第118話 拷問器具(自分用)の完成
研究室の場所をリリアナに明かした後、私達は時間も時間だったためぐっすり寝た。
そして今、私達は両親の墓前まで来ていた。
勿論ラエルやメリー、セバスチャンも一緒に。
私達は花を置き手を合わせた。
私が口を開こうとすると、両親と私の一対一にするためかラエルやメリー、セバスチャン、リリアナは後ろに下がる。
「お父様、お母様。私は随分大きくなりました、所長になり
私は後ろにいたリリアナを手招きし、お父様に紹介する。
これじゃ、恋人を父親に紹介しているみたいだ…いや、実質そうか。
「レディオ様、私はセレア様の奥様になる人です。私はセレア様を一途に愛しております。セレア様が無理をなさらないよう、私が監視をしますのでご安心ください」
リリアナは微笑み、私の手を握る。
目の前にあるのは墓のはずなのに、お父様とお母様が見えたのは気のせいだろうか。
私は懐から幼い頃にお父様と作った
お母様にと、お父様と話し合って作った常時回復ピアスだ。
「このピアスは…?」
「お母様が病弱だったから、体力回復も兼ねた常時回復ピアスだよ」
「そんな凄いものを幼い頃から作ってたんですか!?」
「そうだけど」
「やはり昔から才能があったんですね」
「まぁ、お父様も共同だったし…私一人で作ったわけではないからね」
なんならほとんどをお父様がやっていた気がする…。
魔力の込め方も分からなかったからな。
でも幼い頃から
このピアス、本来なら良い値で売れるんだろうな。
「常時回復のピアスって、レディオは随分とヴィータ嬢の事を大切にしていたんだな」
「びっくりした。父さんか」
「なんだいその反応は」
「いえ、別に……」
あんなにゅっと出てきたら流石に驚くよ。
ラエルは置いたピアスをじっくり観察する。
「このピアス、作ろうとは思わないのかい?今のセレアならもっと良いものを作って売る事も出来るだろう?」
「うーん……なんかまた作ろうっていう気になれなくて」
何でかなぁ、まぁ半分は大量生産するのが面倒くさいっていうのが理由な気がするが、後は両親との思い出のものだし、別とは言えど複数作るのは気が引けるのかもな。
ま、今度作ろう。金になるのは確かだし。
ただ結構複雑な術式だった気がするが……ま、まぁ今なら大量生産も可能だろう。
私達は墓を後にした。
帰宅し、私はパンを片手に研究室に籠もった。
早く体に鱗を埋めたいし、機械を完成させないと…。
部品はタンクトップのおっちゃんに頼んで作ってもらったし、魔術を描くだけだな。
私は伸び〜と背筋を伸ばす。
よーし頑張ろう。
ペラペラと魔術本をめくりながら術式を描き込んで行く。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
よーし!これで全部か?
あれから一週間、私はずっと籠もり拷問器具にしか見えない機械を完成させた。
この機械、どこに置こうかな。
私がうーんと、頭を悩ませていると研究室の扉が開かれる。
「セレア様…今日は一緒に朝食を食べれますか?」
「ん?うん。完成したからね」
「これですか。結構でかいですね」
「そうなんだよね。どこに置こうかな」
「空き部屋とか無いんですか?」
空き部屋…………。あっ、そういや外に誰も使ってない小屋があったな。
あそこに置こう。
一応セバスチャンに許可を取りに行こう。
汚くても実は使っている人がいたとかあったし、部屋とかの管理はセバスチャンの担当だからな。
私とリリアナは朝食を食べに行き、腹が膨れたら私はセバスチャンに小屋について聞きに行く。
「セバスチャン」
「おや、どうかされましたか」
「外にある小屋って誰か使ってたりする?」
「いえ誰も使っておりませんよ」
「分かった、ありがとう。あと、あの錬金術師にここに来るよう伝えといて」
「分かりました」
機械を移動させるか。
私は一人で重い機械を小屋に運ぶ。
ラエルも私が一人で物を運んでいるのを見つけたのか途中から手伝ってくれた。
リリアナは小屋の掃除をしてくれた。ありがたいな。
機械を全て運び終わると、丁度いいタイミングで呼んだ錬金術師が顔を出す。
「何用です?」
「この前伝えたでしょ?自分の体に鱗を埋め込むって」
「あたしはそんな人体実験とかしてないですよ。他の錬金術師野郎と一緒にしねぇでほしいです」
「そこをなんとか!」
「最近できた高級アイス店を奢ってくれるなら考えてやるです」
ぐっ、あそこ高いんだよ……仕方ない腹をくくるか。
私の数少ない仲の良い錬金術師、ニーティア・マーガン。王宮錬金術師だ。
私は愛称でティアと呼んでいる。
「鱗を埋め込むのはオメェが望むならやってやるですよ」
「本当!?」
「親友の頼みです。やってやるですよ。でも、本当にやるんです?数年は起き上がれないほどの苦痛が伴うですよ?」
「ティアなら一年ぐらいに短縮できない?」
「ふん!そこまで期待されちゃあやってやるしかねぇですね。このティアに任せろです」
ティアは人払いを頼んだ。
よし。私は深呼吸をする。落ち着け私、ティアなら問題ない。
「痛かったら左手を上げろです。ま、止めてやるつもりはねぇですが」
「痛みには慣れてるから大丈夫だよ」
「泣いたら笑ってやるです」
「それは酷い」
ティアが私の緊張を解してくれる。私は腕を出し機械に座る。
痛みに耐えろ、私。
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