美少女と帰るモブ

授業が終わり、クラスメートは荷物を持って教室を出ていく。


大体の人は部活に入っていて、俺は帰宅部に入っている。帰宅部のエースであり、大会で優勝しているという過大妄想をしている。


「多々良くん、この後暇?一緒に帰ろう」


「ごめん柏、俺この後部活なんだ、だから無理。一人で帰れ」


「実は私、多々良くんと同じ部活に入っているんだ。今日部活ないよね、帰宅部だから帰宅が部活ってこと?それなら同じだね、一緒に帰ろう」


「いやだ、俺は今から部活があるんだ」


「じゃあ帰宅部は帰宅するのが部活だから寄り道することも一種の帰宅部の部活内容だよね」


どうやら俺と帰りたいらしいが、俺は自身一人で帰りたいので、柏に背を向けた。そして足に力を入れて地面を強く蹴る。


これは有名なゲームのシステム機能!逃げるコマンド!!





多々良は逃げ出した!






ふはは!!流石に柏も反応できないだろう!!このまま逃げ切って一人で帰る・・・!!


だが、油断していた。




しかし、回り込まれてしまった!




「帰るよ、多々良くん。投降して」


「クソが・・・」


猫を捕まえるように首根っこを掴まれた。抵抗してもびくともしなかった。



・・・結局柏と帰る事になった。こんな美少女と一緒に帰るとかなんかめんどくさいイベント起こりそうだな・・・


隣を見るととても機嫌良さそうにしている、しかも鼻歌を歌っている。学校のやつが聞いたら気絶するであろう。しかもニッコニコである。とても機嫌が良く幸せオーラをまとっているのは初めて見るかもしれない。


「そんなに嬉しいか?俺と一緒に帰るの?」


「うん、友達だからね」


柏が俺のことを友だちと言うとは・・・!少し嬉しいが、学校のやつが聞いたら追いかけて殺しに来そうだ・・・


「友達だからさ?私の家に行こう!」


よくわからなかったのでもう一回尋ねてみる。


「なんて言ったんだ?聞こえなかった」


柏が俺みたいなモブを家にあげるわけ・・・!


「私の家に行こう!」


「もう一回、風の音で聞こえなかった」


聞き間違いだな!柏はそんなことしないし言わない!!


「私の家で遊ぼう!」


柏の家に行くイコール美少女との仲がもっと深まる重要イベント・・・そんなものに俺が―――モブが誘われているっ!!???


「い、家に行くのは良いけど、お、親はいいいいるんだろうなぁ!?」


「今日はね?鍵を預かってるの!」


「お、親がkk今日はいいいいないのか!?」


俺はなにかを察したが一応柏に問う。


「いないよ、今日は―――私と君の二人だけだよ」


知らない男の子を家にあげるのはただの自殺行為だぞ!?それをわかって発言しているのだろうか!?


「大丈夫、多々良くんそんなことでしょ?」


「するつもりなんかさらさらない!!むしろ怖くてしたくない!!!」


そんなことしたら、俺の立場がなくなる。社会的に死ぬことになるだろう。俺は、まだ死にたくないのだ!!


「じゃあ、行こう多々良くん、私の家に」


「抵抗させてもらうぜ――――この足で」


クラウチングスタイルを構えて・・・





多々良は逃げ出した!





「む、早い。だけど」





しかし回り込まれてしまった!




「私から逃げられるとでも?行こうか多々良くん」


俺はまたもや柏に首根っこ掴まれて引っ張られている。周りの人からなにか不審なものを見るような目で見られた。


もう、どうにでもなれ――――っ!!!


あとがき

次回お家デートぽいもの、応援よろしくお願いします!!

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