最終話【エピローグ】

 それからちょうど1年後、結局魔法は力加減がうまくいかずに使えない魔法としてすっかり忘れて本来の農作業に精をだしていたときのことだった。


「クソっ 急に大雨なんか降るんじゃないよ。早くハウスを閉めないと大切な作物が傷んでしまう」


 僕は急に降り出した大雨の中をハウスに向かって急いでいた。


『ピカッ ガラガラガラ!』


「うわっ 雷まで鳴ってきやがった」


 そう叫びながら走る僕の目の前にいつかと同じ光景が飛び込んできた。


「雷コワイ! 雷キライ! 雷アッチイケ!」


 なんだか懐かしい声が聞こえてくる。


「くもくもひらけ、おひさまみえた!」


 その声がするとほんのいままで雷をともなう大雨だった空がぽっかりと雲を飛ばして太陽が顔をだした。


「すげぇ……。以前よりも力があがってないか?」


 そこにはお腹いっぱいになり満足した表情で天に帰っていったはずの幼女が天に手を拡げた格好で立っていた。


「……なんでまたここに来たんだよ?」


 僕はその懐かしさを感じながらも幼女にそう問いかけるとひとこと「またお腹空いちゃったから会いに来ちゃったのだ」と満面の笑みを見せながらそう言った。


「し、仕方ないやつだな。いいぜ、今年は君でもたくさん食べられるものを植えてみたんだ。気がすむ……いや、腹が納得するまで食べていけ!」


 僕はそう叫びながら幼女神の手をひいて畑へと走りながら幼女神に問いかけた。


「そういえば君の名前を聞いて無かったな。教えてくれるかな?」


「わらわにはこの世界での名前など無いのじゃ。良かったらおぬしがつけてくれぬか?」


「そうだな。魔法がポンコツだから『ぽこ』ってのはどうだ?」


「誰がぽんこつじゃあっ!!」


「わははははー」


 ぽこの魔法ですっかり晴れた空の下で僕は大声で笑った。



― 完 ―

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ポンコツ幼女神の魔法講義録〜農作業に魔法を使ったら楽……出来ませんでした〜 夢幻の翼 @mugennotubasa

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