第108話 新たな発明品

 日光が弱点か…。

 私はある事を思いつく、そういやゲームで魔石は光を吸収するって言ってたな。


 でも魔石って高いんだよな…冒険者ならいつでも取れるけど、貴族ってなると難しいんだよな。


「セレア、何か案が?」

「魔石を使えば日光を放てるかなと」

「そうか、魔石は光を吸収する。いいアイディアだな、我が魔石を採ってこよう」

「いいんですか?」

「問題ない。それぐらい容易いものだ」


 ドミニクがふんすと自信満々にそう言った。

 どこからその自信が出てくるのか…ただ実力は確かなんだよなぁ。


「魔石を持ってこれば対策は出来るのだろう?」

「えぇできると思いますよ」

「なら次会う時に持ってこよう」


 私達はその後、軽く会話をして解散する。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私は室長室に戻り、古代魔術を研究する事にした。

 今の魔術では作れなかった物を、古代魔術では作ることが出来る。

 先人って凄い。


「セレア様、それは何を描いてるんですか?」

「これは冷蔵庫って言って、上で物を冷やす事が出来て、下で凍らせる事が出来るんだ」

「レイゾウコ?またセレア様は珍しい物を考えるのですね」


 タリンさんが、私の描いた図を見て言う。

 私が考えた訳では無いんだけど……、応用したって事だし、良いんだろうか?


 次はオーブンとかも作りたいよなぁ。

 ってか、眼鏡とか作ろうと思って作ってなかったな……。


 いや、あれに関しては私は何もできないしな…おっちゃんの所に行かないといけないし、今度リリアナも誘って行こうかな。


「そういえば遠征の話ですが、私が行かない事は把握してますよね?」

「うん。術棟の管理を変わりにしてくれるんだよね?」

「はい、私はあまり戦闘向けでは無いので」


 私はその発言に嘘をついてんなぁと思ってしまった。

 知ってるぞ。タリンさんは魔塔の生徒時代に魔塔を半壊させ、何十人かの生徒に重症を負わせたって言う過去がある事を……。


 何で知ってるのかは、ラエルから聞いたからだ。

 ラエルは顔が広いからな、社交界にはよく顔を出すらしい。


「この書類、お願いしますね」

「はーい」


 タリンさんは、机の上に五枚ほど紙を乗せ部屋を出ていった。

 私はタリンさんが置いた書類を確認しながら、一枚一枚処理していく。


 忙しい訳では無いが、書類が読みづらい。とても、とても読みづらい。


 書類関連だったら宰相のカラルナ様に言わないとなんだよな。

 書類の案を出してこようかな。


 私はため息を吐き、珈琲を飲む。

 そんな私に勢い良く飛び掛かってくる人が居た。


「セレア様!」

「ゴッホ、ゴフ!けほっけほっ!」


 私は噎せる。飛び込んできたのはリリアナだった。


 珈琲を飲んでる時に飛びかからないでくれ…そう思ってはいるが、リリアナの笑顔でそんな考えは消えてしまう。


 駄目だ…私は甘過ぎる。

 自覚はしているものの改善はされない。


「うへへ♡来ちゃいました♡」

「来ちゃいましたって……仕事は大丈夫なの?」

「はい!問題ありません!午前中の仕事は全て終わらせてきましたから!今は休憩時間です」

「ならいいんだけど…。そうだ、リリアナ、遠征が終わったらデートにでも行かない?最近行けてなっ」

「本当ですか!?」


 痛い!痛い痛い!力が強い!抱き締める力が強いよ!

 ってか、何か私はさっきフラグと呼ばれるものを立てたような……気の所為だよな。


 そんなことより、リリアナとのデートの約束を結ぶことが出来た。

 ヤッタァァァァ!………………おっと、冷静になれ。


 心の中で叫んでいると、いつの間にか表に出ていたりするからな、リリアナに私がこんな人間だとバレたくない。

 

「デートって、どこに行くんですか?」

「うーん……リリアナは行きたいところはある?」

「そうですねぇ。セレア様の服を選びに行きたいですね」

「そんなのでいいの?」

「えへへ♡私がセレア様の服を選びたいんですよ。私にとってはとっても楽しみな事なんですから」

「そう、なんだ」


 私の服選びか…。リリアナはセンスが良いし、安心して任せられるかな。


 流石は伯爵令嬢と言った所だろうか、流行には敏感なんだよな。

 私にも分けてくれ、その才能。


「セレア様は普段はズボンですが、ワンピースも似合うと思うんですよね」

「そんな女の子らしいの、合うのかな」

「セレア様は可愛さと格好良さを持ってるんですよ?普段、格好良い人が可愛い服装を着たらもうそれはギャップがあって………えへへ」


 リリアナはお馴染みというのだろうか、又もや自分の世界に入ってしまった。

 ギャップかぁ。ていうか、私は可愛さと格好良さを持ち合わせてるんだな。


 初めて知った、まぁ普段から自分の事をそう思う人間はいないだろうけど。


「ん?セレア様、これって何ですか?」

「あぁ、冷蔵庫だよ。新しい魔道具アーティファクトだね」

「へ〜、セレア様はまた珍しいものを作るんですね」


 タリンさんと同じ反応だな。

 そんなに珍しいのかな……。異世界側からしたら、地球のものは珍しいんだろうな。


「私の夫は天才ですね♡」


 リリアナは嬉しそうに笑った。

 笑顔が可愛い、可愛すぎる。尊すぎるよ。


 天才かぁ………好きな人にそう言われ、私は浮かれていた。

 天才、そっか。天才…………うん、何か今なら何でも出来る気がする。

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