第105話 解明のご褒美

 部屋に戻り、アイザックさんとの話で得た知識を使ってラエルのバッジを解明する。

 私は古代魔術書とにらめっこしながらバッジに描かれた魔術を解いていく。


 このバッジに描かれたやつは……。


「魔力量増加の術式の描き方で、内容が魔術発動時の魔力消費の低下に発動時間短縮……いやいや、チートだろこれ」


 何だこのぼくのかんがえた、さいきょうのまじゅつみたいな魔術は。

 私はメモをして、自分の所長バッジの解明にも取り掛かる。


 私のも、管理者バッジと同じ術式の描き方だから、魔力増加は確定だ。


「えーと、私のは…魔力増加、魔道具アーティファクト作成時の魔力消費の低下、魔道具アーティファクトに描かれた魔術の威力増加」


 魔道具アーティファクト関連が多いな。

 術棟に合うものしか描かれていない……。


 そして問題なのは魔法長アイザックさんがつけていた、魔法長バッジ。

 魔術は紙に描いてきたが、見た感じ私とラエルのバッジとは全く別のもののようだ。


「一個一個探してくかぁ〜」


 私は伸び〜と両手を上げて背筋を伸ばす。

 そして頬を叩いて気合を入れる。


 明日は休みだし!よーし!


 私は魔法関連強化の古代魔術書を読み漁り照らし合わせる。

 これは違うな…これも……似てるけど違う。


「これか?でも、違うなぁ」


 私は悶々としながらひたすら魔術書を読み進めた。

 数十分経った頃、やっと魔法長バッジの解明が出来た。


「魔法威力の増加、魔法の発動時間短縮、無詠唱発動の場合、魔法威力の増加……」


 また強いバッジだなこれは…。

 着けた人がこのバッジの魔術の影響を受けるから、魔法長、所長、管理者は必然的に最も強くなるのか。


 そういや、レオンからも団長バッジを見せてもらったな。

 これも解明するか。


 この前、見た感じは身体強化関連ぽかったしそこから探そう。

 私は悩むこと無く、リオンのバッジの解明に成功した。


「団長バッジは、身体強化魔法ブーストの付与に腕力の増加、体力の増加か。予想通りと言えば予想通りか」


 私の以外は戦闘向けなんだな。まぁ、実際、術棟以外は戦闘要員だしな。


 私は解いてきたバッジの内容をメモってラエルに渡しに行く事にした。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私はラエルの自室の扉をノックする。


「父さん、話したいことがあるんですが、よろしいですか?」

「あぁ入ってきてくれ」


 私はラエルの部屋に入ると、風呂上がりの色気あふれるラエルが居た。

 わぁ〜、ここにキャルナさんとか居たらすごいことになってたんだろうなぁ。


 私にはラエルのお色気は効かないんですけどね…リリアナという人が私には居ますから。


「それで話って?」

「これです。バッジの解明をしました」

「なるほど、どれどれ」


 ラエルは興味深そうにじっくり渡されたメモを見る。

 少しすると、ラエルは驚いたような表情をした。


「こんな内容だったんだな…。にしても、よく解けたね。結構時間がかかったんじゃないのかい?」

「色んな組み合わせを考えましたよ。確かに時間は結構かかりましたね」

「本当に凄いよ、そもそもこのバッジの古代魔術を解こうなんて考えて無かったからな」


 何でも挑戦しようとする研究者の性だろうか、無理だと言われるとやりたくなる。誰もやってないものはやりたくなる。

 それが私だ。


「今日はもう休みなさい。疲れただろう?何なら一緒に寝ても…」

「いえ、一人で寝ます」


 相変わらずだな……。

 私はラエルの部屋を出て、自分も風呂に入り自室のベッドで深い眠りについた。


 感じてないだけで、随分疲労していたみたいだ。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 チュンチュンと聞こえる鳥の囀り、カーテンの隙間から差し込む光……そして何故か聞こえる寝息。


 私は寝息のする方向を向くと、リリアナが私の毛布に潜り込んでいた。

 スピー、スピーと言う可愛らしい寝息を立ててぐっすりだった。


 がわいい…可愛い。でも勝手にベッドに入り込むのはやめてもらいたい。

 婚約破棄のイベントも近づいていると言うことは、私とリリアナの婚約も近づいているということ。


 つまりはリリアナとそういう関係なると言うことだ…。

 そんな事を考える私の所になーに無防備な姿で…………信頼されてるって事なんだろうけど、私が襲ったりしたらどうするのよ全く。


 私はリリアナを起こさないように、ベッドから起きようとするが、リリアナのがっちりホールドにより止められる。


 力が強いこの子…!無理に解くと起きちゃうかもだし、素直にリリアナが起きるまで待っておこう。


 今日は学園も土曜日だから無いし。こういう時間があっても悪くはないはずだ。


「セレア様〜好きです〜」


 リリアナは私に抱きつきながら寝言で言う。

 寝言が可愛い、全てが可愛い。昨日バッジを解明したご褒美かな?癒やされる〜。


 そういや、転生したと気付いてからきちんと寝れるようになったな。

 どうしてそうなったのかは分からないが、良い事だし深くは考えないでおこう。


 最近、忙してくてリリアナとデート出来てなかったし…明日か今日、行けたらいいなぁ。


「セレア様〜♡えへへ〜♡」


 リリアナは私に更に抱きつく。密着面積がどんどん……うぐぐ、耐えろ私。


 起きてたら意識しちゃうんだよ、寝たほうがいいんだ。

 私は色々悶えながら、また眠りにつく。

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