第140話 夫に似合う服
私の膝枕でぐっすりなセレア様の頭を撫でる。
寝顔が可愛いすぎる…私の夫は天使ですか?
「嫉妬だなんて…ふふっ♡リディルも中々使えますね」
リディルと出会ったのは私が七歳の頃だ。
最初は彼は私の事を友人として見ていてくれた。だが、何時からか彼の私を見る目は変わった。
彼は私の事を友人としてではなく異性として見るようになった。
特に変なことをしてくる雰囲気はなかったが、彼の目は変だった。
リディルとはなるべく距離は保っていましたが、彼が必要以上に迫ってくるためどうしようかと思っていましたが…セレア様が嫉妬するなら、使えますね。
「私がリディルの事を好きかなんて…セレア様は私の事をまだ知りませんね。私はセレア様の事しか考えていないと言いますのに……」
セレア様は時折、寂しそうな顔をする。
そんなセレア様を私は癒してあげるのです。
そうすればいつか、セレア様はもっともっと私に執着してくれるはずだ。
セレア様が私なしでは生きられないようになるまで、私は一生頑張りますからね♡
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目が覚めるとそこは私室のベッドだった。
………誰が運んでくれたんだ?
「起きましたか。ここまではこの老いぼれが運んだんですよ?」
「ありがとう老いぼれ」
「セレア様…
「お父様のことを?」
「そうです。旦那様は
「じゃあ私はお父様に似てるってわけだ」
「この老いぼれ…先が長くないのですから、そう元気に動かれてはこの老いぼれが死んでしまいます」
セバスチャンとそんな話をしていると、私室の扉が開く。
そこにはリリアナが立っていた。
「ホッホッホッ…新婚の邪魔をするわけにはいきませんからの、ここでお暇させていただきます」
セバスチャンが部屋から出ていく。
リリアナはセバスチャンが部屋から出たのを確認すると、私の腹部にダイブしてくる。
グボァっ!痛い…。みぞおちが………みぞおちに入った…。
悶える私にリリアナは純粋無垢な目線を送ってくる。
「セレア様?」
「……大丈夫。何でもないから」
痛い…。私はお腹を擦りながら、リリアナの頭を撫でる。
とても痛いです。
「そうだセレア様、新婚旅行は何時にしましょうか」
「うーん…。折角なら長期間の旅行にしたいし、来週とろうか。近いほうがいいでしょ?」
「分かりました!七日の旅行ですね♡」
リリアナは嬉しそうに王城宛に手紙を書きに行った。
七日…生活リズムが崩れないといいんだけど。
まぁいいか。直せるだろ。
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私はあの後ぐっすり寝た。
そして今、私はリリアナとのデート中だ。
「セレア様!見てください!あの服屋さんセレア様に似合いそうなものが沢山ありますよ!」
「いや………見た感じどれもワンピースのような」
「セレア様はなんでも似合うんですからワンピースだって似合いますよ!ほら!行きますよ!」
私はリリアナに振り回されていた。
何故だ…何故私がワンピースを着なければならないんだ。
ってかデートが始まってもう服屋、三軒目だよ!?
何軒周ればいいんだ。
どうしよう、妻がおしゃれ好きなせいかもみくちゃにされている。
私はリリアナの言われるがまま、店に入り試着をすることになった。
「これも似合います♡」
リリアナが楽しそうだし…いいか。
でもこのワンピースは流石に丈が短いのでは?
私に似合ってるとは到底思えないのだが…。
「………何、そんなマジマジと見て」
「いえ、丈が短いのでセレア様の下着が見えたら嫌だなと」
「何を考えてるの」
「セレア様の下着を見ていいのは私だけですから!」
「そんな事はないよ!?」
「えっ…他の人にも見せるんですか?」
「そもそも私ってリリアナに下着見せたことあった?」
「……………」
リリアナは目をそらす。何かやらかしてるなこの子。
一回だけあるか、私の下着が一回消えた事件で犯人がリリアナだった時のやつ。
そもそも私の下着見て何になるんだよ。
「リリアナ…リリアナ?」
「なんですか?」
「写真撮るのやめようか」
「なんでですか」
「そんな写真撮っても何にもならなっ…」
私がそう言いかけると、リリアナは私との距離を一瞬で詰めてくる。
うわぉ…びっくり………。
「セレア様はなんにもわかっていません!私がセレア様の写真を撮る理由は一人で………したり、セレア様を眺めて癒やされるという目的があるんです!夫の可愛い姿を撮って何が悪いんですか!」
「…お、おう」
そんな圧かけないで!ちょっ、怖い怖い。
途中何言ってるか分からなかったんだけど…多分聞いたらいけないやつだから聞かないでおこう。
にしても結婚してから、リリアナが積極的になった。
おはようのキスやおやすみのキス、どこに行くにしても毎回キスを要求される。
私の心臓が持たない…。
試着が終わり、リリアナが私が試着した服を全て買う。
「いやいや!流石に私が出すよ!」
「駄目です!私に奢らせてください」
「えぇ…でも、妻に出させるわけには」
「ここで奢ってセレア様には私が選んだ服を着てもらうんです!」
「そういう戦略ね」
そしてリリアナは私に入る隙を与えず、買い物を終わらせる。
えっ、私………この試着した服着るの?
私はちょっとした絶望で、先が不安になった。
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