第13話 大恋愛のその後
ずっと気になっていたまさるは 裕子の叔母の母親と会うことにした。
「もう40年以上も前のことでしょう。もうないわよ さすがに。」
「どう思ってるんですか?」
「もちろん好きよ。でも、何て言うのかなぁ。昔一緒に戦った戦友?そんな感じかな。」
「戦友?恋人じゃなくて。」
「彼のことがすごく好きだったわ。どこかへ行くのも、何かをするにもずっと彼と一緒だった。だから終わるしかなかったのよ。」
「そんなに好きだったのに?」
「私と彼は確かに恋をしていたわ。おそらくとても激しく、夢中だった。彼と一緒にいるといつも楽しかった。でも、心はいつも安らがなかった。だから終わりにするしかなかったのよ。求めても求めても、もうそれ以上先はなかった。気がついたらそこが 終わりだったのよ。」
燃え上がった恋は尽きるのも早いのかもしれない。その恋が激しく燃え上がった恋なら、激しければ激しいほど尽きるのも早い。二人の恋はもう終わったんだ。裕子はそう確信した。
「おじいちゃんと叔母のお母さんの恋は終わっていたのね。」
「半世紀も前に満州で燃え尽きていたんだね。」
「おばさんのお母さんもおじいちゃんもすごいよ。ちゃんと最後まで燃え尽きたんだから。」
「きちんと 最後まで燃え上がったからこそその後の安らかさがあるのね。」
「僕たちも最後まで燃え上がろうね。」
「はぁ、何言ってんのついこの間知り合ったばっかりなのにそんなわけないでしょう。まだ火もついてないわよ。」
「えー火も?ついてないの?」
「ついてません。」
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