第126話 親友はやっぱり親友だ
あの後、私は十分ほど立ち上がれず雨に打たれていた。
立ち上がった後、私は屋敷にびしょ濡れのまま帰ったせいか皆に心配された。
何人かは何があったのかと聞いてきたが、私は濁した。
その返答に疑問を持ったのかリリアナは疑いの目を私に向けた。
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私室で私はベッドに寝転がる。
なんか疲れたなぁ。
「セレア様、何があったのですか?浮かれない顔をしていましたので」
「あはは…自分って馬鹿だなぁと思ってね」
「ニーティア様の恋心に気付けなかったことですか?」
「リリアナは気付いていたんだ」
「はい。セレア様は気付いてないだろうなとも思っていましたよ」
「何で気付かなかったのかなぁ」
「セレア様が鈍感なのは周知の事ですし、そこまで気に病む必要も無いと思いますよ」
「そう…なのかなぁ。でもどうやって今後、ティアの事を見れば良いのか」
「いつも通りでいいと思いますよ。ニーティア様なら明日会うでしょう?その時にきちんと話し合えば、お互い心のモヤが無くなるかと」
明日は古代遺跡とかの話で会うし、そこで話せってことだろうけど……中々勇気いるなぁ。
私は不安を抱えながらも、眠りにつくことにした。
明日の事は明日考えよう。
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どうしようです。昨日は焦って逃げてしまったですし、セレアにあたしの気持ちがバレたです!
今日は古代遺跡の件で話し合いですし…どう顔を合わせればいいのか!
「何を悩んでいるんですか?ニーティア様」
「何も聞くなです。ってかさっさと仕事しとけです」
全く部下に心配されるなんて、みっともねぇです。
そもそも失恋するなんて分かりきったことじゃねぇですか。
何モヤモヤしてるんです!気持ちを切り替えろです!
「ティア…少しいい?」
「あ?なんです?あたしは今…………って!セレア!?」
「ごめん。ちょっと話したいことがあって」
「別にいいですよ。人気の少ないところに行くです」
まさかもう来るとは、昨日のこと忘れた訳では無さそうですし…。
はぁ何してるんですかね?
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私はティアと王城内で人気の少ない場所に来た。
「ティア、ごめんなさい!本当に今まで気付かなくて……」
「別にいいです。オメェが鈍感なのは知ってたですし。そこを考えなかったあたしもあたしです」
「ティアからの告白、実は嬉しかったよ。でも」
「好きな人が、いや将来を誓ったヤツが既に居るから無理です?別に問題ねぇですよ」
私はティアの言葉に驚いてしまう。
吹っ切れたような呆れたような、既に知っていたような感じだったからだ。
「あたしはもう何も思ってねぇですよ。元々、失恋するのは分かってたですから、だからあたしはオメェの恋愛を応援する側になるです。オメェの鈍感さを身に感じたですから、リリアナ嬢を助ける人になるですよ」
「それはどういう」
「オメェがリリアナ嬢を困らせないよう監視するって意味です。知ってるです?オメェってモテるんですよ?」
「モテる?私が!?」
「知らなかったです?オメェ、王城内じゃモテモテですよ?地位も悪くねぇですし、顔もいい、おまけに優しいときたら誰だって惚れるですよ」
「そう、か」
「納得いかねぇ顔すんなです」
私ってモテてたんだ。初知りだよ。
好物件といえば好物件なのかなぁ……。居たたまれない気持ちだ。
今までそういう話は聞いた事なかったけど、もしかしてリリアナが何かやっていたか?
ティアもそこに加わるって事?
「よく分からないけど、私とティアは親友でいれるって事?」
「そういう事です。オメェが居づらかったらあれですけど」
「いや…ティアと居れるなら私はとっても嬉しいよ」
「はぁ〜そういうところですよ。オメェ」
「えっ何!?どういう事!」
「オメェはそのままでいいですよ。これはリリアナ嬢が苦労するのも何となく分かる気がするです」
さっきから何を言ってるのか全然分からん!
私の発言がどこかおかしかった?
私は悩んでも一向に分からない問題を心残りにしながらティアとの仲直り?が出来た。
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私はティアとアイザックさんと古代遺跡について話しあっていた。
古代遺跡は深く、どんなトラップがあるかも分からない為慎重に行動する必要がある。
それがしかも、聖女候補や王子達となら尚更だ。
「怪我でもさせたら首をはねられるんじゃあねぇです?」
「そこまででは………無いと信じたいけど…」
「そこまででは無いと俺も思いますよ。そうだとしたら、よく今までこの王国が続きましたねって言いたい所です」
「一応、怪我をさせない作戦を考える方針でいこう」
そうなると大半を後方にしないといけないんだけど……いやぁこの遺跡、後ろも前も危険さはあまり変わらないんだよなぁ。
ゲームでこの遺跡の鬼畜さはよく知っている。
だからこそきちんと対策をしなければならない、それに私を陥れるために、イエラが何かしてくるかもしれないからな。
「オメェが作った
「戦闘は私もするけど、主にはアイザックさんに頼みたいです」
「任せてください。戦闘なら俺の得意分野ですから」
「あの根暗錬金術師もいるです。きっと大丈夫です」
「そうだといいんだけど」
私はこの遺跡探索に不安を抱きながらも挑むことになるだろう。
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