第20話 主導権

「砦は現在も奮戦中。第三波の攻撃も防ぎ切れそうです」


伝令はボーガンにそう伝えた後、砦の作成者であるクリシェをちらりと見た。

事ここに至っても彼女は黒と銀のワンピースに外套を羽織って椅子に座り込み、報告へ興味を示さず、机の上の地図を眺めていた。

流石に曲剣と短剣、手甲くらい装備していたものの、戦場らしからぬその服装に半ば呆れの感情すら抱く。


魔力で強化されたクリシェの肉体はその気になれば馬より速い。

馬が必要ないならズボンは穿きたくないというクリシェのわがままであった。


村での女は長衣――ワンピースを着るものとされていた。

そのためクリシェは必要がない限りズボンを穿くことを嫌っており、この場にあってもワンピースと外套を固持している。

クリシェの中でズボンとは馬に乗って戦わざるを得ない時に穿くものであり、それ以外の用途で穿くことはその美意識が許さないのだ。


兵長未満の兵士の制服や鎧は決まっているものの、それ以上の階級にあるものは基本的に自弁――自分で衣服や甲冑を揃える決まりがある。

そのため規則上はクリシェの服装に何ら問題はなく、「クリシェはお手紙を配達しに来ただけですから」という立場を未だ崩さない彼女に対して文句を言うものはおらず、そして彼女も頑な。

これにはベリーが出掛けに言った『変なことに首を突っ込むな』という言葉も影響している。

目的は手紙の配達なのだから、それ以外は『変なこと』である。

会議も築城も言われたから参加しただけであり、クリシェ自身は特にこの戦場に参加しようなどという気持ちは欠片もなかった。


そんな彼女に呆れたセレネの言葉で申し訳程度に手甲を身につけ、一応鎧を身につけているという体裁は保ったものの、それ以上はセレネも諦めた。


クリシェの実力は皆が知るところであったし、甲冑は重たく、むしろ邪魔になるとクリシェが言うのであれば、無理に着けさせることもできない。

彼女は徹底的な効率主義者。

その彼女が言うのであればその意見は事実なのだろうと思えたからだ。


そんなクリシェは砦の話を聞いても全くもって興味がなく。

一応聞いてはいるものの、地図を見る振りをしながら口の中のキャンディに夢中になっている。


クリシェがすぐに帰れないだろうことを予想していたベリーから、追加のキャンディが送られてきたのだ。

おかげで毎日きっちり二つ食べ、残り一つとなっていたキャンディを再び味わうことが出来たクリシェは非常にご機嫌である。


クリシェは作戦の立案に深く関わっていたものの、敵の可能行動とその対処については既に全てが滞りなく全軍に行き渡っていた。

ボーガン自身の改革もあり、クリシュタンド軍は下士官、士官の教育や情報伝達の仕組みがしっかりと行き届いていた。そうなるとクリシェにもやることはない。

ひとまず座ってなさいとセレネに言われたためこの場に座っているだけで、特にクリシェもここで何かをしているというわけではなかった。


「敵輜重隊の襲撃に成功したとファレン第四軍団長より報告が」

「……素晴らしい。流石はファレン軍団長。状況はこちらが優勢に傾いた」


砦の建設と同時、兵力の一部を山の中へ伏兵として配置していたのだ。

それによって山の南を通る敵輜重段列への襲撃が行われ、これはそれが成功したとの報告であった。


既にここに来て十日。

敵の到着からは七日である。

相手は兵站を遮断されたことにより、ここから大きく身を崩す。


「機を見て突破を図りたいところだが……」

「仕方ないことですが……敵陣が泥濘にあることが裏目に出ましたな。今攻撃に移ると逆にこちらの被害が大きい。泥の上を突撃では兵が堪えるでしょう」


ボーガンの言葉にガーレンが首を振る。

セレネは言った。


「これだけ快晴が続いてますもの。もう二、三日もすれば乾くのではないですか?」

「確かに続けばそうだが――山が側にある分天候が読めん。天候次第と言ったところか。どちらにせよ敵の士気は時間の経過と共にこれから低下していく。少し待っても良いだろう。半月分程度の量は持ってきていたようだが……クリシェ、どう見る?」


クリシェは言葉を掛けられ、頭の中で軽く計算を行う。

敵輜重への攻撃成功――とはいえ、全ての物資を焼けたかと言えばそうではない。

伏撃である以上それほど時間を掛けるわけには行かないし、敵の護衛も相当数いる。

輜重段列への強襲を行なった第四軍団は非常に優秀であったが、取りこぼしは必ずあるものだ。

伏撃を行ったであろう兵数と敵輜重段列の規模を考慮に入れ、どれほどの補給が向こうに届くかを計算する。


「十五日といったところではないでしょうか。敵軍の死傷者は現状のままで行くなら4000に達するでしょう。その分糧秣は不要になります。……敵が本国からの輜重段列を失ったことに気付くタイミングによりますが、仮に今日気付いたとしても最大で二十日程度で底を突くとは」


ころころと口の中で飴玉を転がしながらクリシェは答えた。


「死傷者がかさみ、更に長期となる可能性もありますが……その場合敵軍はこちらに対する数的優位と地の利を完全に失っていることになりますから、あまり考える必要はないと思います」

「なるほど。となると問題は――」

「西に残した一万、もしくは敵侵攻軍中央からの輜重でしょう」

「ああ。しかし一般的な心理として、南側侵攻の要となるであろう中央からの補給を要求するとは思えない。ひとまずは西の一万から運んでくるだろう。切羽詰まればその可能性はあるが……」


ボーガンは将軍として十分な頭脳を持ち合わせている。

クリシェへの確認は数学的計算を頼む場合がほとんどであった。

クリシェは口内でキャンディを転がしながらこちらと敵の配置を確認する。


「敵が輜重を失ったことに気付いた場合、工作員などによってすぐに知ることは可能ですか?」

「それに関しては問題なく気付けるだろう。命令は出した」

「では、その確認ができ次第、一軍団5000の兵力で西にある渡河地点に防衛陣地を築いてみてはいかがでしょうか。こちらが夜襲の構えを見せ、夜に走らせれば相手の反応は遅れるでしょう」

「……5000で? 危険すぎないかしら」


セレネが眉をひそめた。


「仮にそちらへ敵が大軍を向かわせるなら、その場合こちらの主力による逆襲によって敵本陣を落とせます。逆に残すならばその防御陣地で抵抗、敵戦力を貼り付けにしてもらえばいいです。最短ルートとなるここを防がれてしまえば、敵は必然的に大回りで輜重段列を動かすほかありませんから、時間は稼げます」

「……ああ。敵輜重が到着してもいいってことね。防御陣地の軍団は敵輜重に対しての嫌がらせ程度に留め、積極的襲撃は行わない」

「はい。大回りな分届けられる糧秣は浪費しますし、時間が掛かれば敵の兵士の士気も落ちます。そしてすぐに新たに輜重を要求しなければならないでしょう」


ボーガンは考え込み、頷く。


「となると問題は手薄になるこちらの本陣……いや、一度に戦闘正面に割り当てられる兵力はたかが知れている。どちらにせよ予備隊として十分な兵力は温存できる、か」

「はい。数日時間を稼ぎ、輜重の迂回さえさせれば防御地点の軍団は動かせますし、側面攻撃に運用、あるいは再び後方に予備隊として待機させてもいいでしょう。クリシェとしては当初の予定通り、好機が訪れない限りここでの膠着を維持するのを目的としたほうが良いと感じます」

「いいだろう。それで行くとしよう。……伝令、コルキスを呼べ」

「は!」






「はっはっは、なるほど。確かに難しい任務でありますが、俺も退屈していたところです。お任せください」


巌のような大男――第二軍団長コルキス=ナクトラ=リネア=アーグランド。

その顔の筋肉までも鍛えているのではあるまいか。

そう思うほどに筋肉質な巨体は、天幕の中にあると殊更に大きく感じた。

虎を模した兜と鎧はより一層彼を勇壮に見せ、強い威圧感を伴った。

その胴間声は耳にうるさく、喋る度クリシェなどは僅かに眉をひそめる始末である。


声も体も全てが大きい。

こうした天幕にあれば圧迫感を感じさせる男であるが、その大きさを戦場で目にする兵士たちにはその声や姿は強い安心感を与え、一転利点と置き換わる。

鮮やかに兵を操る第一軍団長ノーザンを柔とするならばこちらは剛。

単純な突撃と防御をさせるならばクリシュタンド一とも言える、優れた武人であった。

一騎打ちであげた首は数知れず、そんな勇者に付き従う兵たちも精強を極める。

この任務には適した配役と言えるだろう。


「しかし、将軍も良い娘さんを養子にもらわれた。女の身でありながら二人揃って、並の男では持ち合わせぬ戦術眼をお持ちだ。俺のせがれにも見習わせたい」


言ってコルキスは将軍伝令の美青年を見た。

青年はその目を伏せ、その視線を無言で受け止める。


「そう言うなコルキス。グランも十二分に務めを果たしている。他の将軍はともかく、目端の利く優秀なものでなければ私も伝令役にはつけない」

「どうにも臆病なのがいけない。クリシェ様はなんでも、賊を十数人、容易く斬り殺したという話ではないですか」

「その子は特別だ。剣を振るえば私だって勝てないさ。それに、臆病さは悪いことではない。それぞれの気質に応じて、その者の能力を十全に活かせる立場に置けば良いのだ」

「それは理解できますが……」


納得がいかない様子で、まぁ、その話はやめましょう、とコルキスは両手を上げた。


「撤退の判断はお前が行え、コルキス」

「はい。流石に敵が一万を超えてくると持たせて二、三日といったところでしょう」

「それで構わん。無理と判断したならばすぐに諦めろ」

「お父様、せき止めに使っていた工員を回してあげればどうかしら? 防御陣地の設営には役立てられると思いますけれど……」

「良く気がついた。コルキス、そこから必要な工員を引っ張っていくがいい。クリシェ、砦の予備資材はどれだけ余裕がある?」

「……予備資材の半分程度は持って行ってもらっても構わないかと。大分余裕を見てますから」


普通の砦を築くのと比べ、使った資材は半分程度。

砦を築くと聞いた工員は概算で川へ資材を流したため、随分と余っているのだ。


「そうなると……今のうちに杭の形に削らせておいた方が良さそうね。陣地設営に時間的余裕はあまりなさそうだし」

「確かに。そちらの方は俺の手勢にやらせます」

「コルキス、内容は伝えるな。どこに敵の耳があるかはわからん。一時的に私の命令で砦補修の工員を手伝うという形を取り、命令を出す」

「はい。副官とその任に携わる大隊長にのみ伝えることとします」


そうしてコルキスは天幕を出て行く。

声の大きい男だとクリシェは迷惑に思ったが、そんな顔をしないの、とセレネに頬をつつかれ、僅かに膨らんだ頬の空気を吐き出した。






そこから先は一方的に主導権を握り続けるクリシュタンド軍と主導権を握られ続けるサルシェンカ軍の戦いが繰り広げられた。


本国からの輜重を失ったことに気付いたのは二日後の事であった。

アレハは速やかに伝令を飛ばし、西に残した部隊から至急糧秣を送るよう要請する。

そして翌日には敵軍5000が消えていることに気付き、アレハは遊牧民騎兵を主体とした6000の兵を送り込む。

川を挟んで対面する両軍の兵力はこのときクリシュタンド軍1万1000に対し、サルシェンカ軍1万3000となっていた。

当てにしていた輜重段列を奇襲によって壊滅させられ、残した軍からの輜重は迂回を余儀なくされる。

士気の低下は深刻だった。兵力的優位は今や存在せず、初動渡河の失敗が尾を引いている。元々精強を誇るクリシュタンド軍に対しては、兵力がやや上回る程度では全く安心出来る材料とはならない。

そして更には食糧不足――このままでは敗北は必定。


好天による足場の回復はここに至ってはもはやこちらの窮地を強めるものでしかなかった。


残してきた1万の兵力は動かせない。

それまで東に連れてきてしまえば、ウルフェネイトが敵中央軍による攻撃に遭った際、容易にその後方連絡線を遮断されてしまうからだ。

どんなに強固な城であっても、城はそれ単体では機能しない。

それを維持する兵站があってこそ、戦略的価値を生む。


アレハは当初考えたとおり、クリシュタンドの動きがウルフェネイト攻略の助攻であると今も認識しており、そうであるが故に行動を縛られていた。

そしてクリシュタンドの動きに対する私見をウルフェネイト防衛軍、南部侵攻軍に対して伝えていたがために、南部侵攻はいつでも開始できる状態にありながら待機を余儀なくされている。

敵がウルフェネイト奪還を狙っているのであれば、それは帝国にとって何より望ましい展開になるからだった。


完全な奇襲でありながらも、帝国はウルフェネイト攻略に多大な犠牲を払っている。

それほどまでにウルフェネイトは拠点として優れていた。

ウルフェネイト奪還を敵が目論んでいるのであれば、ウルフェネイトを中心として三軍を連動、容易にこれを撃退できると考えており――そして中央軍を撃退できるのであれば、孤立することになる南部の侵攻はより容易。

それどころか、場合によれば敵の首都すらを陥落させることも視野に入れられる。

それは、此度の戦争の完全勝利を意味していた。


とはいえ他の二軍もアレハの言葉を完全に信じたわけではなく、各々が工作員を使って敵の内情を探らせている。報告はいずれもシロ――そのような情報はないというものだ。

今回の動きがクリシュタンド軍単独によるものであることに確信を抱くのはもはや時間の問題。

だが、それよりも早く北部での戦闘は決着に至ることとなる。


「将軍! ダクラーシャ副将が――」


苦渋の決断――中央からの輜重要請の伝令を飛ばしたすぐ後のこと。

本陣にて馬上から戦局推移を見守っていたアレハの耳に飛び込んだのは、右翼――自ら山中に入り指揮を執っていた副将の戦死の報である。

そして同時にその副将補佐をも失ったことで山中での指揮系統は混乱状態に陥ったことを知る。


帝国軍では王国軍と同様、高級士官にはいざという時その代行を務める補佐――王国軍でいうところの副官が付けられている。

本来的にはその下の階級にあるもの、王国で言うなら将軍の次は軍団長が野戦任官という形で繰り上がるのだが、別の場所にいることも多く、すぐに、というわけにはいかない。

そうした際に一時的に指揮代行を行うのが補佐や副官の最も重要な役割であった。

しかしそれが纏めて戦死となると流石に現場は混乱する。

更なる代行を探すため下の階級にある最先任士官に指揮を執らせねばならず、そして山中という悪条件でそれは至難の業であった。


山中では兵士が恐慌状態に陥り、各個撃破されている。

山側から迂回攻撃を敵が企図するであろうことはわかっており、だからこそ信頼の置ける副将に指揮を預けたのだ。

それがこうもあっさりと突破され、戦闘の報告よりも先に指揮官戦死の報告となれば、アレハの優秀な頭脳も一瞬、思考停止状態に陥る。


「山側の防衛布陣はどうなっていた! 四千の兵を与えていたのだぞ!? それがどうしてこのような事態を招く……!」

「ひっ」


温厚な将軍の怒れる姿。

胸ぐらを掴み上げられた伝令兵は怯えきっていた。

その顔を見て、自分の行いが八つ当たりであると恥じ、すぐに離す。

少なくともアレハ=サルシェンカは自分の間違いを認識し、正せる美徳の持ち主であった。


「……すまない。これでは八つ当たりだ。……それで、他に何か状況は」

「誰もが混乱している状態で……私はすぐにお知らせするよう走らされたのですが、その……」

「なんでもいいから情報が欲しい。なんだ?」

「その、化け物が出たのだと……」

「……化け物? 魔獣の類いか?」


人に魔力を扱えるものがいるように、獣にもまたそうした存在がある。

ただでさえ人より強靱な肉体を持つ獣であるがゆえ、魔獣は単なる獣と一線を画し、魔獣殺しはそれだけで騎士の叙勲を受けられるほどに難しい。

魔獣は基本的に人の住まぬ森や山の奥地に潜むことが多いが、この周囲でそんなものが出たという情報は知らない。

しかし事実であれば何より運が悪かった。


「いえ、それが……銀の髪を持つ少女の人妖なのだと」

「……単なる手練れの貴族だろう。兵士たちにはそう見えても仕方あるまいが……」


魔力を操るものとそうでないものの差は大きい。

個人差が大きく出るところであるし、一概に言えることではないが、ある一定の技量と魔力を有する魔力保有者は常人には化け物染みた存在として映る。

総身が鋼の大戦槍を軽々と振り回す敵の第二軍団長などそのいい例だ。

とはいえ、腕利きの魔力保有者と魔獣。

どちらがましかという判断はつけられなかった。


「――将軍! 右手の山中から敵が現れました!」

「くそ。予備隊のターガンを出せ、なんとしても川に近づけさせるな! 敵にこちらへの橋頭堡を築かせるわけには行かない」


新たな伝令がすぐに馬に跨がって走り去るのを見届けた後、舌打ちをする。

どうすればいい。どうすれば――


「将軍。……今ならばまだ間に合います。撤退のご命令を」


老境にさしかかってなお、鍛え上げられた体躯。

声を掛けたのは将軍補佐であった。


「撤退だと! 我らが撤退すればどうなる? 今回の侵攻は――」

「……若様」


幼い頃からアレハの教育役として付き従ってきた将軍補佐――ワルツァ=グリズランディは、若様、と昔の呼び名で将軍を呼んだ。


「……お気づきでしょう。主導権はもはや、我らの手に戻ることはありません」


諭すような口ぶりだった。

ワルツァは従兵から赤いたてがみのついたシンプルな兜と、鋼の大槍を受け取り、身につける。


「此度は、クリシュタンド将軍の巧みな誘導にしてやられました。事実は事実、確かに大失態と言えましょう。……しかし、あなたは未だお若い。この先再起を図ることもできる。少なくとも私はそう思っております。あなたはこれまでも、多くの失敗から学び、そしてその度強くなられた。私はそれをおそばで、何度も目にしてきました」

「……ワルツァ」


アレハは拳を握る。

こうなれば手はない。

側面から奇襲となった以上、川に橋頭堡を築かれるのは時間の問題。

森の兵力が当てにならない以上兵数は同等――いや、劣勢にある。

そして食糧不足と渡河失敗、敵の攻勢と奇襲によって極限まで低下した兵の士気はもはや回復しない。


わかっているのだった。


「私が殿を務めましょう。ターガンは良い指揮者となります。これからのあなたには必要な配下……敵の刃は私が受け止めましょう。呼び戻し、彼と共に撤退を」


苦渋に満ちた顔を伏せ、震える声でアレハは告げる。


「……必ず仇は取る。私の、この名前に誓おう、ワルツァ」

「それでこそ若様です。……ご武運を。神のご加護があらんことを」

「手柄と栄誉は天の国にて、必ずお前と分け合おう」


ワルツァは嬉しそうに笑うと、馬を走らせる。

アレハはその背を見送るしかなく、すぐに頭を将軍のそれへと切り換えた。

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