第102話 バッジに関する古代魔術
オバルと話をしていると、私はある事を思い出す。
そういや、王城には巨大な書庫があるよな……。
そこなら古代魔術についての本も大量にあるのでは?
アルセリア家には無い本もありそうだし。よし、折角だし向おう。
「オバル…こんな所に居たのか」
「げっ…団長」
「げっとは何だ。全く、副団長がこんな風では気がやられる。セレアもここでサボることを承諾するな」
「いやぁ〜私は別に悪くないですし。逆にリオンが厳しくしすぎなんだよ。もう少し、部下の事を労ってやれ」
リオンがオバルの背後から出てくる。
リオンの訓練は厳しいからなぁ、そりゃあ逃げたくなるよ。
「あっ、オバルを連れてく前に二人に手伝ってほしい事があるんだけど」
「どうせろくな事じゃないッス」
「同感だ、でも断る権利はないんだろう?」
「だいせいかーい!よーし、行くぞ〜!」
私は二人を連れて書庫に向かう。
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書庫内に入ると二人は何か察したのか立ち止まる。
ちょっとちょっと、立ち止まらないでよ。
「荷物持ちッスか?」
「女の子は重いもの持てないんだよ」
「セレア、もうお前は女の子じゃ無い気が……」
「親友に向かって何言ってんだ。私は正真正銘、女の子だよ」
「ひとまずどれくらい持ってくんスか?」
私は一冊一冊、本を選んでいく。
古代魔術に関するものが沢山ある〜!これは研究が捗りそうだなぁ。
あっ!これは私が前に読みたかった魔術書じゃないか!
高くて買えなかったんだよなぁ。良い機会だ今のうちに読んでおこう。
私は書庫の机の上にどんどん本を積み重ねていく。
それを見た二人の顔はサーッと血の気が引いた顔をしていた。
「だ、団長……こういうのって学園時代からあったんッスか?」
「いや、ここまでじゃなかった」
「ちょっと?悪口ですか?」
「悪口じゃないッス!と、と、とにかくこれを持ってくんスよね?」
「そうそう!術棟の所長室の机に置いといてー」
オバルとリオンは積まれた本を次々と持っていく。
いやぁ、力持ちがいてくれて助かった。
私は残った少量の本を部屋に持っていく。
所長室には汗をかき、ソファにもたれかかる二人が居た。
「ありがとう」
「団長の訓練より汗かく気がするッス」
「それなら早く訓練に参加しろ。皆が待ってるぞ」
「なんか寒気するんで戻りたくないッス」
「戻らないなら、私の仕事手伝ってもらうけど…」
「何か戻りたくなってきたッス!団長!セレア様!お先に失礼するッス!」
逃げたな……。リオンはオバルの後を追って部屋を出ていく。
騎士団の奴らは騒がしいな全く。
所長室の地面が見えなくなるほど本が並べられている。一冊一冊読んでいかないとな。
自分のでは無いし、目印を付けれないからしっかり読まないとね。
私は足元に気をつけながら、隙間を作り地面に座って本を読んでいく。
このバッジと似た術式を探さないと…。
私は本をペラペラめくりながら、様々な術式を見る。どれも違う……。
これも何か違う、形は似てるけど使える術式が限られすぎている。
「これは、魔塔のバッジの術式?」
私は一度だけ見たラエルの魔塔管理者バッジに描かれた術式を思い出す。
似てる…というよりほぼ一緒か?
私は立ち上がり魔塔に走る。
もし合ってるなら、系統が分かるはずだ!
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魔塔に走り、扉をバーン!と開ける。
魔術師は驚いている様子でラーヴァルさんは察したのか管理者室に向かった。
「兄さん、セレア様が来てますよ」
「セレア!?」
ラーヴァルさんの発言と目の前に居る私に反応し、ラエルは私に飛びつこうとする。
だが、私はそれを華麗に躱してラエルは床にぶつかる。
公の場でのスキンシップは控えてもらいたい。
「いたた…そ、それで?
「バッジを見せてもらいたくて」
「なるほど。はい」
何か気持ち悪い単語が聞こえたような…幻聴かな。
ラエルは私の手に魔塔の管理者バッジを乗っける。
私は持ってきた古代魔術書と照らし合わせる。
やっぱり、同じ形の術式だ。内容は少し違うが、同じものだ。
「それは…?」
「書庫で見つけたんです。私のバッジの術式とは違いますが、魔塔の管理者バッジと形式が一緒です」
「中身は?」
「我が屋敷にあった古代魔術書に管理者バッジと同じ術式が描かれた術式がありました。それとこの形式を合わせればこの魔術が何なのか分かります」
「覚えてたりはしないのかい?」
「ふふん!ばっちり忘れました!」
私の言葉にラエルとラーヴァルさんは膝から崩れ落ちる。仕方ないだろう…前の事だもん。忘れたよ。
家にあるものだしと思って覚えなくていいやっていう考えだったし。
ラエルはコホンと咳払いをして威厳を保つように言う。
「ひとまず、このバッジは家に帰ったら渡すよ。それと、魔法長のアイザックのバッジも確認してきなさい。彼は魔術ではないが、古代魔法を研究している。何か手掛かりがつかめるかもしれないからね」
魔法長アイザック…。王城での彼を称賛する声は絶えない。所長になって気軽に話せるようになったし、話を聞きに行くか。
魔法に関してはからっきしだが、古代関連仲良くなれるといいんだが…。
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