人物紹介――クリシュタンド軍関係 ※ネタバレ含む


・属性

秩序――規則と規律、普遍的概念を重んじ、整えられた社会と法を重視する。

混沌――個人とその感情思考を重んじ、社会的規律、道徳よりも意志を重視する。

中立――中間。


善――利他的気質。自身の利益よりも自分の信じる道徳を重要視し、それに殉じる。

悪――利己的気質。自身の利益を重要視し、そのために他者を蹴落とすことを厭わない。

中立――どちらにも振れない中庸の気質。



・王国貴族の名前の見方

例:1,ギルダンスタイン=2,カルナロス=3,ヴェル=4,サーカリネア=5,アルベラン

1,名前:ギルダンスタイン

2,管理する地域の中で最も大きな土地:カルナロス。

本来は管理地域全てが入るため非常に長く、簡略化される。

3,王位継承権を持つ男性の王族はヴェル、女性の王族はヴェラ

4,名誉爵位:サーカリネア

5,姓:アルベラン


正式には4と5の間に元帥や将軍などといった軍階級、宰相など王宮での役職を示す言葉が入ったり姓の後に大公爵などといった爵位を示す言葉が入ったりします。

ただ、既に横文字が長くて目が滑るので、文中ではわかりやすさ重視でその都度必要な階級役職を末尾につけ漢字表記しています。


基本的に姓以外は必ずしも子供に継承されるものではないですが、特に問題ない限り慣習的にその嫡子が土地や爵位を引き継ぐことが多いです。

ただ、戦士としての武功を示す4の名誉爵位だけは引き継がれません。


姓を持たない人間がネア=準騎士の略式叙勲を受けた場合、大抵は出身地を名乗る場合が多いです。

(例)ガーレン=ネア=カルカ。


・プロフィールの身長ワード

男性平均175cm前後、女性平均160cm前後くらいな設定です。

無記入:平均的身長

中肉中背:平均的身長

長身、大柄:平均より10cm程度高い。男性の場合六尺と書かれれば180超え。

小柄:平均より10cm前後低い。

比較的:平均値から見て長身/小柄は下振れ。

非常に:平均値から見て長身/小柄は上振れ。


・身長   大体   曖昧な想像

クリシェ 140後半 147

ベリー  150前半 152

セレネ  150後半 159

クレシ( 140後半(ま、まだ成長は終わってないですわ!) 

カルア  160後半 168~9

ミア   150後半 158

エルヴェナ160前半 161~2

アーネ  >160< >160<

リラ   150後半 157

ミーデリ(150半ば 156

カルシェ(160前半 163






○終章終わりまで生存

●終章終わりまでに死亡



■――クリシュタンド軍関係


●ノーザン=エルスレン=ヴェズリネア=ヴェルライヒ 『秩序・中立』

危ない狂信者系男子。元クリシュタンド軍第一軍団長。元王国将軍。アルベラン王国東部方面軍総司令。ぴよぴよ。

男爵家の末子であり、英雄ボーガン=クリシュタンドの最初期からの部下。

自身の上官として同じ男爵家の生まれであったボーガンの人柄と勇猛さ、そしてその知性に心酔し、英雄クリシュタンドの長き戦いを側で支え続けた腹心。

才覚は自身に勝るとボーガンは感じており、自身が将軍となってからは機会がある度に彼へ将軍となるよう説得を行なったが、クリシュタンド軍の戦力低下を懸念した彼はそれを断り、クリシュタンド軍に自身が認めるに足る才能が現れるのを待った。

セレネとクリシェの存在はそんな彼がようやく認めた才能であり、安心して身を引いた矢先に竜の顎での悲劇が起こったことで自身の運命を呪っている。


セレネと似た気質で生真面目な苦労性。

クリシェに関しては人一倍気を使っており、普段からしなくてもいい悩みごとが多い。

ボーガンより教わったロールカ式剣術を極めており、大盾と長剣を用いて戦えば右に出るものはいない。

ギルダンスタインとは剣で戦えば五分の腕であり、知略にも優れた器用万能。

総合的に見た場合クリシェを除いた王国軍では最も優秀な将軍と言える。

クリシェにぴよぴよと名付けられたものの、クリシェの口から楽しげにぴよぴよと呼ばれることは意外と悪くない気分で意外と気に入っている。


自軍の完全掌握もままならぬ状況であった内戦、五大国戦争を経てからは一段落つき、ようやく腰を落ち着けて自軍のことに目を向け始めた。

彼が目指すべきはボーガン=クリシュタンドの精強なる軍であり、そしてそれ以上の軍であった。

彼はボーガンに対し、狂信と呼ぶべき情を向けていながらも、客観的に彼と自分の差異を見る冷静さを残しており、そしてそうであれば理想とすべき軍の形も異なる。

練兵から何もかもを一から見直し、これまで温めていた案を一つ一つ試し、その改善を行っていく。


剣技に長け、頭脳に優れ、人心掌握に長け、カリスマと覇気を有する。

希有なる才覚者ノーザンがそうして出来上がるのは文字通り無双の軍であった。

エルスレン解体戦争ではアルベリネア直轄軍と共に先陣を切り、麻布を裂くように敵軍を切り刻み、砂で出来た城のように難攻不落の城郭都市を攻め落とす。

その功績によって王国東部方面軍総司令を任されると、瞬く間にエルスレンの軍人を掌握し、予定される統一戦争のために土台を作り上げた。


セレネは畏れ多いとするノーザンに、その武勲は父の迅雷を引き継ぐに相応しいと告げ、クレシェンタの承諾によって、ウルフェリネアを改めヴェズリネアの称号を得るに到り、そしてその一の配下であるグランメルドがウルフェリネアを引き継ぐ。

そして統一後は旧エルスレン中央の管理を任されることとなった。

内政においても彼の才覚は目覚ましく、クレシェンタの期待に応え、エルスレンの安定に貢献。

王国の土台を盤石のものとした。

彼の死にはエルスレンの民衆も深く嘆き悲しみ、火が消えたようだったという。


彼は死ぬ前に、いずれ王国に崩壊の兆しが見えたならば開けと遺言状を残し、信念ではなく、最も民が苦しまぬ道を選べと書き記した。

存命中、ヴェルライヒ家からも二人を魔術研究院に送っており、クラインメール建国の騒動において最大勢力であったヴェルライヒ派閥は、その繋がりと遺言もあってクラインメール側につき、内戦を早期終結に導いた。


△歴史上

アルベラン末期において、アルベリネアに次ぐ英傑と語られる人物。

あらゆる才覚に恵まれた傑人であったとされ、アルベリネアを抜きにすれば一番に名前が挙がるだろう将軍。

竜の顎におけるクリシュタンド軍の敗戦は彼が欠けたことが大きな原因であったと言われており、ギルダンスタインは彼を恐れ、東部に封じ込めたのではないかと考えられている。

アルベリネアの魔導兵器が存在したとはいえ、彼の指揮する軍はアルベリネア直轄軍同様、エルスレン戦以降のあらゆる会戦に圧勝しており、単純な軍としての能力、指揮者としての能力はアルベリネアにさえ匹敵すると謳われた。

セレネ=クリシュタンドも彼の鮮やかな戦略、戦術を指し、単純なる軍の運用で考えるならば妹に比肩する天才であると語っている。

彼は数多くの手記を残しており、その一部が今も残っているため、同時代を知るための歴史研究に重用されているが、彼自身はアルベリネアを指し、伸びた鼻をいとも容易くへし折り、自分を見つめ直させてくれる存在として語った。

クラインメール建国に際する動乱において、一の臣下であったヴェルライヒ家がクラインメール側に就いた理由は彼の遺書によるものとされているが、その内容がどのようなものであったかは残っていない。

ただ、こうした不可解な行動は彼に限ったことではなく、アルベリネア達と懇意であった者達は、事前に女王とアルベリネアがアルベランを手放すことを知っていたのではないかと考える学者は多い。


★戦闘指揮

剛柔併せ持つ隙のない指揮者であり、どのような状況下でも柔軟な戦術対応が可能。

クリシェと同様、敵指揮官排除を重視する『首狩り戦術』を好み、場合によれば自ら先頭を走り敵陣へと切り込むこともある。

心理戦に長けており、敵の意識を引きつけ、操作する術を身につけている。


外見:後ろに撫で付けた赤銅の髪。焦げ茶の瞳。細身長身。眉目秀麗。

鎧:銀翼バイザーのフルプレート。

→クリシェ:自身を遥かに越える才覚の持ち主。善良だが歪んでおり、不安定。亡き主の愛娘。

得意:ロールカ式剣術。指揮運用。戦術。

好き:自己鍛錬。ワイン。ぴよぴよ。

嫌い:ボーガンを愚弄するもの。

悩みごと:セレネ。




●ノルガン=エルスレン=リネア=ヴェルライヒ 『中立・中立』

大英雄の息子系男子。元東部方面軍総司令。アルベラン王国元帥。ぴよるん。

幼少からノーザンの教育を受け、軍学校では当然のように主席で卒業したエリート。

父に似て才能溢れる存在であったが、従軍自体はエルスレン解体戦争と統一戦争で、実戦でのキャリアはグランメルドの下、軍団長で終わっている。

その能力もありセレネから元帥位を継いだものの、歴史上最も長く七十年と少しを元帥で過ごしたセレネの後釜に座ることは彼に取っても色々と悩みが多い。

次元が違うクリシェの存在がありながら自分が選ばれた事を不思議に思っていたが、アレハの言葉で理解し、彼と共に女王とアルベリネアの消えた世界のため動き出した。


☆お引っ越し後

いずれ訪れるアルベラン崩壊を良い形に終わらせるため、各地域を巡りパイプを繋ぐアレハに代わり、時間を掛けてその計画を練り上げている。

そして自らの子孫にそれを託し、この世を去った。

ヴェルライヒ家とその派閥を構成する東部は統一歴百年、女王の不在開示と共にノーザンの手紙を開き、ノルガンの計画書を読み、その後エルゲインストの蜂起への加担を決定する。

どれほどの汚名を着せられようと、これはクリシュタンド、そして女王とアルベリネアのため、彼等が成さなければならないのだと。


△歴史上

ノーザン=ヴェルライヒの子であり、アルベラン王国元帥。

アレハ=レーミンと共に魔術研究院に協力し、元帥の立場からその後のクーデターを計画していた人物であるとされているが、それを示す決定的な文書などは残されていない。

彼がアレハ=レーミンの孫、ワルツァ=レーミンを元帥に据えた理由はその計画があったためであると考えられており、女王とアルベリネアのアルベラン放棄が事前の計画に則ったものであったとする根拠の一つとなっている。

統一後もヴェルライヒ家の地位は変わらず、特別な恩賞を断っていることもあり、彼等が当時大罪を犯し、それに協力した動機については今も分かっていない。


★戦闘指揮

父に似て剛柔併せ持つ隙のない指揮者。

類い希なる軍才を持ち、グランメルド=ヴァーカスの軍団長として鍛えられたが、やはり経験の点でノーザン達には一歩劣る。


外見:後ろに撫で付けた赤銅の髪。焦げ茶の瞳。細身長身。眉目秀麗。

→クリシェ:歴史をねじ曲げる才覚者。真なる天才。年上にも関わらず幼い。優しく平和を愛する少女。

得意:ロールカ式剣術。指揮運用。戦術。

好き:盤上遊戯。ワイン。

嫌い:天才と呼ばれること。

悩みごと:知らず父やセレネから託された王国の未来。



 

●グランメルド=クレイナル=ウルフェリネア=ヴァーカス 『中立・中立』

笑うと怖い戦闘狂系男子。元ヴェルライヒ軍第一軍団長。『狼群』の指揮者。東部方面軍将軍。わんわん。

元野盗。当時無敗であったこの男はその鉄棍一つで大規模な野盗賊団を築きあげ、王国北東部の大樹海にて暴れまわり、結果討伐に駆り出されたガーレンの隊と遭遇する。

その過程でノーザンと一騎打ちを行い敗北したが、その強さを惜しんだノーザンに勧誘を受け承諾。その部下となる。

当初は折を見て逃げ出すつもりであったが、戦場に自身の求める戦いがあることを知り、武功を重ね彼の腹心に成り上がった。

狼群にはその当時の部下が何人か存在し、その中心的役割を果たしている。

豪快でさっぱりとした性格であるが、自分が愚弄されることだけは許さない。


エルスレン解体戦争でも変わらずノーザンの刃として多大な戦果を挙げ、彼の出世に伴い将軍へ。将軍となってからも変わらず、ノーザン直轄の将軍としてその手足となって戦果を挙げ続けた。

とはいえ内政においてはその腕力など発揮出来る機会もなく、見るに見かねたノーザンから相談役として平民上がりの知恵者を派遣されるに到る。

グランメルドは彼を大いに気に入り厚遇し、すぐに公私の付き合いとなったが――その内に彼の娘に惚れられて嫁に迎え、二児の父となった。

女遊びの激しかったグランメルドに激怒するでもなく、年下ながら母親のように淡々と叱る彼女に、次第に彼も惚れ込み、晩年は落ち着いた余生を過ごした。


△歴史上

ノーザン=ヴェルライヒの右腕として知られる武人。

大狼という異名で呼ばれる戦士であったとされ、ノーザン=ヴェルライヒは彼を部下ではなく、己に必要不可欠な相棒であったと称した。

ノーザン=ヴェルライヒがクリシュタンド軍にあった頃から有名であったらしく、当時の兵士達の手記にはクリシュタンドの飼う『狼群』を誰もが恐れたと残されている。

元は野盗であったと当時の手記に語られていたが、その真偽は不明。


★戦闘指揮

攻撃戦術に長け、特に軍団による正面突破という一点に限れば王国最強と言える軽装歩兵集団『狼群』指揮官。

『実戦で発揮出来ない力は無意味』という考えがあり、行軍訓練などはほとんどせず、過酷な対抗試合形式の集団戦闘訓練を繰り返すことで練兵を行う。

これには選別とふるい落としという側面もあり、基準に満たないものを除外することで兵の質を限りなく高め、常に自身の部隊を最高に近い戦闘能力に保っている。

攻撃においては無類の強さを発揮する指揮者であるが、性格上守勢を嫌い、長期戦を苦手とする面がある。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。茶の瞳。大柄筋肉質。精悍な強面。頬の深い傷。

鎧:鈍色狼のプレートメイル。

→クリシェ:見目美しく可憐だが毒気を抜かれる娘。絶対的な戦闘技術を持つ天才。肩を並べて戦うと気持ちがいい。

得意:我流の鉄棍術。格闘。殺し合い。

好き:蹂躙。人間を砕く感触。女。

嫌い:舐められること。

悩みごと:クリシェのせいで嫁にまで時折わんわんとからかわれていたこと。



●サルダン=カレンティア=リネア=ガルカロン 『秩序・善』

真面目な堅物系男子。元ヴェルライヒ軍第二軍団長。東部方面軍将軍。ハゲメガネ。

平和を愛し、秩序を重んじる軍人の一人。

ヴェルライヒ軍ではグランメルドに次ぐ発言力を有し、軍の引き締め役となっている。

規律を乱す相手に対しては上官であっても意見をしなければ気が済まない人間で、性格故に出世が遅れていたが、その能力をノーザンに買われその傘下に入った。

独断で動くことが多いグランメルドの諌め役になることが多い。

見た目は怖く厳しいが、優しく子供好き。

つるりんとハゲメガネという究極の二択に対し、選択権を行使する間もなくハゲメガネに決定させられた。

家で嫁に随分と笑われている。


エルスレン解体戦争、統一戦争を戦い抜き、戦後は旧カレント領――大陸の東西を分ける要衝、ウェザリウスの牙を含んだ地域一帯の管理を任された。

大陸経済においても重要な拠点であったが、内政においてもその冷静さや優れた頭脳を発揮し、王国の発展に寄与している。

その子孫も彼に似て有能であり、クラインメール建国の騒動に際してはヴェルライヒ家と共にクラインメール側に付き、その機会を狙った大陸東部の反乱軍を食い止め、大陸が戦乱の渦に飲まれることを阻止した。


△歴史上

グランメルド=ヴァーカスと共にノーザン=ヴェルライヒの片腕として名が残されている。

大陸東西の要衝、ウェザリウスの牙を任せられていた事、また様々な記録から忠義厚く有能な将軍であったと考えられているが、現在残る戦場記録においてはグランメルド=ヴァーカスのような大きな戦果を挙げてはいない。

ノーザン=ヴェルライヒは自身の手記において、彼をグランメルドの対となる、自身の盾であると語った。


★戦闘指揮

攻守のバランスが取れた知将。

戦闘技術そのものは高くないものの頭脳に優れ、特に敵の突破、迂回阻止など自身が待ち構えての戦術を得意とする。


外見:禿頭。茶の瞳。長身細身。筋張った顔。眼鏡。

鎧:魔眼バイザーのフルプレート。

→クリシェ:鬼才の持ち主。人とは変わっているものの見た目相応、素直で可愛らしい娘。

得意:組織運用。統制。事務処理。子供の扱い。

好き:孤児院の子供の世話。家庭菜園。

嫌い:身勝手に規律を乱す者。

悩みごと:ウェザリウスの牙を西部がったんごーと鉄道終点、ハゲメガネ駅と命名されかけたこと。



●コルキス=キルザリア=ロズリネア=アーグランド 『秩序・中立』

声のうるさい番犬系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第二軍団長兼アルベリネア副官。アルベリネアの大槍。にゃんにゃん。

被害甚大な負け戦。敗残兵として逃げ延びようとしていたところを逆襲を企図するガーレンの百人隊に拾われ、ガーレンとボーガンの生き様に惚れ込み忠誠を誓った。

基本的な戦術の他奇策の類は好まず絡め手を不得手とするが、突撃指揮、防御指揮においては自身が最前線に立つことで圧倒的な力を発揮してきた。

持ち前の武勇と性格により人望高く、彼の周囲には数多くの勇者が集まる。練兵に重きを置くこともあって彼の軍は単純な正面対決で負けたことはない。

息子の裏切りもあり、セレネに対しては改めて忠誠を誓っており、終生彼女傘下の将として戦うことを決めている。

ノーザンをライバル視しているが、演習で勝てたことはない。

クリシェの側で過ごすことで、より一層彼女が危うい存在だと感じ始め、ガーレンの死後はクリシェの副官を兼任し、彼女の補佐役として生涯を全うすることを誓う。

それに伴い、猛獣を意味するロズの名を冠する事を許された。


立場上アルベリネア直轄軍軍団長という地位に残ったが、実質的なアルベリネア直轄軍の将軍相当の待遇を与えられている。

エルスレン解体戦争、統一戦争においてもクリシェと共に無数の戦果を挙げ、アルベリネアの大槍として兵士や民衆に絶大な敬意を向けられた。

戦後はアルベリネア軍を任せられながら各地を巡り、各軍を視察し、引き締めと教練を行い過ごすことになる。

東部を訪れる度ノーザンと手合わせを行い、勝ち越しで終えたことを何より喜んだが、やはり演習では負け、娘がノーザンの息子の嫁に行ったことを随分と悔しがった。

アーグランド家はその息子の一人を養子としている。


見舞いに来たセレネが未だ悩む素振りを見せていたため、それを笑った。

――その歳になってもベリーに嫉妬するほど愛しておられるというのに、あなたの心に疑う余地など、どこに残されていると仰るのか。

そして、そんな言葉を贈っている。


△歴史上

生涯をクリシュタンドに仕えた忠義の武人として伝えられている。

手ずから挙げた個人としての戦果は群を抜いており、凡百の将とは比べものにならず、それでもなおクリシュタンドの下で終生を過ごした。

息子のグラン=アーグランドによる裏切りが、彼の敬愛するボーガン=クリシュタンドを死に追いやったことがその理由とされている。

セレネ=クリシュタンドは彼を、戦術を練兵によってねじ伏せる怪物と称し、ノーザン=ヴェルライヒは演習や遊びでなく、本気で軍を率い戦ったならば、互いに命を賭けた五分の戦いになると語った。

彼より先に旅立ったコルキスに、生涯競い合う好敵手であったと手記に残し、ボーガン=クリシュタンドを最高の将軍であったとするならば、コルキス=アーグランドは最高の武人であったと彼の死を惜しんでいる。

当時の手記などの記録からも、彼の率いた第二軍団は軍団という規模に関わらず敵味方に知られ、その強さを知る者は一軍を率いてさえ彼に真正面から相対することは避けたと記されている。

五大国戦争のガルシャーン戦での活躍は有名であり、黒旗特務中隊、ジャレィア=ガシェアの存在があったとはいえ、一撃で分厚いガルシャーン戦列を壊乱させており、圧倒的と称されたその強さを物語っている。


ヴェルライヒ家と異なり、彼のアーグランド家はクラインメール建国時にアルベラン側に付いてその象徴となったが、ヴェルライヒ家による熱心な説得の末、降伏した。

クラインメール初代皇帝エルゲインスト=ラミルは彼等の武勇や名声、そして彼等が一貫としてアルベランと民衆の守護者であったことから、その忠勇を讃え、軽い処罰に留めて受け入れることを決めている。

当時の当主は未だ若き美青年であり、その後はクラインメールの将軍としての地位を与えられ、生涯を私心なく、国家の安定とアーグランド家のために捧げた。


★戦闘指揮

何より練兵を重視し、兵の質こそが勝利をもたらすと考えている。

個々の戦闘能力と連携を重視しており、命令の単純化によって兵の力を最大限活かすことを何よりとする。

本来不可能な突撃で相手を粉砕し、防御すれば大軍の突撃を容易く跳ね返す。

軍団全体の質という点では王国一と言えるが、その分動きは読まれやすい。


外見:短く刈った黒髪。焦げ茶の瞳。稀な大柄で筋骨隆々。顔まで筋肉質。

鎧:銀虎バイザーのフルプレート。

→クリシェ:幼く美しい天才少女。王国最強の戦士。戦場には不似合い。

得意:戦闘。鼓舞。大声。

好き:単純明快な作戦。一騎打ち。戦士。

嫌い:複雑な作戦。

悩みごと:なし。



●グラン=ネア=アーグランド 『中立・中立』

眉目秀麗線と影の薄い系男子。コルキスの息子。元クリシュタンド軍将軍伝令。

コルキスほど体格は恵まれなかったもののその武才を受け継いでおり、それに驕らず真面目で努力を惜しまぬ優秀な青年。

しかし性格は豪快なコルキスとは違い繊細で母親の血が濃く、心配性で決断に迷う優柔不断な面があり、知略に優れるが突発的事態に弱い。

父親に対する尊敬と依存が強く、父親に見放されたと思い込んでしまったがために心を病み、結果としてボーガンを裏切り死に追いやった。

幼少からたゆまぬ訓練を続けて来ており、元々の武才もあってその戦闘能力は非常に高いが、コルキスやノーザンに敵うレベルにはない。


△歴史上

コルキス=アーグランドの長子であり、裏切り者。

父とは反りが合わず、結果的に彼を裏切り、ボーガン=クリシュタンドを偽報で誘い罠に陥れた。

その最期は父であるコルキス=アーグランドの手で討たれたが、その後名前のない小さな墓が屋敷に作られたとされている。


★戦闘指揮

その神経質な性格から、戦闘には周到な準備を重ねるタイプ。

とはいえ冒険を恐れ小さく纏まっているわけではなく、勝算があるとみれば大胆な戦術を選択する場合もあり、指揮者としては戦術幅広く優秀な存在ではある。

反面、自身の想定通りに事が進まなかった場合、咄嗟の判断が鈍るところがあり、決断力の弱さから手遅れの事態を招く事も多い。

リーダーではなく副官や補佐、参謀向きと言える。


外見:短めの黒髪。焦げ茶の瞳。比較的長身。眉目秀麗。

鎧:銀のスケイルメイル。

→クリシェ:眩しい存在。妬ましく、羨ましい。

得意:槍術。戦術。馬術。

好き:父。槍。馬。努力。

嫌い:不慮の事態。

悩みごと:兵列を抜けるとコルキスがいた。槍を振るった。殺された。



●テリウス=サーザ=リネア=メルキコス 『中立・中立』

何やら影が薄い系男子。クリシュタンド軍第三軍団長。

ボーガンが将軍となった後にその配下となった軍団長。

ボーガンと同時期に軍団長となったために、当時ボーガンを一方的にライバル視していた。

しかし彼が窮地に陥ったテリウスの軍団救援に駆け付け、それに救われたことを深く感謝し、後に忠誠を誓うこととなる。

野戦築城を得意とするが、野戦においても独自の配置と連携を構築しており、その防御能力にはボーガンも一目を置いていた。

サルヴァの副官に扮したギルダンスタインに討ち取られる。

棚を作るのが趣味。


△歴史上

ボーガン=クリシュタンド配下の軍団長。

野戦築城に長け、防御、遅滞戦闘に優れた軍団長であったとされるが、内戦時、ギルダンスタインの捨て身の攻勢によって討ち取られる。

彼が討ち取られたのは内戦最終戦における最大の失敗であったとセレネ=クリシュタンドは悔やんだ。

早期の段階で黒の百人隊を送り込めば、十分にギルダンスタインの攻勢に対抗できる実力のあった軍団長であったと語り、当時の思考を振り返って多くの問題点を本に記している。


★戦闘指揮

野戦築城の名手であり、守勢での戦いを得意とする指揮者。

平原における野戦においても配置の工夫を行なうことで、兵列によって砦さながらの布陣を作り上げる。

敵を誘い込み、返り討ちにする機動防御が得意。

攻撃戦術はそれほど得意ではないが、一般的な水準は超えている。


外見:短く刈った焦げ茶の髪。青の瞳。筋肉質。鷲鼻。どことなくダグラに似ている。

鎧:銀城彫刻のプレートメイル。

→クリシェ:驚嘆すべき才覚の持ち主であるが、危うい少女。

得意:野戦築城。防御指揮。日曜大工。

好き:一方的な射撃。砦。建築。木工。

嫌い:準備できない突発的事象。

悩みごと:副官が敵に寝返ったこと。



●サルヴァ=リネア=カルデラ 『秩序・善』

しきたりを重んじる古風な貴族系男子。元クリシュタンド軍第三軍団長副官。

歴史ある中流貴族の生まれで、第三軍団長テリウスの下で長く副官を務めてきた男。

能力は優秀と呼べるもので、将軍としても十分に戦える実力者ではあるが、優秀な人材集まるクリシュタンド軍においては埋もれていた。

クリシェとは折り合いが悪く、その幼さと冷酷さに強い懸念を覚えており、その才能を強く認めながらも権力を持たせてはならないと考えている。

彼女に対する不安が彼を裏切らせる原因となったと言って良く、クリシェがいなければ終生クリシュタンドに忠誠を誓ったであろう人物。

ギルダンスタインの討ち死にで敗北を理解し、自らガーレンに首を差しだした。


△歴史上

クリシュタンド軍を裏切った一人。

セレネ=クリシュタンドは彼を父の敵としながらも、その能力については評価し、全てにおいて十分以上の能力を持った指揮官であると記している。

幼い頃には子供の自分に熱心に付き合い、戦術を教えた師の一人であったと語り、旗を違え、卑劣な手段を用いたことをただただ悲しく思うと書き記した。


★戦闘指揮

能力自体はテリウスと遜色なく、非常に優秀。将軍としての器は十分にある。

だが、クリシュタンドで成り上がるためにはある種の狂気が足りず、優柔不断ではないが大胆さに欠け、小さく纏まってしまっている面がある。

追い詰められた状況では特にその差が顕著であり、補佐役としては優れながらも将軍としては欠ける部分が大きい。


外見:白髪交じりのくすんだ茶髪。青の瞳。痩せ身。細い髭。鋭い目。

鎧:銀色のプレートメイル。

→クリシェ:敬愛するボーガンの愛娘。天才だが道理の分からない異常者。

得意:ザイン式剣術。組織運用。

好き:大義ある戦い。名誉。戦場。

嫌い:兵と民をないがしろにするもの。

悩みごと:残された家族のこと。



●エルーガ=ギグライテ=コルスリネア=ファレン 『秩序・善』

寝起きに見たくない顔選手権ナンバーワン系男子。アルベラン王国元帥補佐。初代アルベナリア軍学校校長。ガイコツ。

類い希なる才覚を持ち、多大な戦果を上げながらも、その性格により忌避されてきた老将。

ボーガンはかつて彼の配下であり、戦術においては彼の師でもある。

天才というべき頭脳を有し、戦場のありとあらゆる技術において一流と言える存在。

しかし優秀であるが故に他者に当然のこととそれを要求し、水準に満たないものは戦場に不要と配下達を容赦なく切り捨て――それが彼から人望を失わせる結果を生む。

王家に連なる血筋のものであっても例外ではなく、その徹底した実力主義が災いし、政治的に将軍への道を閉ざされていた。

当時部下であったボーガンの罰則を覚悟した提言により考えを改めたがもはや彼に出世の道はなく、ボーガンが将軍となった際、自ら元部下の配下となることを申し出た。


邪悪な見た目であるが礼節を弁え、普段は温厚で丁寧な口調で話すことを好む。

平民に対してもそれは変わることがなく、自らの貴族としての地位はか弱き民を支えるためにあると考える稀な善人。

徹底的な実力主義は敗北を許されぬ軍という組織が求められる役割を考えた上でのもので悪意があったわけではないが、その見た目も悪影響を及ぼしていた。

元配下であるボーガン達に対しても、教え子であり、教師であり、同じ目的のために進む戦友であると考えている。

クリシェのことは溺愛しており、生きる楽しみ。

何の脈絡もなく邪悪な笑みを浮かべる際は大抵クリシェのことを考えている。

普段は軍学校の校長として若い貴族達に様々な事を教えているが、ガーレンの死により、自分の寿命についてを改めて考えていた。


いよいよ自分の寿命が来ても恐れはなく、クリシェが必死に自分の命を繋ぎ留めようとしてくれることが何よりも誇らしく穏やかな最期を迎えた。

誰からも恐れられた自分の最期とは思えないと、満足げに。


△歴史上

アルベラン王国元帥補佐。初代アルベナリア軍学校校長。

天才的と称される頭脳を持った軍人で、クリシュタンド軍に入る以前から数々の戦果を挙げていたが、政治的な圧力から軍団長として出世の道を閉ざされていた。

セレネ=クリシュタンドは偉大なる恩師であったと彼のことを語り、飛び抜けた天才である妹と議論さえ交わせる希有な人物としてその頭脳を称賛している。

ノーザン=ヴェルライヒもまたクリシュタンド軍における頭脳であり、将軍や自分達に戦術や戦略を叩き込んだ師であると語った。

特にアルベリネアとも仲の良い人物であったと語られ、多くの手記にはガーレンと並ぶもう一人の祖父のように彼を慕っていたことが伝えられている。

セレネ=クリシュタンドと共に軍学校と参謀部を作り上げた人物であり、彼女と同様多くの戦略、戦術指南書を後世に残した。

今現在もそれを元にした指南書が多く残されており、軍事的教育を施された人間で彼の名を知らない者はいない。

アルベリネアの偉大な兵器により、この先戦場の未来として散兵戦術が活発化していくことになると予見しており、クラインメール末期の戦争において連合軍の戦術に大きな影響を与えていることから、千年先を見通す賢者として今も敬意を向けられている。


★戦闘指揮

攻撃、防御、遭遇戦。その全てにおいて非常に高い戦術能力を有しており、特に兵の指揮運用能力という点が他の者に比べずば抜けている。

普通の人間ではリスクの大きい奇策の類を容易に実行できる天才であるが、本人は単純な兵の動きこそが戦術の奥義であると考えており、訓練では集合散開を含めた行軍訓練をなにより徹底する。

敵の強きを受け流し、弱きのみを狙うという基本を重視し、細かい勝利と優位を重ねていくことで相手を圧倒するタイプで、性質上クリシェとは戦術面で相性が良く、互いに役割分担がしやすい。


外見:スキンヘッド。暗い青の瞳。非常に痩せ身。骨の形が浮き出た顔。

鎧:鈍色のハーフプレート。

→クリシェ:時代の寵児となりえる才覚の持ち主。かわいい。目に入れても痛くない。

得意:戦術。ザイン式剣術。指揮運用。組織運用。

好き:戦術。庭の手入れ。花。子供。平穏。

嫌い:戦場での無能。

悩みごと:残されて行く愛しい者達の将来。



●クイネズ=リネア=カーザ 『秩序・中立』

配置換えを希望したい系男子。アルベラン王国元帥補佐直轄、独立軍団副官。アルベナリア軍学校校長。

何事もそつなくこなし、欠点がないことが欠点な小太りな副官。

上官エルーガを尊敬しつつも、厳しい要求と顔の怖さに自身の配置換えを希望しているが、その優秀さ故にエルーガが手放さず、逃れられずにいる。

元帥補佐率いる中央独立軍団の副官であり、単なる軍団長副官からは大出世をしたのであるが、エルーガからは逃げ出すことが出来ず何とも言えない気持ちになっている。


エルーガの死後、その跡を継いで軍学校の校長となる。

あれだけ面倒ごとを嫌がっていたにも関わらず、エルーガにそれを任されたことは彼の一番の誇りであり、その後は精力的にその発展に取り組んだ。

その後生まれた子の一人にエルーガと名付けている。


△歴史上

エルーガ=ファレンの後継者として名を残す。

彼の副官として長年戦場を共にしており、参謀部と軍学校の創設に初期から関わった人物で、二代目校長。

エルーガ=ファレンの凶相とは真逆、穏やかな顔立ちだが、彼と同じく頭脳明晰なる人物であったと知られており、参謀教育に関しては直接彼が指導することも多かったと言われている。

ファレンの撒いた種を芽吹かせた人物として語られ、彼の死後は各地に軍学校を作り、系統だった軍事的教育を広めた。

自著でエルーガ=ファレンを指し、『時に憎んですらいたが、気付けば心の底からの敬愛を抱いているような、そういう不思議な人物であった』と語っている。


★戦闘指揮

長年エルーガの下で学んで来たため、戦術能力は非常に高くあらゆる戦況に対応する。

性格上無理は嫌い、常に自分の安全を第一とするが、その性格を見越したエルーガによく無茶振りをされることが多く、死地になればなるほど戦術が冴える。


外見:焦げ茶の髪。暗い青の瞳。太り気味。優しげな顔。

鎧:鈍色花彫りのプレートメイル。

→クリシェ:天才だが頭のおかしい少女。美少女。上官がぞっこん。

得意:指揮運用。組織運用。上官の心を読み取る。

好き:食べること。寝ること。行軍訓練。

嫌い:戦場。怖い上官。

悩みごと:エルーガの期待に己が応えられたか。



●キース=サルベシア=リネア=キルティンス 『秩序・中立』

寡黙ないぶし銀系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第一軍団長。中央軍将軍。王国極東方面軍将軍。

エルーガ=ファレン率いる第四軍団の出身者。

規律と統制こそが軍の強みと考え、行軍、陣形転換訓練に重きを置く堅実な大隊長。

能力的に特段秀でた点はないが広い視野の持ち主で、どのような状況でも冷静さを失わず、確かな決断力を有する優秀な軍人。

自身の大隊を囮として使われ優秀な兵員の多くが見捨てられたことに憤りを覚えていたが、副官相当の役割を与えられたことで持ち直し、クリシェがどういう人物であるかを計りかねている。

彼の感情はともかく、キース自体はクリシェが好むタイプの軍人。

内戦中は軍団を副官相当の扱いで任され、現在は第一軍団長として認められ、クリシェに嫌われていると感じていた以前に比べればクリシェに対する態度は軟化。

彼女の行動理念を理解しはじめ、冷酷ではあるが決して非道ではなく、狂った善良さだけが根本にあるのではないかと感じ始めている。

それを証明するように、戦争が終わってからのクリシェは姿通り愛らしい子供のようで、彼女が戦場に出ざるを得なかった悲劇を呪った。


エルスレン解体戦争での功績を認められ、将軍に昇格。

統一戦争後は大陸東部の一角を任される将軍として過ごした。

民衆のため、そして彼女のために、忠実なる王国の軍人として再び大陸が戦渦に見舞われぬようその目を光らせ続けることになる。

彼女が彼の所を訪れると笑顔を見せ、心からの歓待を行った。


△歴史上

アルベリネアの部下であり、将軍。

実直な人物で彼女から信頼され、指揮の代行を任されることも多く、戦後は極東方面の将軍として終生を過ごす。

アルベリネアについて、『計算高く冷酷無比な指揮官であり、かと思えば誰より平穏を愛する心優しい少女でもあった』と手記に残している。


★戦闘指揮

視野が広く、冷静さを失わない指揮官。

決して無理はせず、小さな勝利を積み重ねて大きな勝利を手にすることを信条とする。

特に秀でた点は存在しないが、反面苦手もなく、あらゆる状況に対し柔軟な対応を行える。

その無難さと安定感がクリシェの好みで、よく指揮を丸投げされる。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。焦げ茶の瞳。痩せ身。深い皺の刻まれた顔。

鎧:銀色のハーフプレート。

→クリシェ:歪な天才。戦場ではいかに冷徹で冷酷であろうと、本来は見た目通りの子供。

得意:指揮運用。訓練。事務処理。

好き:釣り。山登り。

嫌い:酒。

悩みごと:自身がその後何年の平和に貢献できたか。



●バーガ=ミスレル=リネア=クルトス 『秩序・善』

正義感強い熱血系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第一軍団長副官相当の第一大隊長。王国極東方面軍将軍。

ノーザン=ヴェルライヒ率いる第一軍団の出身者。

英雄ボーガン=クリシュタンドに憧れた下流貴族で、ボーガン、そしてその娘セレネに心酔する男。

能力は優秀であるが正義感が強すぎ、不正の類が許せず、兵士を単なる数字として扱う人間を嫌う。

そのためセレネに対しては強い忠誠を誓うもののクリシェとは折り合いが悪く、竜の顎で殿を申し出た第三大隊を囮に使ったクリシェとの間に深い溝が出来ている。

今もその時感じた彼女への畏れや悪感情が全て消えているわけではないが、第三大隊長キースを副官とし、第一軍団長に昇格させた姿を見て、あのことに関しては言葉通り、彼女が望んだ結果ではなかったのかも知れないと思い直そうとしている。

指揮官不足のため、第一軍団の第一大隊の指揮を執りながら第一軍団の副官を兼任する。

今もなおクリシェの冷酷さに共感はできないが、五大国戦争の結果を振り返り、彼女の持つ一つの正しさについては理解を示している。


キースの将軍昇格に伴い、彼もその副官へ昇格。

統一後は彼と共に極東方面軍の将軍となり、乱れる極東部の治安維持に努めた。

クリシェの活躍や大陸を統一し平和をもたらした偉業を眺め、彼女が過去に行った選択一つにこだわる己の小ささを見て、最終的にその怒りと憎悪を捨てることを決める。

永遠に恨み続けるには、あまりに彼女は私欲がなく、穢れがなかった。


△歴史上

アルベリネアの部下であり、将軍。

自身の手記にてアルベリネアについて書き残したとされているが、現存しておらず、それを元にした研究文が残っているのみとされている。


★戦闘指揮

人望厚い指揮官。

兵に無茶を命じる際は必ず自身をそれの例外とせず、共に血を流し兵を鼓舞する。

個人としての戦闘能力も高く、体力もあり、兵には彼に惹かれるものも多いため新兵であっても士気によってその能力を底上げ成果を挙げさせる。

クリシェとは性格が水と油な問題がある。


外見:濃い茶の短髪。焦げ茶の瞳。大柄。毛むくじゃらな四角い顔。

鎧:鈍色のプレートメイル。

→クリシェ:誰より優れるも、戦場に出してはならない子供。

得意:鼓舞。ロールカ式剣術。後方指揮。

好き:鍛練。英雄譚。戦史。

嫌い:兵士を人間として見ない者。

悩みごと:軍人のあるべき姿。



●ベーギル=カルトリクス=ビージェリネア=サンディカ 『混沌・中立』

ちょっとスケベな大隊長系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第三軍団長。王国中央軍将軍。ふりふり。

兵卒からの叩き上げで、かつてはグランメルド=ヴァーカス率いる『狼群』の副官。

類い希なる美少女セレネとクリシェの下で働きたいという半分下心、半分忠誠心からクリシュタンド軍に残留した自由人。

能力は非常に優秀で、『狼群』に入ってからは長年最前線での厳しい戦いを行ないながらも大きな怪我もなく、地獄の戦場をくぐり抜けてきた猛者であり、グランメルドなどの怪物一歩手前の実力者。

美少女と美女観賞が趣味であるが、妻が怖く手は出せない。

元々軍団長を任せるには十分な能力があり、アウルゴルン=ヒルキントスを捕えたこともあって順当に第三軍団長へと昇格した。

五大国戦争の後、さりげなくガーターベルトを妻に購入することを勧めたが、理由を詰問され隠しきれず、丸一日正座をさせられた。


将軍として十分な力量を備えていたが、軍団長としてクリシェと共にエルスレン解体戦争、統一戦争を同行。

多大な戦果を挙げつつも極東方面軍総司令への昇格という栄誉も不相応として断った。

うんざりとしたセレネに詰問され、アルベリネアの剣として生涯を過ごしたいという下心の見え透いた返答により、ようやく諦められ、中央軍将軍に任命。

エルザルド=ゴッカルスが彼に代わり極東方面軍総司令へと昇格した。

戦後も精力的に働き、何かとクリシェにご褒美をもらいたがることから、餌を前に尻尾を振って喜ぶ犬のようだと『ふりふり』という愛称を与えられた。とても喜んだ。


△歴史上

コルキス=アーグランドと並び、アルベリネアに忠誠を尽くす武人の鑑。

数々の武功を挙げた有数の指揮官でありながらも長くアルベリネアの下で剣を振るっており、個人的な忠誠によるものと考えられている。

同軍に所属したキース=キルティンス達も彼の優れた才覚、経験から、彼に先んじて将軍位に上がることを思い悩んだとされ、アルベリネアの剣として生涯を過ごしたいとする彼の言葉に『高潔なるアルベリネアの剣』であると書き記した。

アルベリネアに絶対の忠誠を誓った彼の忠義溢れる姿は多くの兵から尊敬を集めており、いくつかの手記にアルベリネアと過ごす彼の姿が残されている。

ただ、セレネ=クリシュタンドは軍人としての彼を褒め称えながらも、『普段の人間性はともかく』という前置きを使っており、彼女がそう記した意図については意見が分かれている。


★戦闘指揮

元々狼群出身、グランメルドの副官であった彼は享楽的な性質があり、戦闘狂の一面がある。

笑いながら敵を斬り殺す異常者であり、敵の隙間を抜く能力に長け、乱戦指揮能力においては群を抜く。

機動力を活かした戦いを好むため、陣地防衛などではやる気が出ない。


外見:白髪交じりの黒髪。焦げ茶の瞳。細身筋肉質。白髪交じりの髭。

鎧:銀女神のハーフプレート。

→クリシェ:見てるだけで心洗われる美少女。スカートから見える足がいい。無防備。靴下と太ももの作る犯罪的な魅惑の段差が(

得意:ザイン式剣術。前線指揮。鼓舞。人心掌握。覗き見。

好き:美の観賞(健全)。優しい妻。ガーターベルト。

嫌い:お触り。怖い妻。

悩みごと:エプロンドレスで世話を焼いてくれるベーギル専属使用人クリシェをもっと見たかった。



●ファグラン=リネア=アルハジード 『混沌・中立』

ちょっと声がうるさい系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第三軍団長副官相当の第一大隊長。王国中央軍将軍副官。

グランメルド=ヴァーカス率いる『狼群』の出身で、野盗時代からの部下。

グランメルド同様戦闘狂で、最前線での命がけの戦いを何より好む異常者。

クリシェと過去訓練で手合わせしたことがあり、完膚なきまでの敗北を味わった結果その腕に惚れ込み彼女のいるクリシュタンド軍への残留を決めた。

殺し合いというより腕比べを好む面が有り、実力者によく手合わせを申し込む。

これまでの手柄を考えれば第四軍団長に昇格させることも可能であったが、彼自身は自身にその器はないと感じており、元上官であるベーギルの下につくことを望んだ。


ベーギルの昇格に伴い彼も昇格。

何かと建前を重ね、駄々を捏ねてクリシェと離れたがらないベーギルを説得したりと色々苦労しつつ相変わらずの上官に付き従い、その後を過ごした。

戦場働きを終えたベーギルはもはやただの助平なだけの老人であったが、なんだかんだでそれに付き合う穏やかな日常も悪くない気分であったらしい。


△歴史上

ベーギル=サンディカの副官。

元狼群出身者で、彼が信頼を置いた副官であったこと以外は特筆すべき逸話は残っていない。


★戦闘指揮

正面対決を何より好み、力の限りを尽くし押し合うような戦いを何より好む。

逆境という言葉が好きで、追い込まれるほど力を発揮するが、受け流されるのは苦手。

野盗上がりのため、後方攪乱も得意。


外見:濃茶の短髪。焦げ茶の瞳。筋肉質。熊のような顔。

鎧:鈍色狼のプレートメイル。

→クリシェ:美しき剣の天才。その戦術の巧みさと合わせ尊敬の念を抱く。

得意:ロールカ式剣術。組み技。前線指揮。鼓舞。

好き:腕比べ。重量挙げ。

嫌い:臆病者。

悩みごと:死ぬときまで変わらなかった上官。




●ガインズ=リネア=トスカ 『中立・中立』

茶目っ気溢れる老け顔系男子。王国中央軍アルベリネア直轄弓兵大隊長。

エルーガ=ファレン率いる第四軍団の出身者。

弓兵主体の大隊を指揮する猟師上がりの人物で、第一軍団の大隊長では唯一魔力を扱えない人物。

しかしそれを補って余りある才覚を有し、兵卒からその頭脳と指揮能力で大隊長へと成り上がった。

常に冷静に、慎重に――そして大胆に。

狩人としての経験を活かした弓兵の運用は見事の一言で、第一軍団の大隊長達からは一目を置かれている。

戦場でもユーモアを忘れず、何かと冗談を口にするのだが、時々滑る。


クリシェが好む機動防御を行なう際、軍団に縛られず手元で運用出来る弓兵隊が欲しかったことがあり、各軍団からの指揮系統から離れたクリシェ直轄の弓兵大隊長へと昇格した。

ガーレンがいなくなり、自分も退役の時期が遠くないこともあって、後進育成に励んでいる。

気遣いを覚えたクリシェが最近真面目に冗談の説明を求めるようになって辛い。


エルスレン解体戦争を前に体を悪くし、眠りについた。

死ぬまでに自分の冗談でクリシェを笑わせようと努力したもののそれは叶わず、しかしなんとかクリシェを笑わそうと病床でも謎の努力を続ける彼に対し、クリシェは困ったような笑いを零した。


△歴史上

アルベリネア直轄の弓兵大隊長。

大隊長には珍しい非魔力保有者であったと伝わっている。


★戦闘指揮

無理をせず、けれど機を逃さず。

ガーレンと似たタイプの指揮官で、伏撃奇襲を好み、正面対決を嫌う。

狩人由来であるクリシェの戦術思考によく理解を示しており、クリシェとしては使いやすい大隊長。


外見:後ろで結んだ白髪混じりの黒髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。皺の多い老け顔。細い目。

鎧:革鎧。

→クリシェ:冗談の通じない可憐な少女。常に裁量を預けてくれる優秀な指揮官。

得意:弓術。短剣術。弓兵指揮。後方指揮。

好き:狩り。釣り。木登り。

嫌い:街中。

悩みごと:単に彼女の笑顔が見たかったのだと死に際に気付いた。



●アレハ=ガシェアリネア=レーミン 『秩序・善』

英雄追っかけ系男子。エルスレン神聖帝国元将軍。元サルシェンカ公爵家。アルベリネア直轄軍第四軍団長。王国中央軍将軍

大貴族の三男に生まれ、兄に追いやられるように軍に預けられた男。

軍に預けられてからは若くしてその才覚を発揮、百人隊長の時分から無数の戦果を上げ、若くして『聖騎士』の称号、そして将軍の地位を得た。

王国の英雄ボーガン=クリシュタンドとの戦いには大隊長の時分に二度、軍団長の時分に二度参加しており、常にめざましい活躍を見せるが、クリシュタンド軍の段階的後退と苛烈な攻めにより本陣が耐えきれず、その全ての戦いに敗北している。

ボーガンに対し強い敵意を持ちながらも、それに比例した強い憧れを持っており、彼の関わる戦場の記録を買い集め、時には実際にその場へ足を運び、その戦術を研究していた。


先日の侵攻の際、クリシェに惑わされクリシュタンド軍に大敗を喫した。

それによって優位にあった神聖帝国は後退を余儀なくされることとなり、彼を疎んでいた者達にその責任を追及され、処刑こそ免れたものの領地没収、将軍、聖騎士の位を剥奪。

生家であるサルシェンカ家から勘当されている。


若さを除けば非常に優秀な人物であったが、その能力の高さ故に疎まれた人物。

贅沢を慎み、孤児院の設立などに金を用いる善良な人物で、民からも英雄視されていたがその人気が敵を作る結果となった。


その後旅の途中クリシェと出会い、彼女に誘われる形で王国軍人となる。

ボーガンの死で目的を見失っていた彼は、彼女と出会うことで新たな目的と戦う理由を見いだし、再び武人としての道を歩み出した。

その持ち前の向上心からクリシェと会う度手合わせを申し込むため、基本的にクリシェからは避けられている。

そのため半ば意地となっており、あの手この手でクリシェが逃れられぬ状況を作り出し、隙あらば彼女を終わりなき訓練に引きずり込もうとする。


多大な軍功と能力を認められ、禊ぎを終えたと見なされたことで第四軍団長の昇格、リーベラの姓を与えられた。

現在は中央将軍、テックレア=レーミンと良い関係を結んでおり、隠し事の出来ない彼女の不器用さと真面目さに愛情を感じ始めている。

身分的な問題を考えつつも密かにセレネに話を通し、プロポーズを行い、最終的に二児を儲けた。


ヴェズレア戦後、二人目を妊娠し、育児に集中したいとするテックレアの希望もあり、それを引き継ぐ形で中央軍将軍へ。

エルスレン解体戦争、統一戦争においてもジャレィア=ガシェアを鮮やかに運用、戦果を挙げ、名誉爵位の異名を授けられる際、クリシェが『じゃらがしゃリネア』という謎の称号を思いついたことが切っ掛けでガシェアリネアという名誉爵位を得る。

その後はテックレアと仲睦まじく過ごし、老齢による彼女の最期を看取った。

レーミン家自体は息子が継いだものの、彼自身は息子よりも長生きし、慌ただしく各地を走り回った後、孫の爵位継承を見守ったあと眠りについた。


初代魔術研究院長、ティル=ラミルの孫――エルゲインスト=ラミルという若き天才魔術師の存在を早くから知っており、クリシェが『そこそこ優秀』だと語ったことを耳にしていた。

そして彼がアルベリネアの残した魔水晶の研究と模倣を熱心に行っていることから、この先魔術師達の時代が訪れることは間違いないと考え、彼と話をし、その人格を見定め、魔術研究院とラミル家に資金援助を行うことを決める。

いずれアルベランが崩壊することは間違いない。

彼は孫と曾孫に二人が帰ってこないこと、アルベランが長くは持たないことを伝え、アルベランにこだわらず新たな時代のために動きだすように語った。

彼の死後、エルゲインストの魔導兵器掌握と、彼が国家転覆を考えていることを知った当時の当主、彼の孫に当たるワルツァは友人であったエルゲインストの蜂起に協力し、王都制圧を補佐、議会の無血占領を実現させ、国家掌握を進めていくことになる。


☆お引っ越し後

彼女らが旅立って三十年近く、その後始末に奔走した。

そしてその後彼女らがもたらした大陸の平穏を、混沌の泥沼に飲み込ませぬよう事前の根回しを各地で行っている。

彼女が旅立った先でその選択を後悔しないよう、安心して新たな時代を人々に任せ、心からその平穏を愛せるように。

そうするためには変革は必ず、大いなる力によって、極めて短期間で行われなければならないのだと彼は知っていた。


△歴史上

元エルスレン神聖帝国将軍にして、アルベラン将軍。

その軍事的才覚はノーザン=ヴェルライヒにすら等しいとされるアルベラン末期の名将であり、女王やアルベリネアの信頼厚い人物。

エルスレン時代から公明正大な人物として民衆から評価されているが、彼が真なる忠臣であったかどうかに関しては意見が分かれている。

エルスレンから敵国アルベランに渡り、アルベリネアとレーミン公爵に取り入り、晩年にはエルゲインスト=ラミルの後援を行ったことなどから、彼が野心溢れた奸雄であったとする見方も多い。

クラインメール建国時、その味方をしたのはまず王国中枢で絶大な権力を持っていたレーミン家であり、エルゲインストの速やかな権力掌握はその後押しによるものが大きい。

彼が存命中各地を巡っていたのはその根回しもあったのではないかと語られている。

事実クラインメール側についた貴族達は驚くほどに多く、まるで予定されていたかのように国家の体制移行はクーデターとは思えぬほど速やかに行われた。

ただし、それが大きな障害なく成功したことが結果的に混乱の収拾に繋がり、その後千年近い安定に繋がったことは確か。

彼は二人が帰還しないことを知っており、だからこそ、その後の安定のために行動していたのではないかと考えるものも学者の中にはあり、その評価が分かれる原因となっている。

彼を真なる忠臣と見なすか、乱世の奸雄と見なすか。

意見は真っ向から分かれているが、少なくとも当時の手記や記録において、彼がアルベリネアに心からの敬意を向けた一人であり、彼女が深く信頼を向けた一人であったことを疑う記述は残っていない。


★戦闘指揮

ボーガンを敵として尊敬しており、彼の戦闘記録を読みあさり吸収。

元々の才覚もあり一軍の将として不足ない非常に優秀な能力を持っているが、若さ故に甘い部分が残る。

総合的な能力はノーザンに近く万能型。

どのような状況であっても不得意はなく平均以上の結果を叩き出すが、どちらかと言えば主導権を握りやすい攻撃に適性がある。


外見:茶金の髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。美青年。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:変わり者で面倒くさがりな少女。どこまでも純粋で美しい。空の果てにて永遠に自分を照らし続けるもの。

得意:エルカファレスト槍術、剣術。撤退戦。戦術。

好き:栄光。善行。純粋なる信仰。ボーガン=クリシュタンドの戦術。クリシェとの手合わせ。テックレアの百面相。

嫌い:権威を笠に着る悪党。

悩みごと:彼女らがあちらで幸せに過ごせているかどうか。




●ワルツァ=リネア=トルバス 『秩序・善』

自分の人生は若さまのもの系男子。エルスレン神聖帝国元将軍補佐。元サルシェンカ家軍事指南役。黒旗特務中隊訓練指南役。アルベリネア直轄軍第四軍団副官。

サルシェンカ家の分家に当たるグリズランディ家の当主で、優秀な指揮官。

将軍として一軍を任せられる器であったが、政治的能力に欠け、出世の道は拓けず、一線を退いてからはサルシェンカ家で軍事指南役として働いていた。

アレハが幼い頃からの付き合いで、彼の才覚とその理想を追い求める純粋な一面に魅せられ、彼の個人的な部下となっている。

アレハのこれまでの人生、そのほとんどを側で支えており、彼の理解者。

彼に対する神聖帝国とサルシェンカ家の扱いには誰より憤り、王国から神聖帝国に戻った彼は自ら領地を返上し、アレハの下へと行った。

クリシェによって左腕を切断されている。


アレハと共に王国軍に誘われ、黒旗特務中隊では指南役として剣術や槍術の訓練を見ていたが、戦後には第四軍団副官へ昇格した。

戦闘時における義手の利点について考えており、ダズやネイガル達と共に改良を重ねながら議論を繰り返している。

近頃はアレハとテックレアの関係を文字通り見守っており、二人が結婚し、その子供を腕に抱くことを目標に長生きすることを誓った。


アレハとレーミンの子、アルサングが生まれてからは眼に入れても痛くないとばかりに可愛がり、ヴェズレア戦後はアレハからその子守役を頼まれ、軍を退役。

テックレアの副官、ミルカルズとどちらが気に入られるかで張り合った。

ミルカルズが先に旅立ってからは自分も遠くないうちに死が訪れることを理解し、彼の分もとアルサングの教育に力を注いだ。

アレハの戦場での活躍や彼の主君であるクリシェのことを語り聞かせ、剣と槍の基本を教え――そうしてミルカルズが旅立って数年後、彼も眠りにつき、長子アルサングはその思い出から、後に生まれた長子にワルツァと名付ける。


ワルツァ=レーミンはその後、エルゲインスト=ラミルに協力し、千年帝国クラインメールを作り上げることになる。


△歴史上

ワルツァ=レーミンの名前の由来となった人物。

エルスレン時代からアレハ=レーミンに付き従った勇猛な武人とされているが、そちらに関する記録はあまり残っていない。

アルズレン川の戦いにおいてクリシュタンド軍と戦い、当時十四のアルベリネアに左腕を斬り落とされているが、逆に彼女が殺し損ねた猛者として有名となっている。

アルベランに迎えられてからはアルベリネアより魔導義手を与えられ、その改良を彼女の抱える黒旗特務の負傷兵達と共に行っており、仕込み刃やバネで射出される鉄杭などを内蔵した、ワルツァ式と呼ばれる武装義手の開発を行っている。

現在においてもこの発展型が使われており、特に義肢職人の間ではアルベナリア工廠責任者ネイガルと共に知名度が高い。


★戦闘指揮。

軍事指南役であり、その戦術知識は幅広く造詣も深い。

アレハを補佐するという目的を第一としているため表に出ることはないが、優秀な将官として十分に活躍出来る能力を秘めている。


外見:白髪に染まった短髪。焦げ茶の瞳。筋肉質。高い鼻。細い目。髭。隻腕。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:実力に反して幼く不憫な娘。恩人。若さまのお気に入り。

得意:エルカファレスト槍術、剣術。指導。訓練指揮。統率。

好き:忠義。名誉。教えること全般。

嫌い:法王庁。サルシェンカ家。

悩みごと:なし。

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