帰ってきていないのだろう。


つまり、本当に二人っきりなのだ。


「おまたせ〜ってどうしたの? ドアの前に突っ立ってて?」


飲み物やらお菓子をお盆に乗せて持ってきていた柏が帰ってきた。


「い、いや、なんでもない」


「そっか、入ろうよ」


柏は俺と二人っきりのことを気にしていないのか、俺を部屋に招き入れた。


「適当に座ってね、よいしょっと」


「あ、ああ、そうさせてもらうかな・・・」


まだ心のなかに緊張があり、ただ返事をするだけになっていた。


仕方ないだろう、美少女がモブを家に招き、二人っきりなんて・・・・


「た、多々良くん? も、もしかして、緊張しているのかな?」


柏が俺をからかうように言うが柏もなんか様子がおかしく見える。


「そっちこそ緊張しているのか??」


「ぜ、全然!? そ、そうだ!勉強しようかな〜?」


柏はさっきまで張り付いていた余裕が剥がされて、恥ずかしくなったのだろう。


柏がそう言うので俺も課題をリュックから出し取り掛かる。



しばらく無言が続く。柏が静寂を破り、俺に提案する。


「多々良くん、わからないところとかある? 教えるよ?」


「そうだなここがわからないな」


「どれどれ?あー、これ発展問題だから少しむずかしいね。じゃあこれを・・・」


柏は俺の課題を教えるためにこちらに近づいてきたが、その距離が近いのだ。


柏の美しく麗しいお顔が近くにあり、流れるような彼女の白髪が俺の頬にあたり少しくすぐったい、更にいい匂いがするのだ。


俺の内心はドギマギしている。


「それで・・・って聞いているの?」


「・・・あ、ああ聞いているぞ」


「じゃあここは何だっけ?」


この後も柏と俺の勉強会は続いたが終始柏が近かったことだけ言っておこう。


いつも通り勉強していただけなのにとっても疲れた。


「そろそろ帰るとするかな・・・」


「あ、そうだね・・・」


柏は俺の言葉を聞いて悲しそうな顔をする。


「・・・あのさ、柏」


「どうしたの? 多々良くん? 泊まっていくの?」


「そうじゃなくて、ていうか親がいないのにアウトだろ」


「大丈夫だよ、ほら泊まる?」


「結構だ、それで柏」


「なに? どうしたの?」


「また来てもいいか?」


柏は学校で見たことないほどのとびっきりの笑顔で答えてくれた。


「もちろん! いつでも来てね! 今度はお泊りしたいな〜」


「・・・それはまた今度」


学校ではクールでとても真面目な感じだが、家だと子どもみたいな笑顔で笑う柏を見て俺はほっこりするのであった。


あとがき

終わりみたいな感じですがまだ続きますので応援よろしくお願いします!

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