第137話 幸せな二人
私は誰かに揺さぶられ起きる。
目を開けると目の前にはムスッとした顔のリリアナがいた。
「おはようリリアナ」
「おはようございます。って、早く起きてください!今日が何の日か忘れたんですか!?」
「今日……?」
私はハッとする。
今日は結婚式だ…。誰のでもない、私とリリアナの結婚式だ。
リリアナは私が思い出した事に気付いたのか、私に抱き着いてくる。
「今日は私とセレア様の結婚式ですよ。もう…早く準備しますよ!」
「そう言われても、リリアナがそこを退いてくれないと私は動けないんですが?」
「私にキスをしてくれたら動きます」
「……仕方ない」
私はリリアナのおでこにキスをする。リリアナは少し不満気だったが、退いてくれた。
最近はこんなキスのやり取りが続いている。
まんまと嵌められているような気もするが、気のせいだろう。
私は起き上がり、身支度をして結婚式場に向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
何時間経っただろうか。疲れた……。
私は呼び出され、会場に向かう。
会場には私の父であるラエルやリオン、オリカさん、エルトンさん、ドミニク、術棟の皆、魔塔の皆、王族…など、いや豪華!
人居すぎ!
私は立ち位置につき、リリアナを待つ。
「新婦の登場です」
扉が開き、白いウエディングドレスを着たリリアナが入ってくる。
言葉に表せれないリリアナの姿に私は見惚れてしまう。
「セレアよ。娘を頼むぞ」
「…任せてくださいセントラ伯爵」
泣きそうなセントラ伯爵に私は言葉をかける。
リリアナの事なら安心してください。幸せにします。
「汝、セレア・アルセリアはリリアナ・セントラを妻とし生涯愛すと誓いますか」
「誓います」
リリアナも私と同じように誓った。
そして、私はリリアナの左手を取り薬指に結婚指輪をつける。
リリアナはそれを見て嬉しそうに微笑み、私の左手の薬指に結婚指輪をつけた。
「それでは誓いのキスを……」
リリアナはこの日を待ちわびていたかのように私を見つめる。
くっ……何だこの緊張!
私はリリアナを抱き寄せ、キスをする。それはおでこでも、頰でもない口に。
「えへへ…。ファーストキスなんですから、責任とってくださいね♡」
「勿論、心配しないで」
私達はその後、色んな人と話をした。
「おめでとうございます所長!」
「おめでとうございます、セレア様」
「ありがとう皆」
「いやぁ、所長も結婚かぁ……。俺らもついていかないとなぁ」
術棟の皆と話しあった後、私はラエルの所に向かう。
ずっと、泣いてたんだよな…。
「嫌だァァ!セレアぁぁぁぁ…お父さんを一人にしないでぇ」
「泣かないでこんな所で!」
「可愛い娘を離したくないよぉぉ!」
「ラエル様……安心してください。セレア様のことは私がしーっかり幸せにしますので♡」
「ハッ!この女狐め!私の可愛い娘を誑かしおって」
「結婚を承諾してくれたじゃないですかお義父様」
「お義父様って呼ばれたくないわ!」
「頼むから喧嘩しないで……」
何でこんな日に限って喧嘩するんだよ!
落ち着いてくれ、頼むから。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
色々あったが、無事結婚式は終わり私達は初夜を迎える。
こういうのって凄い緊張する…。
「セレア様、似合ってますか?」
「凄く可愛い。似合ってるよ」
「えへへ♡嬉しいです」
甘い香りをしたリリアナが扉を開けて入ってくる。
普段の可愛らしいリリアナとは違って、大人の女性を醸し出していた。
可愛い…妻が可愛いすぎるのだが!?
「セレア様。私、とっても幸せです。セレア様と結婚できてセレア様の本当の妻になれて」
「私も、リリアナの夫になれて幸せだよ」
本来なら、私はリリアナの妻。リリアナは私の妻なのだが、リリアナがセレア様は夫だ!と言い張っている為、私はリリアナの夫という立場になった。
何をこだわっているのか分からないが、必死そうだったしリリアナの事だ、何か考えているのだろう。
「ずっと側に居てくださいね♡」
「勿論」
私はリリアナと体を重ねる。
幸せでたまらなかった。リリアナを救えた、そして夫婦になれた。
私はリリアナを大切にする。これからもリリアナの事を第一に考えて。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
目が覚めると朝だった。チュンチュンと鳴く小鳥の声、そして隣には幸せそうに寝てるリリアナ。
「可愛いなぁ」
私がそう呟くと、反応したようにリリアナが起きる。
ビックリした…。突然起き上がらないで、心臓に悪い。
「今、可愛いって言いました?」
「言ったけど…」
「えへへぇ…。セレア様に可愛いと言われると、凄く胸が躍るんです」
「毎日言ってあげようか?」
「いつものことじゃありませんか?」
「確かにそうだね」
私とリリアナは笑い合う。
こんなに幸せでいいんだろうか。いや、問題ない。
頑張ったんだその分のご褒美だ。
それにしてもリリアナが可愛い。なんだこの可愛さは、私を殺す気か?
笑顔が眩しい…好き。
「セレア様!おはようのキスをください!朝昼晩キスしてもらいますからね」
「昼も!?」
「ずっーと私はセレア様とキスをしてイチャつきたいですよ?でも、それを我慢して朝昼晩にしてるんですから承諾してください」
「分かった、分かったからその姿でジリジリ近寄ってこないで!」
裸で迫られるのは…ちょっと、理性が…。
結婚したから理性が外れたら何するか分からん。
あまり刺激が強いのは無しで。
私はリリアナにキスをしながらそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます