第116話 百万カボチャの女
それは夜四人がくつろいでいたときのこと。
ベリーの膝の上に座ったクリシェに擦り寄り、わんわん、くぅん、と可愛がられていたクレシェンタ。
彼女は訪問者のノックで跳ぶように、セレネの隣にある椅子へと座り――アーネはこちらの了解も待たず『ささ! どうぞ!』などと妙にきびきびと扉を開けて入室する。
それに苦笑し続いたのはガーレンであった。
張り切りすぎてノックの意味もなしていない入室であったが、もはやアーネにわざわざそれを伝えるものもおらず。
ベリーは苦笑いしながら立ち上がり、ガーレンを席に誘った。
「――おばさんが?」
「ああ、近頃体調を崩すことが多かったらしいんだが、この前は畑仕事の途中で倒れたらしく……まぁ、二週間ほど前の話のようだが」
どうしたのかとクリシェが尋ねてみれば、手紙を見せてガーレンはそう告げる。
カルカの村から王都までは結構な距離がある。手紙が届くまでには二週間――大体そんなものだろう。
「わしが顔を見せに行こうかと思ったが……やはりガーラが一番喜ぶのはクリシェだろう。無論、クリシェの仕事の兼ね合いもあるが」
ガーレンにもクリシェにも、王都での仕事はある。
とはいえセレネが元帥、補佐にエルーガがついたため、ガーレンはアルベリネア――クリシェの副官となっており、軍の仕事の半分はガーレン。
軍の再編成などに関する事務処理などはクリシェは誰より早く済ませ――要するにキース達に丸投げする体勢を整えていたため、そちらの方面で特に仕事もないし、細かいところに関してはガーレンが残るなら問題はない。
ガーレンが気にしているのはクリシェの別な業務のこと。
とはいえ、こちらに関しても急ぎの予定というものは特に存在はしていなかった。
基本的な事は工作班に伝えてあるし、部品製作等にはそれなりの時間が掛かる。クリシェが行なうべき事は済んでいて、続きは帰ってからでもそれほど問題はないだろう。
「ガーラさん、というのはその……」
「クリシェがよくお世話になってた人です。ほら、パイの焼き方を教えてくれた……」
クリシェの中では天秤が揺れていて、少し迷う。
往復すればひと月程度。決して近くはない。
王都を離れることに問題はないとはいえ、いくらでもやれることはある。
もちろん小さな頃から世話になったガーラのことは大好きであったが、色々な仕事を放り出してまで行くべきものなのか――クリシェは考え込み、
「なるほど。それは心配ですね……」
ぼんやりと告げたベリーの言葉。
それを聞いて、クリシェはすぐさま結論を出す。
「わかりました。でも、セレネは良いのですか?」
「いいわよ。忙しいけれどクリシェに手伝ってもらいたいこともないし……副元帥が頑張ってくれているから」
王国が内戦で失ったものは大きく、軍全体が現在再編成中。
クレシェンタが連れてきた皇国軍が特に問題のある西部と東部に張り付いているため、国防上の問題はないものの、失われた将軍や軍団長の穴埋めはそう簡単にできるものではない。
金を出して兵士を募集することは出来ても、指揮官は補充が利かない。
その辺りの処理をやりつつ、セレネはいっそ良い機会だと軍学校を王都に設立した。
元々北部にあった計画途中の参謀部の仕組みをそのままそっくり持ってくる形で土台を作り、貴族達から募集を掛けたのだ。
能力はあっても家を継げない次男三男、彼等を将軍や軍団長、大隊長の補佐役として再教育、互いに競わせ実力上位者を参謀として軍に組み込むことを目的としたもので、ボーガンが長年温めていた考えを形にしたもの。
弱小貴族は当然のこと、大貴族でも三男四男となればキャリアは兵長や百人隊長――最前線からとなる。
当然死傷率は高く、貴族の家で幼い頃から高度教育を行なわれている人材がそうして失われることはやはりデメリットが大きい。
頭脳に優れるが剣が不得手、というような人間が無為に失われることも昔から多くあり、その辺りは長年の問題であった。
この試みはそういう眠れる逸材に機会を与える場所を作ることを目的としており、彼等とは逆に武勇に優れ出世をしたものの、直感に頼り無茶ばかりをする指揮官も軍には多い。
武勇に優れるが頭がない指揮官、剣を振ることは出来ないが頭脳に優れる参謀。
二つを合わせればある程度の良い面が合わさり、足らない部分を補いあって一流の指揮官となりうるのではないか――ボーガンの考えはそのようなもので、複数人で名将を作り上げ、軍の更なる強化と安定を図るというものだった。
元々軍では指揮官に求められる処理が過剰で、どれだけ優れた将軍であっても戦争が長引けばそのパフォーマンスは低下する。
副官以外にその負担を減らすための補佐役は必要で、ボーガンは軍組織の大幅な改善が必要と考えており、そこで生まれたのが参謀という存在。
場合によれば自ら指揮を取る副官とは違い、その知識による作戦立案、事務的な計算作業を担当する人間を新たに作ってそれに当たらせる。
これによって指揮官の負担は減り、それによる単純な指揮能力向上と作戦立案を行なう参謀によって戦術面での安定化が望めるというわけだ。
これに強いやる気を見せているのはエルーガであった。
元々ボーガンの下、参謀部に一番力を注いでいたのは彼であったが、問題は資金の問題とこれに興味を見せる人間の数であった。
だが今回は女王が後ろ盾となっている。
それらの問題は解消され、既にこの試みに興味を示す文が多く届いていた。
問題は現在の体制に満足している現役の指揮官。
彼等の利権を脅かすような存在となってしまわぬように階級としての参謀の扱いをどうするかというところだが、まだ、建物一つを学校にして本を運び入れている段階。
まだ先の話――軌道に乗ってしっかりとした形となるのは数年先だった。
ひとまずはそこに集まった人材から優れたものをそのまま軍に放り込んで、今回の再編成で出世させた能力不足な指揮官に副官補佐扱いの臨時参謀として配属。
軍の能力低下を極力抑えるというのが今の目的で、まだ募集段階――忙しくなる以前の状態であるため細かいところは追々考えて行けば良い。
幸い乗り気な貴族は多く、クレシェンタが前面に出てくれたことも理由の一つだろう。
『英雄、前クリシュタンド将軍が託した最後の夢――わたくしはあの方から受けた恩義と忠誠を返さねばなりません』
こういうものを作りたいと言った時、彼女はボーガンの中にそんな考えがあったことも知らなかったのだが、いざ会議となれば『ボーガンが自分に語っていた夢である』などと長々、適当に話をでっち上げて押し通した。
嘘と演技だけで出来上がっている女王である。
そんな女王陛下はセレネの隣で唇を尖らせながら、ベリーとセレネを交互に睨んでいた。
『アルガン様ばっかりずるいですわ!』などと声が聞こえてくるようである。
クリシェが行くとなれば当然、ベリーもついていく。
一ヶ月も二人で旅に出るというのが不満なのだろう。
ガーレンに見えないよう頭を撫でると今度は頬を膨らませる。
まるっきり子供で、政務の時の姿とは別人であった。
苦笑しつつクリシェに言う。
「お披露目も再来月だし……こういう機会を逃してしまうと中々帰ることは出来ないでしょうから、今のうちに行ってきなさい。わたしもベリーにお願いしたいことがあるし」
「お屋敷の荷物ですね」
ベリーが頷く。
服など必要なものはある程度こちらに持って来ているものの、調度品や家具はほとんど全てガーゲインの屋敷に置き去り。
流石に高級品を含めた家財全てを他人に任せて持ってこさせるということも出来ず、どうしようかと後回しにしていた。
これも良い機会だろう。
「ついでに屋敷の……売却の手続きもお願い出来る?」
「……はい」
セレネにとっては生まれてからずっと過ごした――両親との思い出が詰まった家。
ベリーにしたってそうだろう。
とはいえ、住むこともない屋敷をそのまま放置するのは傷む一方であるし、金が掛かるだけだ。感傷で残すにはあまりに大きく、それならば売って金にし、誰かに住んでもらえる方がずっと良い。
「持ってくるものも最小限、あなたが選んでちょうだい。後は売ってしまって構わないわ。あなたに限ってないとは思うけど、あれもこれもって持って来ちゃ駄目よ」
「ふふ、わかってます。このお屋敷には元々飾りが多いですし……なるべく少なくしておきます。お嬢さまにご希望は?」
「本は全部……後、お父様のお酒。縁があった人にあげたいわ」
「はい。かしこまりました」
ガーレンは頷き、微笑む。
皺が寄った顔に柔和なものが浮かんだ。
「向こうに用事があるようで良かった。流石にひと月、ただ見舞いのためというのはどうかとは少し思ってはいたのだが……」
「少し前まで結構ばたばたしていましたもの。おかげさまで一区切り尽きますわ、ガーレン様」
セレネは微笑を返してクリシェを見る。
「ま、羽を伸ばしすぎてこれ以上お馬鹿にならないようにね」
「……クリシェはお馬鹿じゃないです」
「精鋭部隊にくろふよ隊だなんて名付けようとするのは世界中見てもあなただけよ、まったく。気付かなかったら危ない所だったわ」
クリシェの軍団再編成に伴い書類がいくつか提出されていたのだが、そこに紛れて書かれていた隊名がアルベリネア直轄くろふよ隊なる謎の組織であった。
セレネに生じるのは頭痛である。
流れ作業で判子を押さなくて良かったと心の底から思っていた。
未だに根に持ち不満なクリシェは唇を尖らせ、ベリーが駄目ですよ、と苦笑してセレネをたしなめる。
「もう終わったことをそうやって掘り返して。クリシェ様がおかわいそうです」
「放置しすぎたわたしの責任なの。ハゲワシにガイコツにわんわんに、まだ愛称ならいいかと我慢はしてたけれど……」
「ハゲワシもガイコツもわんわんも、三人ともちゃんと、クリシェがつけた愛称は気に入ってくれてます」
むすっと頬を膨らませたクリシェが反論し、困ったようにベリーがその頭を撫で、セレネに駄目ですよ、と繰り返す。
「あなたがそうやって甘やかすのも問題なんだからね、もう」
「わたしはいつだってクリシェ様の味方ですから」
「くく、仲が良くて良いことだ」
ガーレンは楽しげに言って、立ち上がる。
「クリシェ、ガーゲインに寄るならついでにコーズの所へ顔を出して軽く挨拶をしておいてくれないか。わしは元気にしていると。中々行く機会はないだろうからね」
コーズというのはガーレンの元部下で、腕の良い鍛冶屋。
クリシェの剣を打った人物だった。
その老けた顔を思い出してクリシェは頷く。
「はい。わかりました」
「ありがとう」
それでは女王陛下、と一礼し、ガーレンが出て行く。
見送りにアーネが出て行き――すぐさまクレシェンタがクリシェに飛びついた。
そしてクリシェに抱きつきつつ、ベリーを睨む。
「ずるいですわ、お二人だけで旅だなんて」
「申し訳ありません。心苦しくはあるのですが……」
「クレシェンタだって内戦中ベリーとずっと一緒にいたじゃないですか。クリシェ的にはおあいこです」
「根本的に違いますわ! アルガン様じゃなくてわたくしはおねえさまとがいいんですの!」
「わがままな子です。ほら、クッキーですよ」
「うぅ……んむ」
睨みつつも食べざるを得ない。
このクレシェンタ、与えられたクッキーを食べないという選択肢を持たない。
自分を大人しくさせるための攻撃――それがわかっていながら真っ向からクッキーを受け止める姿はまさに堂々たる王族、アルベランの女王であった。
一枚飲み込み、続いて二枚目。
もぐもぐと幸せそうに頬を緩ませる姿を、お馬鹿、と呆れて眺めながら、セレネが告げる。
「あそこに行くならそうね、もう一本くらい剣を打ってもらっておきなさい」
「剣ですか?」
「そう。すぐに作れるものじゃないし、今使ってるのが折れちゃったら大変でしょう? 間に合わせで手に入るようなありふれた剣でもないし、予備は必要だわ」
「……クリシェは剣を折り――」
「打ってもらうの。わかった?」
有無を言わさぬ口調。
クリシェはうぅ、と唸りながら頷く。
カボチャ一万個――予備の剣のためにそんな大金を払うというのは、やはりクリシェにとっては随分と勿体ない。
「ベリー、悪いけれどそれも頼んだわ」
「ええ。これだけ離れてしまうと以前のようなお付き合い、というわけにもいかないでしょうし……」
ノーザンやコルキスをはじめ、ボーガンの部下達が剣を打ってもらうのは大抵あの店であったが、今は散り散りとなってしまっている。
売り上げは大きく減ることだろう。
これまで世話になった分、代金も弾んでやるのが礼儀であった。
元々金のないボーガンの部下にただ同然で剣を打ってくれたりなど、仕事だけという関係だけではなく、色々なところで彼には世話になっている。
小金貨三枚――普通の人間なら五、六年は働かずに過ごせる代金をベリーが支払ったのはそういう『見えない借り』を返すためのものでもあって、クリシェの剣一本のためだけに支払ったものではないのだが、しかし未だクリシェはその金額に慣れずにいた。
「セレネ、クリシェは剣を折らないので、やっぱり……」
「……いつまでもそういうところは貧乏性なのね、まったく」
「……? おねえさまはなんでそんな頑なになっておられますの?」
クレシェンタは首を傾げ、クリシェは嘆息する。
「だって……剣一本にカボチャ一万個買えそうな代金というのは、その、やっぱりもったいないですし……一本目はともかく、二本目なんて」
「カボチャ一万個……」
クレシェンタは少し考え、呆れてクリシェを見る。
「小金貨二、三枚の話で何を仰ってますの。おねえさまが使うことを考えるなら数十枚出したっていいくらいですわ。おねえさまはご自分をなんだと思ってますの、第一王女で王国第二位の将軍ですのよ?」
「はぁ……クレシェンタ、いいですか? 村では一家族が一日カボチャ二つもあれば十分な暮らしが出来るんです。カボチャ一万個というのはすごい大金――」
「おねえさま、これを見てくださいまし」
言ってクレシェンタは自分の頭――三日月を象る銀細工の髪飾りを指さした。
髪留めのようなもので、小さなワンポイント。
何が言いたいのかとクリシェは首を傾げ、クレシェンタは告げる。
「これ一つで金貨十枚はしますわ」
「……え?」
次にクレシェンタは左手首を見せた。
金と銀、二種を絡めて作り上げたブレスレットがそこにある。
「次はこのブレスレット、金細工と銀細工で随分と良い品物ですし、宝石も散りばめられて……そうですわね、二、三十枚は越えてくるでしょう」
「え、と……」
「このネックレスも色の良い緋石がついていて、大きさも中々……これは普通に五十枚は行きますわね。場合によったら七十八十……今着てるワンピースドレスだって小金貨三枚なんて軽く越えますわ、王家と長年付き合いある有名な仕立て屋が作ったものですし」
クリシェは唖然とし、クレシェンタは呆れたように告げる。
「ティアラともなれば百枚二百枚なんかじゃ値段のつけられないものもありますし、正式な宴に出るときならわたくしの衣装一つで小金貨なら数百枚――千枚軽く越えることもありますわね。……おわかりになりますか? あれだけ活躍してるおねえさまが小金貨三枚の剣一本を使ってる方が、わたくしとしては恥ずかしいくらいですわよ」
クリシェは適当に胸に抱いていたクレシェンタの金額に驚き、困惑する。
現在金額ですら、ざっと三十万カボチャ。
ちょっとお馬鹿でお間抜けで甘えたがりなクレシェンタ――しかし彼女は百万カボチャの女なのである。
クリシェにあったのは驚愕。
あまりの事実に呆然とする。
「……まったく、おねえさまったら。もう少しご自分の立場を考えたらいかが? 今の地位を考えればおねえさまの剣なんて安すぎる方ですわ、もう」
後ろで聞いていたベリーは困ったように苦笑した。
クレシェンタの言い分は王族としてのものでやや過剰ではあったが、クリシェはクリシェで吝嗇に過ぎる。
物を大切にするのは良いことであったが、だからといって必要なものまで遠慮して受け取らないというのは問題であった。
特に武具に関してはクリシェの身を守るためのもので、最低でも不足がないよう剣の予備くらいは持っていて欲しいとは思うところ。
「まぁ、そうですね。クリシェ様はお給金やお受け取りになった褒賞金もほとんど手つかずですし……そこから考えれば剣の一本は些細なものですよ」
「うぅ……」
クリシェが指揮する軍団に対しては王国から編成用の補助金が出ているし、常備雇用している黒旗特務と指揮官の維持費はそれでほとんど賄え、給金は僅かな補填に留まる。
クリシュタンドは現在、セレネとクリシェ二人の稼ぎ手がいる上、使用人も少ないため生活費は安いもので、無駄遣いを嫌うクリシェの給金はほとんどが貯蓄。
帝国との戦、今回の内戦での褒美も手つかずで、クリシェが必要なものにしか金を出さない性格な事もあって貯金は溜まる一方であった。
装飾にも着るものにもこだわらず、金を使うのは料理関係だけ。
近頃は仕事の方で出費があるもののやはり些細なものであり、剣を数本買う程度のこと躊躇の必要もないのだ。
とはいえやはり性格なのだろう。
クリシェはとりあえず貯金をするタイプで、金を使うことに対してあまりに消極的であった。
浪費癖がついてもらっては困るものの、もう少し貴族らしいお金の使い方というものを覚えても良いとはベリーも思っている。
クリシェの金銭感覚は精々お料理好きの町娘で、大貴族と言える身になった今の身分からはほど遠い。
「……ベリーがそう言うなら、その」
「ええ。……いつぞや申し上げた通り、貴族が沢山お金をもらうのは手にした多くを色んな方へ振り分けるため。もちろん、今後の大きな出費に備えて蓄財するというのは良いことですが、それが目的となってはいけません」
「……はい」
「ふふ、おわかりになってくだされば良いのです」
ベリーはクリシェの頭を撫で、セレネはその様子を呆れたように見て嘆息する。
「ベリーが言うと素直なのよね、本当」
「普段の姿勢が大事なのですよ」
「甘やかしてるだけでしょ、もう」
「そうですわ、良いとこ取りばっかり……アルガン様はずる、んむ」
「だめですよ、クレシェンタ。放っておくとすぐベリーの悪口言おうとするんですから。しばらくわんだけしか喋っちゃ駄目です」
うぅ、とクッキーを囓りながらクレシェンタはベリーを睨む。
もう一度クリシェに名前を呼ばれると、クレシェンタは渋々わん、と声を上げた。
「とはいえクレシェンタ、安いものとは言いますけれどカボチャ一個でクレシェンタが今食べてるクッキー何個分になると思ってるんですか? クレシェンタは逆にもう少し、カボチャの価値というのを理解するべきだと思います」
「わ、わたくしが買ったわけじゃ――」
「……わん」
「うぅ……わん」
妹に金の価値について上から目線で教えられ、何やら心に残る不満。
クリシェは百万カボチャの女――わんとしか言えないクレシェンタに対し、そこから熱心にカボチャの価値についてを説明した。
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