第124話 推しの秘訣

 仕事が終わり屋敷に戻ると、私はリリアナに明後日のティアとの予定を伝えることにした。


「え…ニーティア様と、高級アイス店に行く…ですか?」

「うん。元々、鱗のお礼っていう話だったからね」

「デートと言う事ですか?」

「デート?お礼をするだけだけど」

「はぁ〜なるほど。セレア様はニーティア様のお気持ちに気付いていないのですね」

「気持ち?ちょっと待って、さっきからわからないんだけど」

「大丈夫です♡私の恋敵ライバルが一人減ったという事なので」


 ライバルって…うーん。ティアがリリアナのライバル?

 なんのだ?聞いても答えてはくれないだろうしな。


 まぁいつか分かるだろ。これでずっと分からなかったらモヤモヤするけど。


「気にしなくていいですよ♡それより、ニーティア様と二人きりになるって事ですよね?浮気はダメですよ?」

「しないよ!」

「えへへ♡分かってます分かってます。でも私はあまりお二人に一緒にいて欲しくないので…」


 リリアナはそう言い私をベッドに押し倒した。

 …は?えっ、ちょあの……この状況は何ですか?


 私は今押し倒されているのか?推しに?好きな人に?


「リリアナ?一回落ち着こう…ほら。まだ結婚もしてないわけだし………」

「セレア様♡そう焦らないでください。別に取って襲ったりなんかしませんよ♡ただちょっと私の我儘に付き合ってくださるだけでいいので」


 私は嫌な予感がしたため、何とかリリアナを離そうとしたがリリアナのこういう時の力は凄まじくビクトもしなかった。


 腹を括るしかないかな。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私は目が覚める。

 えーっと、昨日は…何をされたんだっけ?


 記憶がない。確かに夜中にリリアナに押し倒されて………そこからなんだっけな。


 本当に何をされたんだ?何か妙に体がよく動くというか、肌もツヤツヤだし、別にグッスリ寝たという訳では無さそうだからなぁ。


 隣にはグッスリなリリアナがいた。

 全く、寝顔が可愛い。こんな子に私は昨日押し倒されていたのか…。


「ん…?セレア様?」

「おはようリリアナ」

「おはようごじゃいます」


 癒やされる〜。可愛いなぁ。

 私はリリアナの頭を撫でながら、そう思う。


 私はついリリアナの頬に指を指してぷにぷにする。

 肌ツヤツヤだし頬がぷにぷに…最強か?


「ん〜、なんですかセレア様?」

「いや…可愛いなぁと」

「えへへ。んふふ」


 リリアナは嬉しそうに私に抱きつき顔をうずめた。

 可愛い〜もうその言葉しか出てこないんですが。


「そういえば昨日の夜、私に何したの?記憶がないんだけど」

「えっ?あー、き、気にしないでください」


 私が聞くと、リリアナは焦る。

 本当に何したの?気になってしょうがないんだが…。

 私体弄られた?


「ほ、ほら!ニーティア様との約束の時間も近いですし!早く準備をしてください!」

「え?あぁうん」


 リリアナは私を急かすように私の背中を押す。

 絶対隠してるぞ。家に帰ったら聞いてやろう。


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 今日はセレアとので、デート!

 あぁ!ち、違うです!セレアにとってこれはただのお礼ですからね。


 はぁ…この気持ちがセレアに伝わればあたしから離れるんですかね?

 こんな弱気になってちゃだめです!あたしは今まで強く生きてきたんです。こんな恋愛で悩む必要はねぇですよ!


「ティア!お待たせ!」

「別に待ってねぇですよ。にしても似合ってるですね」

「本当?ティアも似合ってるよ」

「あ、ありがとうです」


 全く何を喜んでんだか…。

 ったく、セレアの野郎。リリアナ嬢に匂いをつけられすぎじゃあねぇですか?


 これは私のものという意志が感じれるほど、リリアナ嬢の魔力で染められているですが、セレアは気付いていないって事なんです?


 鈍感にも程があるですよ。

 それに自分の魔力を相手に渡すには接吻をするしかねぇですが…二人はまだ結婚してねぇですよね?

 何か引っかかる気がするですが…。


 考えると頭が痛くなってくるです。

 ここは純粋にセレアとのデっ、買い物を楽しむことにするです。


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 ティアの服装は可愛らしいものだった。

 流石お嬢様…センスが良い。


 流行を抑えているのだろう。凄いなぁ。

 私には出来ないものだ。私の周りの人達センスが良すぎないか?

 いや、それが普通なのか…お嬢様だもんな、流行には敏感だよな。


「何考えてるんです〜!?早く行くですよ〜!」

「はーい!」


 ティアは約束した高級アイス店「ガーダック」に向かって走っていく。

 奢るとは言ったが…高いんだよあそこ。


 私の持ってきたお金で足りるのだろうか。

 そう不安を持ちながらも私も高級アイス店に向かい、店内に入った。


 中は高級感を醸し出すシャンデリアがぶら下げられており、ドレスコードが決められていた。

 リリアナにこの服装でと言われたが、まさかドレスコードが決まっているとは。


 アイス店でドレスコードか。貴族専用みたいな店だな。


「こちらに案内いたします」


 執事のような人についていくと、貴族限定席と書かれた席に案内される。

 貴族限定席…なるほど分けられてるのね。


「奢りと言ったからには文句は言うなですよ?」

「分ってるよ。ほら早く頼まないと売り切れるよ?」

「急かすなです!」


 さーて、私は何頼もうかなぁ。

 私はメニューをめくりながらアイスを頼む。

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