第9話~交際編6~

彼女と彼はかれこれ一緒に過ごしているうちにちょうど半年ではなく、

厳密には今となっては1年ちょっとした所だ。

彼と彼女は本当に仲良しだ。周りの人が羨むくらいには仲良しなのだ。

今ではもう、結婚の話が出ている。

彼の考える結婚に至る理想のゴールと、

彼女が考える結婚に至る理想のゴールとは少しだけ違っていたのだ。

殆どは似ていて、価値観、味覚等の価値観は似ているものの

やはり結婚となると多少、男性と女性とでは考え方に違いがあっても仕方のないことなのかもしれない。


そうこうしていても、彼女は彼女で意見を曲げるつもりは全く見えず状態で…。

一方の彼は、多少なら彼女の考えを尊重しても良いかもしれないと思っていた。

彼も彼女も交際して2年目で結婚したいという意見は全く同じなのだ。

「交際して3年目は長いよね。」と2人して話していたくらいなのだから、彼らなりの理由や考えがあるのだろう。

確かに2人して「3年目は長いよね」と言ったのにはきちんと理由がある。

それは2人共なるべく早く一緒に暮らしたい、

2人の愛情や恋心が強いが故の理由だ。

他の人から見たらどう思うかは置いといて、

それでも彼女と彼は早く一緒になりたいのだ

そして姓を同じにしたいのだ。

これ以外の理由は彼と彼女にはなかった。




急に彼は、彼女との話し合いの途中だというのに思い出に浸る事にした。

交際して初めてのXmasはプレゼント交換をしてその後はディナーをしてその後は家に帰って話を沢山したなとか

交際して初めての彼女の誕生日はヘッドスパをプレゼントしたな等。

デートではよく街中に行ってランチで彼女の大好きなオムライス屋さんに行ったなとか、

カラオケもして楽しかったなとか、

居酒屋で2人して飲んでは彼女は泥酔してその姿もまた可愛かったなと。


普通ならば泥酔した状態の人を見たら引くだろう。だが、彼にとって彼女は相当特別なのか、泥酔姿や悪口を言ってる姿さえも愛おしいと感じていたのだ。


彼からしたら、彼女は相当特別以上でしかないのだ。

何せ一目惚れをした相手が彼女なのだ。

目に入れても痛くないくらいには愛おしさが強く強くあるだろう。


彼女が1年前、「もしも先に私が逝ったら悲しい??」などと質問をしてきた事があった。

俺はその時「勿論悲しいし、彼女ちゃんには先に逝って欲しくない。」といったのだ。

俺はその当時、彼女の家に泊まって車で帰ってる途中で、どっちが先に逝くか問題を思い出したのだ。すると、俺は目頭が熱くなり、

危うく泣きそうになったのだ。



彼女は考える。彼ったら充分弱いところ私に知られてるのに涙だけは見せまいと頑張るんだから。強がりなのか、プライドなのか。

彼女は知っていた。きっと彼が涙する時は、私が灰になった時か、認知症になって何もかもを忘れてしまった時か、プロポーズ成功した時くらいなんだろうな…と。

彼女なりに付き合って1年の彼の心情を考えていたのだ。

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