第100話 遠征に向けての大会議
キャルナが追い出されてから、嫌がらせを受けていたペルティアさんの体調は良くなっていた。
所長としては何も出来なかったなぁ。
「セレア様、会議の時間になりますよ」
「もう?じゃあ行ってきまーす」
タリンさんが会議の時間を知らせてくれる。
そんな時間になってたのか…。
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会議室に向かうと、一つの縦長い机を囲んで騎士団長リオン、管理者ラエル、魔法長アイザック、カラルナ宰相、アザルク陛下が居た。
おっと〜初手から遅刻したかも……。
私は冷や汗をかきながら自分の先に座る。
「申し訳ありません遅れました」
「いや、時間ぴったりだ。それでは会議を始めよう」
次からは早めに来よう。気を抜き過ぎたな。
そうだ遠征にリリアナも参加することを伝えておかないと。
「陛下。今回の遠征ですがリリアナも参加したいようです」
「闇魔法使い…。戦力になるだろう、後方支援の部隊にいれるのが良いだろう」
「ですがそれだと前線との戦力差がありすぎます。後方支援の数を減らすべきでは?」
「アイザック、前線にはセレアやリオンが行く。二人の実力はこの戦力差を上回るほどの実力だ、気にしなくてもいいだろう」
「ラエルの言う通りだアイザック。逆に後方支援がこの遠征では鍵となる。後方支援を固めるに越したことはない」
私達は各々意見を述べ、遠征に向けて意見をまとめながら編成を考えた。
後方支援の部隊にはリリアナやイエラ、アルベルト達の攻略対象キャラが居る。
私は前線送りになってるから、リリアナを側で守れない……大丈夫だろうか。
私はゲームの話を思い出す。
何故、ヒロイン達が今回の遠征で苦しんだのか。
魔獣は確かに多かった、凶暴化だってしていた。だがそこではない原因は………。
ドラゴンの出現だった。厄災を振りまくとされるドラゴン。
対処は勿論、実践経験の無いヒロイン達に襲い掛かるドラゴンのせいでこの遠征は壊滅的だった。
ドラゴンが同じ通りに出るのだとしたら、対処はできるはずだ。
でもどうやって?ドラゴンが出る可能性があるなんて言っても信じられない可能性が。
私は一人で悩んでいた所に気付いたリオンが話しかけてくる。
「セレア。何か意見があるのか?」
周りの皆は私の意見に耳を向ける。
言わずして考えるの止めだ、言ってみないと分からない。
「この遠征、ドラゴンが出る可能性があると私は考えました」
「ドラゴン…!?ありえん、何百年も復活していないのだぞ」
「だからです。今までのドラゴン復活の周期は五百年ごとでした。そして来年、遠征がある年は前回ドラゴンが復活してから五百年経つ年です」
これは以前、ドミニクから聞いた話だ。
文を交わしていると来年はドラゴンが復活する年だろうと言われた。
「資料を持ってこさせろ!今までのを全部だ!」
「はい!」
宰相は衛兵に大量の資料を持ってこさせ、私達は全て並べて時系列にまとめた。
「本当だ…来年は丁度五百年。ならばドラゴンについても考えなくてな。感謝するセレアよ」
「お役に立てたのなら何よりです。それと五百年前、ドラゴンが来た方向は北だとここに書いてあります」
私は資料を照らし合わせながら指で一個一個指していく。
ドラゴンが来る方向は北…それは前回だけでなく毎回北から来ている。
ならば今回も北から来ると考えるのが妥当だ。
そして、遠征での後方支援の位置は………。
「後方支援の部隊は北側…!」
「その通りです。このままでは後方支援はドラゴンにより崩壊されるでしょう」
「ならば更に戦力を」
皆が慌てている中、扉の向こうから騎士達の必死な声が聞こえる。
その声は突如止み会議室の扉は開かれ、私達は呆然とする。
「やぁやぁ、面白い話を聞かせてもらった。我も参加させてもらえないだろうか」
「…………ドミニクさん!?」
「ドミニク…ここは君が来るような場所では」
社交界に顔を出さない人間。ドミニクが現れたのだ。
いやいや!何で来てるんだ?
私はドミニクを見ると、ドミニクの背後にルイスが居ることに気付く。
まさか、ルイスが伝えたのか!
「ルイス殿下から話を聞いてね。ドラゴンについて話しているのだろう?我も戦力になるぞ。なぁラエルにセレアよ」
「二人共、どうしたのだ。開いた口がふさがっていないが」
「「塞がらないほうが意味わからないよー!」」
私達親子は口を揃えて言う。
今まで社交界に顔を出したことがない、貴族表にも載ってない奴がなーにノコノコ来てんだよ!
私とラエルはドミニクをいったん座らせ、話を聞いた。
「突然、遠征に同行するって何故そうなったんだ」
「ドラゴンへの対策だろう?我なら問題ない」
「その自信満々なのは…まぁいい。後方は私だって居る問題はないだろう」
本編ではラエルは出てこなかった。多分だが後方の部隊は二つに分かれている。
イエラ達の居た部隊とは別部隊に居たのだろう。
「ドミニクさんが行くなら、父とは別部隊に組ませてください。戦力の分散です」
「そうだな。セレアの言う通りだ。ドミニク殿よ協力してくれるだろうか」
「問題ない!我に任せろ」
自信満々なドミニク。ラエルは呆れたような顔をするがそこからはドミニクへの信頼を感じる。
私はラエルに小声で伝える。
「あの人なら大丈夫じゃないですかね?」
「セレア…父さんの心配は?」
そこかよ。私は良い雰囲気だったのに……と思いながらも心配してますよと伝えた。
ラエルは喜んでいるようだった、相変わらずだなほんと。
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