第2話ー頂上とかげさんー
「うわぁ…この階段何段あるんだろ…。上見ちゃダメだ!そう!目の前の階段を見て上るんだ!私!!!」
そう意気込みどれだけ進んだだろうか…
もう足の痛みの限界を超えて両手両足を同時に動かしていたところようやく鳥居が見えてきた。
「はぁ、はぁ、はぁ…やっと、やっと着いた!!!」
鳥居が見え頂上へ着いた。
随分高い所に来たせいか長い髪がふわりとなびく。
近くで見る鳥居は遠くからは見えなかった不思議な模様が描かれていた。
「こんなに綺麗な鳥居、初めて見た。それにここ、来た事のあるような懐かしく感じるのはなぜだろう…」
不思議に思いながらも自分が上ってきた方へ振り返ると上ってきた階段は見えないくらいの雲が広がっており鳥居からその先へ戻ろうとすると透明な壁で前に進めなくなっていたのだ。
ドンッ!ドンッドンッ!!ドンッドンッ!!!
「どうして!?先が見えているのに何この透明な壁!全然前に進めない。私元の場所に戻れないの!?…」
戻れない事が分かり涙目になりながら足から崩れ落ち座り込んだ。
「もう、家には帰れないの…こんな事になるなら上らなければよかったよぉ…」
そう落ち込んでいると
ふと何処からか声が聞こえてきた
それはすぐ近くの大きな木の下にある
空洞に置かれた
壺の中から聞こえた。
「おーい!そこに誰か居るんだろー!ちょっと手を貸してくれ!!頼む!出れないんだー!!」
「えーっと・・・壺が喋ってる?なんで!?
私ついに頭までおかしくなった!!!」
「壺が喋るわけないだろ!そんなこといいから壺から引っ張り出してくれ!頼む!!」
恐る恐る喋る壺に手を入れその中の何かをつかみ引っ張る
すると黒い影、もやのようなものが出てきた。
それはあの時猛スピードで走り去った黒い物体であった。
今はとても大きな猫、いや虎の姿をしていた。
「あのー。あなたが壺の正体?」
「あぁ!俺様が壺なわけあるか!たく、誰がこんな所になんでも吸い込んじまう壺なんておいたんだ。壺にはまっちまっただけだ!でも助かったぜ!ありがとな!ってお前人間か!?おっかしいな・・・普通の人間が入れるような場所じゃないんだが。いやなにか混ざってるような?どうしてこんなところに居るんだ!!」
虎の姿をしたそれは喋る度に風が吹き
聞いている私の髪が荒ぶる。
どうにか会話をしてみようと声を張り上げる。
「なによ!人がここに居ちゃダメなの?それに私だってこんな所来るつもりじゃ、帰りたくても帰れないもの!!それとその大きな体どうにかならないの!?すごく話しずらいの!」
「たく、しょうがねーなこれでどうだ!」
ポン!!
見下ろせるくらいの小さな虎にに変化した。
「うぁ!!可愛い!もふもふ〜」
さっきまで帰ることの出来ない状況に不安でいっぱいだった気持ちが変化する姿に心引かれ
落ち着きを取り戻す。
小さな姿になった虎の頬に自分の頬を当ててふわふわを堪能し始めた。
「もふもふ〜、じゃねーよ!このままここに居るのはまずい。とりあえず守り神の所に向かうぞ!守り神なら帰り方も知ってるかもしれないしな!そうだ、お前名前なんて言うんだ?」
頬ずりしていたのを放し答える。
「私の名前は
もう少し触っていたかったのだが簡単にすり抜けられてしまう。
「まぁ、あながち間違ってないな。俺の名前はかg」
「かげさんだ!!当たりでしょ?それと守り神って??」
「おい!話してるのを遮るんじゃ!って、はぁ・・・もうそのかげさんって奴でもいいから
「何となくって!ちゃんと教えてよー。」
「俺じゃなく守り神本人から話を聞くのが1番だろ。」
また小さな姿から大きな虎の姿に戻り、かげさんの背中に乗る。
守り神という方の元へ行く事になったのだ。
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