追憶のあの子たち(1)
猫との接し方に戸惑い、苦手だった私を変えたのは、一匹の外猫ちゃんだった。
名前をTまちゃんと言う。
Tまちゃんは元々、歩いて5分の友人宅の近所で飼われていた家猫ちゃんだったらしいが、その一家が犬を飼い始めた途端に外に出されてしまったらしい。
でもTまちゃんはとにかく人懐っこくて可愛かったから、ご近所さんたちにたいそう可愛がられて、Tまちゃんのお家までご用意したお家もあった。
お庭にパトロールに来ればおやつももらえるし、実際友人宅でもごはんをあげたりしていた。Tまちゃんのためにカリカリ用意されてたもんね。
そんなTまちゃんとの交流は友人宅に遊びに行った時からなのだが、友人母が「ほら、猫来たよー、Tまちゃん来たよー」と教えてくれて、カリカリを手にベランダに出る。
「Tまちゃん」と親しみを込めて呼んでいるのにもかかわらず、なぜか突然カリカリをあげながら「猫! このやろう!」と言葉遣いだけ豹変する友人母。
友人母はちょっとひょうきんな人なのであった。
そんなTまちゃんはその後、友人宅近くのバス停からバスに乗る時はお見送りに来てくれることもあったし、なんなら一緒にバスに乗ろうとして慌てて降ろしたこともある。
足元にスリスリしていくから、バス待ちの人からも人気だったTまちゃん。
何年かして、姿を消しちゃったけど、可愛かったな。
あ、やばい泣きそう。
ありがとうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます