第2話 能力

新がコインに触れた瞬間、新の体がピカッと輝いた!!

「何だっこれは!!」

新と伊豆も突然の光に目を見開かせて驚いていた。

しばらくすると輝きが収まる、もう新の体には何も起きないだろうと二人が思った瞬間だった。



が吹いた。



それがただの風ではない…

近くの落ち葉が徐々に新を中心に、旋回を始めた。

周りのゴミも一緒になっていき、伊豆の学生服も強くなびく。

「え〜〜!!」

「本当に何が起きてんだ!!」


そのうち新が見えなくなるほどに大量の落ち葉と大量のゴミが、周りを駆け巡る。

「もうやめろ〜〜〜!!!」


新が腹の底から大声を出した時、風がピタッと止んだ。

「なんだったんだ、あの風は…」

伊豆が少し疲れた素振りを見せたが、新は違った。

「すげぇ〜〜!!もしかして俺がやったのか!!」

新は目を輝かせながら、子供みたいにはしゃいだ。


新は自分の手を見つめ、手のひらを落ち葉に向けて突き出す。

すると、また風が吹き出し、突き出した手の先の落ち葉が空中に浮かぶ。

それを見た新が今度は冷静に言葉を発する。


「これが俺の能力なのか、面白いなぁ〜」

「な〜伊豆、もう一つのコイン触ってみたら〜」



コインは二つ落ちていた。

伊豆もコインを触れようとしたが、少し戸惑う。

「一つの能力は風だったけど、もう一つはなんだろうか、それぞれ違う能力なんだろうし、能力を持ったとしたら普通の生活は送れないだろうな…」


伊豆はいつもの考え過ぎる性格でやはり悩んでしまう。

それを見た新はなんともう一つのコインを伊豆に投げつけたのだ。


「嘘だろッ新!!」


投げたコインが伊豆に触れた時、


バリバリバリッッ!!!


雲ひとつ無い青空から、いかづちが伊豆に向かって降り落ちたのだ!!!

これだけ大きな雷が降り掛り、伊豆の命が危険に見えた。


だが、伊豆にそんな心配は無用の事だ。

伊豆は、雷が降り落ちた後も立っている。


「雷か…」

伊豆は自分に雷が落ちたのを見てそう呟く。


「ってか新、なんで投げるんだよ!まだ悩んでたんだけど!」

伊豆の怒鳴り声を上げた。


「悩んでる暇があったら、さっさと能力を持った方が良いでしょ。」

反省してなさそうな声で新が返す。


「はぁー…もういいよ、能力を持ってしまったし、しょうがない…」

伊豆はもう呆れていた、新の楽観的な性格に。


「このことは俺らだけの秘密だからな。」

伊豆は新にこう忠告するが、伊豆は心配で胸がいっぱいになった。

こんな偶然の出来事で能力をもらうとは、なにか命に関わることがあるんじゃないかと。


「じゃあ、そろそろ帰るか。」


二人は拾ったコインを握りしめて、それぞれ帰宅した。





?「コインを拾ったのはあの人達か。」


二人は気づいていなかった、空から見物する物体が居ることを。

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