第138話 波乱万丈な新婚
私は制服に着替えて、仕事に向かおうとする。
「そうだ、リリアナ。今日、仕事帰りに迎えに行くよ」
「いいんですか?セレア様のほうが仕事が終わるの早いと思いますが」
「問題ないよ。仕事が終わったら待ってて欲しい」
「分かりました」
最近は迎えに行ってあげれなかったし、新婚なんだ。こんぐらいはしよう。
私は馬車に乗り王城へと向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
術棟に行くと、変わらず私の結婚話で盛り上がっているようだった。
「おっ!主役来た!」
「やめろ。さっさと仕事しろ」
「え〜…なんかリリアナ嬢と付き合ってるって話をしてから所長冷たくないですかぁ」
「知らん」
実際、私は冷たく接している。理由はリリアナに怒られたからだ。
色んな人に優しくし過ぎて色んな人から好かれていて対処が大変だと怒られた。
他人から好意を寄せられていると感じた事はあったが、そんなに好かれていたんだな。
リリアナに心配をかけるわけにはいかないし、冷たく接するよう努力をしている。
他人に配慮ができない人になってしまっているような。
「セレア様、またラブレターが来てますよ」
「何故…?」
「どうもギャップ萌えというのに当てはまったのか、増えてきてます」
「術棟に送ってこないでって伝え…いや、全部送り返して」
何だラブレターって、私にラブレター送ってくるな!
私はリリアナ一筋だよ!奥さんいる人にラブレターやめて!
一回、ラブレターを家に持って帰ったことがあった。
その時は予想通り、リリアナにバレてヤンデレリリアナによりひどい仕打ちを受けたからな。
「大変ですねセレア様」
「そんな他人事みたいに言わないでよタリンさん」
「他人事ですし」
「酷い」
新婚なのに…新婚なのに、なんでこんなにハラハラしないといけないんだ!
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
セレア様と結婚した。私はとても浮かれていた。
「セレア様と、セレア様と結婚………。妻、えへへ♡幸せすぎる」
セレア様との初夜…とっても激しかった。も〜、私の事好きすぎるんですから!
セレア様に他の人と親しくなってほしくないから、冷たく接するよう促してみましたが、本当に実行するなんて…純粋すぎる!
なんて可愛らしいんでしょうか。私の夫が可愛すぎる。
純粋すぎて黙れないか心配です。でも?セレア様は私の事を第一に考えてくれますし?
私の為に行動してくれますし……好きすぎます。どんどん好きになるではないですか。
「早くセレア様に会いたい…」
セレア様と離れる時間が嫌だ。本当なら閉じ込めて、私とセレア様だけの世界を作りたい。
でもそんな事をすればセレア様は傷ついてしまうかもしれない。
だから私はセレア様に近付いた虫をセレア様に気付かれないように排除する。
そうすればいつかはセレア様と私の事を邪魔する人など居なくなる。
それでいいんだ。そう、これが最適解。
セレア様と私の幸せな生活を保つ為に、ラブラブに過ごす為に。
「…いつかは、セレア様が私に依存して私無しでは生きれなくなったらいいのになぁ………」
セレア様が私に依存してくれれば早い。そう思ってしまうのはいけないことだろうか。
…早く仕事に行きましょう。セレア様に会うためには早く仕事を終わらせるべきです。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
私は時計を見る。もう昼か、そういやリリアナが弁当を作ってくれていたんだっけ。
私は弁当を開けるとそこにはオムライスがあった。
ケチャップで♡とセレア様大好きですと書かれていた。
「……愛妻弁当」
なんともド直球な愛妻弁当だな。しかも端に私の好きなハンバーグもある。
結構量あるな。食べ切れるだろうか、食べ切らないと駄目か。
『我が主。無理して食べるのは良くないのでは』
「妻の飯を食べきるのは普通なんだ…」
『…無理して食べるより美味しく頂くほうが奥様も喜ぶかと』
「………残したくない」
『時間を空けて食べるべきかと』
確かにそうだ。そうなんだけど、あったかい状態で食べたいじゃないか!
あぁぁぁ!もう、自分の面倒くささに苛つく。
私はオムライスを口に運ぶ。
美味い…美味しい。妻の手料理が美味しい。
「何か何個でもいける気がしてきた」
「それは嬉しいですセレア様♡」
私は聞き馴染しかない声に驚く。この声はリリアナ!?
目の前にはニコッと微笑むリリアナが居た。
「何個でも食べれるくらい私の手料理を気に入ってくださったんですね」
「美味しいし、まぁ当然といえば当然…」
「毎日作りましょうか?」
「流石にリリアナに負担がかかってしまうから遠慮しておくよ」
「何でですか!私はセレア様の体が私が作った料理で作り変えられて、私がセレア様を作ったと言えるようになりたいのに」
そんな真面目な顔で言われても訳が分からないよ!
リリアナが私を作る!?もう追いつけていけない!
「とにかく、セレア様のためにした事は決して私にとって負担になることはありませんので!」
「…そっかぁ」
「なのでいつでも頼ってくださいね。他の人に頼まないでください。私に!頼ってくださいね!」
「う、うん」
「承諾しましたね?絶対ですよ?私だけを頼ってくださいね♡」
言葉を誤った気がする。気がするではない、誤った確実に。
間違えた、リリアナの罠にはめられた。
私にはもう逃げ道がないって事ですかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます