美少女とご飯食べるモブ

俺がじっと見ていたから首をかしげている。


「多々良くんは一人で食べるの?ぼっち飯?」


「そうだが、なんか用か?あとぼっち飯言うな」


モブなため友達がいないのだ。いや、いないのではない作らないのだ。


「そっか。じゃあ、よいしょっと」


椅子をガーっと音を立ててこちらの席に運んできて座る。俺の席には弁当が2つ並んだ。


「なあ、なんでこっち来るんだ? 邪魔なんだが」


「一緒に食べよう、ぼっち同士さ?私はぼっち飯はいやだからさ?」


「俺はモブだ、んで柏はメインヒロインなんだ、だから俺じゃなくてイケメンなやつのところに行けよ」


「やだ、多々良くんと一緒に食べる。あとひろいんってなに?」


言ったことをすぐさま否定してくる。


「まあ俺は一人がいいんだ、だからどっか行け」


「やだ、いただきます」


構わずに弁当を食べ始める柏を見て、俺も諦めて食べ始める。


柏が食べている弁当は彩り豊かで食欲がわくような見た目をしている。それに比べて俺の弁当は冷凍食品が多数である。唯一作った卵焼きは見た目が悪い。見た目以前の問題であるが、冷凍食品はうまい。


「おいしそうだな、手作りか?」


「ん? そうだよ、私がいつも作ってるの」


「へー」


「興味なさそうだね、それじゃあ・・・」


柏は箸をこっちに向けて白米を突き出してきた。まっしろな何も味がついていないただの白米である。


「何故に白米」


「私が作ったものだから、美味しいよ白米」


そこは白米じゃなくておかずを差し出すと思うのだが?何故に白米。


「それより口開けて?腕が疲れてきた」


「じゃあ、もらうな」


腕をプルプルと震わしている柏が急かしてくる。口を開けると柏は俺の口に白米を入れてきが、なんて感想言えばいいの?このコシヒ◯リ美味しいねとか言えば良いのか?コシ◯カリかしらねえけど。


「どう?美味しい?」


「うん、うまい。美味しい白米だなこれ」


「どんなふうに?詳しく教えて」


食レポを望んでいるので、とりあえず適当に答えてやる。


「噛む程に味が出てくる」


適当に感想を伝え、それを聞くと満足そうに頷いた。


今、思ったことだが・・・




なんで俺と柏は一緒に飯食べてんだ?




「なあ柏、気になったことがあるんだが」


「なに多々良くん?白米ほしいの?」


「違う。そうじゃなくて、俺たちなんで一緒に飯食ってんだ?」


「席が隣だからって理由」


ただ席が隣なだけで飯を一緒に食うやついねえだろ。仲いいやつ以外


飯を食べ終わり席を立ち上がる。そんな俺を見て柏は怒ったように頬をプクッとふぐみたいに膨らませている。そんな顔も流石は美少女、クール系なのに可愛い。


「なんだよ?俺喉が乾いているんだが?」


「こっち見て気づかない?まだ私、ご飯食べてる」


「そうだな、それで?俺もう行っていいか?」


更に頬を膨らませて睨んできた。かなり不満があるようだ。


「なんで一緒に食べてたのにどっか行こうとするの?」


「一緒に食べてないんだが・・・喉乾いたから飲み物買いに」


「私も行くから待ってて!」


柏にそう言われて渋々、食べ終わるのを待った。柏は急いでちょこちょこと口の中に食べ物を詰め込むが、見ていると少し心配になってくる。


「そんな焦って食べてると喉に詰まるぞ」


「大丈夫・・・っ!ごほっ、ごほっ!」


ほら言わんこっちゃない・・・


食べ物が気管に入ったのかむせていたが、だんだんと落ち着いてお茶を飲んでいる。


「はー・・・びっくりした・・・」


「ゆっくり食えよ、あぶねえぞ」


「だって・・・多々良くんがおいて行きそうで・・・」


「待ってるからゆっくり食え。できれば早く」


「矛盾してるよ、その発言・・・」


文句を言いながらもなるべく早く食べようともぐもぐ口を動かす柏が小動物みたいに見えた。


「柏はなんで今日俺と食べようと思ったんだ?」


「んー?たまたまかな、あ、ごちそうさま」


「じゃあ、行くぞ。もう昼休みもあと少しで終わるから」


昼休みがあと少しで終わるので少し早足で歩く。


「うんそうだね、多々良くん奢って」


「いやだ、自分で買え」


俺と柏は横にならんで廊下を歩く。


あとがき

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