第14話 何もない今

「半世紀も前に 君のおじいちゃんとおばさんのお母さんは国をまたいだ大恋愛してたんだね〜。本当に熱い時代だったんだね〜。」

「本当にね。今じゃあの頃みたいな恋愛はもうできないのかもしれない。」

「50年ぐらい前にはみんな熱くて純粋だったのね。あの頃に みんな燃え尽きて 今の日本にはもうそんな恋は残ってないのかもしれない。」

「僕らが生まれた頃には 日本にはもう恋の残りカスしかなくなってしまったのかもしれないね。」

昔に比べて 今は何が足りないんだろう。食べるものもなかった昔に比べて今は何でも有り余っているはずなのに、豊でリッチになった日本には何もないような気がする。どうでもいいようなものは溢れているのに、本当に欲しいものは、まるっきりないような。過剰さが生んだ 貧しさとでも行ったらいいのか そんな感じだ。僕たち日本人は大切なものをなくしてしまったのかもしれない。ワールドカップ やオリンピックでは熱くなれても隣にいる恋人のことでは熱くなれない。どこか冷めたまま足りない何かを求めてうろつき回っている。溢れるほど いっぱいあるのに肝心なものは何もないそんな感じだ。

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