第178話 これが研究員の発明
一日をリリアナとイチャイチャしながら過し、今の私は術棟で
この仕事に追われる感覚…!懐かしい!
私は仕事をする手が早くなる。
「追加の仕事です」
「そこに置いといて」
「休んでくださいよ?何時間ここで籠もってるんですか。聞いてます?」
エントが心配そうに私を見るが、それを無視してひたすら仕事に集中する。
待ってたぜこの感覚をよぉ!終わらない仕事!胃がキリキリする感覚!
研究ばっかりしてた私を呼び出す!
「タリンさーん!所長が休んでくれませーん!」
「ほっといて大丈夫だと思いますよ。それに見てください。楽しそうな顔してませんか?」
「狂気に満ちた顔にしか見えませんけど……分かりました。タリンさんの指示に従いますよ」
二人は所長室を出ていき、別の仕事を処理しに行った。
そもそも何故私がこんなに仕事に追われているのかと言うと、二週間後に大遠征があるからだ。
あのドラゴンの遠征の時とは比にならない程の距離を歩き、危険な場所に向かう。
大遠征に向かうのは所長の私含めた術棟六人、管理者のラエル含めた魔塔五人、副騎士団長のオバル含めた騎士団十人、魔法長のアイザック含めた法棟八人。
トップの者らが一気に動く、それはルーベン国の戦力を一気に削ぎ落とす事となる。
いくらタリンさんやリオンが残っていると言えど、他国との戦力に大きな差が出来る。
何が起きてもいいように、対応出来る物を私達は作っている。
私はカフェインをぶち込みながら仕事をひたすらし続けた。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
現在、外は太陽がのぼり始めていた。日を…またいでしまった。
昼飯も夜飯も取ってないな。いやおにぎりは食べたか。
まだ書類は残ってるし、終わらせて向かおう。
「まだ居たのか…」
「それはこっちの台詞だ。もう朝だよ?」
「どうしたらそんなピンピンに動けるんだ。寝てないんだぞ?」
「貧弱だなぁ」
目の下に隈ができたリオンが扉を開ける。私は慣れてますし、にしても疲れてんな。
私は残っていたおにぎりをリオンに差し出す。
「何も食べてないでしょ。食堂は開いてないし、食べておきな。まだ仕事あるでしょ?」
「あぁ、ありがとう。書類仕事をこんなにやらされるなんて久々だ」
「騎士団は訓練中心だもんね。最近は犯罪も少ないし」
リオンはおにぎりを美味しそうに食べる。腹減ってたんだろうなぁ。
随分美味しそうに食べるじゃないか。
珈琲を淹れて飲み、仕事に取り掛かった。
私がした書類をリオンは確認をする。すると驚いた表情をする。
「ミスが一つもない…だと?人間かお前?」
「人間だよ。疑うな」
「この量をこなしてミス一つも無いなんて、はぁー尊敬されるのも分かるな」
確か私って仕事のプロって呼ばれてるんだっけ?その呼び名やめてほしいんだけどな。
私はこの世界の仕事環境に改革を起こした人として讃えられている。
全自動のコーヒーメーカーを作ったり、首が痛くならない椅子を開発したり、書類を読みやすく、書きやすくする為に項目を作る等をしたり、印刷機を作ったりした。
仕事しづらいからしただけなんだけど、こんなに讃えられるとは思って無かった。
いくら魔法と剣の世界だからと言って不便な物は不便なんだろうな。
全自動コーヒーメーカーは作っといて良かった。
手軽に飲めて最高なんだよなぁ。
「それで、その案は何だ?」
「ペットボトルって言って私が次作ろうとしてる物に入れようと思ってるの」
「自動販売機だったか?また不思議な物作ろうとしてるな」
「ふっふっふっ!君達はこのペットボトルの素晴らしさに驚くが良い!そして自動販売機にもな!」
「狂ったかついに」
「狂ってないわ!」
世界に自動販売機を広めれば、手軽に水もカフェインもとれるのだ。
革命だろう……ククッ。素晴らしいぞ。
あぁ科学者ヘロン様よ。貴方が考案した聖水自動販売機は異世界にまで受け継がれる!
何と素晴らしい物を考えてくださったのだ!
「何を崇めてるんだ」
「科学者ヘロン」
「だ、誰だ………?」
「自動販売機の生みの親と言っても過言では無い方だよ」
「そう、なんだな。どこ出身の人なんだ?」
エジプト生まれのギリシャ人なんだけど…この世界だと、どこ出身って言えば良いんだろうな。
「凄い遠い所の方だよ」
「雑くないか?」
そんな目で私を見るな。何処って言えばいいんだよ。エジプトって言っても伝わらないだろ!
ここには存在しない方だから仕方ないのかもしれないけども!
魔法って便利なんだな。エジソンだって居ないのに電球あるんだよ?
おかしいじゃないか。魔法ってズルいなそう考えると。
地球にも欲しいよ。今願った頃で、私は地球に居ないんだったわ。
世の中は理不尽だなぁ。現実逃避したくなる時、あると思います。
「お前情緒どうなってんだよ。怖いぞ」
「人は限界を超えると狂うんだよ知ってた?」
「今知った」
「それは良かった」
「良くない!寝ろ!」
そう言われるが、私は仕事に取り掛かる。
後十枚なんだ!後十枚やれば終わるんだぁぁ!
リオンに止められながらも、私は残った十枚を終わらせるのに必死だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます