激闘
勢いに任せて、こいつら任せろ!と言ったは良いものの・・・・・・。ケンジは上空を飛び回るサラマンダー3体をどう相手にしようか、考えはなかった。
一先ず、先の場所で戦うのは被害が多そうだから、飛び移れそうな高い壁や柱を伝い、3体を引き連れ部隊からは離れる事には成功した。
シュウみたいな強力な魔法も使えないし・・・・・・。
ケンジは、光の剣を両手に持ち替えて上段の構えをとった。
《真一文字一閃》
ケンジの得意とする斬撃を放つ技だ。
鋭い斬撃が空気を斬り裂き空飛ぶサラマンダーに向かっていく。
ギャーーオォォー。
1体の尻尾に命中するも、切り落とすまでには至らず・・・・・・。魔帝ジャネスの腕を切り落とした攻撃だったが・・・・・・。
距離が長すぎて威力が落ちるのか、単純に皮膚が硬いのか。
サラマンダー3体が一斉にケンジに向かい火球を放つ。
柱や壁、足場を選びながら攻撃をかわしていく。
1体でも逃せば厄介な事になりそうだ。
致命傷は与えないまでも、ケンジは飛び掛かる火球をかわしながら鋭い斬撃を飛ばし続けた。
当たれば多少なりとも手応えはある。
ジワジワ削る。
ケンジは以前の世界から、地道にコツコツやる事は得意な方だった。
そのうち、痺れをきらした1体が急降下し大きな口を開けてケンジに向かってきた。
!!!きたっ!
ケンジは動きを止めて、迫ってくるサラマンダーの動きに意識を集中した。
グウォォォォーーー!
するどく尖った牙がケンジの頭を喰い千切ろうとする瞬間、ケンジは軽く飛び上がりサラマンダーの脳天から剣を突き刺す。
サラマンダーは、糸が外れた操り人形のように建物の一部を破壊しながら倒れ、その場でピクリとも動かなくなった。
他のも突っ込んで来てくれたら、楽なのになぁ。ケンジは一層激しくなったサラマンダーの攻撃をかわしながら、どうやって残りの2体をやっつけようか考えた。
一方、ショウ達一団は・・・・・・。
「ふぅ。思ったより手こずったわね」
「ええ、肝が冷えました・・・・・・」
「カロイ!あなたは何もしていないでしょう」
「いえいえ、ですから私は戦いはまったくできませんのでー」
「まったく、男なのにだらしがないわねー」
「ショウ様ー!」
兵を仕切るシラヌイが駆け寄ってきた。
「シラヌイ、被害を報告して」
「ハッ、敵は壊滅。こちらの被害は重症、死亡、戦闘不能者が約60名、軽傷者が50名残りの約190名はすぐに動けます」
「そんなに・・・・・・。くそっ」
「ショウ様、ショウ様のせいじゃありません」
「わかってるわ。・・・・・・すぐに出発の準備を。軽傷者は、戦闘不能者60名を擁護しながら近くの砦へ避難よ」
「ハッ、ただちに」
「ショウ様少し休まれた方が良いのでは?」
「戦場で何言ってるのよ。ここの敵も思ったより強かったわ。先に行ってるケンジやオードリーは苦戦しているわ。私がいないと・・・・・・、カロイ、わかったらあなたもさっさと準備なさい」
また、オードリー率いる本隊も魔物の一団と激しい戦闘を繰り広げていた。
本隊と言っても今やその数400騎ほど。オードリーは、ケンジとキャノンを第六砦で向かわせ細る本隊を指揮し、この作戦の目的地であるジオカンポーク村まで残り1キロという所で、異質な魔物の一団に出会した。
今まで魔物相手に幾千もの戦闘を繰り広げてきたオードリーにとって、魔物とは乱暴で低脳で稚拙な存在だと認識していた。
しかし、今回目の前に現れた一団は、統率のとれた行軍を行い、屈強なオーク達数十体で担ぎ上げられた駕籠を中央に、その前後を200メールに渡り魔物たちが綺麗に並び前を直視し一心に歩いていた。
総勢2000体はいるだろう。
横から迫る、オードリー本隊に気づいているだろうが全く動じていない。
オードリーは、背筋に冷たいものを感じた。
コイツらはただ魔物じゃない、目的地はアイ王国の王都だ。当然止めなければならないが、果たして・・・・・・。
中央の駕籠を中心に凶々しいオーラが肌を差す。
「ビビ!」
「ハ、ハッ」
「カメオ!」
「ハッ」
「ビビは前衛を、カメオは後衛を、わしは中央を三点同時に攻撃だ」
「ハッ!!」
「恐るな!奴らは王都は向かっているのは必至、ここで叩いておかねばならん!むしろラッキーだ!ガハハッ、いくぞ!」
オードリーは、瞬時に頭を切り替えて自分の今成すべき事だけに集中した。オードリーの号令で、本隊は三つに分かれ敵の一団に突っ込んで行った。
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