人物紹介 ※九章までのネタバレ含む



・属性

秩序――規則と規律、普遍的概念を重んじ、整えられた社会と法を重視する。

混沌――個人とその感情思考を重んじ、社会的規律、道徳よりも意志を重視する。

中立――中間。


善――利他的気質。自身の利益よりも自分の信じる道徳を重要視し、それに殉じる。

悪――利己的気質。自身の利益を重要視し、そのために他者を蹴落とすことを厭わない。

中立――どちらにも振れない中庸の気質。



・王国貴族の名前の見方

例:1,ギルダンスタイン=2,カルナロス=3,ヴェル=4,サーカリネア=5,アルベラン

1,名前:ギルダンスタイン

2,管理する地域の中で最も大きな土地:カルナロス。

本来は管理地域全てが入るため非常に長く、簡略化される。

3,王位継承権を持つ男性の王族はヴェル、女性の王族はヴェラ

4,名誉爵位:サーカリネア

5,姓:アルベラン


正式には4と5の間に元帥や将軍などといった軍階級、宰相など王宮での役職を示す言葉が入ったり姓の後に大公爵などといった爵位を示す言葉が入ったりします。

ただ、既に横文字が長くて目が滑るので、文中ではわかりやすさ重視でその都度必要な階級役職を末尾につけ漢字表記しています。


基本的に姓以外は必ずしも子供に継承されるものではないですが、特に問題ない限り慣習的にその嫡子が土地や爵位を引き継ぐことが多いです。

ただ、戦士としての武功を示す4の名誉爵位だけは引き継がれません。


姓を持たない人間がネア=準騎士の略式叙勲を受けた場合、大抵は出身地を名乗る場合が多いです。

(例)ガーレン=ネア=カルカ。


・プロフィールの身長ワード

男性平均175cm前後、女性平均160cm前後くらいな設定です。

無記入:平均的身長

中肉中背:平均的身長

長身、大柄:平均より10cm程度高い。男性の場合六尺と書かれれば180超え。

小柄:平均より10cm前後低い。

比較的:平均値から見て長身/小柄は下振れ。

非常に:平均値から見て長身/小柄は上振れ。


・身長   大体   曖昧な想像

クリシェ 140後半 147

ベリー  150前半 152

セレネ  150後半 159

クレシ( 140後半(ま、まだ成長は終わってないですわ!) 

カルア  160後半 168~9

ミア   150後半 158

エルヴェナ160前半 161~2

アーネ  >160< >160<  






○九章終わりまで生存

●九章終わりまでに死亡


■――主要登場人物


○クリシェ=アルベリネア=クリシュタンド 『秩序・悪』

人を平気で殺せてしまう頭おかしい系女子。クリシュタンド家養女。主人公。アルベリネア。

『泣かぬ赤子』と呼ばれる王家の忌み子であり、抹消されたアルベラン第一王女。

殺されるはずのところを世話係の使用人ノーラに逃がされ、カルカの村で育つこととなった。

殺人や暴力に対し良心の呵責を覚えない共感性の欠如した異常者であったが、善良な人々に強い愛情を注がれた結果、人並みの倫理感や感情を理解できるようになってきた少女。

基本的に人の言葉を言葉通りにしか受け取れず、感情を読み取ることが不得手。

それを除けばあらゆる面で超人的な才覚を持つ文字通りの天才であり、一目見ればあらゆる技術を容易に吸収、発展させる能力を有する。


どんなことに対しても『自分なら出来て当然である』という考えを基本として行動し、自分の優秀さに対するこだわりが強く、努力家。

人間関係に対しても同様で基本的に損得勘定で行動するが、他人の感情を読み取ることが不得手な彼女は他者から自分に与えられたものを過大に評価し、逆に自分から他者へ与えるものに関しては過小評価する傾向がある。

そのため他者から向けられた純粋な好意に対してはある種過剰な『お返し』を自分に要求することが多く、それに必要な労力を一切惜しまない性質を持つ。

人間関係への苦手意識からの行動であるが、そうした一面は非常に善良と言え、彼女を単なる異常者と見るか純粋に過ぎる少女と見るかで評価が大きく異なる。


個人として敵うもの無き圧倒的な存在であるが、依存体質で精神的に幼く脆い。

周囲との関係を深め人間的幸福を得るほど精神的に弱くなる性質の人間で、精神的に自立し、他者に価値を置かなかった頃から比べると、彼女が望んだ『完璧な存在』からは徐々に離れていってしまっている。

だが自身が完璧であることに対する執着は薄れつつあり、様々なものを切り捨てた完璧よりも普通の人間のように様々なことを感じられる自分になりたいと考えている。

気持ちの上では少し大人になったと思っている節があるが、大体子供。


ベリーの舌に刻んだ味覚の魔術刻印と同様のものを、テスト目的で舌に刻んでいる。


★戦闘指揮

戦闘、戦術共に非常に攻撃的。

致命的損害を相手へ与えるための機動力を何より重視し、常に機動によって敵を攪乱し、罠に掛け、決して自分に不利な状況では戦わない狩人の性質を持つ指揮者。

最強の駒である自分を最大限活用し、敵指揮官を優先的に、問答無用に始末する『首狩り戦術』を好み、真っ向からぶつかってくる敵に対しては圧倒的と言えるほどの強さを誇る。

基本的に配下にはその最低限を求め一切の期待をしておらず、その上で勝利できるよう戦術を組み立てるが、にも関わらず常に最大戦果を目指さなければ気が済まないという悪癖がある。

普段は黒旗特務で補われてはいるものの、自身への負担が過剰となって体調を崩すことがよくあり、だというのに本人はいつも平気な振りをするため性質が悪い。

他の人がフォローしてあげないと潰れてしまう系はた迷惑指揮官であり、最強と言える彼女の唯一の欠点は非常に初歩的なところ――意地っ張りに過ぎて自分の体調管理すらまともにできないというお子様な部分にある。


外見:銀の長髪。紫の瞳。非常に小柄。細身。胸控え目。妖精的。舌に魔術刻印。

鎧:普段着に手甲、補強ブーツ。ガーターベルト。

→自己評価:とても賢くて優秀ではあるものの未熟な部分がまだまだ多い。ちょっとお馬鹿。ベリーの。少し大人。

得意:人殺し。魔術。計算。

好き:料理を含め家事全般。甘いもの。甘えること。キスやハグ、スキンシップ全般。お世話。ベリー観賞。お揃いにすること。寝酒。

嫌い:周囲の平穏を乱すもの。戦争。身内の死。

悩みごと:死という事象。



○セレネ=アルガリッテ=リネア=クリシュタンド 『中立・善』

真面目で愛情深い不憫系女子。クリシュタンド家当主。元帥。

武門の家クリシュタンドの一粒種。

女の身であることにコンプレックスを抱いており、英雄であり尊敬する父の後を継ぐために頑張る努力家の少女で、数年前までは男ではなく女である自分の身を呪い、圧倒的な才能の持ち主であるクリシェと出会うまでは周囲が不安に思えるほど過剰な努力を自分に課していた。

才能に反して幼く家庭的な彼女の面倒を見る内に、将軍の娘としてしか自分を捉えることの出来なかった彼女の視野も広がり、ささやかな日常を大切に思うようになっていく。


才能があり、努力家であるため非常に優秀ではあるが、基本的に苦労性で無理をしがち。

父である英雄ボーガンとその部下、そしてベリーにクリシェ。

優秀な人間に囲まれて育ったために自分を過小評価するきらいがあり、無理な努力を自分に課してしまうことの多い真面目で責任感が強すぎる性格。

暇になったら暇になったで勉学や執務に勤しむであろうワーカーホリック体質。

元帥になってからは忙しいが口癖になっているが、軍学校の設立など父の希望を叶えられることもあってやる気に満ち溢れている。


クリシェを妹として非常に可愛がっているが、その異常性に危うさも強く感じている。

彼女を戦わせること自体が自分の不甲斐なさだと思っており、彼女が戦場から離れ平穏な暮らしを送れるようにするのが目標。

クリシェを頼り、利用してしまう自分が嫌いで、しかし与えられる重責と状況がそれを許してくれず、悩んでいる。

ベリーに対し強い尊敬を抱くと同時、その能力や振る舞いにライバル意識や嫉妬心を抱いており、いつかぎゃふんと言わせてやるのが夢。


日常が訪れ、平和になったことを喜ぶが、仕事があってもなくても悩みごとが尽きない。


★戦闘指揮

元々攻撃的気質の持ち主であるが、常に自分の能力を疑っており無理をしない。

優秀な部下達の能力を最大限活かすことを重要視しており、クリシェとは真逆の視点から戦術構築を行なう。

奇策の類よりも兵の質や数で押しきる基本的戦術、連携を好み、戦略段階でその優位を確保することを重視する。

自身の能力を過小評価することは現在の立場からすればある種の美点ともなっており、他人の能力を素直に評価し役割を割り振る姿に政治的な色もなく、純粋な王国武官の長として評価され始めている。


外見:金の長髪。青の瞳。細身。胸普通。秀麗。

鎧:銀風銀翼のプレートメイル。

→クリシェ:お馬鹿で間の抜けた子。可愛い。普通の子として生活させてあげたい。最近危うい。

得意:乗馬。指揮。

好き:剣術。読書。クリシェを可愛がること。

嫌い:戦。自分の無力さ。

悩みごと:悩みごとが尽きないという悩み。



○ベリー=(リプス)=アルガン 『混沌・善』

世界よりクリシェ様系女子。クリシュタンド家使用人。

事業の失敗で没落したアルガン家の娘。セレネの叔母。

元々は病弱であり、そのせいもあって自己評価が極めて低く気性は内向的。

自身の体のことで他人へ迷惑を掛けることを気に病んでおり、幼少の頃は他人が自分を気遣わないで済むようわざと素っ気ない態度を取っていたが、使用人達から嫌われるほど余計にその心を病み、いつからか自分の死を願いながら生きるようになっていく。

家が没落し、クリシュタンドにやってきて体の問題が解消されても彼女の自己嫌悪は募るばかり。

敬愛する姉に真面目過ぎるセレネの面倒を頼まれた彼女は、姉の代わりになるよう明るく振る舞っていたがそれもまた上手くも行かず、何一つまともにできない自分を呪っていた。


クリシェと出会い、その純粋な愛情と好意を向けられることで救われた人物の一人。

表向き穏やかで人当たりが良いものの、アルガン家没落の際に若干の男性不信を患っており、内向的な気性も相まって人間関係には一線を引いている。

天才肌で要領が良く使用人にしておくには惜しい才能の持ち主であるが、その気性もあって使用人としての自分の在り方に満足しており、表舞台に出ることを望まない。

現状はその才能と情熱のほとんどを料理に向けており、ボーガンやセレネなどは常々彼女の才能が勿体ないと感じていた。


見た目にそぐわず頑固で、論理的に見えて感覚派。

良いと感じたことに関しては道理より感情を優先する面がある。

クリシェに対し強い愛情を抱いており、彼女の幸福を一番に考えているが独占欲も強くなってきている。

自己嫌悪が強く、元々内向的な彼女の愛情は依存気質が強いものであるが、対象のクリシェも同様の気質のため手に負えない。


最近では色々と吹っ切れており、クリシェが望むものが自分が望むもの。

それで良いと感じており、そしてそれは大きな間違いではないと信じている。

あるいは彼女と過ごす自分にこそ、求めていた何かを見いだしたのかも知れない。


自身と同じく舌に魔術刻印を施したクリシェに、何やらよこしまな念を抱いている自分が悩み。


外見:背中に掛かる赤毛。茶の瞳。小柄。胸大きめ。童顔可憐。舌に魔術刻印。

鎧:メイド服(ガーターベルトオプション)。

→クリシェ:誰より綺麗な存在。生きる目的。ずっと側にいて欲しい。

得意:料理を含めた家事全般。礼儀作法。屁理屈。護身術。

好き:料理を含めた家事全般。教えること。クリシェを愛でること。

嫌い:利己的な人間。自分。

悩みごと:妙に酒を勧めてくるクリシェ。



○クレシェンタ=ファーナ=ヴェラ=アルベラン 『秩序・悪』

人を平気で毒殺してしまう頭おかしい系女子。アルベラン王国第一王女。

『泣かぬ赤子』と呼ばれる王家の忌み子であったが、ノーラという使用人の機転により一命を取り留め、王女として育てられる。

クリシェと同様高い知性を代償に共感性が欠如しており、利己的な殺人に良心の呵責を覚えない少女。自分が権力を握るために都合の悪い実父や弟、使用人などを様々な手段で殺害しており、保身のため手を汚すことにためらいがない。

生まれてすぐ忌み子として殺されかけた結果、自分が常に命を狙われる立場にあるという強迫観念に支配されている。ある意味クリシェ以上の異常者と言えるが、王宮で育った彼女は病的なまでに演技力が高く、その異常性が露見していない。

実の姉であるクリシェを唯一自分と同列の存在であると認めており、協力し合えると感じた彼女は国王殺害の濡れ衣を叔父ギルダンスタインに被せ、クリシュタンドへ身を寄せた。


クリシェやそれを取り巻くベリーやセレネと交流を持ち信頼関係を築いたことで、彼女の内面にも変化が生じている。

頭を空っぽにして初めて得られる幸福に気付いたこともあって、近頃は随分と丸くなった面があるが、本質的な性質や強迫観念は失われていない。

クリシェ以上に安心と平穏への執着心が強い。

彼女の殺意は安心への強い執着と強迫観念に由来するもので、快楽殺人者というわけではない。

近頃は精神的に落ち着いて来ている。


案の定1/1クリシェで成長が止まった。


外見:赤みがかった金の長髪。紫の瞳。非常に小柄。細身。胸控え目。妖精的。

→クリシェ:世界で唯一自分と同列の存在。結構お馬鹿で心配。甘える相手を間違えている。もっとわたくしに甘えるべきですわ。

得意:毒殺。謀殺。嘘。演技。人心掌握。計算。

好き:自分。甘やかされること。スキンシップ全般。クッキー。ご褒美。

嫌い:自分の安全を脅かすもの全て。胸の大きい女。

悩みごと:姉の巨乳好き。





■――クリシェ、もしくはクリシュタンド家に近い人物。



●ボーガン=アルガリッテ=ヴェズリネア=クリシュタンド 『秩序・中立』

高潔果断な英雄系男子。セレネの実父。ベリーの義兄。故人。『迅雷』。

落ちぶれた男爵家であったクリシュタンド家を一代にて辺境伯の地位に押し上げ、兵長から将軍へ成り上がった王国の英雄。

叩き上げゆえに軍の様々な問題点を知っており、一人の軍団長に対し戦術的頭脳優れた複数の副官を与え処理の分担化を行ない、その能力水準を高めることに成功した。

苛烈な攻撃と段階的な戦術後退、華やかな戦術に定評があるが、クリシュタンドの強みはその場の戦術ではなく、事前準備による情報処理能力の高さにあると考えている。


今でこそ落ち着いているが若い頃はよく無茶を行ない、最前線にて剣を振るうことを好む戦士。

その荒々しい剣技によって無数の敵をなぎ倒し、突き進む姿から兵達に『迅雷のクリシュタンド』と呼ばれていた。

貴族には珍しく死んだ妻に操を立て、妾を取っていない。


王弟ギルダンスタインとの一騎打ちの果て死亡する。


★戦闘指揮

元々攻撃的気質の持ち主で優秀な前線指揮官であるが、妻を持ってからはそれを戒め、常に部下達の能力を最大限活かす指揮者であることを重要視。

個々の特質を見極め、彼らを利用した大胆な攻勢、後退により、味方の優位となる戦場の劇的な混乱と変動を生じさせることこそが一軍の将が成すことであると考えている。

それを成すためには各級指揮官の能力底上げが重要であるとし、百人隊長には大隊長の、大隊長には軍団長の視野を持つことが出来るよう、常に配下達へは一階級上の教練を行っていた。

引き際の読みが非常に上手く、不利な状況でも撤退戦で失敗を犯したことがない。


外見:白髪交じりの金髪オールバック。青の瞳。大柄筋肉質。精悍な強面。口ひげ。

鎧:鈍色鷹のプレートメイル。

→クリシェ:類い希なる才能を持つ麒麟児。歪だが優しい娘。

得意:ロールカ式剣術。組織構築。指揮運用。

好き:戦史。酒。娘。

嫌い:政争。過激派。

悩みごと:娘に見合うこれはと思える青年がいないこと。ベリーの貰い手。


●ガーレン=リネア=カルカ 『中立・善』

質実剛健な無愛想系男子。クリシェの義祖父。ボーガンの元上官にしてアルベリネア直轄軍副官。

かつては一兵卒から成り上がった才覚溢れる百人隊長であり、魔力素養を持たぬ身でありながらボーガンと共に数々の武功を挙げた傑物。

部下からの尊敬を集め、将来的に将軍を狙えるほどの実力を持っていたが、上官の命令で村を焼いたことを悔やみ軍を辞した。

その後は故郷であるカルカの村で狩人をしており、娘夫婦、そしてその養女クリシェと共に平穏な日々を送っていたが、賊の襲撃で娘夫婦を失い、結果的にクリシェも村にいられなくなったことで彼女と共に村を出てボーガンの下へ身を寄せ、軍へ戻った。

クリシェがクリシュタンド家で理解者と幸せを見つけられたことを何より喜ぶ苦労人。


周囲に先立たれていく自分に対し思うところがあったが、生き残ったからこその役目があると思い直し、努力を続ける。

最近は不器用なアーネの姿に愛娘の姿を重ねていた。


五大国大戦後も精力的に働いていたが、幸せそうに日々を過ごすクリシェにふと気付き、自分の役目が終わったと悟ると倒れた。

多くの大切な者に先立たれ、己の無力さに後悔を重ねた老人は、誰より大切な孫娘に見守られて旅立つ己の最期に満足し、微笑みながら息を引き取る。

本当は己の無力が許される日が来ることを、自分は望んでいたのだと。


★戦闘指揮

決して無理をせず、深追いもせず。

敵の決定的不利を作り出すまで機会を待つ、狩人の性質を持つ。

撤退、後退、奇襲――狩人生まれの彼は正々堂々という言葉からは真逆、相手の油断や隙を狙った戦術を組み立てるのを好む。

兵を死なさず相手を殺す。

無駄な兵の損失を何より嫌うが、機を見た場合には一転捨て身の攻勢を行なう両極端な指揮者。

視野が広く、乱戦指揮に長ける。


外見:雑に伸ばした白髪。焦げ茶の瞳。筋肉質。無愛想な強面。

鎧:鈍色のハーフプレート。

→クリシェ:人とは少し変わってはいるが、善良で誰より優しい娘。

得意:弓術。指揮運用。森。逆境。自分を見失わないこと。

好き:酒。狩り。道具の手入れ。

嫌い:非道。

悩みごと:なし。




○アーネ=ギーテルンス 『中立・善』

洒落にならないドジっ子系女子。クリシュタンド家使用人。

侯爵家生まれの令嬢。様々な家庭教師がつけられ英才教育を施されたが芳しくなく、将来を危ぶんだ両親により王領使用人として行儀見習いへ出された。

が、そこでクリシュタンド家使用人ベリーと遭遇。

彼女に心酔し、両親が頭を下げて取り付けた王領での使用人の立場を投げ捨て、勘当寸前になりながらもクリシュタンド家使用人となった。

頭は悪くなく、不器用というわけでもないが、あがり症、妄想癖、勢い先行の彼女は重要な場面で失敗をすることが多く、周囲をよく苛立たせる。

性格は真面目で善良、家柄、見目も悪くなく、黙って座っていれば引く手数多であるのだが、黙って座っていることが出来ない気質。

近頃クリシュタンド家の背徳的な現実を目の当たりにし、妄想が止まらない。


何かと自分に優しく褒めてくれるガーレンに懐いており、密かに自分と似た雰囲気の漂うミアとお話ししてみたいと思っている。

頭角を現した才女、エルヴェナに危機感を覚えはじめた。


ガーレンが旅立った日から、暇を見つけてクリシュタンドのこれまでを書き記している。


外見:後ろで纏めた背中に掛かる程度の黒髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。かわいい。

→クリシェ:魔性のキス魔。尊敬する使用人の主人であり、妄想の中心。すごい人。

得意:そこそこの料理。そこそこの家事全般。そこそこの礼儀作法。好意的解釈。間の悪さ。

好き:妄想。クリシュタンド家。ガーレン。

嫌い:ここ一番に起きる自分の不始末。

悩みごと:いつか誰もが死を迎えること。



○エルヴェナ 『混沌・善』

奴隷な薄幸美人系女子。ロランドの元奴隷。クリシュタンド使用人。

王国南部の村出身で、村長令嬢。四姉妹の末子でカルアの妹。

街に出た姉を追って馬車に同乗したが、見失った姉を探す途中運悪く奴隷商に捕まり、見目の整っていたことからその体を売らされていた。

ロランドはその際の客で、今は彼に買われて屋敷の使用人として働かされていたが、クリシェによって救われ、クリシュタンド使用人として仕事を宛がわれる。


善良な気質ではあるが、過ごした環境から倫理感が少し壊れており、小悪魔気質。

クリシェには強い感謝の念と好意を抱いているが、鍋の横で踊る鶏のように無垢無警戒なクリシェを見ると時折悪戯心が湧く。

これまでの経緯から異性に苦手意識を持ち醒めているが、反面そうした行為に対する抵抗感は薄く、スキンシップの範疇が広い。

元々姉のカルアへの執着は強い方であったが、それまでの生活で悪化している。

ジャレィア=ガシェアに関してはクリシェの次に詳しく、知らない間に王国の重要人物。

これまでは使用人という立場を単なる仕事と捉えていたが、最近はベリーという目標が出来、やる気に満ち溢れている。


カルアの翠虎討伐の褒賞金によってクリシュタンドへの借金返済を終えたが、恩義を返せた訳ではないと変わらずクリシュタンド家に仕えている。


外見:肩で切りそろえた黒髪。焦げ茶の瞳。細身。胸大きめ。秀麗。

→クリシェ:恩人。純粋で可愛らしい方。色んな意味で綺麗過ぎて悪戯心が湧く。ベリー依存の理由が最近ちょっとわかった。

得意:家事全般。

好き:明るい人。純粋な人。可愛い人。長い髪。掃除。尽くすこと。

嫌い:客や主人と寝ること。

悩みごと:酒に酔ったミアが非常に大胆。



●ラズラ=クリシュタンド 『混沌・善』

鋼の精神力を持った運命論者系女子。クリシュタンド辺境伯夫人。ベリーの姉。

事業の失敗で没落したアルガン家の娘。セレネの母。

ベリーとは正反対の明るい性格で、意志が強く快活な女性。

正しいと自分が感じることであれば社会のルールすら気にせず突き進む破天荒な女性で、必要と感じるならば自分の身を犠牲にしても構わないと考えており、アルガン家没落時には商人や貴族達の悪意から幼いベリーを守るため迷うことなく自分の身を差しだした。

真面目で優しすぎ、自分を追い詰めるベリーに対してはつかず離れず、常に彼女の幸せを一番に考えている。

自分の先がないことを知った後もベリーが自分の後を追わないかを心配しており、セレネを頼んだのは親として子を思う気持ちも当然ながら、彼女に生きる目的を作る意味もあった。

二人目を死産し、その後産褥熱で死亡している。


セレネに似て不器用で、わりと大雑把。


外見:赤毛の長髪。茶の瞳。小柄。胸大きめ。秀麗。

→クリシェ:……誰かしら?

得意:屁理屈。論破。ルール破り。

好き:愛や信念などという言葉。運命。姉妹兄弟。

嫌い:金持ち。

悩みごと:セレネに妹や弟を作ってやれなかったこと。ベリーを置いて先に逝くこと。



■――黒旗特務中隊


○ミア=リネア=キルナン 『中立・中立』

優秀なのに扱い不憫系女子。黒旗特務中隊副官。

王国北部キルナン村の出身。離れてはいるがクリシェの拾われたカルカ村の隣村となる。

当初は出稼ぎ目的、持ち前の腕力と体力を活かし軍で荷物運びなどをさせてもらおうなどと考えてクリシュタンド軍に参加したが、その魔力素養と優秀さを見抜いたクリシェに引き抜かれ、いつの間にか最前線で戦わされている。

学はなく田舎の村娘といった程度の知識しかないが、地の頭は良く回転が速い。

誰に学ぶでもなく魔力による仮想筋肉構築を身につけておりあらゆるセンスに優れる逸材であるが、頑固でやや鈍くさい気質が影響してか、その剣の腕前は黒の百人隊では下から数えた方が早い。


肝心なところでぽかをすることが多い上、つい口答えをしてしまう性格。

要領の良い親友カルアとの対比から何かとやり玉にあげられやすく、理不尽に怒られることが多い。

村では人気者であったが自己評価が低く鈍感で、村の男から告白されたことも何度かあったもののそれと気付かぬまま全てふいにしている。

熱心なアプローチを行なっていた幼なじみに帰郷の際に改めて告白されたが、もう少し段階を踏んだ方が良いというありがたいアドバイスを与えつつ、黒旗特務を優先し断った。

帰郷してから一層黒旗特務への帰属意識が強まり、精力的に訓練に励んでいる。


翠虎襲撃に対処出来たことへ安堵を覚えながらも、カルアがいなければ死んでいたであろう自分の未熟に訓練の必要性を感じている。


★戦闘指揮

基本的な戦術については学び、頭も冴えて視野も広く、百人隊長としての能力的には非常に優秀。

魔力保有者で構成された部隊による乱戦指揮を学んでおり、単なる兵士とは違う彼等の能力を十全に操ることが出来る。

ただし常に部隊の兵の質が優位であることを前提としており、隊の優位を失うような同等以上の戦力を有する相手に対しては判断を誤ることが多く、予期せぬ状況に弱い。

兵の能力を活かした連携、連動による安定を重視する。


外見:肩まで伸ばした栗色の髪。青の瞳。平均的身長。起伏なだらか。かわいい。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:可憐で純粋で怖くて優しい軍団長。賢くて強いがお子様っぽく放っておけない。竜とお友達。

得意:機転。腕力。寝相と間の悪さ。投槍。

好き:睡眠。風呂。美人。黒旗特務。カルア。

嫌い:理不尽。

悩みごと:近頃エルヴェナの視線が険しい。



○カルア=リネア=ベリュース 『混沌・中立』

さばさばしてるようでわりと押しに弱い系女子。黒旗特務中隊特務班長。

王国南部のベリュース村出身。村長の娘。

元はお淑やかな村長令嬢。面倒見が良く利発な器量よしと評判の娘で、その気性から村中の者から慕われていた。

村の更なる発展のため縁故ある街の商人に商売を学ぶ予定であったが、末妹が奴隷商に攫われてしまい、彼女はその捜索のために全てを捨て各地を走り回った。

女の一人旅は楽なものではなく、様々な現実に身と心を摩耗させながらも数年に渡って旅を続けたが、力は及ばず手がかりは掴めなかった。

いつしか諦めが心に満ちていることに気付きながらも止まることは出来ず。

彼女は惰性のまま戦うことを選び、多くの奴隷商に通ずるとされる王族――悪名高きギルダンスタインと敵対するクリシュタンド軍に志願した。

面と向かってクリシェをうさちゃんと呼ぶ唯一の人間で、放っておけない子供のような彼女をよく面倒見ている。

攫われたエルヴェナを思っての代償行為の面もあったが、妹を救われたことで今では彼女に対し、心の底からの恩義と忠誠を誓っている。


一人旅での様々な経験から、はすっぱな口調と粗野な態度を好んで使い、男勝りな振る舞いを身につけた。

とはいえ生まれから礼儀作法の類はしっかりと身につけており、望めば淑女のように振る舞うことが出来る。

すれており色恋に興味がないが、わりと押しに弱い。


ミアや他のものと同様、黒旗特務の多大なる戦功によりリネア叙勲を受けた。

翠虎の討伐の褒賞として小さな村の管理権程度はもらうことが出来たが断り、一級市街にある小さな家と褒賞金を受け取り、クリシュタンド家への借金を返済した。


★戦闘指揮

頭の回転は非常に早く、咄嗟の機転が利き、指揮者としての適性を有する。

ただし自ら剣を振るうことを好み、視野狭窄に陥りがちな面が有るため、その能力を活かすためには最先頭ではなく中央後方に配置しておく必要がある。

個人レベルの連携という点では頭一つ抜けており、咄嗟に指示連携し他の兵と動くことが出来る。


外見:腰まで伸ばした黒髪。焦げ茶の瞳。細身で比較的長身。胸大きめ。秀麗。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:ちょっと頭のおかしい天才少女。優しくて健気な子。無防備すぎて怖い。永遠の忠誠を誓った相手。

得意:我流剣術。逃走。潜伏。

好き:斬り合い。昼寝。子供。

嫌い:奴隷商。

悩みごと:酒に酔ったミア。



○ダグラ=リネア=アルカス 『秩序・善』

軍隊生活大好き真面目系男子。黒旗特務中隊長。ハゲワシ。男爵。

平民出の魔力保有者。飛び抜けて優れた点はないものの不得手はなく、経験豊富で目端が利き、軍の規律と命令を重んじるクリシェ好みの軍人。

厳格ではあるが常に誠意を持って部下と接する百人隊長としては理想的な人物であり、エルスレン神聖帝国との戦争の際、セレネとクリシェの特別攻撃部隊に百人隊長として参加。

そこでの堅実な活躍を評価され、魔力保有者のみで構成されたクリシェの直轄部隊『黒の百人隊』の隊長として指名される。

クリシェの異常とも言える能力と冷徹さに当初過剰なまでの恐れを抱いていたが、自身に向けられる信頼、自身に与えられた役割の大きさ、そしてクリシェ=クリシュタンドという少女の等身大の姿を知り、彼女へ心からの忠誠を誓った。


真面目で自他問わず厳しく、軍隊組織での生活を何より好む根っからの軍人。

そんな軍人の自分には結婚など縁なきものと考えていたが、友人の娘から熱心に言い寄られ、陥落した過去を持つ一児の父でもある。

禿頭は軍務においても清潔さを保つため毎日剃っているだけであり、特に禿げているわけではなく、鷲鼻が目立つが決して不細工というわけでもない。


自分の健康を気遣い同行を拒否したクリシェの配慮に感服しており、公私問わずクリシェのために命を捨てる覚悟ができている人。

黒旗特務という存在がもはや万の戦の勝敗すらを左右する存在になったことに気付き、クリシェの補佐として、そして中隊長としての責務をより強く感じている。


黒旗特務中隊の多大なる貢献を認められ、男爵位を与えられると同時、王都近郊にある宿場町の管理権を与えられた。


★戦闘指揮

経験豊富、山中など特殊状況下で運用されることの多い軽装歩兵隊出身であるためどのような状況であっても基本に立ち返り、判断を誤らない。

奇襲、工作、陽動など、数的不利な状況での戦いに慣れており、追い込まれた状況での乱戦であっても十全に指揮能力を発揮する。

ミアと違い魔力保有者部隊での純粋培養ではないため、部隊の扱いにおいては経験に照らし合わせ安全側の選択をすることが多い。

ただその分消耗は少なく、彼の指揮下にある黒旗特務は非常に安定している。


外見:スキンヘッド。焦げ茶の瞳。筋肉質。鷲鼻。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:敬愛すべき上官であり、命を賭して守り、補佐すべき少女。

得意:山中行動。戦闘指揮。鼓舞。指導。

好き:規律。軍組織。黒の百人隊。

嫌い:規律を乱す者。落伍者。

悩みごと:平時における黒旗特務の今後について。




――――黒旗特務メンバー――――

ここに表記されている人間はほぼリネア=騎士階級に略式叙勲されています。


○コーザ 『秩序・中立』

家庭的でクリシェもニッコリ系男子。黒旗特務中隊弓兵隊長。

顔に古傷の目立つ強面であるが、顔に似合わず料理好き。

家庭的で細かいところによく気がつき、家に帰ると嫁以上に家事へ精を出す。

当然ながらクリシェからの評価は高い。

兵士としても優秀で視野も広く、総合力の高さからいざとなれば指揮代行を行なう第二班長を任されている。

内戦の最終戦ではミアと共にナキルスと戦った。

特に弓術の才能があるわけではないが、戦後視野の広さを評価され弓兵指揮官(兵長相当)に命じられる。

翠虎討伐の褒賞金もあり、王都の城下街に家を買った。


○タゲル 『中立・善』

爽やかスポーツマン系男子。黒旗特務中隊百人隊長。

ミアと同じく入隊当時から意識的な仮想筋肉を覚えており、優秀な人材。

軍務経験者で頭も良好、剣の腕も良く、人柄も良いと非の打ち所のないタイプの人物で欠点がないことが欠点と言うべき面白味のない男。

熱血漢な面が有り、兵長としては多少未熟な面も残る。

基本的に二班から十班までを指揮することが多い。

内戦の最終戦ではギルダンスタインにセレネと共に立ち向かった。

激戦を生き残ったことで順当に百人隊長に出世している。

家の近所に住んでいたパン屋の娘とリネア叙勲を切っ掛けに結婚した。


○コリンツ 『秩序・善』

落ち着きあるベテラン下士官系男子。黒旗特務中隊百人隊長。

元々ダグラの指揮していた百人隊の部下であり、元々兵長の立場にあった。

魔力保有者としての実力はそれほど高くはないものの、乱戦での指揮能力が高く、視野が広い。

どのような状況でも慌てず冷静を保てる精神的な強さがありダグラからの信頼は厚く、タゲルからも兵長の先輩として慕われている。

基本的に十一班から二十班を指揮することが多い。

内戦の最終戦ではミアと共に戦ったが、途中で負傷し休養中。

後遺症などは残らず、復帰後は百人隊長となっている。

子供のために貯蓄中。


○ベルツ 『中立・中立』

お料理上手でクリシェもニッコリ系男子。黒旗特務中隊兵長。料理指導役。

料理人の家に生まれたが、若い頃親と喧嘩し家出。

元々強面で腕っ節が強かったため、隊商護衛などをしながらその日暮らしをしていた。

その過去から料理というものを嫌っていたが、百人隊に入ってからは料理に重きを置くクリシェの指導もあり改めて料理の面白さに目覚めた。

同じく料理好きなコーザとは話が合い、休みの日にはコーザの家で一緒に料理をする仲となっている。むさくるしい。

内戦の最終戦ではミアと共に戦った。

腕の良さもあって兵長に昇格しているが、同時に料理指導役として黒旗特務の料理指導を行なうようクリシェに命じられている。内心少し嬉しい。

老いて引退した後は城下街に食事付の宿を開こうかと考えており、コーザを誘っている。


○ビルザ 『中立・善』

黒の医者とは僕のこと系男子。黒旗特務中隊医療班長。

薬師の生まれであったが、三男であった彼は家業を継げず畑仕事に精を出す毎日。

そんな折に村へ兵士募集の馬車が立ち寄り、自分の知識が役に立つのではないかと軍に入る。

線の細い青年で争いごとは不得手、剣の扱いはミアと同様下から数えた方が良いものではあるが、薬草知識や簡単な医療技術を持っており、怪我人の治療を担当する。

彼の班には元々戦闘に向かない気質の人間が選ばれており、役割は医療班に近い。

内戦の最終戦ではミアと共に戦ったが、負傷兵の治療に当たっていた。

現在元十七班は黒旗特務の医療班となることが決まり、クリシェから貸与された医学書に齧り付く日々。

最近は王都の医者に弟子入りしており、長期休暇の際は助手としてあちこちを回っている。


○キリク 『中立・中立』

手先が器用な職人系男子。黒旗特務中隊護衛班長。

職人の家に生まれたが経営が上手く行かず、家を兄に任せ出稼ぎをしていた。

元々隊商護衛や用心棒を行なっており、その過程で片目を失っている。

軍務経験はないが隊商護衛としての経験は豊富で、職人の家に生まれたこともあって手先も器用。

馬車の点検や補修などの知識もあり、クレシェンタの馬車護衛に選ばれた。

何度も修羅場をくぐり抜けた剣の腕は確かで、隊でもカルアに次ぐ。

彼の班は職人上がりが多い。

クリシェの信頼出来る兵士として、彼等は基本的に戦争中でも女王クレシェンタの護衛班として行動することが決まっており、戦場に出る可能性は低い。

独り身であるが豪遊はせず、実家の兄の所へ仕送りを続けている。


○ダズ 『秩序・中立』

何やら不憫なぴりりん系男子。第一ぴりりん班長。

強面で知られる元第八班班長。

元々酒場の用心棒で荒事にも慣れており、兵士達からは一目置かれる勇猛な伍長であったが、内戦最後の戦いで左腕を失ってしまった結果、第一ぴりりん班の班長を任されることになった。

ぴりりん班の選別業務自体は栄誉ある仕事と捉え、クリシェに強い感謝の念を抱いているが、クリシェ以外の人間がぴりりん班と呼ぶことは許さず、隊員達からぴりりん班長と呼ばれる度に激怒している。

黒旗特務中隊の新規募集が一段落したこともあり、義手や義足の素材等、ネイガルやワルツァ達と改良を進めている。


○ネイガル

不憫じゃない方の負傷兵系男子。第一工作班班長。

生まれは商人の三男坊で、識字算学を行える黒旗特務では比較的珍しい存在。

一般兵から選別された兵士ではなく兵站部の新兵から選別された人間で、班長ではなかったものの人当たりも良く兵士達からは好かれている。

兵士としても優秀で剣才があり、剣を持ったことがなかった人間としてはめざましい進歩をみせていたが、内戦の最終戦で左手首から先が失われた。

義手を与えてくれたクリシェに対し強い恩義を感じており、生涯の忠誠を誓う。

ジャレィア=ガシェアやバゥムジェ=イラ等、クリシェの作る兵器が戦場にもたらす残酷さについて思い悩むが、抑止力としての兵器という考え方に行き着き、ひとまずの納得をした。

ダズやワルツァとの義肢改良の時間が良い息抜きになっている。


○ザーカ

戦闘出来る負傷兵系男子。班長。

隊商護衛出身の剣腕優れた隊員であったが、ベルナイクの戦い最終日にて左目を負傷。

体中にも怪我を負っていたこともあって戦場を離れ、療養していたが、左目を失った以外に後遺症なく復帰。

荒くれ者だが部下想いで、班員からは慕われている。



■――クリシュタンド軍関係


○ノーザン=ネルレ=ウルフェリネア=ヴェルライヒ 『秩序・中立』

危ない狂信者系男子。元クリシュタンド軍第一軍団長。現王国東の将軍。ぴよぴよ。

男爵家の末子であり、英雄ボーガン=クリシュタンドの最初期からの部下。

自身の上官として同じ男爵家の生まれであったボーガンの人柄と勇猛さ、そしてその知性に心酔し、英雄クリシュタンドの長き戦いを側で支え続けた腹心。

才覚は自身に勝るとボーガンは感じており、自身が将軍となってからは機会がある度に彼へ将軍となるよう説得を行なったが、クリシュタンド軍の戦力低下を懸念した彼はそれを断り、クリシュタンド軍に自身が認めるに足る才能が現れるのを待った。

セレネとクリシェの存在はそんな彼がようやく認めた才能であり、安心して身を引いた矢先に竜の顎での悲劇が起こったことで自身の運命を呪っている。


セレネと似た気質で生真面目な苦労性。

クリシェに関しては人一倍気を使っており、普段からしなくてもいい悩みごとが多い。

ボーガンより教わったロールカ式剣術を極めており、大盾と長剣を用いて戦えば右に出るものはいない。

ギルダンスタインとは剣で戦えば五分の腕であり、知略にも優れた器用万能。

総合的に見た場合クリシェを除いた王国軍では最も優秀な将軍と言える。


クリシェの口から楽しげにぴよぴよと呼ばれることは意外と悪くない気分であるらしい。


★戦闘指揮

剛柔併せ持つ隙のない指揮者であり、どのような状況下でも柔軟な戦術対応が可能。

クリシェと同様、敵指揮官排除を重視する『首狩り戦術』を好み、場合によれば自ら先頭を走り敵陣へと切り込むこともある。

心理戦に長けており、敵の意識を引きつけ、操作する術を身につけている。


外見:後ろに撫で付けた赤銅の髪。焦げ茶の瞳。細身長身。眉目秀麗。

鎧:銀翼バイザーのフルプレート。

→クリシェ:自身を遥かに越える才覚の持ち主。善良だが歪んでおり、不安定。亡き主の愛娘。

得意:ロールカ式剣術。指揮運用。戦術。

好き:自己鍛錬。ワイン。ぴよぴよ。

嫌い:ボーガンを愚弄するもの。

悩みごと:エルスレン国境との防衛網増強。


 

○グランメルド=リネア=ヴァーカス 『中立・中立』

笑うと怖い戦闘狂系男子。ヴェルライヒ軍第一軍団長。『狼群』の指揮者。わんわん。

元野盗。当時無敗であったこの男はその鉄棍一つで大規模な野盗賊団を築きあげ、王国北東部の大樹海にて暴れまわり、結果討伐に駆り出されたガーレンの隊と遭遇する。

その過程でノーザンと一騎打ちを行い敗北したが、その強さを惜しんだノーザンに勧誘を受け承諾。その部下となる。

当初は折を見て逃げ出すつもりであったが、戦場に自身の求める戦いがあることを知り、武功を重ね彼の腹心に成り上がった。

狼群にはその当時の部下が何人か存在し、その中心的役割を果たしている。


豪快でさっぱりとした性格であるが、自分が愚弄されることだけは許さない。


★戦闘指揮

攻撃戦術に長け、特に軍団による正面突破という一点に限れば王国最強と言える軽装歩兵集団『狼群』指揮官。

『実戦で発揮出来ない力は無意味』という考えがあり、行軍訓練などはほとんどせず、過酷な対抗試合形式の集団戦闘訓練を繰り返すことで練兵を行う。

これには選別とふるい落としという側面もあり、基準に満たないものを除外することで兵の質を限りなく高め、常に自身の部隊を最高に近い戦闘能力に保っている。

攻撃においては無類の強さを発揮する指揮者であるが、性格上守勢を嫌い、長期戦を苦手とする面がある。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。茶の瞳。大柄筋肉質。精悍な強面。頬の深い傷。

鎧:鈍色狼のプレートメイル。

→クリシェ:見目美しく可憐だが毒気を抜かれる娘。絶対的な戦闘技術を持つ天才。肩を並べて戦うと気持ちがいい。

得意:我流の鉄棍術。格闘。殺し合い。

好き:蹂躙。人間を砕く感触。女。

嫌い:舐められること。

悩みごと:ノーザンがぴよぴよという呼び名を大して気にしていないこと。微妙に面白くない。



○サルダン=リネア=ガルカロン 『秩序・善』

真面目な堅物系男子。ヴェルライヒ軍第二軍団長。ハゲメガネ。

平和を愛し、秩序を重んじる軍人の一人。

ヴェルライヒ軍ではグランメルドに次ぐ発言力を有し、軍の引き締め役となっている。

規律を乱す相手に対しては上官であっても意見をしなければ気が済まない人間で、性格故に出世が遅れていたが、その能力をノーザンに買われその傘下に入った。

独断で動くことが多いグランメルドの諌め役になることが多い。

見た目は怖く厳しいが、優しく子供好き。


つるりんとハゲメガネという究極の二択に対し、選択権を行使する間もなくハゲメガネに決定させられた。

家で嫁に随分と笑われている。


★戦闘指揮

攻守のバランスが取れた知将。

戦闘技術そのものは高くないものの頭脳に優れ、特に敵の突破、迂回阻止など自身が待ち構えての戦術を得意とする。


外見:禿頭。茶の瞳。長身細身。筋張った顔。眼鏡。

鎧:魔眼バイザーのフルプレート。

→クリシェ:鬼才の持ち主。人とは変わっているものの見た目相応、素直で可愛らしい娘。

得意:組織運用。統制。事務処理。子供の扱い。

好き:孤児院の子供の世話。家庭菜園。

嫌い:身勝手に規律を乱す者。

悩みごと:新規の城砦建築作業。



○コルキス=ナクトラ=ロズリネア=アーグランド 『秩序・中立』

声のうるさい番犬系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第二軍団長兼副官。にゃんにゃん。

被害甚大な負け戦。敗残兵として逃げ延びようとしていたところを逆襲を企図するガーレンの百人隊に拾われ、ガーレンとボーガンの生き様に惚れ込み忠誠を誓った。

基本的な戦術の他奇策の類は好まず絡め手を不得手とするが、突撃指揮、防御指揮においては自身が最前線に立つことで圧倒的な力を発揮してきた。

持ち前の武勇と性格により人望高く、彼の周囲には数多くの勇者が集まる。練兵に重きを置くこともあって彼の軍は単純な正面対決で負けたことはない。

息子の裏切りもあり、セレネに対しては改めて忠誠を誓っており、終生彼女傘下の将として戦うことを決めている。

ノーザンをライバル視しているが、演習で勝てたことはない。


クリシェの側で過ごすことで、より一層彼女が危うい存在だと感じ始めた。

ガーレンの死後はクリシェの副官を兼任し、彼女の補佐役として生涯を全うすることを誓う。

それに伴い、猛獣を意味するロズの名を冠する事を許された。


★戦闘指揮

何より練兵を重視し、兵の質こそが勝利をもたらすと考えている。

個々の戦闘能力と連携を重視しており、命令の単純化によって兵の力を最大限活かすことを何よりとする。

本来不可能な突撃で相手を粉砕し、防御すれば大軍の突撃を容易く跳ね返す。

軍団全体の質という点では王国一と言えるが、その分動きは読まれやすい。


外見:短く刈った黒髪。焦げ茶の瞳。稀な大柄で筋骨隆々。顔まで筋肉質。

鎧:銀虎バイザーのフルプレート。

→クリシェ:幼く美しい天才少女。王国最強の戦士。戦場には不似合い。

得意:戦闘。鼓舞。大声。

好き:単純明快な作戦。一騎打ち。戦士。

嫌い:複雑な作戦。

悩みごと:にゃんにゃん。クリシェの純粋さが生む冷酷さ。ぴよぴよ呼びに平然とするノーザン。



●テリウス=サーザ=リネア=メルキコス 『中立・中立』

何やら影が薄い系男子。クリシュタンド軍第三軍団長。

ボーガンが将軍となった後にその配下となった軍団長。

ボーガンと同時期に軍団長となったために、当時ボーガンを一方的にライバル視していた。

しかし彼が窮地に陥ったテリウスの軍団救援に駆け付け、それに救われたことを深く感謝し、後に忠誠を誓うこととなる。

野戦築城を得意とするが、野戦においても独自の配置と連携を構築しており、その防御能力にはボーガンも一目を置いていた。


サルヴァの副官に扮したギルダンスタインに討ち取られる。


棚を作るのが趣味。


★戦闘指揮

野戦築城の名手であり、守勢での戦いを得意とする指揮者。

平原における野戦においても配置の工夫を行なうことで、兵列によって砦さながらの布陣を作り上げる。

敵を誘い込み、返り討ちにする機動防御が得意。

攻撃戦術はそれほど得意ではないが、一般的な水準は超えている。


外見:短く刈った焦げ茶の髪。青の瞳。筋肉質。鷲鼻。どことなくダグラに似ている。

鎧:銀城彫刻のプレートメイル。

→クリシェ:驚嘆すべき才覚の持ち主であるが、危うい少女。

得意:野戦築城。防御指揮。日曜大工。

好き:一方的な射撃。砦。建築。木工。

嫌い:準備できない突発的事象。

悩みごと:副官が敵に寝返ったこと。



○エルーガ=ギグライテ=コルスリネア=ファレン 『秩序・善』

寝起きに見たくない顔選手権ナンバーワン系男子。アルベラン王国元帥補佐。ガイコツ。

類い希なる才覚を持ち、多大な戦果を上げながらも、その性格により忌避されてきた老将。

ボーガンはかつて彼の配下であり、戦術においては彼の師でもある。

天才というべき頭脳を有し、戦場のありとあらゆる技術において一流と言える存在。

しかし優秀であるが故に他者に当然のこととそれを要求し、水準に満たないものは戦場に不要と配下達を容赦なく切り捨て――それが彼から人望を失わせる結果を生む。

王家に連なる血筋のものであっても例外ではなく、その徹底した実力主義が災いし、政治的に将軍への道を閉ざされていた。

当時部下であったボーガンの罰則を覚悟した提言により考えを改めたがもはや彼に出世の道はなく、ボーガンが将軍となった際、自ら元部下の配下となることを申し出た。


邪悪な見た目であるが礼節を弁え、普段は温厚で丁寧な口調で話すことを好む。

平民に対してもそれは変わることがなく、自らの貴族としての地位はか弱き民を支えるためにあると考える稀な善人。

徹底的な実力主義は敗北を許されぬ軍という組織が求められる役割を考えた上でのもので悪意があったわけではないが、その見た目も悪影響を及ぼしていた。

元配下であるボーガン達に対しても、教え子であり、教師であり、同じ目的のために進む戦友であると考えている。


クリシェのことは溺愛しており、近頃の生きる楽しみ。

何の脈絡もなく邪悪な笑みを浮かべる際は大抵クリシェのことを考えている。


普段は軍学校の校長として若い貴族達に様々な事を教えているが、ガーレンの死により、自分の寿命についてを改めて考え始めた。


★戦闘指揮

攻撃、防御、遭遇戦。その全てにおいて非常に高い戦術能力を有しており、特に兵の指揮運用能力という点が他の者に比べずば抜けている。

普通の人間ではリスクの大きい奇策の類を容易に実行できる天才であるが、本人は単純な兵の動きこそが戦術の奥義であると考えており、訓練では集合散開を含めた行軍訓練をなにより徹底する。

敵の強きを受け流し、弱きのみを狙うという基本を重視し、細かい勝利と優位を重ねていくことで相手を圧倒するタイプで、性質上クリシェとは戦術面で相性が良く、互いに役割分担がしやすい。


外見:スキンヘッド。暗い青の瞳。非常に痩せ身。骨の形が浮き出た顔。

鎧:鈍色のハーフプレート。

→クリシェ:時代の寵児となりえる才覚の持ち主。かわいい。目に入れても痛くない。

得意:戦術。ザイン式剣術。指揮運用。組織運用。

好き:戦術。庭の手入れ。花。子供。平穏。

嫌い:戦場での無能。

悩みごと:この先の別れ。



○クイネズ=リネア=カーザ 『秩序・中立』

配置換えを希望したい系男子。アルベラン王国元帥補佐直轄、独立軍団副官。

何事もそつなくこなし、欠点がないことが欠点な小太りな副官。

上官エルーガを尊敬しつつも、厳しい要求と顔の怖さに自身の配置換えを希望しているが、その優秀さ故にエルーガが手放さず、逃れられずにいる。

元帥補佐率いる中央独立軍団の副官であり、単なる軍団長副官からは大出世をしたのであるが、エルーガからは逃げ出すことが出来ず何とも言えない気持ちになっている。


★戦闘指揮

長年エルーガの下で学んで来たため、戦術能力は非常に高くあらゆる戦況に対応する。

性格上無理は嫌い、常に自分の安全を第一とするが、その性格を見越したエルーガによく無茶振りをされることが多く、死地になればなるほど戦術が冴える。


外見:焦げ茶の髪。暗い青の瞳。太り気味。優しげな顔。

鎧:鈍色花彫りのプレートメイル。

→クリシェ:天才だが頭のおかしい少女。美少女。上官がぞっこん。

得意:指揮運用。組織運用。上官の心を読み取る。

好き:食べること。寝ること。行軍訓練。

嫌い:戦場。怖い上官。

悩みごと:最近上官が優しくて逆に不安。



○キース=セール=リネア=キルティンス 『秩序・中立』

寡黙ないぶし銀系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第一軍団長。

エルーガ=ファレン率いる第四軍団の出身者。

規律と統制こそが軍の強みと考え、行軍、陣形転換訓練に重きを置く堅実な大隊長。

能力的に特段秀でた点はないが広い視野の持ち主で、どのような状況でも冷静さを失わず、確かな決断力を有する優秀な軍人。

自身の大隊を囮として使われ優秀な兵員の多くが見捨てられたことに憤りを覚えていたが、副官相当の役割を与えられたことで持ち直し、クリシェがどういう人物であるかを計りかねている。

彼の感情はともかく、キース自体はクリシェが好むタイプの軍人。

内戦中は軍団を副官相当の扱いで任され、現在は第一軍団長として認められ、クリシェに嫌われていると感じていた以前に比べればクリシェに対する態度は軟化。

彼女の行動理念を理解しはじめ、冷酷ではあるが決して非道ではなく、狂った善良さだけが根本にあるのではないかと感じ始めている。


それを証明するように、戦争が終わってからのクリシェは姿通り愛らしい子供のようで、彼女が戦場に出ざるを得なかった悲劇を呪った。


★戦闘指揮

視野が広く、冷静さを失わない指揮官。

決して無理はせず、小さな勝利を積み重ねて大きな勝利を手にすることを信条とする。

特に秀でた点は存在しないが、反面苦手もなく、あらゆる状況に対し柔軟な対応を行える。

その無難さと安定感がクリシェの好みで、よく指揮を丸投げされる。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。焦げ茶の瞳。痩せ身。深い皺の刻まれた顔。

鎧:銀色のハーフプレート。

→クリシェ:歪な天才。戦場ではいかに冷徹で冷酷であろうと、本来は見た目通りの子供。

得意:指揮運用。訓練。事務処理。

好き:釣り。山登り。

嫌い:酒。

悩みごと:善悪と倫理の正しさ。



○バーガ=ネア=クルトス 『秩序・善』

正義感強い熱血系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第一軍団長副官相当の第一大隊長。

ノーザン=ヴェルライヒ率いる第一軍団の出身者。

英雄ボーガン=クリシュタンドに憧れた下流貴族で、ボーガン、そしてその娘セレネに心酔する男。

能力は優秀であるが正義感が強すぎ、不正の類が許せず、兵士を単なる数字として扱う人間を嫌う。

そのためセレネに対しては強い忠誠を誓うもののクリシェとは折り合いが悪く、竜の顎で殿を申し出た第三大隊を囮に使ったクリシェとの間に深い溝が出来ている。

今もその時感じた彼女への畏れや悪感情が全て消えているわけではないが、第三大隊長キースを副官とし、第一軍団長に昇格させた姿を見て、あのことに関しては言葉通り、彼女が望んだ結果ではなかったのかも知れないと思い直そうとしている。

指揮官不足のため、第一軍団の第一大隊の指揮を執りながら第一軍団の副官を兼任する。


今もなおクリシェの冷酷さに共感はできないが、五大国戦争の結果を振り返り、彼女の持つ一つの正しさについては理解を示している。


★戦闘指揮

人望厚い指揮官。

兵に無茶を命じる際は必ず自身をそれの例外とせず、共に血を流し兵を鼓舞する。

個人としての戦闘能力も高く、体力もあり、兵には彼に惹かれるものも多いため新兵であっても士気によってその能力を底上げ成果を挙げさせる。

クリシェとは性格が水と油な問題がある。


外見:濃い茶の短髪。焦げ茶の瞳。大柄。毛むくじゃらな四角い顔。

鎧:鈍色のプレートメイル。

→クリシェ:誰より優れるも戦場に出してはならない子供。

得意:鼓舞。ロールカ式剣術。後方指揮。

好き:鍛練。英雄譚。戦史。

嫌い:兵士を人間として見ない者。

悩みごと:クリシェが行う戦術の研究。



○ベーギル=アーロニア=リネア=サンディカ 『混沌・中立』

ちょっとスケベな大隊長系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第三軍団長。

兵卒からの叩き上げで、かつてはグランメルド=ヴァーカス率いる『狼群』の副官。

類い希なる美少女セレネとクリシェの下で働きたいという半分下心、半分忠誠心からクリシュタンド軍に残留した自由人。

能力は非常に優秀で、『狼群』に入ってからは長年最前線での厳しい戦いを行ないながらも大きな怪我もなく、地獄の戦場をくぐり抜けてきた猛者であり、グランメルドなどの怪物一歩手前の実力者。

美少女と美女観賞が趣味であるが、妻が怖く手は出せない。

元々軍団長を任せるには十分な能力があり、アウルゴルン=ヒルキントスを捕えたこともあって順当に第三軍団長へと昇格した。


帰宅後さりげなくガーターベルトを妻に購入することを勧めたが、理由を詰問され隠しきれず、丸一日正座をさせられた。


★戦闘指揮

元々狼群出身、グランメルドの副官であった彼は享楽的な性質があり、戦闘狂の一面がある。

笑いながら敵を斬り殺す異常者であり、敵の隙間を抜く能力に長け、乱戦指揮能力においては群を抜く。

機動力を活かした戦いを好むため、陣地防衛などではやる気が出ない。


外見:白髪交じりの黒髪。焦げ茶の瞳。細身筋肉質。白髪交じりの髭。

鎧:銀女神のハーフプレート。

→クリシェ:見てるだけで心洗われる美少女。スカートから見える足がいい。無防備。靴下と太ももの作る犯罪的な魅惑の段差が(

得意:ザイン式剣術。前線指揮。鼓舞。人心掌握。覗き見。

好き:美の観賞(健全)。優しい妻。ガーターベルト。

嫌い:お触り。怖い妻。

悩みごと:己の芸術鑑賞が認められない世の中。



○ファグラン=リネア=アルハジード 『混沌・中立』

ちょっと声がうるさい系男子。王国中央軍アルベリネア直轄第三軍団長副官相当の第一大隊長。

グランメルド=ヴァーカス率いる『狼群』の出身で、野盗時代からの部下。

グランメルド同様戦闘狂で、最前線での命がけの戦いを何より好む異常者。

クリシェと過去訓練で手合わせしたことがあり、完膚なきまでの敗北を味わった結果その腕に惚れ込み彼女のいるクリシュタンド軍への残留を決めた。

殺し合いというより腕比べを好む面が有り、実力者によく手合わせを申し込む。


これまでの手柄を考えれば第四軍団長に昇格させることも可能であったが、彼自身は自身にその器はないと感じており、元上官であるベーギルの下につくことを望んだ。


★戦闘指揮

正面対決を何より好み、力の限りを尽くし押し合うような戦いを何より好む。

逆境という言葉が好きで、追い込まれるほど力を発揮するが、受け流されるのは苦手。

野盗上がりのため、後方攪乱も得意。


外見:濃茶の短髪。焦げ茶の瞳。筋肉質。熊のような顔。

鎧:鈍色狼のプレートメイル。

→クリシェ:美しき剣の天才。その戦術の巧みさと合わせ尊敬の念を抱く。

得意:ロールカ式剣術。組み技。前線指揮。鼓舞。

好き:腕比べ。重量挙げ。

嫌い:臆病者。

悩みごと:上官ベーギルと飲む度熱くクリシェのガーターベルトについて語られること。




○ガインズ=リネア=トスカ 『中立・中立』

茶目っ気溢れる老け顔系男子。王国中央軍アルベリネア直轄弓兵大隊長。

エルーガ=ファレン率いる第四軍団の出身者。

弓兵主体の大隊を指揮する猟師上がりの人物で、第一軍団の大隊長では唯一魔力を扱えない人物。

しかしそれを補って余りある才覚を有し、兵卒からその頭脳と指揮能力で大隊長へと成り上がった。

常に冷静に、慎重に――そして大胆に。

狩人としての経験を活かした弓兵の運用は見事の一言で、第一軍団の大隊長達からは一目を置かれている。

戦場でもユーモアを忘れず、何かと冗談を口にするのだが、時々滑る。


クリシェが好む機動防御を行なう際、軍団に縛られず手元で運用出来る弓兵隊が欲しかったことがあり、各軍団からの指揮系統から離れたクリシェ直轄の弓兵大隊長へと昇格した。

ガーレンがいなくなり、自分も退役の時期が遠くないこともあって、後進育成に励んでいる。

気遣いを覚えたクリシェが最近真面目に冗談の説明を求めるようになって辛い。


★戦闘指揮

無理をせず、けれど機を逃さず。

ガーレンと似たタイプの指揮官で、伏撃奇襲を好み、正面対決を嫌う。

狩人由来であるクリシェの戦術思考によく理解を示しており、クリシェとしては使いやすい大隊長。


外見:後ろで結んだ白髪混じりの黒髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。皺の多い老け顔。細い目。

鎧:革鎧。

→クリシェ:冗談の通じない可憐な少女。常に裁量を預けてくれる優秀な指揮官。

得意:弓術。短剣術。弓兵指揮。後方指揮。

好き:狩り。釣り。木登り。

嫌い:街中。

悩みごと:冗談の説明という不毛な行為。





○アレハ=ティミ=リネア=リーベラ 『秩序・善』

英雄追っかけ系男子。エルスレン神聖帝国元将軍。元サルシェンカ公爵家。アルベリネア直轄軍第四軍団長。

大貴族の三男に生まれ、兄に追いやられるように軍に預けられた男。

軍に預けられてからは若くしてその才覚を発揮、百人隊長の時分から無数の戦果を上げ、若くして『聖騎士』の称号、そして将軍の地位を得た。

王国の英雄ボーガン=クリシュタンドとの戦いには大隊長の時分に二度、軍団長の時分に二度参加しており、常にめざましい活躍を見せるが、クリシュタンド軍の段階的後退と苛烈な攻めにより本陣が耐えきれず、その全ての戦いに敗北している。

ボーガンに対し強い敵意を持ちながらも、それに比例した強い憧れを持っており、彼の関わる戦場の記録を買い集め、時には実際にその場へ足を運び、その戦術を研究していた。


先日の侵攻の際、クリシェに惑わされクリシュタンド軍に大敗を喫した。

それによって優位にあった神聖帝国は後退を余儀なくされることとなり、彼を疎んでいた者達にその責任を追及され、処刑こそ免れたものの領地没収、将軍、聖騎士の位を剥奪。

生家であるサルシェンカ家から勘当されている。


若さを除けば非常に優秀な人物であったが、その能力の高さ故に疎まれた人物。

贅沢を慎み、孤児院の設立などに金を用いる善良な人物で、民からも英雄視されていたがその人気が敵を作る結果となった。


その後旅の途中クリシェと出会い、彼女に誘われる形で王国軍人となる。

ボーガンの死で目的を見失っていた彼は、彼女と出会うことで新たな目的と戦う理由を見いだし、再び武人としての道を歩み出した。

その持ち前の向上心からクリシェと会う度手合わせを申し込むため、基本的にクリシェからは避けられている。

そのため半ば意地となっており、あの手この手でクリシェが逃れられぬ状況を作り出し、隙あらば彼女を終わりなき訓練に引きずり込もうとする。


多大な軍功と能力を認められ、禊ぎを終えたと見なされたことで第四軍団長の昇格、リーベラの姓を与えられた。

現在は中央将軍、テックレア=レーミンと良い関係を結んでおり、隠し事の出来ない彼女の不器用さと真面目さに愛情を感じ始めている。

身分的な問題を考えつつも密かにセレネに話を通し、プロポーズの時期を考え中。


★戦闘指揮

ボーガンを敵として尊敬しており、彼の戦闘記録を読みあさり吸収。

元々の才覚もあり一軍の将として不足ない非常に優秀な能力を持っているが、若さ故に甘い部分が残る。

総合的な能力はノーザンに近く万能型。

どのような状況であっても不得意はなく平均以上の結果を叩き出すが、どちらかと言えば主導権を握りやすい攻撃に適正がある。


外見:茶金の髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。美青年。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:変わり者で面倒くさがりな少女。根は善良。目指すべき目標。美しい。

得意:エルカファレスト槍術、剣術。撤退戦。戦術。

好き:栄光。善行。純粋なる信仰。ボーガン=クリシュタンドの戦術。クリシェとの手合わせ。テックレアの百面相。

嫌い:権威を笠に着る悪党。

悩みごと:どのようにテックレアの意表を突いたプロポーズを行うか。



○ワルツァ(=デル=グリズランディ) 『秩序・善』

自分の人生は若さまのもの系男子。エルスレン神聖帝国元将軍補佐。元サルシェンカ家軍事指南役。黒旗特務中隊訓練指南役。アルベリネア直轄軍第四軍団副官。

サルシェンカ家の分家に当たるグリズランディ家の当主で、優秀な指揮官。

将軍として一軍を任せられる器であったが、政治的能力に欠け、出世の道は拓けず、一線を退いてからはサルシェンカ家で軍事指南役として働いていた。

アレハが幼い頃からの付き合いで、彼の才覚とその理想を追い求める純粋な一面に魅せられ、彼の個人的な部下となっている。

アレハのこれまでの人生、そのほとんどを側で支えており、彼の理解者。

彼に対する神聖帝国とサルシェンカ家の扱いには誰より憤り、王国から神聖帝国に戻った彼は自ら領地を返上し、アレハの下へと行った。

クリシェによって左腕を切断されている。


アレハと共に王国軍に誘われ、黒旗特務中隊では指南役として剣術や槍術の訓練を見ていたが、戦後には第四軍団副官へ昇格した。

戦闘時における義手の利点について考えており、ダズやネイガル達と共に改良を重ねながら議論を繰り返している。

近頃はアレハとテックレアの関係を文字通り見守っており、二人が結婚し、その子供を腕に抱くことを目標に長生きすることを誓う。


★戦闘指揮。

軍事指南役であり、その戦術知識は幅広く造詣も深い。

アレハを補佐するという目的を第一としているため表に出ることはないが、優秀な将官として十分に活躍出来る能力を秘めている。


外見:白髪に染まった短髪。焦げ茶の瞳。筋肉質。高い鼻。細い目。髭。隻腕。

鎧:黒塗りの革鎧。

→クリシェ:実力に反して幼く不憫な娘。恩人。若さまのお気に入り。

得意:エルカファレスト槍術、剣術。指導。訓練指揮。統率。

好き:忠義。名誉。教えること全般。

嫌い:法王庁。サルシェンカ家。

悩みごと:長生き健康法。





■――その他の王国貴族。


●ギルダンスタイン=カルナロス=ヴェル=サーカリネア=アルベラン 『秩序・悪』

拷問好きな貴族ソムリエ系男子。王弟。アルベラン王国大公爵。

かつては才覚に恵まれ人格優れ、正しき理想のみを追い求める高潔な王子であったが、王宮の政争、腐敗した貴族社会の現実を見た彼はその理想の高さ故に心を病んだ。

以降豹変した彼は弱者を用いた娯楽に興じるようになる。

王家の恥となった彼を疎んだ者達によって戦地へ送り込まれるが、勝利を重ね地獄の戦場を何度となくくぐり抜け、死を恐れぬ勇猛さとその力、身に纏う黒き鎧から『黒獅子』と兵士から恐れられる。

戦場で身を挺し自分の命を助けようとしたボーガンや、名誉と大義のため剣を振るう兵士達の姿に自分の求めていた理想が今なお存在することを知り、彼の悪行は次第に鳴りをひそめていたが、忌み子クレシェンタに王位簒奪の濡れ衣を着せられたことでボーガンと剣を交えることとなる。


クリシェを誘い、セレネを追い詰めることに成功したが、最終的にクリシェの一刀によって命を奪われる。

悪道に堕ちた今なおかつての理想を忘れられずにいたが、圧倒的な力によって自分を打ち倒したクリシェを見たことで、ようやくその執着から解放された。


★戦闘指揮

非常に攻撃的な指揮官。首狩り戦術を何より好み、どのような状況下であっても自身の能力を最大限駆使して決定的戦果を狙う。

最前線を好み、一騎討ちを好むが、戦は勝利こそが全てであるという考えが根底にあり、文字通りありとあらゆる手段を使って勝利を手にしようとする。

勝利への執着心は誰よりも強く、危険な存在。


外見:金髪。青の瞳。長身筋肉質。美麗。

鎧:黒獅子のプレートメイル。

→クリシェ:王家の生んだ魔性にして、ボーガンの残した怪物。自身が望んだ王たる者。

得意:王家の剣術。心理洞察。籠絡。戦術。拷問。

好き:戦場。ワイン。女。貴族。

嫌い:矜持なきもの。名に執着を持たぬもの。

悩みごと:なし。



○フェルワース=ザラン=ドリシェ=ヤゲルリネア=キースリトン 『秩序・善』

長生き物知りお爺ちゃん系男子。アルベラン王国中央将軍。古将。アルベラン王国公爵。

先々代から第一線で活躍していた伝説的古将。年齢は百を超えており、エルーガを抜いて最高齢の指揮官。

国王アルバーザと肩を並べ、現役時代はそのほとんどを戦場で過ごしており、その活躍によって王族にしか許されていなかった竜を象る鎧と紋章を許された。

アルバーザより王家の剣術を学んでおり、ギルダンスタインの剣術と戦術の師である。彼については幼い頃から知っており、彼の過去とこれまでをよく知る人物。

誰より才覚に恵まれながらも王宮という謀略渦巻く世界に耐えられず、心を病んだ彼の事を惜しんでいた。

クリシェとクレシェンタ、その忌み子に対する扱いへの騒動についても知っており心を痛めていたが、半隠居状態でもあり、自身が仕えたアルバーザも悩み抜いた末忌み子を殺したことを知っており、古くからの慣習に対して口を挟むことは出来ずにいた。

不妊と子殺しに悩む先王シェルバーザにクリシェの一時的幽閉を進言した人物。


内戦で死んだアウルゴルン=ヒルキントスの代わりとして王国西部の将軍を任されていたが、年齢的な問題もあり副官への権限移譲許可をセレネとクレシェンタに伝えた。

現在をその補佐役として、生涯を現役とすることを目標に過ごしている。


★戦闘指揮

その膨大な経験から生み出される直感的な戦術指揮のレベルは非常に高く、その経験に比例する戦場への慣れからどのような状況でも視野を広く、冷静に判断を下すことができる。

元々天才というべき才覚の持ち主ではなく、若い頃には多くの敗北を重ねた男であったが、その経験を余すことなく吸収することで王国の頂点と成り上がっており、実体験による豊富な引き出しからあらゆる策略を見破る目を持つ。

兵力優越による正攻法、あるいは革新的な戦術でなければ彼に勝つことは難しく、一線を引いた身でありながらもその指揮官としての力は全く失われていない。

彼の名声は王国全土、周辺諸国にまで轟くものであり、何よりもその名前こそが最大の武器とも言える。


外見:白髪。青の瞳。大柄。長く伸ばした髭。細い目。皺の深い精悍な顔つき。

鎧:竜を象るプレートメイル。

→クリシェ:不憫な王女。無垢なる娘。

得意:王家の剣術。戦術。指揮運用。

好き:戦場。酒。読書。甘味。

嫌い:苦い黒豆茶。

悩みごと:未だ油断ならないエルデラントの内情。



○ゲルツ=リネア=ヴィリング 『秩序・善』

仲間の将軍に恵まれなかった系男子。王国中央の元将軍。元辺境伯。軍学校教師。

忠実なる軍人。百人隊長から堅実に戦果を上げ将軍にまで昇り詰めた優秀な将軍であるが、決して才能に恵まれたわけではなく、それは血の滲むような努力によってのもの。

彼の周囲には怪物揃いの王国将軍と軍団長。

彼等に比べれば自身が劣ることを自覚しており、そうでありながらも腐ることなく努力を重ねてきたが、それでも彼等には手が届かない。

彼は自身の積み重ねてきた全てを誰かに託すことを考え、才覚溢れる後進に自身の全てを受け継がせることを夢見たが、クリシェによってその芽を摘まれる。

ダグラと似た性格の人物で、クリシェが好む良き軍人そのものの人物。


元々王国中央の将軍として元帥であったギルダンスタインに従っただけの将軍であり、降伏したこともあって現在は謹慎、管理領地を失い私財の一部を没収されたものの結果としては納得しており、貴族位の返上を行い、旅に出ようかと考えていた。

しかし何度も家に足を運び説得を繰り返すセレネの誠実さに心を動かされ、彼女から聞いたクリシェという人物と、実際のクリシェに対する印象に違いがないことを確認すると、過去の事を飲み込みそれに応じることを決める。


若い貴族達への教育は思った以上に面白さがあり、時折自分の後継者として育てた副官のことを思い出しながら、今日も軍学校の教壇に立っている、


★戦闘指揮

才覚はないが、ただ努力によって百人隊長から将軍へとなりあがった指揮官。

下積みも長かった事から末端の兵士達からは尊敬されているが、自他共に厳しく指揮官クラスの人間からは受けが悪い。

戦術は無難の一言で、自身の無力を知るが故に基本的戦術を重視し、無理を犯さない。

実力で将軍に成り上がっただけありその実力は決して低くないが、将軍と言うよりは補佐役が適任な人間。


外見:白髪。青の瞳。筋肉質。長い髭。

鎧:鈍色のプレートメイル。

→クリシェ:竜の顎制圧を遅延させた怪物と呼ぶに相応しい異能者。良くも悪くも明確すぎる少女。

得意:ロールカ式剣術。戦場槍術。戦術知識。

好き:栄誉。誇りある軍人。後進育成。軍学校。

嫌い:略奪。虐殺。道に背く行い。

悩みごと:教育の難しさ。



○ダグレーン=ナクル=ドーガリネア=ガーカ 『混沌・中立』

フォーマルな格好が絶望的に似合わない系男子。王国南部の将軍。公爵。

王家の血が流れる由緒正しい公爵家の嫡男として生まれるが、様々なものに縛られる貴族の在り方を嫌っており、平民と酒場で酒を飲み歩く毎日。

それによって父に疎まれ、半ば勘当状態で若くして戦場へと放り込まれたが、彼はそこで類い希なる才覚を発揮し、王国南部一帯を任される将軍にまで成り上がった。

戦場という環境を何よりも気に入っており、何よりも兵と酒を飲むことを好む。

身分の上下を気にしない彼の人柄は兵からも受けが良く、彼等からは強い忠誠心を向けられている。

様々な獣を使ってくるガルシャーンは彼にとって何よりの遊び相手であり、ガルシャーンの名将オールガンとは敵同士にも関わらず何度か酒を飲み交わしている。

反面、遊牧民出身の弓騎兵を使って後方を攪乱させようとする神聖帝国の相手は苦手で、彼等のことは嫌悪している。

ギルダンスタインとの仲はそれほど悪いものではなかったが、内戦に興味はなく、南のガルシャーンへの懸念と神聖帝国との戦いにおけるクリシュタンドへの恩義から参戦を断っていた。


平和維持の名目でガルシャーンに何度か訪れているが、クレシェンタの命令もあってオールガン達とは酒を飲むことも出来ず飽き飽きしている。


★戦闘指揮

戦自体を好んでおり、時には自ら最前線で戦いながら勝利を掴む猛将。

指揮官としての性格はコルキスと同様、何よりも練兵を重視し真正面からの単純な戦術を好む。

しかし象をはじめ様々な獣を扱うガルシャーンを相手にすることが多いため、彼とは違いあまり重装歩兵を組み込まず軽装歩兵の割合を増やすことで様々な状況への対応力を高めている。


外見:硬い黒髪。茶の瞳。六尺の筋肉質な体躯。髭面。

鎧:獅子彫刻のプレートメイル。

→クリシェ:紛う事なき天才。自分の倅の所にでも嫁に来て欲しい。ロマンが分からないのが玉に瑕。

得意:戦斧術。ザイン式剣術。真正面対決。

好き:酒。女。戦。一騎打ち。象狩り。グリフィン。

嫌い:正面からの戦いを避ける相手。

悩みごと:面倒な政治。



○アルゴーシュ=ヴィケル=ギーテルンス 『秩序・善』

有能なのに何やら不憫なお父さん系男子。王国侯爵。

由緒正しいギーテルンス家当主で、王国北西部を管理する文官貴族。

ギーテルンス家は学問の家柄で、若い頃から経済や商売についてを学び、当主となってからは任された管理領地を大いに発展させており、非凡な辣腕家で知られる。

仕事には精力的で、侯爵という地方ではトップクラスの地位にありながら自らの労苦を厭わず、年中領地を走り回り、年の半分は家にいない。

自らの富は義務を果たすために与えられていると考えており、貧民層や失業者のため私財を投げ出すことを厭わない人格者。

民衆の味方として心からの尊敬の目を向けられる珍しい貴族で、彼の住むピールスでは彼を讃える歌まで作られている。


ただ彼自身はその評価が過剰とも思っており、自ら地方を回る几帳面さは突発的な事態に弱いという自身の欠点をよく理解した結果。

情報収集に力を注がざるを得ないのも、不安性で多くの情報を手にしていないと物事を判断出来ない自分の弱さにあると感じており、決して辣腕家であるとは思っていない。

性格上戦場は全く向いていないが、内政屋としては希有な人物。

稀に見る愛妻家で、その仲睦まじさは有名。

意外に剣の扱いには長けている。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。焦げ茶の瞳。中肉中背。整えられた髭。

鎧:無数の剣が彫り込まれたプレートメイル(家宝)。

→クリシェ:美しい姫君。娘の主人。天災。

得意:ザイン式剣術。交渉。算術。商売。

好き:妻。娘。民衆との交流。家宝磨き。

嫌い:機転の利かない自分。

悩みごと:娘の将来。



○テックレア=タルク=リネア=レーミン 『秩序・善』

男勝りな男装麗人系女子。王国中央軍将軍。王国公爵。

公爵家生まれの生粋の貴族で、腹違いの兄が初陣で戦死したことが切っ掛けでレーミン公爵家を継ぎ当主となった女性。

幼少の頃から貴族とはどうあるべきかという理想が強く、その理想を体現するために自己研鑽を積み重ねてきた。

決して多くはない戦場でも武勲を重ね、足りない経験を努力で補い、家柄もあって順当に将軍へと出世した。

凡庸でも天才でもないが積み重ねた努力は確かな実力となっており、磨き上げたその剣技は並の男であっても寄せ付けないもの。

自分を剣で打ち負かした相手に身を捧げるつもりであったが、あまりに強くなりすぎて相手がいなくなり、半ば諦めている。

妹が嫁いだ先で子宝に恵まれ、男児を三人産んだこともあり、いずれは一人を養子に家を継いでもらおうと考え中。

姉妹仲も良く子供が好きで、暇が出来ると妹の所へ顔を出し、子供達に剣を教えて遊んでいる。

見掛けによらず少女趣味で、ぬいぐるみ収集家。


見目良く、礼儀正しく、武勇に優れるアレハに遅咲きの恋をしたが、自身の年齢や身長、女らしさのないコンプレックスから打ち明けることが出来ずにいる。

とはいえ副官ミルカルズや使用人達にはすぐに知られたようで、彼等の強引な後押しもあって自然に距離を詰めている――つもり。

彼女は自身の恋心に気付かれていないつもりであるが、当然ながらアレハもそれには気付いており、彼がテックレアの作る百面相を見て楽しんでいることを知らないでいる。

知らない間にアレハはミルカルズや使用人達との良好な関係も築いており、密かにプロポーズの準備が行われていることをまだ知らない。


★戦闘指揮

学ぶべきは学び、将軍としては一定水準以上の能力を持つ。

会戦時における兵の運用、戦術において隙はないが経験が不足しており、一度想定を外れてしまうと一気に崩れかねない危うさを持ち、奇襲や伏撃への対処にも若干の弱さがある。

しかし彼女は稀に見る人格者であり、その勇敢さ、硬質ながらも美しい容姿もあって、兵達からの人気も高く、カリスマ性を持ち合わせている。

彼女の率いる軍は比較的士気が高く、その気性と性格は指揮者として能力以上の才覚と言え、総合的には優秀。

相応の経験を積みさえすれば名将となり得る資質を持つ。


外見:くすんだ金の髪。青の瞳。長身。秀麗。いつも険しい顔。

鎧:憤怒の顔を彫ったバイザーとフルプレート。

→クリシェ:竜に比肩する絶対者。無垢で危うい少女。美しい。

得意:ロールカ式剣術。兵棋演習。子供の相手。裁縫。

好き:剣術。ぬいぐるみ。編み物。

嫌い:非道なる人間。

悩みごと:本当に自分のような行き遅れを彼が受け入れてくれるのか。



○ミルカルズ=タディア=リネア=レッティア 『中立・善』

大義名分よりお嬢さま系男子。王国辺境伯。

代々レーミン家に仕えるレッティア家の当主であり、テックレアの幼少期からの指南役。

丁度孫が反抗期の頃に生まれたこともあってか、主家の娘であるテックレアを非常に可愛がっており、彼女をぬいぐるみ漬けにした老人。

指南役として彼女に剣などを教えてはいたが、愛らしく美しいテックレア。

ミルカルズは剣術には重要などと幼く無知なテックレアに宮廷作法や詩、ダンスのレッスンを教え込んでいた。

真面目で堅物、非常に不器用なテックレアのことを非常に心配していたが、ようやく彼女のお眼鏡に叶う青年――アレハが出てきたことを大いに喜び、個人的に彼の所へ足を運び、頭を下げている。

アレハの来歴もあって様々な問題が生じることを見越し、現在はあちこちに根回しを行っており、テックレアの知らないところで彼女の遅咲きの初恋は王国中に広まっている。

ワルツァとは目的を同じとする老人同士、とても仲が良い。


テックレアの兄を初陣で死なせてしまったことを深く悔いており、テックレアへの剣術指導の際は人が変わったように厳しくなる。


★戦闘指揮

公爵家の軍事指南役ということもあって、戦術、戦略に対する造詣が深く、将軍としても不足ない能力の持ち主。

先代レーミン公爵の副官として何度も戦場に出ており、戦場経験は中央軍の人間としては豊富で、欠点らしい欠点が存在しない。

テックレアの兄を死なせてしまったことがトラウマになっており、やや積極性に欠けることがキズとも言えるが、副官としては美点とも言え、直情的なテックレアの諫め役になっている。

剣達者でロールカ式剣術の達人。


外見:白髪のオールバック。青の瞳。中肉中背。整えられた少し長い髭。

鎧:女神の描かれるハーフプレート。

→クリシェ:恐ろしくも愛らしい不憫な少女。純粋。義姉のセレネの雰囲気が昔のテックレアにそっくり。

得意:ロールカ式剣術。指導。前線指揮。子供だまし。

好き:オペラ鑑賞。詩。テックレアの結婚式妄想。テックレアを愛でること。

嫌い:戦争。

悩みごと:テックレアのドレス。



○エルザルド=オース=リネア=ゴッカルス 『中立・善』

王国中立勢力のご意見番系男子。王国中央将軍。王国公爵。

幼い頃からすくすくと、公爵家嫡男として実に真っ当な成長をしてきた人物。

名家ゴッカルス家の教えは『不得手をなくせ』であり、他者より秀でた部分を作ること以上に、他者より劣る部分を磨くことが重要視されており、エルザルドも幼い頃からその教えを忠実に守り努力を重ね、父よりゴッカルス家を受け継ぐこととなる。

剣術や算術などはもちろんのこと、算学や作法、弁論術に関しても極めて造詣が深く文字通りの文武両道を体現しており、他の大貴族達からも一目置かれる存在。

その強面と険しい表情から勘違いされることも多いが、元々は情に厚く感受性の豊かな人間で、現在の重々しい雰囲気は長年作り上げたもの。

幼少期は随分臆病な性格で毎日のように父や家庭教師に泣かされていた。

子供の頃に教え込まれたのはザイン式剣術であったが初陣で左目に傷を負い失明しており、それからロールカ式を学び左の死角を盾で潰す戦い方を身につけている。

天文学を好み、学者のパトロンをやっているが、暇を見つけては彼等と共に肩を並べ星の軌道を観測、難解な研究に参加している。


★戦闘指揮

危うさのない将軍、というものが総評と言える。

何よりも事前準備に力を注ぎ、勝つべくして勝ち、被害を最小限に。

突発的な事象に対する対応は得意ではないが、それを彼自身誰よりも良く理解しており、数的、地形的有利を重ねた戦略的な優位を手にすることへ心血を注ぐ。

彼が重視するのは自分に劣る相手に勝利する手法ではなく、自分より優れた存在に勝つための手法であり、相手の戦術的な成功を行うことを前提として全てを組み立て、戦場に臨む。

決して無理を犯さない彼の戦に華やかさはないが、その代わりに強い安定感があり、若い指揮者の教範になり得る将軍と言える。


外見:後ろに撫で付けた黒髪。焦げ茶の瞳。大柄。強面。虎髭。片目を潰した刃傷

鎧:無骨なハーフプレート。

→クリシェ:歴史に名を残す偉大なる策略家、戦術家であり技術者。子供でもある。

得意:ザイン式剣術。ロールカ式剣術。槍術。戦略立案。算学。夜更かし。

好き:星空。計算式。黒豆茶。

嫌い:破綻した論理。

悩みごと:北部への移動で学者達とのやりとりが大変。






■――エルスレン神聖帝国

●バズラー=エルメンド=エルスラン=シュインデル=ルーカザーン 『秩序・悪』

権力はこうやって使うもの系男子。エルスレン神聖帝国大公。

帝位継承権を持つ三大公家の一つ、ルーカザーン家当主であり、エルスレンという怪物国家にあって、その五本の指に入る存在。

幼少から権謀術数に長け、ルーカザーン家の末弟に産まれながらも三人の兄を政治的に抹消、あるいは殺害し、当主の座につく。

政治と権力というものを熟知しており、諜報網構築にも長け、エルスレンにおいては決して敵に回してはいけない存在の一人とされていた。

アレハとサルシェンカ家に敗戦の責を集中させたのも彼の手によるもの。


政治家としてはこの上ない才覚者であるが、その政治的能力に対して、戦略家、戦術家としての能力は将軍として平凡。

戦士としては極めて優れた能力を持つが、軍を率いる指揮者としての才覚には恵まれず、大抵のことは彼が唯一信頼する相手である副将リンカーラに任せている。


クリシェに首を削がれて殺された。


★戦闘指揮

怪物と呼ぶべき極めて高い戦闘能力の持ち主。

ただそれは蛮勇を振るう戦士としての能力でしかなく、戦術、戦略的能力には恵まれていない蛮族勇者の如き男。

とはいえ彼の優れた点は己の不得手を理解し、他人を使う支配者としての資質であり、大規模な軍の大将としては一転、極めて優れた能力を持つ。

飴と鞭を使い分け、配下に能力以上の能力を発揮させることに関しては右に出るものはおらず、大公の名に恥じない指揮者とも言える。


外見:金髪オールバック。青の瞳。大柄筋肉質。精悍。整えられた髭。

鎧:雲間の光が彫り込まれた優美なフルプレート。

→クリシェ:アルベランの狂った忌み子。不愉快な化け物

得意:フォルカ式剣術。取引。飴と鞭。利き酒。人使い。

好き:見下すこと。相手の頭を踏みつけること。ワイン。剣のコレクション。

嫌い:舐められること。軽んじられること。

悩みごと:相手にもならず死んだ。



●ビーナル=クレフ=デル=サルシェンカ 『秩序・中立』

出来る弟にカインコンプレックス系男子。エルスレン神聖帝国公爵。アレハの兄。

サルシェンカ家の嫡男として生まれながらもそれに恥じぬ才覚を持ち合わせており、元々は人格優れた優しい気性の持ち主であった。

しかし十ほど離れた弟――アレハが彼を遥かにしのぐ天才であったことが全てを狂わせ、父親の愛が彼に注がれていることを知ると強く嫉妬し、彼を敵視するようになる。

学問においても剣においても、ビーナルが血の滲むような努力の果てに習得した全てを容易く手にしていく姿は恐ろしく、当主の座を継いですぐ、その死を望んでアレハに戦場へ出るよう命じる。

しかしアレハはそこでも多大な戦果を挙げ続け、聖騎士、シュインデルの称号を手にし、ビーナルにとって彼は弟ではなく自身に劣等感を与え続ける存在であった。

彼が失敗を犯した際は一切彼を庇うことなく勘当し、家から放り出したビーナルの安息は僅かな期間――最期には弟の手に掛かり、その生を終えることになる。


アレハの小さな頃のビーナルは、貴族としての理想と言える人物で尊敬すべき優しい兄であり、アレハは今もなおその頃の彼を忘れていない。


★戦闘指揮

特筆すべき優れた点はないものの、平均と比べれば高い戦闘能力、指揮能力を有する。

総じて優秀の一言で不得手がなく、絶大な戦果を勝ち取ることはないものの、無能による大敗を喫することもない安定した能力を持つ将軍。

やや神経質な部分があり、過剰な準備を行うことがあるが、これは欠点と言うよりある種の美点でもあり、兵士達を決して飢えさせない彼の気配りは彼等からの受けも良い。


外見:金髪オールバック。青の瞳。細身筋肉質。少しやつれて見える整った顔。

鎧:楽園の描かれる優美なフルプレート。

→クリシェ:人の形をした絶望。化け物。

得意:エルカファレスト式剣術、槍術。領地運営。商取引。

好き:子供。ワイン。絵画。

嫌い:優れた弟。

悩みごと:妻や娘のこと。



○バド=キータス 『中立・善』

クリシェから二度も生き延びた豪運系男子。エルスレン神聖帝国伝令兵。

下流貴族生まれの青年で、アレハのかつての副将ダクラーシャ家の分家に当たる家の嫡男。

飛び抜けて優秀というわけではないが、何事もそつなくこなすタイプで目端が利き、優秀な青年。

幼少から剣術には強い関心を持っており、複数の剣術流派を学んでいる。

クリシェの山中指揮所奇襲の際、大怪我を負ったものの運良く殺されずに済んだ。


五大国戦争においてもアーレ=ケインクルス軍の伝令として従軍。

クリシェの誘引撃滅戦術に巻き込まれたが生き延び、将軍アーレを背中に担ぎクリシェと二度目の遭遇をしながらも北壁内から逃げ延びた。だがアーレはクリシェの放った矢で既に絶命しており、自分がまたも運良く見逃されただけに過ぎなかったことを知る。

その後すぐに伝令として大将バズラーの所に向かっており、グランメルドの襲撃を回避、最終的に戦場からも生還した。

故郷に戻ってからはそれまでの経験から立身出世を諦め、領地経営に精を出すことに決めて剣を置くことになる。


アーレの最期に立ち会ったことで、その後不思議と縁の出来たケインクルス家の末妹と結婚し、多少の浮き沈みこそあれど穏やかな生涯を送った。

彼の残した記録は当時の戦争やアルベリネアに関する重要な史料として扱われることになる。


★戦闘指揮

幼き頃から剣才に恵まれ、十の頃には神聖帝国では二大剣術とされるフォルカ式剣術、エルカファレスト式剣術を一通り身につけていた。

一つを極めるよりも広く知ることを重視した彼はその後も様々な剣術、戦闘術についてを学び、使いこなしている。

とはいえそれも剣達者の域を超えることはなく、一人で戦場の空気を変える怪物達の域には届かぬもの――しかしあるいは、それこそが彼の命を救ったのかも知れない。

少なくとも、クリシェ=クリシュタンドに挑む蛮勇を持たずに済んだのだから。


外見:金髪。青の瞳。細身。精悍。

鎧:革鎧。

→クリシェ:ぎんぱつちょうこわい。

得意:フォルカ式、エルカファレスト式、ロールカ式他二つの剣術。個人戦闘。

好き:剣の訓練。

嫌い:弓。紫色。

悩みごと:紫色の宝石を見るとフラッシュバック。



●リンカーラ=レヴィス=シュインデル=ウォーカル 『秩序・中立』

悪い大公のお目付役系男子。エルスレン神聖帝国侯爵。

バズラーが幼い頃からその教育係としてルーカザーン家に仕えていた男で、彼から唯一心からの信頼を受ける人物。

半ば父親から見放され放置されていた彼にとっては父親代わりであり、妻との間に子供が恵まれなかったリンカーラもまた彼を自分の子供のように思っている。

歪んだ彼の性格に対して思うところがないではないが、貴族社会という魔境を真っ直ぐと生き抜くことは難しく、仕方ないことと諦めており、時に諌め役となりながら彼に付き従ってきた。


才覚は平凡ながら戦場経験が非常に豊富で、フェルワースと近しい存在。

ルーカザーン軍において戦略、戦術の立案は基本的に彼が行っており、そう言う意味では彼が五大国戦争におけるエルスレンの大将とも言える。

クリシェに頭蓋を蹴り砕かれ死亡した。


★戦闘指揮

武門の家に生まれ、幼き頃から研鑽を重ねてきた老将。

過去には華々しい戦果を挙げており、国内に知らぬものはいないほどの武人である。

剛力無双と謳われた肉体は老いと共に失われたが莫大な経験がその血肉に溶け込んでおり、今なおエルスレンでも一二を争う名将であることに疑いようはない。

老いてからは強引さが失われ慎重さを増し、華々しさこそありはしないが、基本戦術、戦略に忠実な彼の指揮は非常に安定、強引なバズラーの性格と上手く噛み合い、無数の勝利を手にしてきた。

勝つべくして勝ち、負ける戦には手を出さず。

将軍に求められる能力はただそれだけであり、そしてそれを忠実にこなせる将こそが名将と呼ばれる。

戦という盤上遊戯において彼を打ち負かすことは困難であり、その上で彼に勝とうとするならば遊戯そのものを破綻させるような何かが必要となるだろう。


外見:白髪の短髪。青の瞳。細身。皺だらけの顔

鎧:無骨なハーフプレート。

→クリシェ:常軌を逸した才覚者。真正面から戦ってはならぬ化け物。

得意:フォルカ式剣術。戦術、戦略立案。剣の目利き。

好き:戦史研究。鍛冶。軍。

嫌い:政治。貴族社会。

悩みごと:どちらにせよ死ぬならば、全盛期の肉体でクリシェと立ち会ってみたかった。



●アーレ=ヴェインズ=ケインクルス 『秩序・善』

名家のお坊ちゃま系男子。エルスレン神聖帝国公爵。

名家ケインクルス家の若き当主であり、此度の従軍ではバズラー指揮下の将軍。

政治の世界で戦場の手柄もない臆病者と言われた事が切っ掛けとなり、手柄を求めてルーカザーンに大金を支払い、将軍として戦場へ。

エルスレン、ガルシャーン、エルデラント――三国同時攻撃という圧倒的有利な状況。

これは当初勝ち戦であり、お飾りの将軍として家柄ある彼が座ることに異議を申し立てる者はおらず、それが彼の不運であった。


人柄は誠実そのもので、努力を怠らない。

平時においては誰からも愛される良き貴族であり、領民からも愛される希有な人物であったが、しかし極めて戦場には不向きな人間。

それを克服する機会を得ることもなく、逃走中にクリシェの矢で後頭部を射抜かれ死亡する。



●ラヌ=カルード 『中立・悪』

悪い遊牧民コンセプトモデル系男子。カルード族大族長。

エルスレン南部にある平野の遊牧民族出身者であり、その一帯の大族長。

この地の遊牧民族はグラバレイネの時代に征服され、臣従を強いられており、エルスレンとの分裂後はエルスレンの支配下にある。

自治を認められては反乱を繰り返す悪循環を繰り返しており、一カ所に留まることのない遊牧民としての生活や部族制度の色濃い社会もあって、彼らの立場は安定していない。

平野生まれの例に漏れず非魔力保有者であるが、馬術、弓術の天才であり、知恵も回ったことから二十の時に自身の部族の頂点に立ち、周辺部族を併呑。一代で大部族を作り上げた異能者。

残忍かつ冷酷な性格もあり、恐怖政治によって遊牧民達をまとめ上げていた。

欲深く、自治権を得た後は神聖帝国から更なる譲歩を引き出し遊牧民国家を作り上げるつもりであったが、最後には部下に裏切られ寝首を掻かれて殺される。



■――ガルシャーン共和国

○オールガン 『中立・中立』

フォーマルな格好が絶望的に似合わない系男子その2。ガルシャーン共和国副議長。元王族。

ガルシャーン王家の生まれであったが、広がる貧富の格差と贅に溺れる王家の姿に嫌悪を抱いた彼は民衆のため立ち上がり反乱を主導、共和制を打ち立てた。

王族としての地位と権力を捨て民衆のために戦ったオールガンは、ガルシャーンの英雄としてあらゆるものを手に出来る力を手にしていたが、王族であった自身が最高位にあっては当初の志を失うとして、議長就任の話を蹴った。

その言葉は半分事実であったが正しくもなく、彼自身が単に権力に縛られることを嫌った部分が強い。

戦士達がその誇りを賭けて戦う戦場を何よりも好んでおり、彼が戦争狂であると知る彼の部下達は戦場に出られなくなるのが嫌で議長就任を蹴ったと考えている。


王国南部の将軍ダグレーンは彼の好敵手であるが、共感を覚えるこれまでの生い立ちやその性格から馬が合い、小競り合いを繰り返す度に酒を飲む友人のような間柄でもある。

しかし戦争狂同士、一度戦いとなれば笑って殺し合う狂った関係。


圧倒的なクリシェ=クリシュタンドの力を見て憑き物が落ち、アルベランとガルシャーン、その交渉の成り行きを見守っている。


★戦闘指揮

象をはじめ、軍においては獣兵を使いこなす名将。

戦象によって敵戦列を崩壊させての豪快な真正面突破を何より好むが、それが通用しない相手には奇襲や伏撃、あらゆる手段を用いて勝利をもぎ取ろうとする。

戦は勝利するために行なうもの、という考えから、あらゆる戦術を利用し敵を追い詰めるが、だまし討ちの類は好まない。

ガルシャーンにおける英雄であり、彼の軍勢は徴集兵であっても極めて高い士気を維持する。


外見:硬い黒髪。焦茶の瞳。六尺足らずの筋肉質な体躯。髭面。毛深い。汗っかき。日焼けした肌。

鎧:獅子彫刻のプレートメイル。

→クリシェ:全てを押し流す嵐の具現。時代の変革者。振られた。

得意:大曲刀術。獣兵運用。

好き:酒。戦。一騎打ち。強者。

嫌い:だまし討ち。

悩みごと:アルベランに作られた市民小学の制度が気になっている。



○ザルヴァーグ 『中立・中立』

大変な上司を持った苦労人系男子。ガルシャーン共和国武官長。元靴屋。

元はしがない靴屋の倅であったが、貴族に幼い妹を殺されたことで復讐を誓い、反乱軍に参加。

それまで剣を握ったこともなかった彼は戦場でその天才的な剣の才能に目覚め、最前線でガルシャーン王国軍、その指揮官の首級を無数に挙げることとなり、その才能をオールガンに認められたことで一気に彼の腹心へと成り上がった。

平民から出たガルシャーン一の剣士として、ガルシャーンではオールガンの剣と呼ばれている。


性格は温厚で荒事を好まないが、当時の王家と貴族に対し反旗を翻し、それを打ち破ったオールガンには心からの忠誠を誓っており、戦後もそれまで同様オールガンを補佐するために働いている。

見た目は平凡で華はないが、頭脳も優れており母国語となるシャーン語以外に四つの言葉を使い分けることが出来る。


オールガンが動けない間、彼の復帰のため様々な根回しを行っている。


★戦闘指揮

大軍指揮官としてよりも百人隊規模の指揮官としての才が高いものの、一軍を指揮運用するには十分な力量を有する。

通常はオールガンの補佐兼護衛として過ごすことが多い分視野は広い。

兵を無駄死にさせることを嫌い、性質としては慎重派だが、自ら隊を率いて行動する際には人が変わったような攻撃性を見せる。


外見:黒髪。焦茶の瞳。長身細身。髭面。薄い顔。

鎧:獅子彫刻のハーフプレート。

→クリシェ:狂った絶対者。触れ得ざる強者。

得意:曲刀術。靴の手入れ。

好き:甘味。自己鍛錬。

嫌い:貴族。

悩みごと:敗戦の責を負わされるオールガンをどうやって復帰させるか。






■――クレィシャラナ

○アルキーレンス=シャラナ 『中立・善』

聖霊大好きな族長系男子。クレィシャラナ族長。

かつてはクレィシャラナ戦士長の地位にあった豪傑で、先代族長にして長老、ビーキルスによって族長に指名され、族長となる。

腕も当然ながら人格者であった彼が族長になることは他の戦士にも異論はなかったようで、その座を賭けての決闘を挑まれることなく順当な出世であった。

狩りのため自ら槍を振るう立場からは退いたが、今なおクレィシャラナでは最上位の武人であり、まともに槍を交わすことができる人間は限られている。

里の将来についてを常々考えており、クレィシャラナでは融和派。

現在の形でこの先クレィシャラナが存続していくことは不可能であると考えており、これまでの慣習を重んじながらも新たな道を模索している人物。

そのため族長となってからはアーナとの関係向上に努めており、ビーキルスを除いた保守派の人間からはあまり好ましくは思われていないところもある。


個を高めることを重視するクレィシャラナの慣習が本当に良いものであるのならば、強制せずとも未来に残っていくもの。

そのように考えており、生き方を束縛する現在の在り方については以前からあまり良く思っていなかったが、驕り虚飾に塗れたはずの王国に生まれながら誰より個として優れるクリシェの来訪。

そこに新たな風を感じると、彼は王国との断交を解くことを決意し、新たな未来へと舵を切り始めた。


★戦闘指揮

長年の経験から獅子鷲騎兵の強みと弱みを理解しており、優位な状況から一方的に相手を打ち倒す術に長けている。

危険を避け、一方的に相手の命を狙う用兵術は面白味にこそ欠けるが、彼等にとって戦いとは狩り。楽しむべきものではなく、狩人はどこまでも冷静であるべきという考えを重んじており、それを実行出来る冷徹さこそが彼の強みと言えるだろう。


外見:剃り上げた頭。茶の瞳。筋肉質。深い皺の寄った顔。白い豊かな髭。

鎧:革の胸甲、手甲、脚甲。腿の膨らんだズボン。

→クリシェ:人の身にて聖霊に至った武人。クレィシャラナが理想の体現。失言しか吐き出さない恐ろしい少女。

得意:グリフィンの操作。槍。投槍。体術。

好き:蜂蜜。鍛練。

嫌い:怠惰。

悩みごと:どこまで平地の技術を受け入れるか。




○ヴィンスリール=シャラナ 『中立・善』

武人大好きな求道者系男子。クレィシャラナ戦士長。

戦士長候補はその実力や人格を認められた戦士達の中から推薦によって選ばれた十二人からなり、その中で武技を競い頂点となったものが戦士長となる。

現族長アルキーレンスの息子でクレィシャラナ戦士長の地位にはあるが、それは決して世襲ではなく実力あってのこと。

名実共にクレィシャラナ一の戦士と言え、戦士達からは尊敬の対象となっている。

美人で器量よしな恋人がおり、今回の戦いが終われば結婚することを約束して出てきたため、その父親には当然ながら、娘を不幸にすれば死んでいても必ず殺すと繰り返し脅されている。

アルキーレンスの下で育ったこともあり、クレィシャラナに関しては同様の考えを持っており、王国との国交回復によって新たな未来が見えないかと期待している。

わりとシスコン気味。

クリシェが作る一方的に過ぎる戦争を目の当たりにし、理想との大きな乖離を感じたが、彼女の理屈と心情を察し、協力することを改めて決意した。


戦後は多くの者に祝福されながら無事恋人と結婚し、家庭を築いた。

今は子供が無事産まれてくることを祈っている。


★戦闘指揮

瞬発的な判断力に長け、三次元的な獅子鷲騎兵の運用を得意とする。

時には囮を使い、背後を取って相手を討ち取るなどアルキーレンスに比べれば積極的な用兵によって無数の翠虎を討ち取ってきた。

アルキーレンスを狩人とするなら彼の思考は軍人のそれに近く、グリフィンという獣に頼り切ることをせず、むしろそれを布石として扱うことが多い。


外見:黒髪短髪。茶の瞳。長身筋肉質。目鼻立ち整った顔。

鎧:革の胸甲、手甲、脚甲。腿の膨らんだズボン。

→クリシェ:聖霊の認めた武人。目指すべき頂点。色々適当な少女。

得意:グリフィンの操作。槍。投槍。剣術。

好き:決闘。鍛練。妹。

嫌い:割れていない腹筋。

悩みごと:妊婦の扱い。




○リラ=シャラナ 『混沌・善』

都会の風に惑わされる田舎出身のカモ系女子。クレィシャラナの聖霊巫女。

聖霊に身を捧げるクレィシャラナの巫女であり、聖霊ヤゲルナウスに仕える神官。

アーナ皇国の巫女姫とは宗教上対等、もしくは上位にあり、アーナ皇国の神官からは儀礼上同様の敬意を向けられる少女。

ただクレィシャラナにおいては『女は実りをもたらすもの』という独特の慣習から、普段は他の女達と変わらず普通に働き生活している。

そのように聖霊の巫女は名誉ある役割であるが特に旨味があるわけでもなく、生涯を聖霊とクレィシャラナに捧げる立場。

本心からなりたがる者は多くないが、母を早くに亡くし、先代巫女に世話になったこともあって、彼女の死後それを継ぐことを決めた。

幼い彼女の決断に多くの者――特に同年代の少年達が必死で止めたものの、彼女自身は先代巫女と同じ、クレィシャラナの母とも言える現在の立場に満足している。


平地の言葉を流暢に話し、頭脳に優れるが警戒心が薄く自分の魅力に鈍感。

どこか抜けたところも某副官に似ているが、身につける衣装と備わった女性的な魅力、人を疑わない純朴さもあって色々危ない少女。

ややブラコン気味。


王国訪問の顛末をリーガレイブに報告した後、何か変化がある度報告するように求められ、以前より密に謁見を繰り返す。

近頃はリーガレイブが直接話をすることも増え、その哲学的な問答に頭を悩ませている。


兄の子が生まれてくることが楽しみ。


外見:肩に掛かる黒髪お下げ。茶の瞳。引き締まった体。胸はやや大きめ。可憐。

鎧:露出過多な巻き布と腰布。

→クリシェ:純粋な人。とても綺麗で可愛らしい。王国ではこういうスキンシップが普通なのかと驚嘆。

得意:グリフィンの世話。採取。

好き:美味しい食事。洗いっこ。兄。

嫌い:乱暴者。

悩みごと:聖霊からの正答のない問答。



○ヴェルヴァス 『中立・中立』

俺こそが戦士系男子。クレィシャラナ守手長。

アルキーレンスの族長就任に伴い、戦士長候補として選ばれた武人。

一時は戦士長間違いなしと呼ばれた戦士であったが、ヴィンスリールとの決闘に敗れ守手長となった。

クレィシャラナ一の戦士が戦士長であれば、それに次ぐ戦士が守手長。

聖霊への道、その門番となる名誉ある役職であり、決闘の結果ということもあって不満を抱いてはおらず、今ではヴィンスリールとは公私共の付き合い。

職務を除けば砕けた口調で肩を叩き合う間柄。

ただそんな付き合いもあってか、溺愛する彼の愛娘がヴィンスリールに恋慕の情を抱いてしまい、娘を自分から奪おうとする盗人として最近は何かと突っかかっていることが多い。


娘を奪ったヴィンスリールが憎いが、クレィシャラナには珍しく早くも子宝に恵まれ幸せそうな娘が嬉しく、何とも言えない。


★戦闘指揮

アルキーレンスと同様、グリフィンの飛行特性を何より重視した運用を行ない、腕比べではなく純粋な勝利のみを見つめる冷徹さを有する。

本人は正々堂々たる戦いを好むが、立場上負けることが許されない立ち位置であることもあり、勝つべくして勝つことを重視し、冒険はしない。

指揮能力には飛び抜けたところがないものの、個人としての力量は高く、少数同士の戦いであればその強みを活かして終始優位に立ち回ることが出来るだろう。


外見:黒髪短髪。茶の瞳。大柄筋肉質。無骨ながらも整った顔。頬に傷。

鎧:革の胸甲、手甲、脚甲。腿の膨らんだズボン。

→クリシェ:偉大なる武人。自身が足元にも及ばぬ超越者。不思議な少女。

得意:グリフィンの操作。槍。体術。弓術。

好き:腕比べ。鍛練。武人。娘。

嫌い:悪い虫。

悩みごと:母体ともに無事で初孫が生まれること。




■――アーナ皇国

○巫女姫 『秩序・中立』

すけすけ衣装で若作り美人系女子。アーナ皇国指導者。

在位四十年になるアーナ皇国の実質的指導者であり、神官の長。

皇国は古竜ヤゲルナウスを崇める信仰が何よりも尊ばれており、十五で巫女姫となった彼女はその時点で名を捨て、巫女姫という役割を担う存在となっている。

クレシェンタから数え先々代のアルベラン王とも付き合いがあり、親王国派の筆頭。

皇国では王国よりも北の島国との関係を深め発展を目指すべきとする北方派と王国派が分かれているが、彼女は調和と安定を何より重んじており、彼女の治世となってからの皇国は王国寄りに方針を定め、非常に安定していた。


今回の王国における内戦をクレシェンタが引き起こしたのではないかと疑っているが、それ自体を重要視してはおらず、彼女が皇国の利益になるかどうかをただ見極めようとしている。


外見:黒く長い髪。切れ長の青い瞳。長身細身。泣きぼくろ。秀麗。

→クリシェ:クレシェンタと同じ忌み子。一度会ってみたい。

得意:魔水晶の術式刻印。建前。礼儀作法。

好き:太陽を浴びること。花の手入れ。

嫌い:皇国の調和を乱すもの。

悩みごと:僅かな期間で一大強国と返り咲こうとしているアルベランと皇国の関係維持。



○ザーナリベア 『秩序・善』

意外とはちみつ大好き系男子。アーナ皇国大神官。

齢九十を超える老人で、四人の大神官の中では最高齢。

巫女姫からの信頼が最も厚い人格者であり、親王国派の人物。

皇国は古竜ヤゲルナウスを崇める信仰が何よりも尊ばれており、神官となった際に家名を捨て、神官として皇国に身を捧げている。

長く国政に携わってきており、王国への使者として出向くことも多く、クレシェンタとも以前に会ったことがある。

ただ彼女の本質は見抜けておらず、交渉では主導権を握られる形となった。

大の甘党で、味覚の好みはクリシェやクレシェンタに近い。

ベリーとの関係から、クレシェンタは忌み子ではあっても悪い方のそれではないと考えている。


魔水晶関連の関税緩和が想定以上に大きな問題であったことに気付き、関連技術に関する交渉に忙しい。


外見:後ろに撫で付けた白髪。茶の瞳。痩せ身。深い皺の寄った顔。

→クリシェ:無理を押し通す力を感じさせる少女。甘党。可憐な忌み子。

得意:交渉。外交。礼儀作法。

好き:紅茶。はちみつ。クッキー。

嫌い:苦いもの。

悩みごと:アルベランにおける魔水晶の軍事転用。




■――エルデラント王国

▲――ヴェーゼ部族

○レド=ラーニ 『中立・善』→『中立・悪』

闇落ち熱血主人公系男子。ラーニ戦士長。ヴェーゼの狩猟隊隊長。

大部族ヴェーゼ傘下の部族ラーニの若き戦士長。

先代戦士長ラーディアの息子で、その剣才を強く受け継ぎ若くして戦士長となった。

ヴェーゼ大族長であり現エルデラント王ゴルキスタと父であるラーディアが友人関係にあったこともあり、ヴェーゼの姫シェルナとは幼なじみの間柄。

将来の結婚を誓い合った仲であり、相思相愛の関係となっている。

無数の部族が争い、内戦の絶えないエルデラントでは幼い頃から戦に巻き込まれ、その凄惨さを目の当たりにしてきた。

それがトラウマとなっており、シェルナと共にエルデラント王国の完全統一という理想を胸に立ち上がり、仲間を集うとヴェーゼの狩猟隊を結成。

シェルナの右腕として多くの武勲を挙げ続けたが、アルベランへの侵攻戦争にてシェルナを含めたほとんどを失うこととなる。

自暴自棄になっていたところを部下達に必死で止められ撤退。

影武者によってクリシェの追撃から命からがら逃げだした北部軍の将軍、トーバ=アーカズ一行に拾われ、エルデラントへと戻った。


復讐のためアーカズと手を結ぶことに決め、エルデラント統一のため剣を振るっている。


★戦闘指揮

確かな戦術理論を学んでいる訳ではないが、複雑な森の中での戦いで得た経験とそれに裏打ちされた直感により、非常に優れた瞬間的な判断能力を有する。

無策で敵陣に飛び込み武勲を挙げることを可能にするほどで、ある種の天才と言える才覚者であるが、直情的で頭に血が昇りやすいのが欠点。

他を圧倒する武勲を挙げることもあれば、間の抜けた敗北を重ねることもあり、総じて不安定な指揮官と言える。

戦列に組み込まれると平凡そのものと言え、独自裁量を持たされなければ能力を発揮出来ないなど、やや未熟なところが残る。

戦闘では巨剣の重量と慣性を活かした独特の剣術を扱い、場合によれば格上の相手を斬り殺すこともあり、総合的に波が激しい。


外見:黒髪短髪。茶の瞳。中肉中背。比較的整った顔。

鎧:革鎧。腿の膨らんだズボン。

→クリシェ:シェルナが警戒していた敵将。恐らくシェルナを討った仇。

得意:我流巨剣術。体術。狩り。釣り。水泳。

好き:鍛練。腕比べ。

嫌い:アルベラン。

悩みごと:アルベランへの憎悪。



●シェルナ=ヴェーゼ 『中立・悪』

マイルドに頭おかしい系女子。ヴェーゼ第一王女。

エルデラントでは天与の才に恵まれると伝えられる深い藍の瞳、天眼を持って生まれた王女。

幼い頃からその言い伝えに違わぬ優れた才覚を示していたが、自分に手を出そうとした男をあっさり殺して見せたのは七つの頃。

観察するように体を切り開いて臓器を眺めている姿を見られた結果、彼女は人の心を持っていないと恐れられ、狂った王女としての噂が広がり――結果として王の友人が長となる部族、ラーニへと一時その身を預けられた。

そこで顔なじみであったレドと数年を過ごすこととなり、その優しさに触れ関係を深めていく内に彼女は彼を愛するようになり、自身の異常性を疎むようになっていく。

戦場を嫌っているが、彼を守り、彼の望みを叶えることが自分の役目と考えており、エルデラント統一という目標も発端は彼の理想を叶えるため。

彼女の望んだ世界はただ、彼と自分が穏やかに過ごせる、そんな優しい日常だけだった。


アルベラン侵攻戦でクリシェと遭遇、討ち取られた。


★戦闘指揮

非常に攻撃的な指揮官。

国土の大半を森に覆われたエルデラント出身者であることもあり、伏撃や奇襲による『首狩り戦術』を何より得意とし、戦列を重視しない。

その卓越した思考能力は空から俯瞰するように戦場を捉えることを可能とし、場合によれば数十の小部隊を視界不良の中、指揮運用することも苦にならない。

戦略、戦術に対する思考、推察能力は抜群と言え、他者からは理解出来ず天啓と呼ばれるほどの瞬間的決断も常にその異常な思考能力によって成り立っている。

まさに天才と称して然るべき指揮官であるが、反抗的な部下を恐怖で統制する悪癖があり、信頼関係の構築に失敗することが多く、それが原因となっての失敗が少なくない。

自身が先頭に立つことで容易にその失敗を立て直してきたこともあってか、彼女はこの問題を重く見ていないが、完璧と言うべき彼女の確かな隙となっている。


外見:亜麻色の長い髪。深い藍の瞳。小柄。胸控え目。秀麗。

鎧:古文字彫刻の艶消し胸甲。手甲。

→クリシェ:死を振りまくもの。自分すら相手にならない絶対的な殺戮者。

得意:人殺し。計算。

好き:レド。キス。スキンシップ。花壇弄り。

嫌い:普通でない自分。戦。

悩みごと:もう一度レドと会いたかった。






■――カルカの村


●グレイス 『秩序・善』

おっちょこちょいな聖母系女子。クリシェの義母。ガーレンの娘。

幼い捨て子であったクリシェを育て上げた善良な女性で、全てのはじまり。

彼女がいなければクリシェは賊か何かになっていた可能性が高い。

クリシェの歪さに早い段階から気付いており、その上でクリシェを実の娘のように強い愛情を持って育て、投げ出すことなく熱心に教育を繰り返して真っ当な少女へと矯正した人物。

異常者であるクリシェの中にある価値観のほとんどはグレイスから与えられたものが大半で、その教えのおかげで表面上真っ当な生活を送ることが出来ている。


おっちょこちょいで何かと不器用で大雑把。

湯に塩を放り込んで終わり、という彼女の作る料理の不味さが、クリシェと料理を出会わせることとなったといっても過言ではない。

家庭的なクリシェの一面は大体グレイスの不器用さと大雑把さから作られている。

村の女衆ではその性格の良さと抜けたところが慕われ、その中心的人物となっていた。


ガドに殺された。


外見:後ろで結んだ長い黒髪。焦げ茶の瞳。細身。胸大きめ。そばかす美人。

→クリシェ:神さまからの贈り物。少し変わったところがあるが、利発で器量よしの自慢の娘。

得意:雰囲気作り。ドジ。教育。

好き:家事全般(下手)。団欒。

嫌い:乱暴者。

悩みごと:クリシェを一人にしてしまったこと。




●ゴルカ 『秩序・中立』

人望厚い若手の星系男子。クリシェの義父。

腕利きの狩人で、狩人達のとりまとめ役。

幼い捨て子であったクリシェを拾い育てた人物。

狩りの途中森で行き倒れていたクリシェを見つけ、村へ運んだ。

彼がいなければそこで物語が終わっていたことは間違いない。

クリシェの美しさと着ていた衣服から貴族の捨て子ではないかとその扱いを決めかねていたが、彼女の世話を熱心に行なう妻グレイスの姿を見る内にほだされ、彼女を娘として育てることを決める。

グレイスと同様、強い愛情をクリシェに向けているが、同時に彼女の欠けた部分に対する懸念を覚えており、それをいつも心配していた。

本心のところでは同年代の子供を殺したという彼女の噂話を完全に否定できないでいる。


ガドに殺された。


外見:黒髪短髪。焦げ茶の瞳。長身細身。精悍。口ひげ。

→クリシェ:働き者で優しい自慢の娘。天才であるが、その反面どこか歪んでいる。

得意:狩人指揮。弓術。森。

好き:狩り。弓。酒。

嫌い:無法者。

悩みごと:妻と娘を守れず死んでしまったこと。




○ガーラ 『中立・善』

肝っ玉おばさん系女子。グレイスの姉貴分。

グレイスが村一番の美人なら、こちらは村一番の女丈夫。

恰幅よく快活で、女衆のリーダー的な立ち位置にある女性で、クリシェとは彼女が村に拾われたときからの付き合い。

家にオーブンがあり、その関係でよくクリシェがパイを焼くため彼女の家に足を運んでいた。

息子をクリシェに殺されているが、むしろその悲しみに自殺を考えていた頃オーブンを借りるため出入りしていたクリシェに慰められたことが切っ掛けで、息子の敵であると知らぬまま彼女に対し強い愛情を抱くようになった。

クリシェによって不幸にされ、幸せにされた人物。

彼女が村を出た後も、いつ帰ってきてもいいようにクリシェの住んでいた家の手入れを行ない、彼女を思い出すように時折カボチャのパイを焼いている。


クリシェの帰郷によって過去の事実を知ったが、自分は彼女を恨むことも出来ないと理解しており、グレイス達の代わりに変わらぬ愛情を向けている。

既にクリシェはガーラにとって、そういう存在になっていた。


ガーレンの死と、彼の遺髪が届けられたと同時に旅立った二人の木札を見て、肩の荷が完全に降りたことを知る。


外見:後ろで結んだ黒髪。茶の瞳。体格良い。比較的整った顔。

→クリシェ:返しきれない恩のある相手。実の娘のように思っている。

得意:家事全般。笑い話。

好き:パイを焼くこと。オーブンの手入れ。カボチャ。

嫌い:賊。

悩みごと:なし。



○ペル 『中立・善』

クリシェに初恋系男子。カルカの自警団。

クリシェのことを『近所の綺麗なお姉さん』と慕っていた男の子。

大分ズレたクリシェであったが面倒見は良く、素直に彼女のことを好いていた。

クリシェが自警団の訓練に顔を出した際にはいつも剣の稽古をつけてもらっており、彼女が出て行ってからそれが淡い初恋であったと気付いている。

軍人になり英雄を目指すのが夢であるが、最終的には幼なじみの女の子に泣かれて諦め、カルカの村の自警団長として平穏な日々を送っていくことになるだろう少年。


外見:黒髪の短髪。茶の瞳。細身筋肉質。それなりに整った顔。

→クリシェ:近所の綺麗なお姉さん。初恋の相手。すごく強い。大分変わってる。

得意:剣術。喧嘩。

好き:自己鍛錬。英雄譚。

嫌い:賊。クリシェを悪者にした大人。

悩みごと:久しぶりに見たベリーがやっぱり可愛い。




■――その他


●ロランド=セーバ 『混沌・悪』

悪徳ハーレム主人公系男子。キールザラン商会代表。

元は一商店の主であったが、奴隷売買をはじめとする賊との取引によって成り上がった大商人。

王国では名が通った商人であり、商売を生業とするものでは知らぬものがいないほどの豪商。

自身の見た目に対する強いコンプレックスがあり、若い頃意中の女から馬鹿にされたことが切っ掛けで強い権力と財力を求めるようになった。

場合によれば靴を舐めることも厭わず、目的のためならば手段を選ばぬ貪欲さと元々の才覚もあって、今の立場まで昇り詰めた。

美しい女を何より好むが、自分が上位になければ手を出せない小心者。

アルガン家没落の原因となった人物で、実際は詐欺に近いものであった。


クリシェに全身の肉を削がれる拷問を受けたあと、処刑された。


外見:薄くなった茶の頭髪。焦げ茶の瞳。短躯肥満。醜悪。

→クリシェ:忌み子。機会があれば弄びたい。

得意:商売。策謀。詐欺。籠絡。

好き:美しい女。従順で無抵抗な女。緊縛。

嫌い:気丈な女。金を持たない人間。

悩みごと:考え得る限り最大限の苦痛を味わって死んだこと。



○ダグリス 『中立・悪』

強いものに尻尾を振る系男子。キールザラン商会密偵。元暗殺者。

古くからキールザランを中心に暗躍していた熟練の暗殺者で、その筋では名を知らぬものがないと言われる人物。

家族を作らず、家に執着を持たず――仕事のために弱みとなる部分を完全に切り捨てるストイックさがあり、あらゆる組織から重宝され、恐れられていた。

一線を退いた後は密偵や暗殺者の仲介を主にやっているが、依頼によっては未だに自ら動いて仕事をこなすこともある。

長く続いた今の生活にも疲れがあり、何かしらの権力を手に入れ安定した生活を送りたいと考えている。


外見:濃茶の髪。焦げ茶色の瞳。中肉中背。起伏のない顔立ち。

→クリシェ:相手にしてはならない化け物。逆らってはいけない相手。

得意:暗殺。諜報。毒調合。

好き:強者。相手の裏を掻くこと。

嫌い:金と力を持たない弱者。

悩みごと:クリシェに従うようになってから上手く行きすぎていて不安。



○ヤルズ 『中立・善』

善良な行商人系男子。ヴァーズラー商会所属商人。

王国北部出身の商人。

客との信頼を築くことを第一とした商売を行なう人物。

場合によれば相手のために採算度外視で取引を行なうこともあり、それもあって店を手にするまでが遅れたが、そうして築きあげられた信頼関係によって遅咲きながら順調に商売は繁盛している。

カルカの村には行商時代に付き合いがあり、幼い頃からクリシェを知る人物。

いつも小遣いを握り締めて食材を買いに来る彼女の姿は彼の行商時代の癒やしであり、彼女が村を出てからはその不遇な身の上を案じていた。


外見:茶の短髪。焦げ茶の瞳。細身長身。少し皺のある顔。

→クリシェ:働き者の可憐な少女。旅の癒やし。利発な器量よし。

得意:旅。人付き合い。

好き:誠実な相手。働き者。積み重ね。

嫌い:利益のみを追求した商売。

悩みごと:軍人となってしまったクリシェの将来。できる限り助けになってやりたい。




●ノーラ 『秩序・善』

愛情と良心の狭間で板挟み系女子。王領使用人。クリシェとクレシェンタの乳母、側仕え。

中流貴族出身で、幼いクリシェとクレシェンタの世話をした女性。

忌み子として幽閉されていたクリシェの世話を行なっていた。

忌み子と呼ばれ明らかに他と異なった様子を見せるクリシェに不気味さを感じていたが、世話をする内に彼女が幼く素直な子供であることに気付き、次第に愛情を持つようになる。

彼女を殺すことが決まった際には拒絶したが立場上断ることもできず、最終的にカルカの村近くの森で彼女を殺したことにし、置き去りにした。

三つにもなるかならないかのクリシェを置き去りにしたことを強く悔やんでおり、二人目の忌み子クレシェンタが忌み子とされぬよう必死で彼女の命を救ったが、クレシェンタが自己保身のために周囲の人間を殺していることを知り罪の意識に苛まれる。

忌み子として生まれてからすぐに殺されかけ、過剰なまでに周囲の者を怯えるクレシェンタ。

悪意ではなく快楽でもなく、彼女が求めているものは本来与えられて当然の安心であると知っており、彼女が唯一信頼できる相手である自分がそれを裏切ることも出来ず。

その凶行を止めることは出来ないまま、葛藤の中彼女はクレシェンタに協力する。


クレシェンタを我が子のように思いながらも罪の意識は消えず、彼女を守ってくれる自分以外の存在が見つかったことで、自身の罪とクレシェンタの罪を償うために自刃した。

最期まで自分の良心に殉じた愛の人。


外見:後ろで束ねた黒い髪。茶の瞳。細身。胸普通。整っているが彫りの浅い顔。

→クリシェ:少し変わっているだけの子供。許されないことをした。

得意:整理整頓。掃除。

好き:子供。裁縫。

嫌い:自分。

悩みごと:クレシェンタに本当の安心を与えられなかったこと。クリシェを置き去りにしたこと。





○ヴァナテラ=ファレン 『混沌・善』

おせっかいな親戚系女子。ファレン辺境伯夫人。エルーガの妻。

有力な公爵家の大貴族に生まれた女性。

美しく、何をやらせても人並み以上。才色兼備の女性であったが、非常に我が強く、貴族社会特有の閉塞的な空気を嫌っており、生まれもあってか非常に気が強く理想が高い。

そのせいで嫁いだ先から三日で送り返された過去もあり、実家では腫れ物扱いであった。

兄がエルーガと同じ軍の軍団長であったが、彼女の兄は彼を嫌っており、対抗心から独断で命令違反に近しい単独行動を行い、結果として窮地を彼に救われることになった。

しかしその際に無能と断じられたことを逆恨みし、エルーガの出世を閉ざすよう手を回し――その事実を知ったヴァナテラは個人的にエルーガの所へ出向き、謝罪を行なった。

彼とはそれからの縁で、エルーガの顔と噂からは乖離した優しい性格に興味を覚えた彼女は事あるごとに彼の所へ顔を出し、いつしかそれが好意に変わったことを自覚して婚姻を迫る。

歳の差がありすぎる、家も許すまいと断ったエルーガであったが、エルーガの如き邪貌の男に断られたとなれば生涯の恥、自殺すると脅して無理矢理彼に嫁ぐことになった。

実家を継いだ兄とは揉め勘当されたが、彼女自身は満足しており、特に気にはしていない。

エルーガに対しては遠慮無く厳しい言葉を浴びせることが多いが、素直でないだけで彼には強い愛情を持っており、何かで揉めることがあれば基本的にエルーガの意見を尊重する一面もある。


自分が恋愛結婚を果たせたことを何より誇りに思っており、結婚とはこうあるべきとあちこちでおせっかいを焼くのが趣味で、歩く結婚相談所。

ベリーの姉ラズラとは性格的にも一致し、仲が良かった。


外見:長めの優美な金髪。茶の瞳。細身長身。胸普通。多少老いの見え始めたきつめの美人。

→クリシェ:夫がゾッコンらしい幼げな美少女。ベリーと仲が良い以上の雰囲気がある。

得意:屁理屈。恋愛相談。

好き:恋愛相談。恋愛話。

嫌い:感情を縛る制約。

悩みごと:戦場に出た夫の安否。




○コーズ 『中立・善』

強面な鍛冶職人系男子。ガーレンの元部下。クリシュタンド認定鍛冶屋。

元々鍛冶屋の一人息子で、厳しい父親への反発から従軍。

ガーレンの部下としていくつかの戦場を共にしたが、その最中に足を負傷、後遺症を負ったことで除隊した。最終階級は伍長。

昔は素行の悪い乱暴者であったらしく、ガーレンに数回ほど叩きのめされているが、危ういところを何度も助けられたことから彼に対して強い恩義を感じている。

後遺症を負って親元に戻った際、厳しかった父親が流した安堵の涙に家業を継ぐことを決め、それからは真面目に修練の日々を送ることになる。

戦場での経験を活かした彼の剣は特に取り回しの良さと頑強さを重視したものが多く、元々の才能もあってか華美さはないが非常に質が良い。

当時入隊したてのボーガンとはほとんど入れ替わりであまり深い付き合いでもなかったが、後にガーレンの紹介で付き合いを深めていった。

ボーガンやノーザン、セレネの剣やコルキスの鉄槍、グランメルドの戦棍などクリシュタンド武人の武器はコーズが打っていることが多い。

ガーレンの使う小剣は彼が初めて父親に認められた一振りで、数十年経った今でも大事に使われている。


息子のケイズに自分を上回る才能を感じているがやる気がなく、かつての父親と自分の関係を思い出して頭を悩ませていた。

しかしクリシェのため、新たにコーズが打った人生の集大成とも言える一振りを見て、最近は熱を入れ始めてくれたらしく安堵している。


外見:禿頭。茶の鋭い瞳。大柄筋肉質。無精髭で右肩が筋肉で盛り上がっている。

→クリシェ:恩人の孫娘。常軌を逸した剣腕を持つ少女。生涯最高の一振りを捧げた相手。

得意:武器鍛冶。喧嘩。

好き:火花。鍛造。

嫌い:実用度外視の細工。

悩みごと:この先息子に自分の技術全てを継承出来るかどうか。




■――生き物


○リーガレイブ 『混沌・中立』

昔はぶいぶい言わせていた系古竜。アルビャーゲルのリーガレイブ。ヤゲルナウス。

かつて世界を席巻した種族、竜の生き残り。

古代に起きた縄張り争い、竜戦争では何頭もの竜を殺しその血を大地に振りまいた。

縄張り争いをするほど数がいなくなったこと、皆が戦いに飽き離れて暮らすようになったことで、現在はアルビャーゲルに引きこもり世界の移り変わりを眺めている。

竜の中では比較的人との交流が深い方で、竜の中では変わり者と言えたが、多かれ少なかれ現在生き残っている竜はそのように過ごしている。

竜としても知能は高いが、元々の能力の高さもあってそれを活かすことはあまりなく、日々を哲学的な問答へ捧げることに満足している。


槍を突き立てられながら笑う奇特な性癖の持ち主としてクリシェからは変態扱いされている。


外見:赤紫の瞳。岩のような青灰色の鱗。城に等しい巨体。蝙蝠の如き巨大な翼。

→クリシェ:小さきものでも傲慢愉快な一匹。盟約者。観察対象。

得意:魔力の放出。

好き:思索。観察。時々現われる飛び抜けた小さきもの。

嫌い:思索を妨げるもの。煩わしいもの。

悩みごと:完結した竜という存在について。




○ぶるるん 『秩序・悪』

忠実な暴れ馬系男子。馬。

大きくてそこそこ体力がありそうという理由でクリシェに足代わりに選ばれた馬。

元々クリシュタンド軍所有、気性が荒くなんとも扱い辛い軍馬であったが、クリシェに随分と懐いたため現在はクリシュタンド家所有の馬となっている。

気性は乱暴と言うよりむしろ利口で落ち着いた方だが、触られ方や手入れの加減にこだわりがあるらしく繊細で、好き嫌いがとても激しい。

性格的に大雑把なセレネとは相性が非常に悪いが、丁寧に接すれば素直に良く懐くタイプ。

力も強く無尽蔵にも思える体力を持ち、飛ぶように走ること可能な名馬であるが、それが活かされる機会はあまりない。

気性的には軍馬と言うより早馬として用いられる方が適している。

よく世話をし王領内を散歩をさせてくれるベリーやエルヴェナが最近のお気に入り。


外見:大柄な体躯。鹿毛。たてがみ長め。

→クリシェ:触り方をよく分かっている二本足。結構餌をくれたり手入れしてくれたりする。

得意:走ること。

好き:散歩。ブラッシング。限界に挑戦すること。

嫌い:雑な二本足。

悩みごと:冬が終わるとやってくる謎の種付け祭り。




○ぐるるん 『混沌・中立』

人慣れした猫系女子。翠虎。

アルビャーゲルの翠虎で、クリシェに餌付けされて懐いた翠虎。

アルビャーゲルでは何不自由ない生活を送り、すくすく伸び伸びと育ってきた一頭で、翠虎としてもやや大柄で知能が高い。

豊かな環境で絶対的強者の位置にあったためか、これまであまり飢えたこともなく野生の獣としては警戒心が非常に薄い。


クリシェが食べきれず残した翠虎の死骸、その内臓を貪りつつ、本能から来る縄張り意識から匂いを辿り彼女を追っていたのだが、後を追えば新鮮な肉が次々と提供されていく状況に謎は深まる一方。

残されているのはしかも、一番美味しい内臓である。

これはもしかすると自分のために残しておいてくれているのではないか――そんなことを考えながらクリシェに追いつけば、やはり提供される藍鹿の内臓。

明確な解を得た彼女はそうして謎の二本足、肉の提供者クリシェと行動を共にすることを決める。

狩りをしないでも何故か肉を与えられる環境を満喫しているようで、現在の生活には非常に満足しているらしい。


外見:翠の体毛に黒の縦縞。肩高八尺の巨大な虎。

→クリシェ:何故か餌をくれる二本足。名誉翠虎。母性本能をくすぐる。

得意:狩り。

好き:散歩。寝ること。食事。ブラッシング。二本足の玩具。

嫌い:獲物を横取りされること。

悩みごと:食っちゃ寝で太る体。


わりと謎に忙しいので次章開始は八月半ばになりそうです……。

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