第142話 二人の思い出の場所
リリアナは何処に行っていたんだろう。予定が何なのか分からないんだよな。
私は後ろで抱き着くリリアナを離し、リリアナに何をしに行っていたのか聞くことにした。
「内緒です♡」
「何それ、気になるんだけど」
「後で分かりますよ」
リリアナは私の腕を掴み、どこかに走っていく。
どこに連れていかれるんだ⁉
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いつの間にか夜になり、リリアナが私に目をつぶるよう指示をする。
何だこの既視感は…。
移動し、止まったその位置では風が感じられた。
「さぁセレア様!目を開けてください」
私は目を開けると、そこは学生の時に連れてこられた碧色の花が咲いた崖だった。
ここは…………、久々に来たな。
「久しぶりだねここ」
「えへへ♡結婚したのでもう一度セレア様と来たくて」
「来年も来ようか」
「いいですね!子供が出来たらきましょうね♡」
「私達じゃつくれな…あぁ、養子ね」
「セレア様もしかして、私との夜の事を……」
ちょっちょっ!違う違う!いや、違わないかもしれないけど…普通はそう…あのー考えるじゃないか!
ってかそのキャー!みたいなポーズやめてくれ。
私が恥ずかしくなるから!
「養子…セレア様は養子をとるつもりなんですか?」
「跡継ぎは必要だからね。陛下からアルセリア家は是非とも残したいって言われてるし、跡継ぎを探さないとだから」
「やはり養子は魔術師でしょうか」
「そうなるかなぁ。魔術の才能がある子になるかな」
「お母様とか呼ばれたりするんでしょうか」
リリアナは随分未来の事を考えているんだな…。でも、普通のことなのか?
結婚すると先の事を考えるのだろうか。私は特に考えてなかったな。
今はリリアナとの結婚生活に気合を入れるつもりだったし。
「実は近い内に養子をとることになるかもしれませんよ?」
「どうだかねぇ…。でも養子を取るなら新婚旅行後かな」
養子なんて何も考えてないからなぁ。
「あっ!セレア様、少し待っててくださいね」
「え?うん」
リリアナが突然、走り去っていく。
何だ何だ?この崖以外にサプライズでもあるのか?
少しするとリリアナが走ってくる。
「はい!セレア様♡」
リリアナは、私に箱を渡す。
何が入ってるんだ…。私は箱を開けると、そこにはネックレスが入っていた。
「ネックレス…?」
そのネックレスは飾りの少ないシンプルなネックレスだった。
このネックレス…色は違うがどこかで見たような気がする。
私は思考を巡らせると思い出す。そうだ!リリアナが普段つけているネックレスが、このネックレスと一緒だ!
「気付きましたか?」
「お揃いにするため?」
「そうです♡セレア様とお揃いで着けたくて」
リリアナはえへへと笑い、ネックレスを私に着ける。
小さな金色の宝石がぶら下がっており、リリアナの瞳の色を感じさせる色だ。
「どうですか?気に入りましたか?」
「気に入った。ありがとう」
私はリリアナにキスをする。
リリアナは嬉しそうに私に引っ付いてくる。
私達はその後、星を眺めながら他愛も無い話をして楽しんだ。
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屋敷に戻り、私は疲れて私室のベッドに寝転ぶ。
そして寝転ぶ私の上にリリアナがダイブしてくる。
「リリアナさん…ダイブはやめてくれませんか」
「何でですか?」
「お腹に負担が………」
そう私が言うと、リリアナがうるうるとした顔を見せてくる。
うっ…くそぅ。好きな人にそれやれるのはちょっと、何も言えない。
私はリリアナの頭を撫でて無言になる。
「えへへ♡」
負けた…私って弱いのかな。リリアナに対して極端に弱い。
もぉ〜当主なのに………妻に振り回されすぎている。
何でだろう。どうしてだ、いつもこうなんだよ。
リリアナに厳しくしたほうが良いんだろうけど、推しに!好きな子にそんな事出来ないよぉ!
「……えへへぇ、セレア様の匂いがとてもします」
「良い匂い?」
「もちろん!」
はぁ〜可愛い。きっと他者からみたら何だこいつ等って思うんだろうな。
全然、気にしないんですけど。
そうだお風呂に入らないとな。
「リリアナ一緒にお風呂入る?」
「良いんですか!?」
「まぁ結婚したし」
「是非!是非入らせてください」
リリアナはふんすと手をグーにしてそう言った。凄い気合入ってる。お風呂入るだけなのに。
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カポーンとは聞こえないが、私は先に湯船に浸かる。
温泉入りたいなぁ。やっぱり温泉といえば日本だよな…ここだとニーシャ国だが。
「セレア様!」
リリアナが扉をバンっ!と開ける。
君は伯爵令嬢だよな…?伯爵令嬢とは思えない行動をしてるんだが、いや私も伯爵令嬢だけども。
王妃教育受けてる人とは思えないぞ。
こういう所も可愛いんですけどね!
はぁ〜!好き…。
リリアナも湯船に浸かり、私達は疲れを癒していた。
癒やされるぅ〜。暖まる〜。
「お風呂最高」
「ですね〜。合法でセレア様の裸が見れるの」
「何それ…ふふっ」
「笑いましたね!私は本気なのに」
リリアナにポカポカと殴られる。
可愛い威力、さっきから可愛いしか言葉しか出てこない。
リリアナがベタベタ私の体を探るように触ってくるのを無視しながら、私は風呂で疲れを癒した。
何が楽しいんだそれ。
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