第3話 突然の訃報
春日井にあった コロニーが閉鎖されることになった。事業所からコロニーまでの道がもう使われなくなる。僕がこの世で最も幸せだった時間がなくなってしまう。なんということだ 文子さんと一緒に子供達をコロニーに迎えに行く あの時間がもう二度となくなってしまうなんて そんなひどいことがあるか。
文子さんは 栃木県に引っ越すことになった。
コロニーが閉鎖された 代わりに 瀬戸市に障害者対応の学校が作られた 。コロニーにいた半分の生徒は残り、半分は新しくできた学校に編入することになった。事業所にて僕たちはコロニーに代わりに新しくできた学校に迎えに行くことになった。
僕は迎えに行く場所が変わっただけで子供たちを迎えに行くことは変わらない だからまたあやこさんと一緒に迎えに行けると思っていたがなんとあやこさんは 栃木県に引っ越してしまうという。何で 栃木県なんだ。僕は一緒に働いていた文子さんのお父さんに聞いた。「何で栃木県に引っ越すんですか結婚する彼と一緒なんですか?」
「SNS で知り合ったお友達がいるんだそうだ。」
「栃木県に?」
「そうなんだって。」
「そんな、よく知らない人と大丈夫なんですか?」
「半年ぐらいは色々 Web でやり取りをしていたらしいよ。」
「私も一度会ったことがあるけれど可愛らしい女の子だった。」
「女の子なんですか?」
「てっきり彼氏ができて結婚するために 栃木県に行くのかと思った。」
「そうなら良かったんだけどね。」
「栃木県には、あれの兄もいるし まあ それだけは 安心材料 かな。」
僕はいくら 話を聞いても納得はできなかった。何せ あまりも 突然のことだった。あやこさんとこの事業所で一緒に仕事ができて本当に僕は幸せだった 2人で コロニーに子供たちを迎えに行く あの時間は至極の時間だった。それがなくなってしまうなんて どうにも僕には納得できなかった。栃木県で一緒に暮らす相手が文子さんのお父さんが会ったところによると可愛らしい女の子だと言われても、僕の中には不信と疑惑が渦巻いていた。文子さんは愛知県で資格を取ってお父さんと同じような学校で障害のある子供たちを教える仕事に着くんだと言っていたのに…なぜなんだ SNS って何だ。僕は SNS というわけのわからないものにせっかく仲良くなれそうだった 文子さんとの仲を邪魔された。
「色々有難うございました。来年の3月で ここをやめます。」
僕は言葉が出なかった。
「せっかく美浜まで行って資格を取ったのに…。」
「栃木県の友人が一緒に住んでいたおばあ様が亡くなられてしまって大きな家に今1人なんです。広すぎて一緒に暮らしてくれる人が欲しいって言ってきたもんだから…。」
「それでなの?」
「私もちょうど家を出たくてしょうがなかったし。」
「ちょうどいいタイミングだったんです。」
僕にはもう彼女を引き止めるすべはなかった。
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